日記風覚え書き

2019年10月11月、12月
(2005年1-3月4-6月7-9月10-12月、2006年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2007年1-3月4-6月7-9月10-12月、2008年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2009年1-3月4-6月7-9月10-12月、2010年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2011年1-3月4-6月7-9月10-12月、2012年1-3月4-6月7-9月10-12月
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 2019年1-3月4-6月7-9月、10-12月)


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●2019年12月31日 この一年に買った本

大晦日恒例、この一年に買った本を振り返ってみる。
以下の集計は、国内で本を現金で購入した場合に限る。海外の本を買ってクレジット決裁した場合は含まない。学会や研究会の会費を払って学会誌や会報を入手するのも含めない。

2019年に買った本は、277冊。購入金額は287,916円+税。冊数、購入金額ともにこの3年で一番少ない。

購入した本をタイプ分けしてみると、
・自然史関連本:26冊、40,093円+税
・SF関連:142冊、150,510円+税
・ライトノベル:3冊、2,180円+税
・その他小説など:0冊、0円+税
・マンガ:106冊、63,933円+税

冊数は、昨年と比べて、自然史関連本やSFはやや少なめ、そしてマンガは大幅に減少した。むしろこれが普通な気がする。

今年読んだ本の数を数えてみると。自然史関連本29冊、SF関連200冊、ライトノベル0冊、その他小説0冊、マンガ46冊(マンガの冊数は少し不正確)。合計275冊(マンガ抜いたら229冊)。今年買った本を読んだとは限らないのだが、読破率(一年に読んだ本/買った本の割合)は、99%(マンガ抜いたら134%)。マンガが買ったはいいが読めてないので、全体の読破率はギリギリ100%を切ったけど、マンガを除けば昨年以上の読破率。タイプ別の読破率は、自然史関連本112%、SF関連141%、マンガ43%。マンガが買った半分も読めていない〜。マンガ以外の読破率は昨年以上。

総括としては、今年も本をたくさん読んだ。とくにSFを、マンガは読めてない。SFとマンガの購入数は、この3年では最低とは言え、高いレベルを維持。家の中を眺めると、本棚が自然史関連本2本、SF+ライトノベル5本、マンガ2本。というのは変わらないが、マンガが本棚からあふれて本棚の上にならび、SFも平積みが出現。SF+ライトノベル5本の未読の本棚は、昨年より少し減って、1本+1段に。

<過去のデータ>
◆購入本
・合計
 2006年:145冊、188,207円+税
 2007年:144冊、197,299円+税
 2008年:106冊、132,534円+税
 2009年:131冊、181,830円+税
 2010年:181冊、196,027円+税
 2011年:127冊、172,199円+税
 2012年:166冊、147,826円+税
 2013年:164冊、201,353円+税
 2014年:206冊、307,024円+税
 2015年:199冊、265,288円+税
 2016年:246冊、296,764円+税
 2017年:327冊、318,520円+税
 2018年:356冊、342,301円+税

・自然史関連本
 2006年:42冊、83,087円+税
 2007年:56冊、96,431円+税
 2008年:37冊、72,764円+税
 2009年:56冊、99,396円+税
 2010年:52冊、103,247円+税
 2011年:46冊、104,819円+税
 2012年:49冊、80,138円+税
 2013年:38冊、83,039円+税
 2014年:70冊、156,011円+税
 2015年:56冊、123,409円+税
 2016年:67冊、145,430円+税
 2017年:58冊、95,399円+税
 2018年:32冊、63,366円+税

・SF関連
 2006年:60冊、74,240円+税
 2007年:61冊、78,780円+税
 2008年:52冊、60,470円+税
 2009年:56冊、66,230円+税
 2010年:38冊、41,140円+税
 2011年:50冊、45,627円+税
 2012年:62冊、65,320円+税
 2013年:69冊、81,750円+税
 2014年:89冊、130,210円+税
 2015年:86冊、104,140円+税
 2016年:90冊、98,575円+税
 2017年:97冊、117,410円+税
 2018年:153冊、176,042円+税

・ライトノベル
 2006年:14冊、9,282円+税
 2007年:12冊、8,740円+税
 2008年:7冊、6,494円+税
 2009年:5冊、4,440円+税
 2010年:6冊、4,564円+税
 2011年:7冊、6,004円+税
 2012年:5冊、4,378円+税
 2013年:5冊、5,150円+税
 2014年:2冊、1,800円+税
 2015年:5冊、6,200円+税
 2016年:4冊、4,700円+税
 2017年:5冊、4,040円+税
 2018年:7冊、4,480円+税

・その他小説他
 2006年:6冊、8,743円+税
 2007年:7冊、8,253円+税
 2008年:3冊、4,700円+税
 2009年:4冊、6,200円+税
 2010年:4冊、5,000円+税
 2011年:4冊、4,300円+税
 2012年:5冊、6,425円+税
 2013年:3冊、6,000円+税
 2014年:1冊、2,800円+税
 2015年:2冊、2,530円+税
 2016年:3冊、3,000円+税
 2017年:1冊、1,400円+税
 2018年:1冊、570円+税

・マンガ
 2006年:23冊、12,855円+税
 2007年: 8冊、5,095円+税
 2008年: 3冊、1,554円+税
 2009年:10冊、5,564円+税
 2010年:81冊、42,076円+税
 2011年:20冊、11,449円+税
 2012年:45冊、26,104円+税
 2013年:49冊、25,414円+税
 2014年:44冊、28,605円+税
 2015年:50冊、29,009円+税
 2016年:82冊、45,059円+税
 2017年:166冊、100,271円+税
 2018年:162冊、97,843円+税

◆読んだ本(冊数・読破率)
 2006年:84冊、58%
 2007年:101冊、70%
 2008年:69冊、65%
 2009年:76冊、58%
 2010年:106冊、59%
 2011年:74冊、58%
 2012年:81冊、49%
 2013年:96冊、59%
 2014年:97冊、47%
 2015年:96冊、48%
 2016年:167冊、68%
 2017年:246冊、75%
 2018年:380冊、107%
●2019年12月30日 2019年のまとめ 今年も外来生物調査、今年も弁当作り、今年もSF読みまくり、昨年とほとんど変わってない…

今年の1月の予言を思い返そう。
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5月と8月に対馬、9月に東京に行くであろう。意外なことに今年は大阪で外来生物の展示は開かれないであろう。11月には大阪で、自然史関連の大きなイベントが開かれるだろう。博物館の運営体制が大きく変わるが、実質的にはさほど変わらず。あと、今年は1年に200冊以上の本を読むだろう。そんでもって、可愛いネコと仲よくなるに違いない。
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“来年はもう少し外れる可能性も含めて、夢のある予言をしてみよう”と一年前に書いた。そのせいだろうか、驚くほど当たらなかった。いや、大部分は当たったのだけど。博物館の運営体制が大きく変わって、驚くほど本部機能が衰えた。もう処置無しのレベル。そして、ネコとは仲よくなれなかった。とても残念。夢も希望もない、つまらない一年だった。

