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本の紹介「新種発見物語」

「新種発見物語 足元から深海まで11人の研究者が行く!」島野智之・脇司編著、岩波ジュニア新書、2023年3月、ISBN978-4-00-500966-4、1120円+税


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【萩野哲 20230601】【公開用】
●「新種発見物語」島野智之・脇司編著、岩波ジュニア新書

 本書には様々な切り口がある。まず、この世には多くの未記載種が存在すること。そして、様々な履歴を持つ11人の研究者が、どうして自分が研究する分野の生物を選択したかを披露する。新種を特定するアプローチの多様さ:熱帯の森林や洞窟の調査探検、深海での採集、標本の比較精査、DNA解析などなど。そこからその種の起源を探る方向に話が展開する。結構分布が広そうなのに少しずつ模様が違うハデなボウズハゼたちはどうやって進化したのだろう? 研究者たちの一生をかけた仕事に完結はなく、これから更に夢が膨らむ。巻末にはよく使用する用語の解説がわかりやすくまとめられている。

 お薦め度:★★★  対象:未知の生物の世界を探索したい人
【冨永則子 20230619】
●「新種発見物語」島野智之・脇司編著、岩波ジュニア新書

 地球上には、まだ数多くの発見されていない生物がいる。その中には人知れず絶滅しようとしているものも多く含まれ、すでに絶滅したものもいるだろう。絶滅が危惧されている生物たちを一種でも絶滅から守るためには、それらの生物を発見して名前を付け発表するという「研究過程」が不可欠。こうした研究に従事する生物学者の多くは生物学の中でも「分類学」という分野を専門にしている。新進気鋭の分類学者を中心とした11人の著者たちの新種を発見する過程で味わう驚きや喜び、感動を進路を考える若い人たちに共感してもらいたいという意図で編集されている。身近な里山から深海や危険な海底洞窟など様々なフィールドで、未知の生物を発見し、どのようにして名前が付けられるのか、生物に名前をつけることの意義も知ることができる。中高生向けの読み物だが「分類学」の入門書にもなっている。

 お薦め度:★★★  対象:新種記載について知りたい人に
【森住奈穂 20230622】
●「新種発見物語」島野智之・脇司編著、岩波ジュニア新書

 全10章、11人の研究者それぞれの新種発見物語。見慣れたはずの生きものが実は系、地域的に未開拓系、遺跡の骨を調べる考古学系などなど。最初から新種記載のために活動している人もいれば、成り行きで新種を発見した人もいる。研究生活も垣間見られる。こうしたエピソードを読むと、研究者という人たちは子どもの頃から無類の生きもの好きで、生きものと関わることに無常の愛を感じておられる方々なのだなぁと感心する。保育園時代の標本が50年を経ていまも現役だなんて、格好良すぎる。謎が謎を呼ぶボウズハゼ、キムジナーとブナガヤというネーミングが素敵。まだ名前の付いていない種は750万種とも。以外と身近に新種は潜んでいるのかも知れない。

 お薦め度:★★★  対象:中高生、と中高生だった人
【和田岳 20230623】
●「新種発見物語」島野智之・脇司編著、岩波ジュニア新書

 「新種発見!」とほぼ同時期に出た新種発見本。「新種発見!」とは違って、こちらは新種を発見した著者がどうしてそのような研究をするようになったのか、子どもの頃のエピソードや研究を始めた経緯、そのフィールドとの出会いと、新種を発見する前の割合が高め。オチがある章が多く10篇収めたアンソロジーって感じ。
 ジャゴケのコバネガ、西表島のマルケシゲンゴロウ類、地下生菌エンドゴン、幼児の頃に採ったカタツムリ、沖縄島の赤いボウズハゼ、尖閣諸島のアホウドリ。最初の6つは特定種群の話。続く3篇は、東南アジアの林、海底洞窟、深海と、新種が次々見つかる環境の話。最後の章では、トキウモウダニをネタに、新種発見と絶滅の話。多くの種が記載されることなく、絶滅していく現状。

 お薦め度:★★★  対象:将来新種を見つけてみたい人、あるいは生物多様性に興味のある人
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