SF関係の本の紹介(2006年上半期分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】


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●「ミッションスクール」田中哲弥、ハヤカワ文庫JA、2006年5月、ISBN4-15-030850-0、660円+税
20060606 ☆

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●「エミリーの記憶」谷甲州、ハヤカワ文庫JA、2006年5月、ISBN4-15-030847-0、760円+税
20060516 ☆

 昔昔、SFアドヴェンチャーとかに掲載された初期の作品を集めた短編集。全体的にSFっぽい話ではあるけど、あんまりSF色は強くない。1994年に徳間書店から出版された単行本の文庫落ち。1994年の出版時点でどうして今頃って感じなのだが、今回の文庫化もどうして今頃、って感がぬぐえない。
 若い時の作品だからなのか、ノルマ的に書いた作品だからなのか。とくに特筆に値する作品はない。やっつけ仕事的な、設定、展開、落ちが多いように思う。さらに昔の日本SFの短編によくあるパターンが多いのでは。そんなわけで、谷甲州のコアなファン以外は、わざわざ読む必要はありません。


●「やみなべの陰謀」田中哲弥、ハヤカワ文庫JA、2006年4月、ISBN4-15-030845-4、620円+税
20060430 ★

 1999年に電撃文庫から刊行されていた作品を加筆修正して再刊された。帯にいわく、孤高の天才が遺した、前世紀最後の奇跡、なんだとか。著者は死んだわけでなく、単にほとんど作品を書かないらしい。コメディタッチのタイムトラベル物。
 5つの短編が並んでいるのだが、それぞれがタイムトラベルを通じて、互いに関係していて、なかなかおもしろい構成。おじさんの不思議なラブロマンスあり、ラブコメあり、悲恋の時代劇あり、お笑い独裁政治下の恐ろしい大阪の話あり、と各短編はバラエティに富んでいる。そして最後は、軽くまとめのお話。
 火浦功を思わせる軽いタッチの、横道にそれまくりの文体が楽しい。その文体をまねた大森望の解説もおもしろい。その解説にもあるように、基本的にバック・トゥ・ザ・フューチャーのノリの面白さ。脳天気に楽しめる。


●「ドリームバスター3」宮部みゆき、徳間書店、2006年3月、ISBN4-19-862139-X、1600円+税
20060410 ★

 【準備中】


●「復讐への航路」エリザベス・ムーン、ハヤカワ文庫SF、2005年11月、ISBN4-15-011537-0、1000円+税
20060312 ☆

 「栄光への飛翔」に続く、若き女船長カイの挑戦シリーズの第2弾。話は、「栄光への飛翔」の続き。いきなり主人公の一族が一斉に攻撃され、その多くが死んでしまうというショッキングな展開。で、その復讐に立ち上がろうかな、という辺りで次の巻へ。他人の忠告をきかない主人公のお馬鹿な行動が、みんなを窮地に陥れるけど、主人公の無謀な行動で、窮地を脱する。
 とりたてて何がどうということもなく、気になることと言えば、主人公が殺人に快感を覚えるという点がくり返し強調されるんだけど、これはこれからの展開への布石なの?


●「帝国を継ぐ者」ウィリアム・C・ディーツ、ハヤカワ文庫SF、2005年12月、ISBN4-15-011542-7、740円+税
20060306 ☆

 「天空の秘宝」に続く、ギャラクティック・バウンティシリーズの第2弾。いきなり、本編とまったく関係のない猛獣狩りシーンから始まる。意味がない。そして、またもや帝国情報部に仕事を受けさせられる。今度は次期皇帝たる皇子さがし。
 「天空の秘宝」に自分が書いた内容を見て笑ってしまった。”主人公の行き当たりばったりの行動は、必ずうまくいくし。なぜか、行く先々で心を許せる仲間に出会い、その仲間はなんの理由があるのかわからんけど主人公に忠誠を誓ってくれる。” 今回もそのまんま。
 次こそ翻訳されないことを祈ろう。


