イベントレポート
自然史博物館が実施した自然観察会や子ども向けイベントなどをちょっとずつ紹介します

ジオラボ(1月)「三葉虫について調べてみよう」

 今回のジオラボは、「三葉虫」をテーマにしました。恐竜やアンモナイトの次くらいに有名な化石と思いますが、実物化石やレプリカ標本の観察を通して、よりくわしく知ってもらいたいと考えて実施しました

 今後数年は、三葉虫をテーマにしようと考えているので、ご参加いただければ幸いです。(前川 匠)

最初は、三葉虫がどんな時代に生きていたどんな生き物だったのか、スライドで説明しました。

三葉虫は、大きな枠組みで見ると、ムシやエビ、クモなどを含む節足動物のなかまになります。

三葉虫という名前は、背中から見た時に、殻のつくりが、真ん中の「中葉」と左右の「側葉」の3つに分かれていることに由来します。側葉、中葉、側葉と3つの葉からなる虫(みたいな生き物)というわけですね。また、頭部、胸部、尾部に分かれていて、胸部は同じ形をした「節」が複数集まってできています。頭部と尾部は、いくつかの節が合体してできています。

三葉虫は、節足動物という名の通り、おなか側には「あし」があります。あしは、それぞれの節ごとに左右1対あり、さらに、1つのあしには呼吸するための「外肢(がいし)」と移動するための「内肢(ないし)」があります。これは三葉虫のからだの大きな特徴の1つです。

説明の後、実際に、化石やレプリカ標本をみんなで観察しました。

あしを見ることができる化石や脱皮殻が集まって化石になったもの、全長70㎝を超える大きさの化石のレプリカ標本など、いろいろ見てもらいました。参加者からは、「こんな大きなのが家の中にいたらこわい~」という声もありました。三葉虫は、既に絶滅しているので、生きている様子を見ることはできませんが、確かに、こんな大きくてトゲトゲした生き物がうごきまわっていたら驚くでしょうね。

標本を見た後は、2種類のレプリカ標本をじっくり観察しながら、ワークシートに胸部の節(胸節)や頭部にある顔線を描いてもらいました。

観察に使ったレプリカ標本は、実際の化石からとった型に、水と混ぜた石こうを流しこんでつくりました。石こうは白色なので、絵の具で色をつけて、凹凸がわかりやすいようにしました。また、色を付けると、見た目が本物の化石のようになります。

レプリカ標本は、本物と同じ形なので、たくさんの人が同じ標本を観察することができます。また、本物ではないので、えんぴつやペンで直接書きこみをしたり、形をなぞったりすることもできます。

皆さん、真剣に観察してくれていて、レプリカ標本をつくったかいがありました。

色えんぴつで色をつけてくれた子もいました。センスが光りますね。実は、殻に色模様(カラーパターン)が残った化石も見つかっています。私はその写真やスケッチしか見た事はありませんが…。

三葉虫は、生まれてから脱皮をくり返してからだが大きくなっていきます。また、その時に胸節の数も1つずつ増えていきます。種類ごとに胸節の最大数が決まっているので、最大数に達した後は、脱皮しても胸節の数が同じまま、からだが大きくなっていきます。

同じ属や種類で、大きさの違う標本も見てもらいました。それぞれの胸節の数を数えると、だんだんその数が増えていることがわかります。また、どの大きさで胸節の数が最大になったかもわかります。このように、同じ種類の標本でも、たくさん集めて観察することでわかってくることがあります。ちなみに、赤矢印の標本から、レプリカ作製用の型を取りました。

最後は、最近の三葉虫研究の話題について話しました。最新の技術や機械を使うことで、化石をこれまで以上に様々な角度から観察することができるようになってきています。博物館などにある標本を新たな手法で観察しなおすと、新しい発見につながるかもしれません。

今回、説明のスライドに図や写真を引用した日本語の書籍です。三葉虫化石のカラー写真や復元画、わかりやすい線画など、いろいろ掲載されています。右下の2冊は当館の図書コーナー(花と緑と自然の情報センター内)にも置いているので、お立ち寄りの際はぜひご覧ください。

また、博物館本館1階にある第2展示室には、三葉虫化石も展示しています。こちらも、ぜひご覧ください。

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