皮むき日記

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 鳥や哺乳類の死体は、皮を剥いたり、肉を取り除いたり洗ったりして標本にします。面倒な作業ですが、その中でいろんな発見があるのも事実。どんな作業をしたかを記録すると同時に、その際の小さな発見を書いてみることにしました。

(注)ここで行っている皮剥きなどの標本作成は、調査研究目的(及び普及教育目的)で、大阪市立自然史博物館の業務の一環として行っています。またその対象は、この目的で殺したものではなく、事故で死んだ個体や、動物園などで死んだ個体を用いています。動物虐待ではないかとの指摘があったので、念のため。

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2021年5月19日  カリフォルニアアシカ
一昨日到着したアシカを、2日冷蔵室に寝かせてから処理。

・カリフォルニアアシカ(OMNH M3883:某動物園より)
 今年度初めての皮剥き。皮剥き+肉取りを3人がかりで3時間。頭胴長164cm。メスだけどまあまあ大きい。後肢剥いたけど、時間がかかった…。
 前肢の肉取りをしたけど、上腕骨が短くて、肘関節がほとんど動かず。肘の外側、尺骨の付け根が広く板状に張り出してる。歩く時、地面にあたりそう。親指側、指の付け根から肩にかけて、幅広い筋が伸びていて、根元から足先を引っ張ってる感じ。
2021年3月31日  ヒツジ
ヒツジが突然やってきたので、急遽なにわホネホネ団の活動日を設定したら、イルカまでやってきた。

・ヒツジ(OMNH M3881:某動物園より)
 コリデールという品種だそう。毛がむくむくで、胃の中には飼料がいっぱい、皮下や内臓に脂肪もいっぱい。という訳で、体重は約59kgとかなりの重量級。死因はしらないけど、四肢の先や首の皮下出血がひどい。皮が少し傷んで緑色なので、緑のヒツジと呼んでいたけど、けっこう赤い ヒツジでもあった。

・スジイルカ(OMNH M3882:2021年3月、大阪湾産)
 昨日、突然回収されたという連絡があって、 急遽引き取った。尻尾や鰭の先はとろけてるけど、まだ模様が残ってる。イルカの識別は苦手で、処理が終わってから画像を図鑑と照らし合わせて、スジイルカ!と盛り上がった。大阪湾では珍しい。処理したのは2匹目。
2021年3月22日  オオバン、シジュウカラ
なにわホネホネ団の鳥の日。今年の鳥剥き5日目で、今年度の鳥剥き17日目の25種27羽目(内、4種4羽は動物園物)。

・オオバン(OMNH A8574:2020年12月、三重県松阪市産)
 オスのたぶん幼鳥。額の白い部分は、まったくないわけではないけど、あまり拡がってない。幼鳥だったら、もっとしょぼい気もする。

・シジュウカラ(OMNH A8579:2020年12月、大阪府泉南市産)
 首の後ろに大きなダニが付いていた。シジュウカラの目玉より大き!重さが気になったが0.1g未満らしく測れない…。重さの負荷はたいしたことないのかも。剥いてみると、ダニが付いていた首の後ろ一帯に、広く皮下出血。ダニに吸血されるとこうなるのかな?
2021年2月18日  ミサゴ
今年の鳥剥き4日目で、今年度の鳥剥き16日目の23種25羽目(内、4種4羽は動物園物)。

・ミサゴ(OMNH A8571:2021年1月、沖縄県久米島町産)
 メスの幼鳥らしい。だから頭の上が真っ白じゃないのかな。全長560mmなのに、翼開長1650mm。横幅が縦の約3倍!
 左上腕骨の付け根辺りに出血があるけど、骨折や外傷はなし。ものすごく痩せていて剥きやすかったので、直接の死因は餓死だろうか。
 魚喰いなので、魚の臭いがするかと思ったら、タカ類の臭い。食性より系統が優先するらしい。でも、涙骨は、ハイタカとかと比べて小さい。だから目つきが可愛いんだろう。
 一番面白いのは足で、第4趾が前を向いたり、後ろを向いたり。さらに足の鱗がとても粒立っている上に、足の裏はトゲトゲ。とても魚を掴むのに頑張っている。
2021年2月16日  ヒヨドリ
今年の鳥剥き3日目で、今年度の鳥剥き15日目の22種24羽目(内、4種4羽は動物園物)。

・ヒヨドリ(OMNH A8567:2021年1月、滋賀県大津市産)
 体重が97.5g。脂肪だらけなのは判ってた。確かに脂肪だらけだった。
2021年2月15日  メジロ、トラツグミ
今年の鳥剥き2日目。2羽とも脂肪満タンで、めっちゃ時間がかかる…。今年の引きは悪いのかも知れない。

・メジロ(OMNH A8570:2021年2月、兵庫県宝塚市産)
 可愛いんだけど、脂肪だらけ。目の周りの白い羽根が、なかなか格好良く整わないなぁ。

・トラツグミ(OMNH A8568:2021年1月、大阪府交野市産)
 こちらもめっちゃ脂肪だらけで、脂肪除去しながら処理してたら、穴が開きまくり。慎重にしてるはずなのに…。そして、首に小さい穴が開いてしまい、裏返した頭の皮を戻す時に、その穴が…。3時間半もかかったのに。
2021年2月13日  コガモ、ハシブトガラス
今日は鳥の剥き初め。

・コガモ(OMNH A8566:2021年2月、大阪市東住吉区産)
 新鮮で状態がよく、何より脂肪がない。頭は裏返ったし、尾脂腺は綺麗にとれた。淡水ガモは塩腺がないなぁ。と思ったけど、眼窩の上後ろの縁に付いてるのが塩腺かもしれない。

・ハシブトガラス(OMNH A8567:2021年1月、大阪市東住吉区産)
 膝関節を普通にはずすと、膝蓋骨みたいなのが、コガモは脛骨側にいって、ハシブトガラスだと大腿骨側に行く。頭裏返すのは、コガモの方が簡単だった。鼻孔から喉に開いたスリットの縁にトゲトゲが付いてるのはなんでだろう。
 喉袋を確認しようしようと思いつつ長らく忘れていた。ようやく今日のハシブトガラスでチェック。確かに嘴の付け根の周辺にだぶついた袋があるみたい。でも、皮が拡がるのは、嘴の下側から目の下辺りまで。それより奥のは皮がかたくて拡がらない。たいして詰め込める袋じゃなさそう。
2021年2月12日  ネコ、ベネットアカクビワラビー
なにわホネホネ団の活動はまだ今年始まらないので、一人で剥き初め。

・ネコ(OMNH M3876:2021年1月、鹿児島県鹿児島市産)
 脂肪まみれで、腎臓が脂肪の中に埋まっていて驚いた。そういえば、鎖骨が長いこととか、陰茎骨がないことにも驚いた。久しぶりなので忘れてた。

・ベネットアカクビワラビー(OMNH M3877:某動物園より)
 胸腔内に血が溜まりまくっていたので、これが原因っぽい。改めて見ると、後肢が楽しい。アキレス腱が太い、のみならずホネからとても離れてる。ホネの直径1つ半分くらい。これがジャンプの秘密とか? 踵から指先までぜんぶ肉球。指先の方の肉球は、薄い単なる皮みたい。
 草食獣のわりに、内臓が、とくに腸があまり大きくない。というか、そもそも腹腔があまり大きくない。大きいのは睾丸で、袋の口が狭くて拡がらないこともあって、袋を切らないと取り出せなかった。
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