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本の紹介「ミジンコはすごい!」

「ミジンコはすごい!」花里孝幸著、岩波ジュニア新書、2006年4月、ISBN4-00-500532-2、780円+税


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【和田岳 20061020】
●「ミジンコはすごい!」花里孝幸著、岩波ジュニア新書

 ミジンコの研究者である著者が、自身の研究成果を豊富に交えて、ミジンコを紹介した本。出だしのミジンコの頭が尖る話でつかみはOK。あとは、湖沼に生息する植物プランクトン、他の動物プランクトン、魚を交えて、ミジンコを中心とする湖沼の複雑な生物間の関係が描き出される。ミジンコの生活を含めて、わかりやすく説明され、眼からたくさんの鱗が落ちるはず。
 もともと魚がいなかった湖沼への、魚の移入が、ミジンコを減らし、藻類の増加を招き、結果として湖の透明度が下がったという話は、多くの人にインパクトがあるだろう。そこに魚食魚を放すことで、結果として湖の透明度が上がったという実験結果も興味深い。しかし、ブラックバスなど外来の魚食魚を放すことのマイナス効果が充分には説明されていないのは残念。この本を読んで、短絡した人が、水質浄化という錦の御旗を上げて、あちこちの池にブラックバスを放さないように願うばかり。

 お薦め度:★★★  対象:ミジンコの何がすごいねん、と思った人。あるいは群集生態学に興味のある人

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