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本の紹介「人類を熱狂させた鳥たち」

「人類を熱狂させた鳥たち 食欲・収集欲・探究欲の1万2000年」ティム・バークヘッド著、築地書館、2023年37月、ISBN978-4-8067-1647-1、3200円+税


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【和田岳 20231026】【公開用】
●「人類を熱狂させた鳥たち」ティム・バークヘッド著、築地書館

 「湿地帯中毒」のオイカワマル著、「映像研には手を出すな!」作者絵、という意外なタッグで、身近な「生物多様性を守る水辺づくり」のための知識と事例が詰め込まれた一冊。
 ビオトープと聞くと、まず外来生物問題を引き起こさないかが懸念される。しかし、この本では、最初に序章で、湿地帯ビオトープが目指すもの、外来生物問題、エコトーンの大切さ、という基本的なところが優しい言葉で判りやすく説明されている。ビオトープをつくる気がなくても、自然環境・生物多様性の保全に関わろうかという人は、この序章を読むべき。第1章の実践編でも、外来生物問題を引き起こさないで、いかに楽しむかが解説される。生き物を導入する場合は、どのように入手するか、どんなビオトープにどんな生き物なら導入して大丈夫か。整理されていて判りやすい。第3章は、いろいろなビオトープの事例集。第4章は、湿地帯ビオトープで出会える生き物図鑑。
 全編通じて、外来生物問題を避けて、身近に生物多様性を楽しみ、地域の生物多様性保全に貢献する術が満載。短く、要領よく、それでいて判りやすくまとまっていて素晴らしい。

 お薦め度:★★★★  対象:生物多様性の保全に関心のある人
【西本由佳 20231023】
●「人類を熱狂させた鳥たち」ティム・バークヘッド著、築地書館

 日本で湿地というと、湿原やアシ原などのように本当の自然環境として残されている場所もあるけれど、多いのは田んぼやその周りの水路、ため池や河畔といった場所だ。しかしそういった場所は、開発や耕作放棄によって減ってきている。湿地帯という、水域と陸への移行帯という環境に暮らす生きものにとっては厳しい状況だ。そこで著者は、個人が家で小さな湿地をつくり、それを増やしていくことで、湿地帯を住みかとする生きものたちに行き場をつくろうとしている。小さな庭やベランダでも、少し気をつけて水辺をつくれば、生きものたちの暮らせる場所になる。それは生きものたちにとっていいし、何より自分のつくった水辺に生きものが来てくれるのは楽しい。

 お薦め度:★★★  対象:箱庭の好きな人に
【萩野哲 20230918】
●「人類を熱狂させた鳥たち」ティム・バークヘッド著、築地書館

 生物多様性には価値がある。だからこれを保全することが最適解である。ビオトープをつくることは保全につながる。この本で目指すのはエコトーンを備えた湿地帯ビオトープだ。様々なタイプのビオトープの作り方が具体的に書かれているので、作ろうとすれば大変参考になる。更に、著者たちの庭や様々な地域の人工、天然のビオトープを紹介し、それらの独特さや多様性を語る。最後にビオトープに生息する生物の図鑑が掲載されている。小規模でも水辺があれば生物は増える。生態系保全の意味を学びなおせる一冊!

 お薦め度:★★★  対象:ビオトープやその効果を知りたい人
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