今日は晦日なので、今年のまとめをしておこう。
<調査>
ため池調査、大和川調査というルーティンの調査は、一年間ちゃんとクリアした。地元公園での、秋冬の果実チェックと鳥のセンサス調査、春から初夏のカラスの巣調査も例年通り実施した。
繁殖期には大阪府のカワウ・サギ類の10年ぶりの調査を実施した。10年ぶり3回目の調査によって、変遷を語れるようになってきた。
外来生物調査は、ハッカチョウは引き続き盛り上がりまくり、日本各地の情報が充実してきて、西日本の状況はほぼ把握できた気がする。1年間にわたる大阪府内4コースのハッカチョウ調査が1年間で完了。引き続き奈良県と京都府の気になるエリアのセンサス調査を始めた。鳥以外の部分では、前半はオオクビキレガイ、後半はスクミリンゴガイで個人的に盛り上がった。とくにスクミリンゴガイ調査は、出張のついでに関東・東海方面に足を伸ばし、対馬に行った帰りに中国地方を調べ、それでも飽き足らず広島県に調査に出かけてしまった。魚斑では、ドジョウすくいに参入。

<行事>
予定した行事はすべてクリア。昨年と違って、ツバメのねぐらは雨天中止になったけど、他は無事に実施できた。
大物としては、11月の大阪自然史フェスティバル2019が、昨年に続き再び史上最大の来場者数と出展者数であった。資金集めも新たな試みがいくつかうまくいった。

<サークル>
なにわホネホネ団、大阪鳥類研究グループ、ジュニア自然史クラブ、友の会読書サークルBooksの活動は例年通り。なにわホネホネ団は、スタッフ層が薄くなったけど、通常活動日と鳥の日の月2回の活動を維持の他にカリカリ団が活動も継続。西表島鳥類調査隊のキンバト処理はまだ中断中。
博物館友の会は、会員数の減少という課題が大きくなってきた。
関西自然保護機構の運営は、会誌の完全版下入稿化のおかげで、とりあえず安定してやや黒字。

<標本>
冷凍室で担当の物が占めるエリアは、さらに少し減らせた。年末は、ずいぶん入口がスカスカ。と思ったら、仕事納めの後に大物がやってきて埋めてしまった…。皮処理のを出してきたら、衝撃のミスが判明して、年末のテンションはだだ下がり。相変わらず、動物園の鳥と、海で拾われた腐った鳥の処理、哺乳類の皮処理が課題。
大物は前半はなかったものの、9月にシマウマとトラが立て続けにやってきて、年末にも。そして9月末に和歌山県のコビレゴンドウ。と後半に急展開。昨年のアジアゾウは一年かかって片付いた。
名古屋方面の名誉教授からの陸上脊椎動物のホネコレクションはそろったが、整理は手つかず。

<原稿>
某大阪支部の会報(隔月刊)への連載は継続中。
来年の外来生物展の解説書は10月末が原稿締め切りだったのが、12月末にようやくテキストがほぼ揃った。
まともな論文は今年も書けなかった。

<その他>
・今年も日本生態学会大会と日本鳥学会大会に参加して、ポスター発表ができた。どちらもハッカチョウの情報募集だったけど…。来年はハッカチョウ以外の話がしたい。
・博物館の運営体制が変わって、間抜けな自体が続発。とはいえ、幸いというか、中心になって動く立場ではなかったので、さほど苦労はしなかったかも。
・夏の終わりに冷蔵庫をもらったのだけど、弁当生活は継続中。海洋プラスチック問題を考えても、時前で弁当作る方がよさそう。できれば水筒も持参すべきだろうけど、これはけっこう面倒だし、そもそも1本じゃ足らない…。
・独りぼっちだと、SFをたくさん読める。外国人作家の作品を重点的に200冊読めた。
●2019年12月29日 標識調査2019

毎年、仕事納めの日から大晦日までの4日間、地元の公園で標識調査をするのが恒例になっている。今は、この公園で、この時期の標識調査しかしてない。年間4日しか調査してないってことになって、総元締めのY鳥類研究所のみなさんには知られたくない事実だったりする。とはいえ、もう25年間続けているので、毎年の日数は少なくても、全部で100日は調査してることになって、それなりにモニタリング的な意義もあるんじゃないかと思う。
とはいえ、おもなターゲットはヒヨドリで、その体重を測るのが主な目的だったりする。年によって冬場に体重が増加する年とそうでない年があるので、そのモニタリング。今年は予定通り、体重は増えていない。

今年は豊作よりの年。少なくともマイフィールドのクスノキでは。日本の他の地域を見渡すと、京都府のドングリは不作と言ってたりして、地域による差が激しいような気はするけど。ともかく、クスノキが豊作の年は、北から渡ってくるヒヨドリは少なめで、果実はなかなか無くならず、ヒヨドリは冬場に体重を増やさない。ただ、そういう年は、標識調査をしてもあまり捕れないはずなのに、そこそこ捕れて、今年は不思議。
ちなみに今年は、ツグミやシロハラも年内は少なめの予定(年が明けてしばらくしたら増える)。が、この年末は、ツグミもシロハラもけっこう賑やかな気がする。そして、なぜかシロハラがよく捕れる。捕れたシロハラは少し脂肪を蓄積してる。果実はまだまだあるのに不思議だなぁ。

初日の28日捕れたのは、ヒヨドリ11羽、シロハラ2羽、メジロ2羽。29日には、ヒヨドリ3羽、シロハラ2羽。ヒヨドリ調査なのでヒヨドリが捕れるのはいいんだけど、なんか面白い鳥も捕れてくれていいのに。
面白いといえば、28日に捕れたメジロの片方は、頭に左右非対称に黄色い斑が付いていた。ちょうど桜文鳥のような感じ。部分黄化個体とでもいうんだろうか。
●2019年12月28日 年末恒例仕事納まらず2019

今日が世に言う仕事納めの日。なんでも、年内にすべき仕事は、今日の夕方時点でこなされているものらしい。今年は、こちとら友の会の懇親会もあるから、そもそも夕方では収まらないのだけど、懇親会なくても納まらないから、言い訳にもならない。と、昨年書いたけど、まったく同じ状況。
どうせ納まらないとは言え、できるだけ一段落させたい。と、1週間ほど前に、今年中(残り1週間時点)にすることを、今年の目標として並べてみた。今年は16項目と昨年よりさらに少なめにした。で、ついに迎えた28日。今年中にするのが目標なので、今日時点で終わって無くても、まだ3日もあるので、いわば中間発表。とりあえず今日時点で、残りがどのくらいかと、カテゴリー別に数えてみた。

行事系:1項目中1項目クリア。
調査系:4つの内2つをクリア。残りも現在進行中で年内には終了予定。リストに挙げなかったカラスの巣のチェックは年明けかな。
標本整理系:1つだけだけど、そもそもこれは年内には終わらないものであった…。
原稿系:最優先の1つだけ挙げた。よく考えたら、原稿を書くまでは終わりそうだけど、編集作業は年明けまでかかるに決まってるやん〜。
データ整理系:挙げなかったから大丈夫。
講演系:1つ挙げて無事にクリア。
サイト系:3つとも残ってる。1つはなんとかできるかも。
助成金系:挙げた1つが残ってる。絶対に無理。
雑用系(仕事):2とも残ってるけど、1つは明日クリア。
雑用系(個人):2とも残ってるけど、なんとかなるでしょう。

