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Argonauta 4: 3-17 (2001)


総説 海岸生物に対する人間活動の影響


大垣俊一

 海岸生物のフィールドワークをしていると、しばしば地元の人々や観光客による「磯物取り」に悩まされる。たとえばマーキングをして追跡していた個体を取られてしまったり、採集活動によって現場の群集が変わったりということがある。実際に取られていないとしても、そうした影響を考えなければならないということ自体が結果の解釈をあいまいにし、議論の質を低下させることにつながる。これまで研究者は、そうしたことを十分知っていながら、自らや他者の研究を評価する際、そのことにはあえて触れないという傾向があったように思われる。たとえば二枚貝床のパッチダイナミクスに釣り人による撒き餌用のはぎ取りの影響はないのかとか、ウニの密度が急激に低下したのは、コドラートの中でウニを取られたからではないかなどという質問は、いわば一種のタブーであって、質問者自身の足元をも掘り崩しかねない。

 海岸生態学の分野では、1980年代半ばから、人間活動の直接的影響が取り上げられるようになった。このことの背景には、同じ頃から世界各地の海岸に海洋保護区(marine reserve, marine protected area)が設定され始めたということがある。人による採捕が海岸生物にどう影響するかということは、採捕を排除したコントロール区がないと確かめられない。それが、強制力を伴う保護区の登場によって可能になったのである。海岸生物に対する、採捕など人間活動の直接的影響についての報告は既に数十篇にのぼり、1990年代に入ってからはいくつかの総説も出されるようになった(Carr & Reed 1993, Dungan & Davis 1993, Agardy 1994, Bostford et al. 1997, Allison et al. 1998)。こうした事情から、一般的な海岸生物の研究についても、採捕の影響を無視して進めることはできにくくなってきており、研究遂行上の一つの常識として、これまでの成果を知っておくことは意味があると思われる。

 採捕に限らず海岸生物に対する人間活動一般の影響、ということなら、これまで特に漁業資源管理の面から水産分野で多くの研究があるし、1970年代以降はいわゆる公害、環境問題の視点から、水質汚染の問題も多く扱われて来た。しかしここでは場面を海岸に限り、かつ採捕を中心とする人間活動の直接の影響を中心に紹介する。潮下帯や水質については、それとの関連において重要と認められる場合にのみ取り上げることにしたい。

事例 ― 潮間帯

 海岸生物に対する人間活動の影響の研究は、そのほとんどが南半球で行われてきた。センターは3つあり、南米チリ、南アフリカ、オーストラリア・ニュージーランドである。研究はまずチリで始まり、あとの2者がこれに続いたが、それぞれの地域で研究スタイルに違った色合いがある。2000年時点で、南米からの報告はほとんど行われなくなっているが、南アとオーストラリアの研究はなお継続中である。3地域の情報を、進展の順に紹介する。

1.チリ

 1978年、チリ中南部のMehuinにAustral Universityの研究用保護区が設定され、採捕影響の研究が始まった。チリでは特に都市部近くの海岸で、地元のmariscadorと呼ばれる人々が貝、ウニ、海藻など多種類の海岸生物を採集しており、その活動が採捕対象種と関連他種に与える影響が調べられた。Moreno et al. (1984) によると、保護区内の3点で、採捕禁止直前から以後4年間に、食用の笠貝(Fissurella)の密度とサイズが保護区内で、外より大きくなり、同時に大型海藻の減少と有肺類の笠貝Siphonariaの小型化が認められた。この他、採捕圧が様々に異なると見られる4地点の現状の比較から、保護区では人による採捕が停止した結果、Fissurellaが増加、大型化して海藻を減少させ、その結果、同じく海藻に依存するSiphonariaが、競争に負けて小型化したと推定した。アクキガイ科のConcholepas(「西洋アワビ」として日本にも輸入)についても、Moreno et al. (1986) が、Mehuin保護区の内外各数十地点で採捕の影響を調べている。その結果、保護区設定後に保護区内でConcholepasの大型化と密度増が見られ、この種に捕食されるイガイ類の被度が保護区内で低下、逆にフジツボ被度と裸岩面積が増加した。著者らは、人間の採捕活動が、特定種の存在量をコントロールすることで群集構造をも変化させる可能性があると述べている。

