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本の紹介「素数ゼミの秘密に迫る!」

「素数ゼミの秘密に迫る! 17年と13年だけ大発生?」吉村仁著、ソフトバンククリエイティブ、2008年7月、ISBN978-4-7973-4258-1 、953円+税


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【萩野哲 20081021】【公開用】
●「素数ゼミの秘密に迫る!」吉村仁著、ソフトバンククリエイティブ

 本書は北米に生息する17年または13年で羽化する“素数ゼミ”について、その生物学、地理的分布、発生地域と時期を示すとともに、これらの種が確立したメカニズムの推定がメインテーマとなっている。北米では厳しい氷河期があり、幼虫期間の長いセミが繁殖できるだけの個体数を維持するには素数に収束することが必然であったと。でも、なぜセミだけに起こったのか、なぜ他の氷河期の厳しい地域では同様のことが起こらなかったのか、等の疑問は残る。写真や図も前著「素数ゼミの謎」と比較し内容が濃くなっている。

 お薦め度:★★★  対象:進化の多様性に深く触れたい人

【和田岳 20081030】
●「素数ゼミの秘密に迫る!」吉村仁著、ソフトバンククリエイティブ

 「素数ゼミの謎」の著者が同じ内容を大人向けに書き直した本。著者がアメリカにセミの調査に行った時のエピソードあり、日本のセミとの比較などもあり、と盛りだくさんで面白い。一方で、13年ゼミは4種、17年ゼミは3種からなり、13年ゼミに3つ、17年ゼミに12のブルードがあり、各種がそれぞれののブルードに分かれ。あー、ややこしい。素数ゼミの進化のストーリーの理屈も丁寧に説明されているのだが、同時に一層ややこしくもなっている。
 後半には、日本は狭い割には虫の種数が多い理由の解説や、昆虫のメイトチョイスについての解説、どうして私は素数ゼミの謎を解明することができたのかという自慢話(?)も載っているが、これは蛇足な感が否めない。

 お薦め度:★★  対象:「素数ゼミの謎」を読んでもう少し詳しく知りたい人、又は科学理論についての頭の体操をしてみたい人

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