というわけで、仕事納めに必要な16項目の内、4項目しかクリアしていない。達成率25%。とても低い達成率。今年中にあと5項目はクリアするので、7項目残して年を越す予感。残しの数は昨年より少ないけど、そもそもあまり挙げなかったからなぁ。

【2019年12月31日】
3日後の夕方である。この3日間で調査系2項目、雑用系を3項目クリアした。これで達成率56%。予想通り7項目残ってるけど、予想通り挫折。
と予想しておく。
●2019年12月27日 2019年末の冷凍室

例年、年末年始の休館の間に、常設展に出ている植物標本を冷凍室に入れて、虫を殺すという年中行事がある。そのためには冷凍室に入れるためのスペースを作る必要がある。近頃は、毎年も虫殺ししなくてもいいかぁ、という判断になっているようで、毎年は空けなくても良さそうなんだけど、一度身についた習慣は続く。
かくして例年、仕事納めの直前、すなわちクリスマス辺りにホネホネ団の活動日を数日ぶつけて、冷凍室をできるだけ片付ける。っていうのが、年中行事になっている。今年から23日が祝日でなくなってしまい、活動日が1日減るのが困る(ただ今年は祝日でなくなるとは気付かず平日に活動日を設定してしまった…)。
で、今年も年末の様子を確認しておこう。ちなみに1テンバコは、おおよそ40cm×60cmの床面積を指す単位である。

冷凍室の奥の方はさておくとして、手前の方を見てみる。
・手前左側の2テンバコは、ほぼ昆虫が積み上げられている。あと、トリが作業中の物もある様子。
・手前右側の2テンバコは、年末に菌類と植物が片付いたので、1テンバコの空きがある。ちなみにタカアシガニが1箱ある以外はすべて鳥や哺乳類になってしまった。
・手前中央の4テンバコは、空き空間になっている。
昨年末と比べると、さらに1テンバコ押し返した!

ちなみに(棚の中身はさておき)埋まっているエリアは、
・処理中の哺乳類の皮:6.5テンバコ
・処理中の哺乳類中身+新着中型哺乳類:1テンバコ
・動物園からの鳥+傷んだ海鳥:3テンバコ
・その他動物研物、鳥いろいろ:2.5テンバコ(ただし半ばまでしか積んでない)
・主に昆虫:2テンバコ

2019年途中に冷凍の魚が増殖したが、イタチ類の処理を進めて、入口右手前に全部載せた。哺乳類の皮はむしろ増えたかも。

鳥類の課題は、動物園から来た大量の鳥と、大量の傷んだ海鳥。
哺乳類の課題は、皮の処理。
というのは変わらず…。
●2019年12月26日 なめしの失敗

今日は、なめし液に浸けて忘れていたのを、取り出して洗って、テーブルに広げる作業をした。年末年始恒例のなめし作業をはじめた。なめし液に浸けていたのを、出して、洗って、干して、生乾きの時にもみほぐして柔らかめの皮を仕上げる。部屋を10日ほど占領するので、部屋が空いている年末年始にすることにしている。
が、出だしで、大きな失敗が判明して、とてもショックが大きい…。なめし作業というより、なめし液に浸けている間の失敗。ひとに頼んだのが間違いだった。確認すべきだったんだろうけど、確認のしようがないとも言える。
とにかく皮が無惨な状態になっていて、とてもブルー。でも、落ち込んでる場合ではなく、救える部分だけでも救うべく作業した。そもそものなめし作業がほとんどできないので、作業全体は、早めに終わりそうな予感。嬉しくないけど。
●2019年12月25日 博物館はなんのためにあるの?

いくつかの博物館スタッフが集まる会議で、真っ昼間から酒も呑まずに、そんな真面目なことを議論した。博物館によってスタンスは違うけど、合意に達した一つは、“博物館は人生を豊かにする”ってことだった。最初は、“人々を幸せにする”とまではいかないにしても、“人々の幸福追求をサポートする”とか言ってた。幸福追求てな言葉が出てくるのは、博物館は基本的人権を保証するためにある、という意識が無きにしも非ずだから。でもまあ、幸福ってちょっと大仰かなって。
そもそも自然史系博物館の学芸員と、美術館や歴史考古系博物館の学芸員では、ぜんぜん違う。専門が違うのは当たり前だけど、展示や研究へのスタンスも違う。ついでに言えば、服装も違うから、すぐに見分けられる。そしてなにより違うのは、普及教育についての考え方や、市民協働へのスタンス。日頃、全然話は合わんもんだと思っていたので、こんなところで。というか、一番基本の部分では一致できるというのが大きな発見だったd。
●2019年12月24日 大阪府で記録はあるけど定着していない外来哺乳類

大阪府で記録のある外来哺乳類には、タイワンザル、カニクイザル、シマスカンク、オグロプレーリードッグ、クスクス、ゴールデンハムスター、キタリス、タイリクモモンガなどいろいろなあるが、ここまでは単発の記録なので、今のところ問題ではなさそう。まあタイワンザルやカニクイザル、キタリスなどは日本の他の地域で定着例があるので、油断はできないが。
複数の記録があるけど定着していない(今のところは、たぶん)のは、フェレット、カイウサギ、シマリスが御三家。どうしてこの辺りが定着していないか、あるいは密かに定着していないかは、充分に注意しておく必要がある。ということも含めて、状況を整理しておこう。
フェレットは、2000年前後には、大阪府の各地でしばしば観察されていた様子。だが、定着したとは考えられていない。そもそも日本で定着している地域は知られていない。その大きな理由は、市販のフェレットは、臭いを防ぐのと絡めて、不妊化した後に販売されているという話がある。それを逃れた個体が多くなると定着のリスクが上がることになるのだろう。
カイウサギは、現在でもしばしば野外で観察される。繁殖力も高く、定着のリスクは極めて高い。はずなんだけど、日本で定着しているのは島だけ。科学的に立証するのは難しいが、捕食者フリーでないと定着できないのではないかと思う。だとしたら、アライグマ、チョウセンイタチ、ネコと、強力な外来哺乳類が跋扈する大阪府では、当面定着する目処はなさそう。
シマリスは、観察では鈴鹿山系に定着しているという。気候的には大阪府の山でも楽勝で暮らせそう。タイワンリスが定着できるなら、シマリスも定着できそう。そもそも飼育個体数は、タイワンリスよりシマリスの方が多そう。だとしたら、大阪府に定着しない理由が思いつかない。タイワンリスよりも定着したら、情報は集まりそう。なんせ誰でも見分けられるから。なのに情報がないということは、まだ定着はしてないんだろう。今後、大阪府で一番要注目な未定着の外来哺乳類だろう。
●2019年12月23日 ホネホネ納めは、テンの皮処理

今年の年末恒例のホネマラソンは、3日日程。月曜が祝日とばかり思っていたら、いつの間にか平日になっていて、とても迷惑。来年も年末に祝日がないらしい。困るわぁ。そして、今年のホネスマスは、ホネマラソン初日にあったので、もうすっかりクリスマスは終わった感じ。
で、ホネスマスのある初日が人が多く、2日目は人数普通。最終日は平日ってこともあって、ほとんど人がいない。