 一方、チリ中部のPunta el LachoにもCatholic Universityの保護区が1982年に設けられ、海岸生物と採捕の関係が調べられた。Castilla & Duran (1985)は、保護区の内外でConcholepasと関連の群集構造を調べ、禁漁後約半年でConcholepas密度が増加、またイガイ類が激減し、フジツボ、大型海藻が増えて多様性が増加したことを示した。Duran & Castilla (1989) はさらに同地点で5年間の追跡調査を行い、いったん増加した多様性は徐々に低下してフジツボが優占し、禁漁以前よりやや高い程度に落ち着いたとしている。Duran & Oliva (1987) は、採集の多い時期や対象種など人間活動を中心に分析しているが、同時に保護区及びそれとほぼ同面積の非禁漁区の生物相を比較し、ConcholepasFissurellaの現存量は、保護区内で安定して多いと述べた。褐藻の一種(Druvillaea)も採捕対象になっており、Castilla & Bustamante (1989)は、保護区内外それぞれ500mの海岸線からそのつど50m区を6つずつ抜き出しながら、禁漁前後にわたる時間変化のデータを取り、ANOVAで分析している。その結果コンブの密度、現存量、サイズについては季節、地形と並んで場所差(保護区内外と、人によるアクセスの程度)が有意で、採捕の影響が示唆された。

2.南アフリカ

 南アフリカでの研究は、東南岸のTranskei地方を中心に1980年代から行われてきた。この地方でも地元民がイガイ(Perna)や笠貝、カキなど貝類や、タコ、エビ、ホヤなどを海岸で採集している。一方Transkeiには延長20km近い海岸線を取り込んだDwesa Nature Reserveをはじめ、計4ヶ所の自然保護区が1975年以来設定され始め、その内外の状態を比較することによって採捕の影響が検討された。初期の研究では、Pernaへの影響が、Dwesa周辺で調べられた(Siegfried et al.1985)。地元民はPernaの大型個体を選択的に採集しており、それに対応して、保護区の中では殻長組成が外より大型に偏っていることが示された。Hockey & Bosman (1986) は対象種を広げて調査を行い、カキ(Saccostrea cucullata=オハグロガキ)、笠貝(Cellana, Patella)は保護区内の方が採捕域より大型であることを示すとともに、採捕対象にならない海藻や無脊椎動物の被度や多様性は、逆に採捕域の方が高くなることを認めた。著者らは、人による適度な 'disturbance' が群集構造を多様化させると述べている。また群集の回復力は強いので、時期を違えて別の場所を採捕する「輪作」が有効であるとした。一方、1982年ごろからはUniversity of Transkeiのグループが、Transkei沿岸約200kmの海岸線十数ヶ所に調査ポイントを設けてモニタリング調査を開始した。彼らは数ヶ月おきに写真撮影を中心としてコドラート内の状態を記録することを、既に20年近く続けており、その膨大なデータベースの中から各種の個体群動態、生物相の変遷など幅広い報告が行われつつある。このプロジェクトは採捕の影響のみを目的とするものではないが、調査地点は保護区と採捕域の両方にまたがるため、その差の検討も可能になる。その面での報告が、1980年代末ごろから発表されるようになった。Dye (1989) は、S. cucullataの多数地点の動態から、採捕域では保護区よりも死亡率が高い傾向が見られるものの、サイズ組成は保護区内でのvarianceが大きく、採捕、非採捕域の差は不明瞭であるとした。このことから、Hockey & Bosman (1986)が、採捕によるS. cucullataの小型化を主張しているのは疑問と批判している。カキと並んで重要な食用貝類であるイガイ(Perna)については、採捕の影響はもう少し明瞭なようである (Lasiak & Dye 1989, Lasiak 1992, Dye et al. 1997)。この種の場合も保護区内でのサイズ組成に地点差が大きいが、採捕域では大型が見られないという傾向ははっきりしていた。また実験的に保護区の一部を採捕のために開放したところ、採捕者は大型を選択的に採集し、時間を追って現場個体のサイズ組成は小型中心になって行った。またPernaのrecruitは不規則であり、人為的にPerna床のはぎ取りを行うと海藻優占の群集に移行し、8年たっても元の状態に戻らなかった。このことからLasiak & Dye (1989)は、Pernaの場合、回復力は弱いのでHockey & Bosman (1986)の提唱する「輪作」は不適切であると結論している。群集を対象とした研究として、Dye (1992)は、人為的なはぎ取り前後の種組成の変化を追跡した。その結果、8 - 9年たってもはぎ取り前の状態やコントロール区と同じにはならないことから、人による採捕は遷移初期段階への回帰とその長期的継続をもたらすとしている。一方、Lasiak & Field (1995)は、従来の研究はreplicateが不十分であるなど方法的に問題があったとして、Dwesa Reserveの内外の海岸群集を、nested ANOVAと多変量解析を用いて比較した。ANOVAによる比較では種数と種多様度について保護区内外で有意差はなかった(サイズは検討されていない)が、多変量解析では群集組成が両者で分離した。寄与率の検討により、採捕区では採捕対象種(Pernaなど)とその随伴種の固着性filter feederの現存量が少なく、逆に海藻類と海藻依存種は多いことが、この差をもたらしたと考えられた。海藻増加の原因ははっきり述べられていないが、過去の報告でPernaのはぎ取り後に海藻類が増えたことが示されているので、この結果は人による採捕が海岸群集の状態を変えることを示唆すると見てよいだろう。

