友の会読書サークルBooks

本の紹介「砂漠化ってなんだろう」

「砂漠化ってなんだろう」根本正之著、岩波ジュニア新書、2007年2月、ISBN4-00-500546-2、780円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【瀧端真理子 20071019】
●「砂漠化ってなんだろう」根本正之著、岩波ジュニア新書

 砂漠そのものの説明と、砂漠以外の場所が砂漠化していったメカニズム、それに順応する形での緑化方法を、著者の主として中国での実験・観察の経験に基づいて述べた本。
 乾燥、半乾燥、乾燥半湿潤地域の砂漠化は、放牧地の使いすぎや耕作地へのおきかえと、伝統的な農業を他の方法(たとえばかんがい農業)に置き換えることに失敗したときにおこり、一方、湿潤地域の砂漠化は、過剰な伐採が原因となっている。また貧困や、経済・政治政策の失敗も、きわめて重要な問題になっている。
 砂漠の緑化と、砂漠化地域の緑化は異なり、砂漠の緑化は、他の地域から水を持ち込むため、水源を枯渇させ、塩害を発生させる。したがって、砂漠以外の地域が砂漠化していったメカニズムを知り、砂漠化する前の状態に戻す、あるいは、復元した緑を利用してその土地の生産力に見合った牧畜・農業をすることが大切と、著者は主張している。
 足尾銅山跡地の荒廃や、東京の植生調査も紹介され、盛りだくさんで論旨が追いにくい部分もあるが、1冊で多くのことが学べる。

 お薦め度:★★★  対象:知らないことを知ってみたい人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]