今年のホネマラソンのテーマは、小さな皮処理ってことで、主にテンの皮処理(1枚だけイタチ、1枚だけウリ坊)。3日間で、のべ10人で、11枚を処理した。
今までは、冷凍室をできるだけ空けたいから大きな皮から処理して、小さい皮がたまりにたまっている。それを処理していこうという企画。そして、テンやイタチは、一人で出来るので、処理の全体像が判って、皮処理を教えるのに丁度いい。テーブル上で完結させられるのもいい感じ。そして、例によって終わらない人いても、こちらがフォローしやすい。
ちなみに自分でやれば、1枚2時間ちょっと。午前と午後に1枚ずつ処理して、他の人のをフォローして、翌日に疲れを残さない感じで進められる。これがタヌキ大になると、ちょっとハードさが増すんだろうなぁ。
今回は6人にやってもらったけど、3人はほぼできてる感じ。どうしても仕上げは必要だけど。短時間で処理できる人が増えたら、暖かい季節にも処理できるかも。


●2019年12月22日 緊張のペットの標本化

今日は、チワワらしきイヌの標本化を行った。先日のスコティッシュフォールドもそうだったけど、可愛がっていたペットの死体を、博物館で役立ててくださいと寄贈された時は、緊張する。いつも以上に失敗できないから、完全に信頼できる腕の持ち主に任せるか、失敗したら謝る覚悟で、自分で処理するかの二択が迫られる。
という訳で、今日もまた緊張しつつ皮を剥く。今回も長毛なので、剥きにくい。とくに足先が。でも、剥き終わると寄贈してもらって良かったなぁ、と思うのも前回のスコティッシュフォールドと一緒。でも、今回は飼い主さんが見守ってないので、まだしも。
とにかく頭部がいろいろと印象的。アップルヘッドってゆうのかな。頭蓋がまん丸で、大きい。ちょうどリンゴ大な気もする。そこに短いというより小さい吻部が付いてる。小さくて幅が広いからか、切歯が少ないっぽい。フルにあっても上顎4本、下顎2本しか並ばないんじゃないかなぁ。今回の個体は、お年寄りなのか、すでに歯が抜けていて、歯の穴もふさがっている。歯が抜けて時間が経っていて細ってるのもあるだろうけど、下顎骨はとても細い棒状。下顎を動かす筋肉もあまり付いてないし、このイヌに噛まれてもあまり痛くなさそう。
てなことを喋っていたら、隣から、うちのイヌも死んだら標本にして、という声。自分ですればいいのではと言うと、さすがに自分で皮を剥くのは嫌なんだそう。眼の前で剥かれるのも嫌だから、いない時にこっそり剥いて欲しいって。まあ、飼い主を眼の前にして剥くよりはやりやすいけど、やはり緊張しそう。ちなみに犬種は、ミニチュアダックス。今度は脚の長さを観察することになりまそう。
●2019年12月21日 今年の目標

今年も残り10日ほど。そろそろ、今年の目標を立ててみよう。この年末年始は、外来生物展解説書が最優先なので、調査系以外はすべて断念するかも。

【行事系】すでに終わったも同然!
・22日〜23日、なにわホネホネ団。
【調査系】全部残ってる…。
・ため池
・大和川
・公園の鳥のセンサスと果実のチェック
・鳥類標識調査(年末恒例)
【標本整理系】この年末は次の項目が最優先なので、最低限だけ。
・なめし液に入ってるのを乾かす。
【原稿執筆関係】とにかくこれが最優先。
・外来生物展解説書の執筆。分布図作成、写真手配。そして編集…。
【データ整理系】前の項目が最優先なので、パス。
【講演系】
・この年末に1本押しつけられた〜。やむを得ないから、手を抜きつつ話題提供。
【HP系】本の紹介文はがんばる。最近見た鳥と日記はパスかなぁ。
・最近見た鳥のサイトの更新(せめて今年のを書きたいけど…)
・日記の完成(9月以降に未完成のがあるけど…)
・読んだ本の紹介文(今年は書けてないのは数冊だけ)
【助成金系】とある審査は幸いこなかった。アンケートは、2月以降かなぁ。
・アンケート作成
【雑用系】雑誌買うのを大幅に減らしたら、整理が必要なくなった〜。
・いろいろ本の在庫調べ
・学会の来年度会費の支払い
・家賃の支払い
・年越しそばと雑煮の準備

今年は割と順調な気がする。来年の一番の仕事である外来生物展の解説書の執筆をできるだけ進めておきたい。
●2019年12月20日 読書サークル 第107回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今日の課題本は6冊。1冊繰り越されてきて、3冊繰り越しになったので、4冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「南の島のよくカニ食う旧石器人」
(紹介文2つ、平均★数は3.5)
 博物館でお金がとれて調べることになったって感じかなぁ。2000年代後半以降で、こんな発見があるなんて、あまり研究者いないのかなぁ。冬に暮らしていた場所は、海の底なのかなぁ。とか言い合う。

●「海洋プラスチック汚染」
(紹介文5つ、平均★数は3.8)
 とにかく日本人は、使い捨てのプラスチック使い過ぎ。この本は多くの人に読ませる必要有り。という点で一致した。とても読みやすいし。

●「9つの森とシファカたち」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 異所的に棲息する9種のシファカを、生息地の林と共に紹介してる。絵は綺麗だし、ページデザインも綺麗。キツネザル類が40種ほども載ってて楽しい。と、基本的好評価だけど、それ以上ではないというか。シファカの国をめぐる旅のよう、という表現もあった。西の針の山に興味が集中。地獄のよう。となると、この本は地獄百景で、シファカは戯れてるのかと。

●「ネコ・かわいい殺し屋」
(紹介文3つ、平均★数は3.7)
 野放しネコが、どれだけ鳥を殺しているか。アメリカ合衆国での実情が判るという意味で評価は高かった。ただ、アメリカと日本は、野放しネコの個体数の多さ、狂犬病やペストの有無、ネコ派の攻撃性の高さ、TNRの熱心さといろいろと違う。という部分でも盛り上がる。
●2019年12月19日 庭にイタチが糞をして困る話

ご婦人が見えられて、庭にイタチが糞をして困るという相談をされた。イタチが庭に糞をするとは、あまり聞かないけど、まあないこともないか。と思いながら話を伺う。とりあえず庭にイタチが来ないようにするにはどうしたら良いか?と訊ねられたのだけど、けっこう答えにつまる。駆除業者に相談したけどらちが明かずに、博物館に来られたっぽい。ネコが嫌がるという薬を撒いたりしたけど、あまり効果がなかったらしい。まあそうでしょうねぇ。そこから、しばらく駆除業者のについての話題で盛り上がる。
と、話を聞いていたのだけど、なんか違和感がある。糞の量が妙に多く、あちこちにありすぎ。石やコンクリートの上ではなく、糞は必ず土の上にあるらしい。本当にイタチなのか?と思って、一度画像を撮ってきて見せてもらえますか、とお願いしたら、画像を持ってるという。早く言ってよ〜。
見せてもらった画像は粗いんだけど、ぜんぜんイタチの糞には見えない。そして、細長いんじゃなくて、ツブツブした塊。かといって、コウモリやネズミの糞ではなく。いろいろ別角度から聞き出した挙げ句、結論としては、どうやらミミズの糞らしい。
そこからは、イタチと糞としては、こうした特徴はおかしい。といった点を説明。おそらくミミズの糞ということで納得して頂いた。そら、ネコ除けの薬はきかんわ。
●2019年12月18日 外来生物問題の深刻度の指標