3.オーストラリア・ニュージーランド

 この地域における研究の特色は、比較的最近1990年代に入って報告が出されるようになったことと、人による踏みつけ (human trampling) の影響を多く扱っていることである。Povey & Keough (1991) は、1830年以来人の立ち入りを制限してきた歴史を持つオーストラリア南東部、ビクトリア州の国立公園で、macroalgae帯、石灰藻帯、裸岩岩盤の3ヶ所に、コントロール区の他、強さを2段階に変えた踏みつけ区を設け、海岸群集の変化を調べた。このmacroalgaeはHormosiraという褐藻で、写真を見ると日本でいえばフクロフノリのような、もろそうな藻体の種である。結果は、踏みつけによるダメージはHormosiraの方が石灰藻より大きく、裸岩帯では踏みつけにより多少貝がつぶれたり除去されたりするものの、ほとんど変化がなかった。その後5ヶ月で、石灰藻帯の群集はコントロールのレベルまで回復したが、強く踏みつけたHormosira帯では1年以上たってもHormosiraの被度は元の60%に止まり、以前よりgrazing gastropods(裸岩上で付着藻類を摂食)が増加した。この結果から著者らは、踏みつけはHormosira帯の群集を、裸岩岩盤の群集におきかえる効果があると述べている。Keough & Quinn (1998)はさらに厳密に、踏みつけ強度を4段階とし、間をおいて踏みつけを行いながら6年間追跡してANOVAで分析した。結果はほぼ前報と同じで、踏みつけによりHormosiraが減少、Hormosiraの下層にある有節石灰藻も減少し、grazing gastropodsは増加した。ニュージーランドでもBrown & Taylor (1999)が踏みつけによる石灰藻群集への影響を調べている。著者らは保護区内で4段階に程度を変えた踏みつけを行い、コントロール区と比較した。その結果最大で50%の大型動物種が減少したが、3ヶ月後には多毛類以外はコントロールのレベルに回復した。多毛類に対する影響が大きかったのは踏みつけによる直接の死亡よりも、棲息場所である藻体そのものが失われることと、靴による砂の持ちこみによると推測している。Schiel & Taylor (1999)も同じくニュージーランドでKeioughらの調べたHormosiraへの踏みつけの影響を調べている。Hormosiraは踏みつけの程度に比例して失われ、回復にかかる時間は踏みつけをどの季節に行うかによって違っていた。この種は夏にrecruitするため、春にダメージを受けてもすぐに回復が始まるが、秋に踏みつけられると次の年の夏まで藻類被度は低い状態に止まる。こうしたかく乱の程度が小さければ、残った藻体の再成長により被度が回復するが、ダメージが大きいと回復はrecruitに待たねばならない。また、Hormosiraが失われると、日射により下層の石灰藻が減少し、また裸岩の比率が増加した。しかしこれらはHormosiraの回復とともにコントロールの状態に近づく。

 踏みつけの影響以外の研究としてはSharpe & Keough (1998)がある。著者らはオーストラリアのビクトリア州での採捕対象種、共に藻食性の巻貝Cellana(笠貝)とNerita(アマオブネガイ科)について、保護区内で除去実験を行い、群集への影響を調べた。Cellanaだけ、Neritaだけ、その両方を1回だけ除去するパターンと、くり返し除去するパターンに分け、これに全藻食性種を除去するパターンとコントロールを加えて計8パターンを設定、それぞれにレプリケートをとってANOVAで分析するという念入りなものである。その結果、Cellanaを除去すると岩面の微小藻類が増え、Neritaを除去すると微小藻類は逆に減少する。両者共に除去すると微小藻類の変化は見られなかったという。藻類を摂食するCellanaを除去して藻類が減るというのは一見奇妙だが、これは既によく知られた、笠貝による微小藻類の「管理」行動の点から、自然な結果であると著者らは述べている。またほとんどのケースについて、2種以外への影響は認められなかったという。ただこの仕事は、人間活動の影響の検出が目的と述べられているが、内容的には従来型の、除去実験による種間関係の解析そのものであり、それを「採捕」で味付けして焼きなおしたという印象が強い。