●「まだ見ぬ冬の悲しみも」山本弘、早川書房、2006年1月、ISBN4-15-208699-8、1700円+税
20060227 ★★

 【準備中】


●「地球帝国秘密諜報員」ポール・アンダースン、ハヤカワ文庫SF、2006年1月、ISBN4-15-011545-1、660円+税
20060227 ☆

 【準備中】


●「図書館戦争」有川浩、メディアワークス、2006年3月、ISBN4-8402-3361-6、1600円+税
20060227 ★

 【準備中】


●「さまよえる天使」柾悟郎、光文社、2005年10月、ISBN4-334-92471-9、1700円+税
20060131 ★

 【準備中】


●「どんがらがん」アブラム・デイヴィッドスン、河出書房新社、2005年10月、ISBN4-309-62187-2、1900円+税
20060131 ★

 【準備中】


●「シャングリ・ラ」池上永一、角川書店、2005年9月、ISBN4-04-873640-X、1900円+税
20060130 ★

 舞台は近未来の東京。地球温暖化が進み、東京には激しいスコールが降り注ぎ、スコールのたびに街を濁流が洗うような時代。二酸化炭素濃度の削減がますます緊急の課題になる中で削減した二酸化炭素量と、削減量の取り引きに基づく、奇妙なグローバル経済が世界を支配する。日本政府は東京圏の市街地を放棄してほぼすべてを緑地化する一方で、住民の移住先として巨大な空中楼閣を築きつつある。話は、空中楼閣アトラスの支配層、それに反対するゲリラ組織、そして炭素経済で荒稼ぎする勢力が交互に語られ、やがて大きな謎が明らかにされていく。
 二酸化炭素放出量に基づく罰金や、削減量が国の価値に直結するという経済システムはおもしろいけど、現在の経済システムからの移行には無理があるよな〜。そもそも炭素量削減のためとはいえ、東京圏の市街地を緑地化するという政府の決断も意味不明。もちろん物語的には、その背後にある真の目的が用意されてるけど、表向きの目的でも、真の目的でも国民が納得するとは思えない。
 ライトノベルズっぽいノリと主人公。派手なアクション。とっても読みやすいけど、SFとしてはどうということはない。オープニングのスコールシーンは、つかみとしてはとってもいいけど、その後とあまりつながってこないし。一番気に入らないのは、話のコアに神秘主義的要素が強すぎること。
 ところで、日本に東京しかないかのような物語の進行にカチンと来るのは関西人だから? 東京がなkなったら、大阪にでも引っ越せばいいやん!


●「おまかせハウスの人々」菅浩江、講談社、2005年11月、ISBN4-06-21349-8、1500円+税
20060123 ★★

 6編を収めた短編集。「五人姉妹」の多くの作品と同様、近未来の日本で新たなテクノロジー/状況に出会う中で、人が何を感じ、どのように行動するかが描かれる。
 試作品のアンドロイド(「純也の事例」)、バウリンガルの延長で人の心を推測する機械(「麦笛西行」)、体内埋込み型ナノマシン(「ナノマシン・ソリチュード」)、さまざまなBSEの亜種の蔓延(「フード病」)、色がものすごーく鮮やかに見える薬(「鮮やかなあの色を」)、家事をすべて自動でしてくれる家(「おまかせハウスの人々」)。近い将来実用化されそうな技術から、荒唐無稽なのまで、アイデアはいろいろ。
 設定がどうであれ、話の中心は、さまざまな状況の中での人の心の動き。こうした話を書かせたら、この著者はすごくうまい! 結局のところ、未来社会を形作るのは、テクノロジーではなく、人の心なんだろうなと思う。


●「ハイドゥナン」(上・下)藤崎慎吾、早川書房、2005年7月、(上)ISBN4-15-208655-6(下)ISBN4-15-208656-4、(上)1700円+税(下)1700円+税
20060120 ★

 【準備中】


●「黄金の門」平谷美樹、角川春樹事務所、2005年3月、ISBN4-7584-1048-8、1900円+税
20060109 ★

 【準備中】


●「ストリンガーの沈黙」林譲治、早川書房、2005年11月、ISBN4-15-208678-5、1700円+税
20060107 ★★

 【準備中】


●「オルタード・カーボン」リチャード・モーガン、アスペクト、2005年4月、ISBN4-7572-1129-5、2800円+税
20060106 ★★

 【準備中】

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