外来生物の割合とか侵略性、固有種の割合とかで、指標化できそうな気がした。
とりあえず、外来生物の侵略性の指標化が先決。たとえば、その指標の数字の合計が、総侵略性指数とか。あるいは、侵略性が一定の数値以上の外来生物の割合で、侵略的外来生物率を出すとか。こうした数値が高いほど、外来生物問題の深刻度は高くなる。
一方、固有種とか希少種とか、侵略的外来生物の影響を受けやすい在来生物が多ければ、在来生態系の脆弱性が高まるわけで、外来生物問題の深刻度も高くなる。
この2つの指標を掛け合わせたものが、外来生物問題の深刻度の指標になる感じ。
ネックは、侵略的外来生物による影響の受けやすさの指標化かなぁ。それは外来生物自体とセットの指標になるなぁ。でも、影響を受けやすい生活史タイプとかは設定できないかなぁ。
●2019年12月17日 ある大人たち

自分の都合の悪いことを、なかったことにして、言い訳して、ごまかそうとする大人たちを、ライブで見る時間を過ごした。まるで国会中継を見ているよう。おそらく閣議決定とかしてなかったことにしたんだろう。でも、正論っぽいことを強く言われたら、非は認めないものの、腰は砕ける。この辺りは、国会中継と少し違う。多少なりと自覚があるかないかの違いなのか、理解力の違いなのか。
●2019年12月16日 ダムの下流の川のこと

ダムができると、その下流の水量の変化が穏やかになる。それが治水ダムの目的だから当たり前だけど。すると、河川敷の流路と陸地部分が明確に分かれてしまい、砂礫地や砂州がなくなり、陸地には草が生えてやがて木が育つ。また流れが穏やかになった流路の中では、底質の石や砂もあまり動かなくなり、藻類が繁茂しがち。これは河川管理上や河川敷の利用の上でも問題だけど、なにより河川生態系の生物多様性の保全という意味で問題が大きい。
そもそも、それなりに増水が起きることで、河川の環境や生態系は維持されている。なので、治水上の問題が起きない程度に、コントロールされた形でいいから、それなりの増水を起こす必要がある。ってことになる。でも、いつ、どのくらいの規模で起こすかはけっこういろいろ考えなくてはいけなくて難しい。
とりあえず、コチドリやイカルチドリのような、河川敷の砂礫地で繁殖するチドリ類を考えてみる。治水ダムができると、砂礫地に草が生えて、営巣地が失われてしまう。コントロールした増水によって砂礫地が維持されたり、創出されるのは大歓迎。なのだけど、砂礫地で営巣している時に増水を起こされると、繁殖が失敗してしまう。自然状態でも、営巣時に増水して繁殖に失敗というのは起こりうるけど、毎年定期的に増水するわけじゃないので、失敗することもあれば、成功することもあって、個体群は維持される。しかし、コントロールされた増水は、おそらく定期的に起こされるので、毎年営巣自分に増水させることになったら、毎年繁殖に失敗して、個体群は維持されない。
砂礫地をわざわざ維持して、チドリ類を誘因しておいて。毎年繁殖に失敗させるとは、絵に描いたようなエコロジカル・トラップ。チドリ類に恨みがあるとしか思えない。

チドリ類の場合は、このような予測ができるから、対応も可能だけど、思いもよらないエコロジカル・トラップにつながらないか、慎重に見極める必要がありそう。あるいは、むしろ増水は定期的には設定しない方がいいかもしれない。まあ、確実に増水する梅雨時と、台風シーズンを除いて。


●2019年12月14日 砂のワークショップ

ジオラボという名前の大人向け地学ワークショップを、参加するでもないけど、なんとなくながめる。堆積学が専門の学芸員が、各地の海砂を収集しているのは知ってたし、協力もしてるけど。どうして砂を収集しているのかが、今日初めて明らかになった(個人的に)。
現在、日本の海砂はどんどん減少しているらしい。生き物になぞらえると、いわば絶滅危惧種(絶滅危惧砂)。で、そのうちなくなるだろうから、無くなった時にかつてあった砂がどんなんだったかを記録しておくために集めてるんだとか。砂がぜんぜん無くなったら、今、砂浜になってる海岸は、岩礁になるのか転石海岸になるのか、とかいろいろ気になる。
気になると言えば、海砂の中身。砂を供給する河川の流域の地質や、海流や波の影響の結果として、海砂の成分が決まる的な説明をしてる。だとしたら、時間と共に河川から供給される砂の質が変化したり、堆積環境が変わるなどして、時間と共に同じ場所でも海砂の中身が変わるんだろうか? いわば生物相の変遷のように。
などと真面目な話を軽く聞き流しながら、シャーレに入った海砂を磁石で遊ぶ。6ヶ所の海砂が出てたけど、内3ヶ所には磁性を帯びた鉄が混じってて、磁石にひっついて面白い。シャーレの上に磁石を当てると、鉄が上に伸び上がって、ピョンピョン上に貼り付いて、角をつくっていく。下に残されるのは、鉄以外と、磁性が弱めの鉄。ただただ楽しい。
●2019年12月13日 新感覚無理ゲー企画スタート

今日から12日間の期限で、新しい無理ゲー企画が始まった。標本台帳を1冊持ってきて、中身をなんにも知らない部外者が、適当なページを開けて、適当な標本番号を選ぶ。担当者は、タイムリミットまでにそれを持ってこなければならない。ちょっとダーツの旅に似てる。そう考えると楽しいかも。
ちなみに、私の課題は、「A7999 ムクドリ」と「M2321 エゾジカ」。ムクドリは、昨年仮剥製にしたやつなので、簡単(収蔵庫にまだ片付けてないからだけど…)。瞬殺で出題者に見せたった。エゾジカは、なにを考えたか(大阪人的には珍しいからだろうなぁ)脚1本だけを登録したやつ。とりあえず収蔵庫に探索に行く。シカコーナーには見あたらない。仕方が無いので、ホネ標本にはなったけど、箱詰め出来ていないコーナーを漁る。近い登録番号のが出てきて良い感じ。と思うのに出てこない。これはダメか、と思ったら最後に見つかった。なかなかよく出来た展開。
という訳で、おそらくいの一番に課題をクリア。振り返ってみれば楽勝であった。ただ、これは偶然というか、極めて引きが良かったと考えるべき。まだ水漬けしてあるホネとかが選ばれなくて良かった。探すの大変やし。