4.その他の地域

 上記3地域以外の研究例として、アメリカ人研究者による数件の報告をあげる。Ortega (1987) は、中米コスタリカの太平洋岸で、現地で採捕対象になっているSiphonaria gigas(殻長5-6cmに達する有肺笠貝類)について調べた。当地には7年前から一切の海岸生物の採捕が禁止されている国立公園があり、その内外各1地点(各9 - 10コドラート)で殻長組成を調べたところ、公園内では明らかに殻長組成がより大きいほうまで伸びていた。食用後の廃棄殻は大型のものに限られ、また両地点で同等サイズの個体に成長量の差は見られなかった。この結果から、著者は採捕活動によって非保護域の大型個体が減少した結果、保護区内外の殻長差が生じたと推定した。Brosnan & Crumrine (1994) は、アメリカ太平洋岸オレゴン州の岩礁海岸で、踏みつけの影響を調べている。ここは保護区ではないが、アクセスの困難さから事実上人の影響はないと考えてよい所らしい。踏みつけの頻度については、あらかじめ人の入るところで実態調査をして、それと対応するように設定した。まず高位の海藻・フジツボ帯では、踏みつけにより海藻、フジツボとも被度が低下したものの、翌年には元のレベルに回復した。しかし下位のイガイ床(Mytilus californianus)では、踏みつけ停止後2年たっても元の状態に復帰せず、丈の低い海藻を主体とする別の群集に移行した。干潟潮間帯では、Brown & Wilson (1997) の報告がある。これは北米大西洋岸の湾奥部で、食用二枚貝や釣り餌用多毛類の採捕が行われていることを意識して調べている。実験的に掘り返した区では、約3ヶ月後の再調査で、全ベントス種数、3種の多毛類の密度がコントロールより有意に小さかったが、一方、全動物個体数、貧毛類と2種の多毛類の密度には有意差がなかったとしている。次は潮下帯にまたがっているが、プエルトリコでsoft bottomの海草 (Thalassia) 床に対する踏みつけの影響を調べた例がある (Eckrich & Holmquist 2000)。これはかなり大がかりな調査で、著者らは約10km2の広大な浅瀬に10ヶ所の調査区を選び、それぞれコントロール、弱い踏みつけ区、強い踏みつけ区の3段階に対して踏みつけ前、踏みつけ中、踏みつけ直後、踏みつけ3ヶ月後の4時点、計10×3×4=120回分のデータをANOVAで分析し、海草、エビ、魚の密度と現存量の変化を調べた。その結果、海草の現存量とエビの個体数は踏みつけ強度に比例して減少、魚の個体数とエビの種組成は踏みつけに対して有意差がなかった。踏みつけの影響は底質の軟らかさに比例し、より軟弱な底質のほうが海草消失量は多かったとしている。

潮下帯

1.海藻林

 北太平洋や北大西洋の潮下帯の大型海藻林については、種間関係や群集論の面から数多くの業績があるが、ここでは南半球の情報も加え、人間活動の影響の面に絞って紹介したい。Mann & Breen (1972)、Breen & Mann (1976) は、カナダ東岸ノバスコシアのコンブ (Laminaria) 林でのそれまでの研究を参照しつつ、人間活動の影響について論じた。この海域ではウニの摂食活動によって海藻林が衰退し、一方、ウニの密度はイセエビの捕食によってコントロールされていると指摘されている。このことから著者らは、人間がイセエビを乱獲することでウニの密度が増加し、結果的に海藻林を衰退させた可能性があると述べた。Estes & Palmisano (1974)も、アリューシャン列島の2つの島で、ウニと海藻林との関係から人間活動の影響を論じた。ここではラッコ→ウニ→大型海藻という捕食、摂食関係がある。現在ラッコのいる島といない島の潮下帯群集を比較したところ、前者ではウニが少なく海藻が多かったのに対し、後者ではウニが多く、大型海藻の群落を欠いていた。このことから著者らは、かつての人間によるラッコの乱獲がウニを増加させ、結果的に海藻林の衰退を招いたと推測した。海藻林を保護区とした場合の変化については近年ニュージーランドで調べられている。ここでは肉食魚・イセエビ→ウニ→海藻という食物連鎖関係がある。Cole & Keuscamp (1998)は、調査した2つの保護区のうち1ヶ所では非保護域に比べてウニの密度が低く、かつcrevice内に入る傾向が強いことを示した。この保護区では肉食性魚類の密度とサイズが、採捕区と比べて大きく、ウニの反応は魚とイセエビによる捕食圧の結果と推測している。Babcock et al. (1999)も、同じ2つの保護区内外で調査を行っている。保護区内ではウニを捕食する魚類とイセエビの密度、サイズが外より大きく、海藻の被度も高い。また保護区の設定後に海藻林が拡大して裸岩面積が縮小したことなどが示された。しかし一方、アラスカではラッコが減少しても、海藻林群集に顕著な差を生じていないという報告もある (Konar 2000, Dean et al. 2000)。海藻林の捕食、摂食関係をめぐっては、高温条件がイセエビの生育を妨げたり (Harding et al. 1983)、ウニの病気とそれに伴う大量死をもたらす (Scheibling & Stephenson 1984)、あるいは捕食者の存在がウニの集合性を増し、逆に海藻摂食を促進する (Bernstein et al. 1981, 1983) などとも指摘されている。海藻林の群集動態には複雑な要因がからむことが認識されつつあり、初期に想定されたような単純な図式には疑問が呈示されつつある。

