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本の紹介「化石のきほん」

「化石のきほん」泉賢太郎著、誠文堂新光社、2023年4月、ISBN978-4-416-52307-0、1800円+税


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【犬伏麻美子 20230623】【公開用】
●「化石のきほん」泉賢太郎著、誠文堂新光社

 本書は化石に関する本ですが、中学生以上を対象に古生物学の入門書の第一歩となるよう、化石や地層の研究方法や、そこから推定される古生物の生態や過去の地球環境、古生物学研究の実態について具体的に5章に分けて紹介されている。章内の各項目が見開きで完結しているので、興味のあるページから読みすすめることができる。また、各章と各章の間の『きほんミニコラム』の内容も勉強になる。各項目にイラストがカラーで描かれているので、見応えある。『きほん』だけれど読者側の視点によって深堀りできるので、楽しい。
 最新研究も多数載せているので、古生物学者を目指す人はぜひ読んでみましょう。

 お薦め度:★★★★  対象:化石のことがしりたい初心者に
【冨永則子 20230619】
●「化石のきほん」泉賢太郎著、誠文堂新光社

 化石は、むか〜しむかしの地球上にいた命の証拠。化石を知ることで、私たちが住む今の地球の成り立ちや生命の歴史が分かってくる。化石といえば恐竜!と思ってしまうが、それだけじゃないこと知ってますか? 分子まで化石になってるんですって! タイトルが『きほん』と、ひらがなになっているので子ども向けの本のようだが、化石についての入門書となる一冊だ。まだまだ未解明なことが多い学問領域のようで、最終章は研究者を目指すためのアドバイスになっている。見開きごとにまとめられていて、内容を表すイラストがあってわかりやすい。漢字が多いが興味のある子なら、小学校高学年からでも読めると思う。

 お薦め度:★★★  対象:古生物の話題を共有したい人たちへ
【中条武司 20230616】
●「化石のきほん」泉賢太郎著、誠文堂新光社

 「化石の基本」って何だろうか?この本では「化石を調べると何がわかるのか?」「化石を調べたら何がわかったのか?」ということが基本として捉えられており、生命の歴史、古環境、おまけに古生物学者への道が書かれている。でも一般的に化石の基本って「化石の名前をつける」じゃないのかなと思ったり。このあたりは生痕化石研究者である著者の意向が強く反映されているのではないだろうか。なかなか興味深い内容だけど、「化石の基本」って何だろうかということを考えさせられる。

 お薦め度:★★★  対象:一歩先の化石研究を知りたい人
【西村寿雄 20230616】
●「化石のきほん」泉賢太郎著、誠文堂新光社

 「化石のきほん」について最近の知見も含めて書かれている。「地層のでき方」では、普通は地下での圧力が考えられるがそれだけでは地層になりにくい。間隙水中で鉱物が生まれその鉱物の粒子と粒子ががっちり組むことによって地層は生まれるという。カンブリア紀に生物が爆発的に増えた原因の一つは眼のある生物が生まれたからという。シルル紀になると大型の植物が増え、茎植物も出始めていよいよ植物は繁茂した。陸上に上がってきた動物はまず丈夫な四肢を持った背骨動物だった。中生代は大恐竜時代であるが、恐竜絶滅後も今の鳥類は生き残った。第四紀になるといよいよ人類紀。人類の進化もおもしろく読める。「化石のきほん」というより動物進化の興味ある話が続く。

 お薦め度:★★★  対象:生物の起源などに興味ある中学生以上
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