古い登録番号の場合、過去の担当者が整理してくれてないと、引き継いでくれていないと、見つけるのは超ハード。近頃の登録番号の場合、番号は振ってあるけど、まだ標本化の途中だったり、整理途中だったり、いろいろあって、まだ収蔵庫にないことも多い。そして、展示に引っ張り出した後、きちんと戻っていないとか。研究用に引っ張り出して、別の場所にあるとか。いろんな事がある。無理ゲーと呼ぶ所以。
前任者がサボって台帳に番号と属名しか書いていないカエルとか。前任者がなにを思ったか、番号は振ってあるけど、それ以外は一切記述がない化石とか。論文執筆の都合かなんかで、先に番号がふってある魚とか。なかなかハードそうなのが選ばれている。出題者は、内情を知らない部外者という設定だけど、実は内部事情にやたら詳しい人で、ハードなものを敢えて選んでるんじゃないの?という疑惑が…。
●2019年12月11日 大山崎町と長岡京市

無人販売の野菜を買った。ターサイと、緑色の大根。先月も買った。先月は、水菜と菊菜。ハッカチョウのセンサス調査のはずが、これが目的のような気がしてきた。
この11月から、ハッカチョウセンサス2シーズン目がスタート。1シーズン目は定着しているのが分かっている大阪府内4コースだったのだけど、2シーズン目は定着初期とおぼしき奈良県と京都府の動向を調べるのが目的。見つかるかどうか分からないけど、昨年の記録がある奈良県の大和郡山市と、京都府の大山崎町〜長岡京市にコースを設定した。
大和郡山市の方は、とりあえず調査初回にハッカチョウが見つかったので、これからも期待できそうでやる気が起きる。んだけど、京都府コースは、今のところまだハッカチョウに出会えず。一年間、一度も出会えなかったら、ただ毎月野菜の買い出しに行ってるだけになるなぁ。
昨年も、ずーっといなかったのに、5月になって突如出現して、繁殖した場所があった。京都府のハッカチョウも5月なれば出現してくれるといいなぁ。
●2019年12月10日 2020年度の予定

今日は、来年度の行事予定を決める会議の日。今日で、2021年3月までの週末の予定がほぼ決まった。ちなみに企画内容はほぼ例年並み。
・ジュニア自然史クラブ 月1回
・大阪鳥類研究グループ 月1回
・なにわホネホネ団 月2回+α
・鳥類フィールドセミナー 年10回
・植物園案内動物編 年8回
・鳥の観察会 年2回
・カエルの観察会 年1回
・友の会月例ハイク 年1回
・その他大きめ企画:活動報告会1日、標本同定会1日、大阪自然史フェスティバル2日、子どもたんけん隊1日、友の会総会1日、バックヤードツアー2日、地域自然史と保全研究大会1日、子どもまつり2日
以上がベース。これで、合計81日。他に地域自然誌シリーズが2日くらいと、なにわホネホネ団の追加の活動日が5日くらい入る。
今日で90日くらいが埋まった。かつてと比べたら、意外と空いてるかも。でも、もう事実上、土日祝の予定はいらないからね。
●2019年12月8日 ミイラになった鳥を剥く

今日は、鳥の仮剥製づくりの日。前日に用意した鳥の死体を、みんなで剥く。リクエストを受け付けて、それぞれの希望とスキルを勘案して、処理する死体を用意する。つまり前日夜に冷凍室に入っているものを引っ張り出して、セレクトするという作業があるわけ。残念ながら、冷凍状態の鳥の死体の状態はよく分からない。種類は分かるけど、腐ってるかどうかとか、乾燥してしまってるかどうかとか、脂肪モリモリかどうかとかは、解凍してからのお楽しみ。よほど傷んでるとか腐っていれば、さすがに凍っていても分かるけど。
初心者向けのつもりで、やりやすい鳥の種を選んだつもりが、腐っていて初心者向きではなかったり。なんてこともあるから、自分が処理する予定のを少し多めに用意して、選択肢を広げるといった配慮も必要になる。
昨日は、皮剥き希望者が7名7体。完全初心者はいないけど、なんでもこなせそうな人は2人だけ。となると、あまり難易度の高いのは出せない。はずれがあってはいけないので、自分用に3体加えて、10体出してみた。
そして、今朝。解凍された鳥の死体を見て愕然とする。10体の内、4体は防鳥ネットに絡んで死んだ鳥で、ミイラ化の途中だった。よく見たら、腐った鳥と書いてある。臭いからすると腐ってるというより、ミイラ化の途中で、肉が傷んでる感じ。4体のミイラ化組のうち1体はなんとか初心者でも処理できそう。残る3体をどうしよう?
と、思ってたら、他の人はみんなやりたがらないか、任せられない。やむを得ず、ミイラ化途中の鳥3体は自分でやることに…。

鳥の仮剥製作りが上手な人はミイラのように乾燥した死体でも、水を付けたり、水に浸けたりして、上手に仮剥製に仕上げる。でも、水に浸けて剥くの得意じゃないんだな〜。さらにベテラン達が、処理してる乾燥した死体とは、長らく冷凍して乾燥してしまったもので、拾った時は新鮮だった奴。冷凍でミイラにしたのと、常温でミイラにしたのでは、ぜんぜん状態が違うよなぁ。
と、思いながら、とりあえず一番乾燥度合いがましっぽいモズを剥く。水を付けなくても、なんとか剥けるんだけど、ウジがいっぱい付いていて、背中に大穴が開いている…。続いて、シロハラ。意外なことにこれが一番乾燥しておらず、普通に脚や翼も処理できた。最後のヒヨドリは、ミイラ化が完成していて、そのままでは手も足も出ない。仕方が無いので、しばらく水に浸けてから剥いてみる。剥けるけど、皮が破れまくる。羽根が抜けまくる。ショックが大きい。どんどんバラバラになるのを、なんとか踏みとどまらせて、仮剥製っぽい形にして終了。普通の仮剥製を作りたい。
●2019年12月7日 ハマヒサカキに二言

この季節に、花と果実が同居してる。今咲いてる花が、一年ほどかかって、来年の今頃果実が熟すんだけど、ちょっと時間かけ過ぎ。頑張って2月ごろ熟せばいいのに。でなくても春とか夏に熟したらいいのに。ゆっくり果実をつくってる間にトラブル起きるでしょ。
あと、雄花と雌花だと、雄花が釣り鐘状で大きく、雌花は浅くて小さい。それはいいけど、大きさと連動してか、雄花の方がよく臭う。臭いで花粉媒介者を呼ぶんなら、雌花にもそれなりに強い臭いがないと、みんな雄花ばかりにいって、雌花は授粉しないでしょ。
もうちょっと、よく考えて欲しい。
●2019年12月6日 日本の外来生物対策の歴史

原稿を書かなくてはならなくて、なぜか今頃になって、日本の外来生物対策の歴史のお勉強。それは国際的な動きを無視しては語れないし、生物多様性保全のための動きと不可分。
まず最初の動きは、国際的に。1993年に生物多様性条約が発効したこと。そこで外来生物対策の必要性は謳われたけど、日本では長らくなんの動きもなかった。それが、2005年になってようやく外来生物法が施行される。
そして2008年に生物多様性基本法の成立。これは名古屋でCOP10が開かれるのを見据えてなんだろう。2010年にいわゆるCOP10が開かれて、愛知目標が採択された。生物多様性基本法と愛知目標を受けて、2012年に生物多様性国家戦略が策定される。
で、生物多様性国家戦略を受けて、2015年にあいついで「外来種被害防止行動計画」が策定されて、「生態系被害防止外来種」(生物多様性国家戦略では)が公表された。
そして、2015年にはもう一つ。国連でSDGsが採択された。この後、なんかあったかな?
●2019年12月5日 実家の引越