 こうした一連の海藻林研究においては、しばしば生物群集におけるkeystone species (Paine 1969)の意義を強調したPaineの一連の論文が引用され、1960年代以降の群集研究の流れを汲むものであることが窺われる。具体的にはラッコやイセエビ、さらには人間そのものがkeystone speciesになっているという位置づけであろう。この傾向は、人間活動の海岸生物への影響の分野では、チリの研究に色濃い。チリの研究者はPaineをよく引用するし、Paineはチリで仕事をしており、先のCastillaらとの共著もある。潮間帯群集に対する人間のかく乱の研究が南米で始まったことを考えると、この分野もまた、従来の枠組みから全く独立に生じたのではなく、1960年代以降の群集研究の流れを受け継ぐ形で展開したと言えそうである。

2.サンゴ礁

 サンゴ礁での保護区の効果、人間の採捕の影響の研究は、魚についてのものが多くを占めている。魚類の調査では、スキューバを用い、海中にラインを決めてその上で目視観察したり、trapで捕らえて相対密度を推測する、といった手法が用いられている。Polunin & Roberts (1993)はカリブ海の2つの保護区の内外で魚類相を比較し、魚類の普通種の半数近くで、数、サイズ、現存量のいずれかが、保護区内の方が大きいという結果を得た。Ratkin & Kramer (1996) は、バルバドス島(カリブ海東方)の保護区内外で魚類のサイズと数を調べ、小型魚種では差がなかったが、大型種では保護区内の方が大きかったとした。両報告とも、採捕対象になっている底性種での差は、遊泳種に比べて顕著だったが、これは遊動性が低い方が保護の効果が固定されやすいという点から自然な結果と言えよう。通常、保護区の効果はある時点でのその内外や、設定の前後を比較することによって論じられるが、保護区を解除した後の変化の報告は珍しい。Russ & Arcala (1989) はフィリピンのサンゴ礁で、10年続いた保護区が採捕のため開放された後の影響を調べた。開放前に採捕対象魚種の種数と密度は、保護区内のほうが外より有意に高いという結果が得られていた(Russ 1985)。しかし開放直後に、ワナ、網、モリ、爆破などによる激しい漁獲が行われて、漁獲対象種の種多様度と密度が減少した。それ以外の魚種にも減少、また一部には増加したものがあったが、これらは爆破や網入れなどによる底質かく乱の影響であろうと推測している。貝については、Pointer & Caterall (1988) が、パプアニューギニアのマガキガイ (Strombus luhuanus) について調べている。ここでは先住民による伝統的採捕(潮間帯のみ)と、ゴーグルを用いた現代的採捕の両方が行なわれているが、マガキガイの個体群は、採捕のないオーストラリアのヘロン島などと比べて高密度の状態を維持している。著者らは本種の個体群構造と採捕個体のサイズや採捕法を検討し、強い採捕圧にもかかわらず本種が高い密度を維持しているのは、砂に潜る性質があることと、潮下帯深くまで分布して、取り尽くされることを免れているからだと推測した。一方McClanahan (1989)も、ケニアのサンゴ礁で、一部潮間帯を含めて巻貝相を調べている。3つの保護区と3ヶ所の採捕域で、それぞれreef flat、lagoon、reef edgeに調査区を設け、互いに比較したところ、保護区の方が全体として種多様度が高かった。種数はreef edgeとlagoonで保護区の方が有意に多い。前者の差については地形的要因が絡むらしいが、後者については採捕の影響であろうと著者は推測している。密度についてはほとんどの種について差が見られなかったが、Lambis(ラクダガイ)などスイショウガイ科の数種で顕著な差があった。採捕がサンゴ礁の群集構造に及ぼす影響を調べた例として、McClanahan & Muthiga (1988) がある。著者らはケニアのサンゴ礁で、採捕圧の異なる3地域にそれぞれ数十〜百数十の調査点を設け、魚、ウニ、サンゴの分布を調べた。その結果、魚の採捕が多いところほどナガウニ (Echinometra mathaei) が多く、かつサイズも大きく、一方サンゴの被度は低い。実験による分析などは行なわれていないが、著者らはこうした比較から、これは採捕によってウニを捕食する肉食魚が減り、それによってウニが増え、サンゴがウニに摂食される結果であると推測した。またHuges (1996)は、ジャマイカのサンゴ礁で17年間にサンゴが顕著に海藻に置きかわっている傾向を認め、状況証拠とreviewから、藻食魚の採捕によって海藻が優勢になり、サンゴを圧迫したと推測した。一般にサンゴに対するdisturbanceとしては、台風やハリケーン、高温に伴う白化、オニヒトデによる食害などが知られている。Green et al. (1999)は、こうしたかく乱のダメージからの回復過程を、保護区内外で比較した。ポリネシアの西サモアでは、オニヒトデが深い部分、ハリケーンと高温による白化が浅い部分のサンゴにダメージを与えたが、それらからの回復は保護区内の方が外よりも早かったという。

