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本の紹介「みちては ひいて」

「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号、400円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@mus-nh.city.osaka.jp)までご連絡下さい。
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【西村寿雄 20230424】【公開用】
●「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号

 小さな子ども向きだが、浜辺での波の進みぐあいを同じアングルで描いて、変化していく波の進み具合と高さをそれとなしに表現している。水面が上下する原因については本文ではふれられていない。へんに理屈を述べるより、小さな子どもに「海ってふしぎだな」と感じさせるのに十分である。そしてなんといっても子どもに興味あるのは海の生き物である。岩場の間にある水たまり(タイドプール)も時々出てきて、「こんな小さな水たまりにもいろんな生き物がいる!」と子どもに興味をつなげている。

 お薦め度:★★★  対象:海に興味を持つ子ども
【里井敬 20230622】
●「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号

 ちいさい子どもに向けて、海が日に2回、満ちて干く様子を伝えている。
 満ちている時は大きな波音がして、釣り人の姿も見える 干いている海は、砂浜に貝がらや海藻が落ちていて、水たまりがいくつもできる。水たまりでは魚や貝やイソギンチャクなどたくさんの生き物が暮らしている。
 おおきい人に向けては、折り込み付録で干満の仕組みや、磯の海が森林のような生態系であることを書いている。絵の細部に人・鳥・海の生物が丁寧に描かれた絵本で、子どもは飽きずに眺めている。

 お薦め度:★★★★  対象:ちいさい子どもや、子どもと一緒に海の生態系を楽しみたい人
【冨永則子 20230220】
●「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号

 小さな漁港の小さな入り江。引き潮になると波打ち際がずっと下がって潮溜まりができる。小さな潮溜まりには、たくさんの生き物が暮らしている。そしてまた、時が経つと潮は満ち、潮溜まりは海の中へ… 海が近づいたり、遠ざかったり、波打ち際がいつも一緒じゃない事、潮の満ち引きという現象を定点観察するように描くことで小さな子でも“見て”感じることが出来る。海の生き物の暮らしを知るきっかけにもなる一冊。
 月刊誌なので付録がついていて、石田学芸員の解説がある。石田さんが、なぜ貝の研究を始めたのか? ご興味のある方はぜひ月刊誌をゲットしてください。付録が読めるのは月刊誌だけ!

 お薦め度:★★★★  対象:海にも沢山の生き物がいることを知ってほしいと思っている人に
【萩野哲 20230308】
●「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号

 全24ページ中19ページが、砂浜と岩礁をそなえる、とある湾の全体図または部分図、残り5ページがその中のタイドプールの拡大図。そして文章は波の音。海の昼と夜、1日2回の海の干満が示されている。これを海がとおくなるちかくなると表現しているのが印象的。文字での情報量は少ないので、なぜそうなるのか知りたければ、答えは図をよくみて自分で考える必要がある。初めて疑問に思った人は早く答えが知りたければ石田さんの解説を読もう。そんなことをとっくに知っている人は、地球の太陽からの距離の絶妙さ(ハビタブルゾーンかな?)や、月が地球に潮汐を起こす質量とほどよい距離を持っていることなどで潮間帯が形成され、生物多様性に貢献していることに想いを馳せよう。さあ、もうすぐ海のシーズンだ。

 お薦め度:★★★  対象:海が好きな人
【和田岳 20230428】
●「みちては ひいて」澤口たまみ文・山口哲司絵、福音館書店ちいさなかがくのとも2023年2月号

 小さな入江に朝がきて、潮がひいていって、干潮。潮だまりの中には、いろんな生きもの。潮がみちてきて、日がくれた。夜になってまた潮がひいて、またみちて。
 ほとんどのページは、同じ角度の入江の遠景。ところどころに潮だまりのアップなどがはさまる。よく見ると、いろんな生きものや人の暮らしも描かれている。
イソヒヨドリが登場するのは良かったけど、飛んでるカモメ類はどう見てもミツユビカモメ。どこが舞台なんだろう?

 お薦め度:★★  対象:子どもに潮の満ち引きを説明したい人
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