実家が、引越をするそうな。大人の事情というより、年寄りの事情とでもいおうか。5階建ての5階なんだな。なぜか昔から団地・マンション暮らしが多かったのだけど、5階→1階→3階→5階。一度だけ、尼崎の長屋に住んでいたけど、他はすべて団地かマンションで、いずれも5階建て。だからエレベーターはない。なのに上層階を選ぶ傾向がある。
若い内は運動になっていい、てなもんだけど。年を取ると階段を上がるのが大変。脚を骨折して、上がれなくなって難儀して上がったものの、今度は医者に行くために下りられなくなって…。と大騒ぎした末になんとか入院。骨折自体は治るんだけど、5階を自由に上がれるようにはならないらしい。で、やむなく引っ越すという話になった。
今のマンションけっこう広いから荷物がいっぱい。そして実家には、本がいっぱい。引越作業も大変だけど、引っ越し先を見つけるのも大変そう。さらにネコが飼えないといけないんですけど…。そんな場所見つかるのかなぁ。
とりあえず、自分のマンガとSFは引き取る覚悟が要りそうな予感。
●2019年12月4日 カワウの暮らしは、夏は海、冬は川?

カワウの暮らしについての文章を書こうと調べてみて、今頃になって初めて知ったのだけど。関東のカワウでは、カワウは夏は東京湾で採食して、冬は多摩川とか内陸よりで採食するというパターンが知られているらしい。それに応じて、ねぐらに集まる個体数も、夏は海よりに多く、冬は内陸に多いとか。このパターンは、2000年頃には既に知られている。
で、当時の文献を読むと、近畿や日本海側では、それとは逆のパターンが見られて不思議って書いてある。つまり冬に海に行くってことなんだろう。でも、それはまだ山陰や近畿(滋賀県を除く)でのカワウの繁殖地が少なかった頃の話。当時でも琵琶湖のカワウは、夏は湖面で、冬は周辺に散って河川とかで暮らしていたようだし。琵琶湖を離れた個体が散らばってきて、冬に大阪府のカワウ個体数が増加するイメージだった。当時、冬になると大阪府のカワウは増えたけど、大阪湾に大挙してカワウが来ていたかと言うと疑問。
今ならもっと色々と繁殖地もねぐらもあるから、たとえば大阪府でも同じようなパターンがあるか検証はしやすそう。で、いくつか手持ちの数字をチェックしてみた。

淀川柴島のカワウのねぐらは、2018年10月から2019年10月の毎月1回の調査(調査は午前だけど…)では、冬に個体数が増えて、夏に減る。これは関東でのパターンにあってる。
夢洲のカワウのねぐら調査は一昨日行ったばかりだけど。2018年7月28日は450羽超え、2018年12月14日は66羽、2019年2月18日は約300羽、2019年7月25日は200羽ちょっと、2019年12月2日は約160羽。ぱっと拾える数字だけだけど、夏に多い感じかなぁ。
近頃季節のデータを持ってるカワウの集団ねぐらといえば、大和川河口の阪神高速湾岸線。11月には工事が入って、カワウはいなかったので、この10月までの1年分の数字を見返してみよう。ただし、このねぐらは湾岸線の橋梁の上流側と下流側の両方に出来てるけど、数えてるのは上流側だけ。

2018年11月22日 13:12 283羽
2018年12月19日 12:57 4羽
2019年1月28日 13:42 0羽
2019年2月25日 14:18 0羽
2019年3月20日 14:17 11羽
2019年4月22日 12:49 20羽
2019年5月23日 10:28 8羽
2019年6月24日 12:49 36羽
2019年7月25日 10:48 53羽
2019年8月26日 12:49 230羽
2019年9月27日 11:04 93羽
2019年10月28日 11:24 621羽

夏に多いというか、秋に多いような。だとすると、非繁殖期に多いってことかもしれない。
●2019年12月3日 外来生物についての勘違い

外来生物について色々原稿を書かないといけなくて、ドロ縄でいろいろ調べて書いてみる。とりあえず定義は単純。
「本来の生息域ではない場所へ、意図的であるかどうかに関わらず、人間によって運ばれ,人の管理下を離れた生き物」
言い回しは多少違えど、ここに異論はあまりなさそう。でも世の中には誤解が蔓延。で、どんな勘違いがあるかをリストアップしてみた。

1:どんな状況であっても、人間は外来生物ではない。
2:外国から持ち込まれた生き物だけでなく、国内の他の地域から持ち込まれた生き物も外来生物。
3:人間によって運ばれたのでなければ、他の地域から来た生き物であっても外来生物ではない。
4:人間が分布域の変化に手を貸していても、人間が運んだのでなければ外来生物ではない。
5:同じ種であっても、遺伝的に異なっているものの間では、外来生物問題が生じる。

とりあえず思いついたのがこの5つ。他にあれば是非お知らせを
●2019年12月2日 夢洲の鳥の生息地がなくなったら?

今日は夢洲にいった。カワウのねぐら調査に引っ付いていったのだけど、ついでに水鳥の数もザッとカウント。ホシハジロが8000羽からいる。大阪湾のみならず、瀬戸内海で一番多いんじゃなかろうか? なんてことをSNSでつぶやいたら、ホシハジロがそれだけいれば、ワムサール条約の基準に当てはまるんじゃ?と教えてもらった。確かに当てはまるらしい。ホシハジロの個体数が、いまやそんなに減少しているのに、むしろ驚いたけど。じゃあ、夢洲の水域はホシハジロのために残さないといけないのかというと、少し首をひねる。
夢洲の水域にくるホシハジロなどのカモ類は、基本的に淀川河口や中島河口など大阪湾の一番奥と行き来しているっぽい。だとしたら、夢洲がなくなっても、そっちで充分暮らせる。そもそも採食場所ではなく、休憩場所だし。
むしろ夢洲がなくなったら困りそうなのは、越冬地としては、採食もしているっぽいツクシガモ。そして、ヨシ原や広い裸地で採食しているチュウヒなどの猛禽類。繁殖地としては、コアジサシなど裸地で営巣する鳥。もしかしたら、繁殖チュウヒの採食場所としても重要。あとは、渡りの季節のシギ・チドリ類があるけど、夢洲が不可欠かどうかは微妙。
やはり水域というより、大きなヨシ原とその水域の水辺。そして広い裸地を残すのが、大阪府及び大阪湾岸の生物多様性の保全上は重要だと思う。
●2019年12月1日 甲子園浜のカモは減ったのか?