3.種場効果

 これまで見てきたように、人間による採捕の研究は海洋保護区 (marine reserve) の存在と密接なかかわりがある。その理由として第一に、人の影響を排除した保護区の中にコントロールを取ることによってはじめて採捕影響の研究が成立したという点があるが、同時に、設定した保護区の効果があったか否かを検証するという社会的視点が、保護区をめぐる研究を推し進めた背景があったと思われる。海洋保護区の社会的意義については、多様性の保全、絶滅危惧種の保存、観光や教育への寄与、周辺海域の生物生産増加などがあげられており (Carr & Reed 1993, Allison et al. 1998)、陸上保護区とも比較しながら幅広く議論されているが、本稿のテーマからは外れてくるので、ここでは踏み込まない。ただし最後の、保護区を設定することによって周辺の生物生産が増加するかどうかというのは、海岸生物学の観点からも興味深い問題を含んでいるので、この側面における業績の一つの例として取り上げてみる。

 ある海域あるいは海岸を保護することで、その場の生物が豊富になり、かつ周辺にもプラスになるというのは、漁業分野でのいわゆる「禁漁区」の考え方である。このうち、特に周辺への影響を念頭に置いた場合、日本では「種場」(タネバ)として区別されることがある。これは文字通り、隣接海域に生物の種(タネ)を供給する場、という意味であって、幼生や稚仔が海流に乗って移動する、海域ならではの概念と言える。種場効果の概略は、まず保護区設定により採捕対象種の密度とサイズが増大すると、それに比例して個体群の繁殖力が増し、そこから供給される卵、稚仔(時には成体)の数も増大するから、周辺海域の生物生産にプラスに働く、というものである(Allison et al. 1998)。これはスジ論としては大方の認めるところだろうが、実際の海域でどの程度に実現しているかということになると、幼生分散の問題などもからんで検証はむずかしい。また、保護によってfilter feederの密度が増加したりすると、それが有用種の卵、稚仔を捕食するような影響もないとは言えず、論理としても完全とは言えない。では、実際の研究はどうなっているだろうか。Attwood & Bennett (1994) は、南アフリカの海洋保護区周辺で、定着性の釣り対象魚の一種 (Coracinus capensis) の移動を調べた。ここでは保護区の設定後、この種を含めて多くの種類で密度が増加したことが知られている (Bennett & Attwood 1991)。マーキングで保護区からの移出を調べたところ、ほとんどの個体は保護区内で採捕されたが、大型のものの一部は約1000km遠方まで分散していた。従って著者らは、保護区内の本種の個体群が周辺海域の個体群を補充しているとした。一方Ratkin & Kramer (1996) は、先にも紹介したようにバルバドスのサンゴ礁で、保護区内の魚の密度、サイズが外より大きい場合のあることを示したが、同時に保護区からの移出についても検討している。彼らは、保護区からの移出が起こるならば、定着性の強い底性魚のほうが、移動力の大きい遊泳性の魚種より、保護区の内外でサイズや密度差が大きくなるはずだと考えた。これは間接的な方法と言うべきだが、その結果、実際には両者に顕著な差は認められず、保護区からの移出は全体としてあまり大きくないと推定している。Alcala & Russ (1990) は、サンゴ礁の項でふれたフィリピンの保護区解除に伴う研究の一環として、周辺海域への影響も検討している。保護区のあった島では、保護区の開放による漁場面積の増加にもかかわらず、漁獲量に顕著な減少が見られ、このことから逆に、保護区はそこからの成魚の移出により、隣接海域の漁獲に寄与していたと推定した。ただし漁獲努力や魚種個体群の年変動などは検討されていない。魚以外では、アメリカでのイセエビの一種の研究がある。Davis & Dodrill (1989)は、フロリダの広大なEvergrades Natioinal Park内1150km2の保護海域およびその周辺でのイセエビの生活史研究をもとに、保護区の稚仔養成にとっての役割を論じた。このイセエビは、外海での浮遊幼生期とサンゴ礁での成体期の間のjuvenile期の3年間をこの保護海域で過ごすが、周辺に比べてここでの成長は最も大きく、稚エビにとって好適な棲息場所であることを示す。マーキングによる移動調査から、稚エビは成熟令に達すると、事実上すべての個体が周辺300kmの海岸線へと移出し、同海域でのイセエビ漁業、レクリエーション採捕の対象になると考えられた。以上のように、保護区の種場効果はまだ研究例が多くないが、全体的には状況証拠としていくつかプラスの結果が出始めたところと言えるだろう。

