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本の紹介「うに」

「うに とげとげいきもの きたむらさきうにのひみつ」吾妻行雄・青木優和文・畑中富美子絵、仮説社、2022年10月、ISBN978-4-7735-0322-7、1800円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
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【和田岳 20230221】【公開用】
●「うに」吾妻行雄・青木優和文・畑中富美子絵、仮説社

 小学生が夏休みに宮城県南三陸町の祖父母のところに行って、キタムラサキウニを食べた。生きたウニの行動を見せてもらって、自分で割って食べて、 殻をもらってランプにした。
 という話の間に、2011年の東日本大震災で、ウニが壊滅し、翌年の海は海草だらけに。ところがウニが復活し、3年後には海草がなくなった。という種間相互作用に基づく、海の生態系の大きな変動が解説される。
 さらに、表紙見返しに印刷し、別刷りまで付けて、ふろくという名の7つの解説が付いている。ウニの形態、棘皮動物の解説、日本と世界のウニの紹介、ウニの捕食者、ウニを含んだ食物連鎖に基づく磯焼けが起きる仕組み、うにランプの作り方、絵本に登場した生き物の紹介など。ふろくの内容は盛り沢山で、ウニのことがコンパクトによく判る。

 お薦め度:★★★★  対象:ウニが暮らす海の生態系に興味があれば
【冨永則子 20230220】
●「うに」吾妻行雄・青木優和文・畑中富美子絵、仮説社

 うに…、お刺身や寿司ネタで『美味しい!』と思ったのは大人になってからかな? 子どもの頃は瓶詰めのウニクラゲがウニの味だと思っていた。最近では回転寿司でも気軽に食べられるが、魚やお肉のように体の身を食べていると思っていた。正しくはウニのたまごと精子を作るところ、オスは精巣、メスは卵巣だったんだ。
 南三陸の海が大地震の津波によって、どんな被害を受け、ウニが増えていったのか。ウニの生態と共に、海がどのように再生していってるのかを知ることができる。見返しには“ふろく”として、ウニの体の構造や詳しい生態などがたっぷり解説されている。おじいちゃんが話す方言の話し方を聞くことも出来る。至れり尽くせりの絵本になっている。

 お薦め度:★★★★  対象:回転寿司にいったら、先ず軍艦のウニ!って人に
【西村寿雄 20230218】
●「うに」吾妻行雄・青木優和文・畑中富美子絵、仮説社

 海の下の生き物の生態はふだん見えにくいこともあって興味深く読める。
 〈ぼくがおじいちゃんの家に遊びに行った〉ストーリーで展開されている。おじいちゃんの家は東北の海辺である。ウニはあらめやこんぶ、わかめの多い豊かな海底で育つ。ところが2011年の春、突然海底も大騒動に見舞われる。海藻たちは引きちぎられたり、ウニたちは陸に打ち上げられたりする。あれだけたくさんいたウニたちも海底にはいなくなってしまった。しかし海底の植物たちの回復はすごい。ウニは不思議一杯の生き物であることがよくわかる。本文はひらがなで挿絵も多く低学年児から読める。

 お薦め度:★★★  対象:海の生物に興味のある小学生から
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