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本の紹介「海に沈んだクジラ」

「海に沈んだクジラ」メリッサ・スチュワート文・ロブ・ダンラヴィ絵、BL出版、2023年7月、ISBN978-4-7764-1103-1、1800円+税


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【西本由佳 20231215】【公開用】
●「海に沈んだクジラ」メリッサ・スチュワート文・ロブ・ダンラヴィ絵、BL出版

 一頭のクジラが死に、深海に沈んでいく。それは命の終わりのように見える。だけど、深海底に住む生きものたちにとっては、はじまりだ。栄養の乏しい深海底にもたらされたクジラの体は、すばらしいごちそうなのだ。魚たち、サメのなかま、カニのなかま、タコやナマコや甲殻類、微生物たち。集まってきた彼らによって、肉やあぶらや骨まで、少しの無駄もなく食べつくされる。すべてがなくなるまでは何十年もかかるという。一頭のクジラの死が他の生きものを支え、そしてそのそばでしか見つかっていない生きものもいる。まだわかっていないことも多い。深海には、想像することさえなかった知らない世界がある。

 お薦め度:★★★  対象:海の底をただ暗く怖いだけの場所と思う人に
【冨永則子 20231217】
●「海に沈んだクジラ」メリッサ・スチュワート文・ロブ・ダンラヴィ絵、BL出版

 深い深い海の底に沈んだクジラの遺骸。クジラの生命は、ここで終わるが深海で暮らす生物たちにとっては、これから50年にも渡って様々な命を支えてくれる素晴らしい贈り物となる。深海という過酷な環境にも様々な生物が生息する。肉を食べ尽くして骨になっても、まだクジラの遺骸は深海生物たちの食料となり、クジラの形が消失するまで深海生物たちの命を支えていく。最後に、クジラを食料とした生物たちの解説ページがあるが深海生物がまだまだ謎に満ちていることがよく分かる。21世紀になっても世界は謎に満ちている。高知沖に沈んだヨドちゃんは、どうしているかなぁ…。

 お薦め度:★★★  対象:深海の生き物に興味があるひとに
【和田岳 20231222】
●「海に沈んだクジラ」メリッサ・スチュワート文・ロブ・ダンラヴィ絵、BL出版

 死んだクジラが海に沈んでいく。70年生きたクジラの一生が終わった。しかし、これから50年にもわたって鯨骨群集を支えることになる。最初に集まるのはヌタウナギ。続いてオンデンザメ。あとは、イバラヒゲやミゾズワイガニたち。おこぼれを食べるエゾイバラガニやセンジュナマコ、集まった者たちを狙うニュウドウカジカやハゲナマコ。骨にはホネクイハナムシが付いて栄養を食べ、バクテリアが骨自体を食べる。微生物が周辺につくったマットを食べる貝やウロコムシ。
 青を基調にした綺麗な絵本。深い海の底で、見知らぬ生きものたちが、暮らしているような雰囲気は、ちょっとおどろおどろしいが、楽しい。
 鯨骨群集は、1987年にカリフォルニア沖で初めて見つかったという。発見されてまだ40年も経っていないんだなぁ。

 お薦め度:★★★  対象:未知の世界にロマンを感じる人
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