方法論

 これまで見てきたように、潮間帯、潮下帯を含む沿海域の研究では、生物相に何らかの形で人間活動が影響するという報告が多い。しかし一部、否定的ないしあいまいとする報告もある。その原因としては、非採捕個体群の、採捕に対する抵抗力ないし回復力が大きい (Hockey & Bosman 1986, Pointer & Catterall 1988) というような本質的要因も指摘されているが、差が出た種に注目するか出なかった種に注目するかというような、単なる評価上の問題もある。一方、調査方法上の問題も指摘されている。具体的には地点間でのばらつきが大きい (Lasiak & Dye 1989)、比較した保護区内外の地点で環境条件が異なる (Samoylis 1988, McClanahan 1989, Roberts & Polunin 1992) などである。たとえば保護区内に土砂流入などがあって環境が悪化している場合、採捕がなくてもその効果が相殺され、表面上保護の効果がないという結論になることも考えられる。これは実は、肯定的な結果が出た場合でも問題になることである。ある時点で保護区内の方が外より種多様度が高かったのは、非保護区の環境が採捕以外の影響で悪化しているから、というような可能性は常にある。また、もともと棲息条件がよく、種多様度が高いから保護区として指定されている、という指摘もある(Russ 1985, Allison et al. 1998)。こうした問題点に対処するために、BACIと十分なレプリケートということが言われるようになった。BACIとはBefore-After-Control-Impactの略で、採捕に限らず油流出など、人間活動の影響の研究に対して主張されるようになった概念である。保護区の場合で言えば、指定の前と後、対象区と保護区の4つのカテゴリーにレプリケートを取り、変化を検出するということになる。そしてこのときのレプリケートとは、コドラートの数そのものではなく、保護区の数でなければならない。なぜなら先に述べたように、保護区単位で固有の環境特性を備えている可能性があるからであって、Allison et al. (1998) はこの点にふれ「同一保護区内でのレプリケートはpseudoreplicationになる」と述べている。

 海岸生物に対する採捕の影響の研究は、南米チリに始まったが、方法論という点では、この初期のチリの研究はやや粗雑と評価されているようだ。彼らも保護区の内外、指定前後をそれぞれ複数のコドラートを用いて比較しており、その意味ではBACIを実現している例もある。しかしMehuin、Punta el Lachoの両保護区で研究者の顔ぶれが違っており、それぞれ1つの保護区を対象にしている。コントロール区として、保護区となるべく似た地形を選ぶなどの配慮はしているが、厳密論者には認めがたいということだろう。中にはいくつコドラートを置いたかはっきり書いていなかったり、数個程度ということもある。これは私自身の経験も含めてのことだが、1980年代までは、一般に論文のMethodsを今ほど重視しない傾向があったようだ。ResultsやDiscussionに意味があればMethodsなどたいしたことはないという認識であり、それが1990年代に入って一変した感がある。そうした変化の中で、チリに続いた南アフリカとオーストラリアの研究者は、方法論を重視しつつ別々の方向に進んだ。南アフリカのグループは、直線的なTranskeiの海岸線約200kmに4つのreserveが展開するという地の利を生かし、広域を対象とした長期的調査のデザインを採用した。複数の保護区内外に数十の調査点を設け、数ヶ月おきにデータを取ることを既に20年近く続けている。写真撮影が中心とはいえ、そのフィールドワークと分析の労力は莫大なものと想像される。発表される論文は、しばしば分析不足で粗く、増えつづけるデータに、処理が追いついていない感がある。一方、オーストラリア・ニュージーランドの研究者は、チリの研究をずさんと批判しつつ、保護区の内外の比較というやり方を放棄し、調査範囲を限定してhuman tramplingの研究に集中して行った。こうした研究では、実態のよくわからない「地元民による採捕活動」などは考えずに実験条件を調整することができるし、十分なレプリケートを取った精密なデザインによって、ANOVAなど複雑な統計処理も可能になる。しかし、もしtramplingの研究者が「現実の人による踏みつけが海岸群集に影響しているか」ということを知りたいのであれば、海岸利用者による踏みつけの頻度やパターンの分析、あるいはやはり保護区の内外の比較といったことが必要になる。一定範囲を100回踏んだとか500回踏んだといっても、実際の海岸での踏みつけ頻度がその閾値をはずれていたり、パターンが違っているのであれば、何を調べているのかわからない。アメリカの研究では、野外の踏みつけパターンの分析を踏まえたものもあるが、オーストラリア・ニュージーランドの場合、そうしたことに触れないことの方がむしろ多い。あるいは彼らの頭の中には初めから「ANOVAの厳密適用」という前提があり、それを実行しうるテーマとしてhuman tramplingに着目し、論文の位置づけを高めるために「人間活動の影響」を持ち出したのであろうか。さらに、彼らの研究は、レプリケートを取ったと言いながら、ほとんどの場合、海岸の狭い範囲に限定して行われており、中にはどれくらいの範囲で調べたか書いていないものもある。場所に固有の要因云々と言うなら、彼らのデザインもまた'pseudoreplication'なのであり、かえってチリの研究の方が、広い範囲を対象にしているという点で一般性があるという見方もできる。

