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本の紹介「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」

「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ ハイテク海洋動物学への招待」佐藤克文著、光文社新書、2007年8月、ISBN978-4-334-03416-0、840円+税


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【魚住敏治 20090422】【公開用】
●「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」佐藤克文著、光文社新書

 ペンギンやアザラシ、ウミガメなどの水生動物がどのように遊泳したり、餌採りをしているのかなどを調べる。と、ここまで書くといかにも簡単そうだが、なにせ相手は海のどこにいるかわからないし、極地に住んでいたりする。そこでハイテク機器の登場となる。しかし、これも大変である。きっちりと装着するのがむずかしい、装着出来ても思うようなデータが得られるとはかぎらない。そんなときたよりになるのは研究者のひろい視野と柔軟な思考らしい。
 ひごろ目にすることのない極地での調査や生活の様子もめずらしく楽しい。
 最後の章とあとがきは、これからの学生に対するメッセージ。それともこの本でほんとうに書きたかったことでしょうか?

 お薦め度:★★★★  対象:中学生以上の方

【萩野哲 20090422】
●「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」佐藤克文著、光文社新書

 水中動物学のハイテクのひとつであるバイオロギングの専門家が、その研究過程の面白さを説いている。バイオロギングとは、データロガーを対象生物に取り付け、その行動や生理とそれを取り巻く環境を調べる研究分野である。著者は、タイトルに挙げられたものも含め、数々の重要な事実を偶然も含めて発見しており、読者は、教科書に書かれていた常識を覆す様々なデータを本書から読み取り、驚かされるに違いない。曰く、小学校、中学校、高等学校、大学の小、中、高、大は教科書にどれくらいのウソが書いてあるかを表わしているそうな。また、ハイテクを用いる学問には相応のローテクもバランスよく必要なことが理解できて楽しい。

 お薦め度:★★★★  対象:知的好奇心旺盛な人

【和田岳 20090424】
●「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」佐藤克文著、光文社新書

 和歌山のアカウミガメを皮切りに、南極のアデリーペンギンやウェッデルアザラシ、エンペラーペンギンなど、さまざまな海の動物にデータロガーを装着して、その水の中での行動を調べてきた著者が、その研究成果と苦労話を紹介する。
 水の中の動物の行動は、陸上のように直接観察するのが難しい。発振器もうまく働かない。仕方がないので、データロガーと呼ばれる記録装置を装着して、あとから回収して、そこに記録されたデータから動物の行動を分析する。
 世界各地にいっては、データロガーを装着してデータをとる。南極での生活、フランス基地やアメリカ基地の日本との違い。研究だけでなく、そうした経験が楽しそう。

 お薦め度:★★  対象:水の中のペンギンやウミガメの様子に興味のある人

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