 初期の南米における研究は、総説類においても方法が粗雑で結果の信頼性が低いとされているが、私はこのような評価は不当と考えている。1つの保護区のみを対象とすることは、その場所に固有の条件が反映しやすいことはもちろんだが、ある報告がある1地点での結果を述べ、別の報告が別の地点について述べれば合わせて2地点となる。実際チリには2つの保護区があり、すでに見たようにほぼ同様の結果が出ている。さらに世界中のの保護区で行われている研究が、一つ一つレプリケートになっていると捉えることもできる。できるところはANOVAを使うのもよいだろうし、広域を対象に複数の保護区を対象とするのは理想である。しかし1つの仕事、1つの論文ですべての問題点をカバーしようとすれば、オーストラリアのように範囲やテーマが局限されて本来の目的から遠ざかったり、南アフリカのように莫大なデータの処理を余儀なくされることになる。後者について言えば、誰でもそうした仕事を一生かけてできるわけではない。個々の仕事はそれぞれ弱点をはらみつつも、それらを全体として評価する、いわば「集団的レプリケート」というような考え方が、こうした現実的側面の強いテーマに対しては特に必要と思われる。ただしその場合、客観的評価の前提として、「採捕の影響あり」というpositiveな結果と同時に、negativeな結果もまた、公平に報告されねばならないことは言うまでもない。


 方法上の問題や、結果の評価のしかたに既に述べたような問題はあるが、これまでの数多くの研究が、潮間帯、潮下帯を含め、様々な分類群の海岸生物への、人間の採捕の影響を指摘しており、それは実態を反映した主張であると見てよいと思われる。具体的には、保護区の設定によって、採捕対象種の大型、高密度化や、種多様度の増加が見られ、またそれに関連する他種生物の分布パターンにも影響している可能性がある。これは我々にとっても、日本における禁漁区の効果などを想定してみればそれほど抵抗なく受け入れられる結果であろう。またtramplingの研究についても、実際の踏みつけの分析が前提になっているものについては、人が踏むということが意外に大きな影響を海岸生物に与えている可能性を示した点を評価したい。

 採捕が研究者にとって好ましくないとみなされるのは、直接的には研究対象生物を取られることによってデータの乱れを生ずるからである。採捕対象種の密度やサイズが変わるというデータが出ている以上、激しい採捕が行われている地点で、対象種の分布や密度を調べても、何をやっているのかわからないということになりかねない。またそれ以外にも、自然認識そのものにかかわる問題もある。アメリカChesapeake湾で、カキ (Crassostrea virginica) の漁獲について調べたRothchild et al. (1994) は、近年カキの漁獲が低迷を続けている原因として、従来考えられていた水質悪化や病気の発生以上に、漁労活動そのものにが原因があると推定した。カキの漁獲は、水質汚染が問題となる以前、既に最盛期の1/50に減少していたことがその根拠である。一般に漁業を含む人間による採捕は、水質汚濁より歴史が古い。我々は既に人間によって利用され尽くした海岸の状態に馴れ、それが本来の姿であると錯覚しているのかもしれない。採捕の影響をコントロールできて初めて、汚染その他の影響も客観的に位置づけられる。また、人間活動は進化的スケールで見ればまだ歴史が浅く、海岸生物の存在様式に本質的な働きかけをするに至っていないという観点から、採捕活動のコントロールを求める意見もある。サンゴ礁のウニと海藻との相互作用を調べたHay (1984)は、こうした関係の進化的意味を考えるためには、人間活動の影響のないところで調べる必要があると述べている。

 いずれにせよ、ここまで事例が積み重ねられている以上、人間による採捕の影響を、あらかじめ不問に付することはむずかしい。厄介な問題ではあるが、既に「パンドラの箱」は開いた。研究者は自らのテーマにそれがどう影響するかをよく検討し、影響があっても議論が成立するように計画段階で配慮するか、必要なら保護区設定などにより採捕を排除する方向を探ることさえ、求められる時代になりつつあると言えそうである。

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