近頃、甲子園浜のカモがめっきり少なくなったという話を耳にした。気になったので、鳥のサークルの観察会を企画して、見に行ってみた。
ウミアイサやホオジロガモ含めてカモ類11種が見られて、かなり楽しい。見つけ損なったが、他にクロガモやビロードキンクロも入ってると聞いた。が、個体数は、ホシハジロ1300羽弱、スズガモ約200羽を、含めてカモ類合計約1800羽。7年ほど前に比べると随分少ない気がする。という訳で、過去のデータを引っ張り出してみた。
直近の過去で、同時期に見に来たのは2012年12月17日。カモ類の個体数は、ざっとスズガモ800羽、ホシハジロ700羽、コガモ250羽、オナガガモとヒドリガモとハシビロガモがそれぞれ約100羽、オカヨシガモ70羽、カルガモ50羽。合計2000羽ちょい。カモ類合計自体はそんなに減ってないけど、スズガモは随分減ってる。ホシハジロはむしろ増えてるけど。
以前はカモ類を数えるのに1時間半もかかったらしい。それに比べると今日は数えるのが簡単だった。鳴尾川河口部分にいる鳥の種数が少なめで、ホシハジロだらけになったのが、数えやすかった理由かも。
●2019年11月30日 2019年11月のまとめ 博物館実習+フェスティバル→解説書の原稿

前半は、ちょっとフワッと奈良と京都の調査を開始しただけだったのが、怒濤の博物館+フェスティバルウィークをなんとか乗り越え、いよいよ切羽詰まって特別展解説書の原稿を書き始める。
そんな2019年11月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ハッカチョウセンサスは、今月から新たに奈良県大和郡山市と京都府大山崎町〜長岡京市の2コースをスタート。地元植物園の鳥のセンサス調査と果実のチェックは、さぼりがちだけど実施。
外来生物調査は終了したんだけど、最後にマイブームがやってきたスクミリンゴガイ調査のために、なんと広島県に出かけてしまった〜。

ホネホネ団の通常の活動日が2日。ほかは標本関連の作業なし。

普及行事は、なにより大阪自然史フェスティバル。あとは、ジュニア自然史クラブの活動だけ。
展示関係では、外来生物展に向けて、おもに担当する学芸員5人での打合せの会議を、フェスティバルを終えてようやくスタートさせた。12月に入るとしばらく不在のものがいるので、打合せはしばらく中断する。それまでに主要な部分を決めておかねば。解説書の原稿もようやく書き始めた。

講演はなし。博物館実習があって、オリエンテーションの他、フェスティバルの設営・運営・片付けを手伝ってもらった。
委員会関係はなし。団体Kの雑誌への投稿論文の査読1本をやらなくては。もちろん投稿論文は書けてない…。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF21冊。
完全休養日は2日。
●2019年11月29日 環境別の外来生物問題を整理しよう

ってことで、
・林
・市街地周辺
・農耕地周辺
・河川や池などの淡水
・海
と並べて、いろいろ悩み出す。埋立地や家の中は、市街地にまとめていいかなぁ。河川敷が抜けてるけど、農耕地とセットかなぁ。磯や干潟は、海だけど、砂浜も海の一部にしちゃおうかなぁ。

そして、林の外来生物を考え始める。鳥や哺乳類には林に入り込むのがけっこういるけど、昆虫や植物はあまり見あたらないなぁ。と、ずーっと思い込んでたけど、今日ふとモウソウチクがあるやん!と気付く。ペットとして持ち込まれたクワガタやカブトムシといったものも林で問題になる。
どうもマツノザイセンチュウも外来生物だという話なんだけど、根拠が微妙に思える。寄生性の生物とか、ミクロな生物は対象外にした方が良いような気がしてきた。
林の中ではないけれど、林が伐採や造成された場所ってのは、外来植物の報告なりがちなので、どこかに含めなくては、入れるなら林かなぁ。そういう意味では、高速道路の法面とかも林に含めざるを得ないかなぁ。と、周辺部分も気になる。
●2019年11月27日 大阪の外来哺乳類の傾向

昨日と今日、大阪に生息する外来哺乳類についての文章を作っている。あらためて調べると、いろいろ新発見がある。
ヌートリアって、岡山県と岐阜県が老舗で、早くから定着していて、その後周辺に分布拡大。岡山県から兵庫県を経て、大阪府に入ったのが2000年頃。さらに京都府や滋賀県へ。という周辺の状況は知ってたけど、日本全体でどうなってるかはあまり考えてなかった。静岡県より東へはほぼ拡がらず。しかし、本州西部では山口県まで拡がり。それでいて、まだ四国や九州には入ってないんやね。侵入も時間の問題な気がするけど。
アライグマが大阪府に入ったのは2000年頃。それ以前に、愛知県、北海道、和歌山県などに侵入していて、大阪府は最後の方と思ってたけど。意外と大阪府への侵入は割と早めだったっぽい。
タイワンリスは、1990年代までは大阪城公園にいたけど、2000年以降は消失した。その後、京都府京田辺市周辺に定着した個体群の一部が枚方市で観察されたことがある。程度と思っていたのだけど、2013年に能勢町の三草山での記録があるのを発見。俄然、大阪府の山手に密かに拡がってる可能性が出てきて大変な感じに。
ハクビシンは、2000年頃に初めて、大阪府で記録された。その後、高槻市を中心に山手で散発的に記録がある。くらいに思ってたけど、意外と市街地周辺の記録が出てきた〜。
●2019年11月26日 ネットイベント企画 オニノメツキ節分祭り

南紀の一部で節分に登場する謎のオニノメツキの話を聞き中。ある地域では、オニノメツキ、イワシ、オニノクチヒゲを割り箸に挟むらしい。オニノメツキに使われるのは、ヒイラギとか。イワシの代わりにサンマの頭を使う地域もあるという。とにかく節分セットとオニノメツキを別売りしてる場合は、どうやって利用するんだろう?
そして、そもそもオニノメツキを飾るエリアの調査がまだまだ不充分。ネックは、調査出来る時期が極めて限られていること。節分の数日前から当日かな? というわけで、ネットイベント企画「オニノメツキ節分祭り」が企画されるのである。とにかく事前に大勢に周知して、一斉に調査する。というか情報をよせてもらうイメージ。数日だけのイベント感が大切な気がする。
●2019年11月25日 阪急千里線の淀川鉄橋の上流側の水管橋にとまってるカワウ

について、某鉄道会社から問合せがあった。TOKKアプリの質問コーナーに質問が来たのだそう。そういえば、この一年間、淀川右岸を柴島から姫島まで、毎月センサス調査をした。その際に、この水管橋にとまってる鳥の数も数えたっけ。そのデータを引っ張り出せば答えるのは簡単。ってことで、引っ張り出してみた。

その水管橋にとまってた鳥の個体数は、
2018年10月5日:カワウ4羽
2018年11月2日:カワウ133羽
2018年12月1日:カワウ4羽、アオサギ1羽
2019年1月2日:カワウ302羽、アオサギ2羽、セグロカモメ3羽
2019年2月1日:カワウ129羽
2019年3月6日:カワウ34羽、セグロカモメ28羽
2019年4月1日:カワウ16羽、セグロカモメ3羽
2019年5月7日:カワウ1羽
2019年6月10日:カワウ2羽
2019年7月2日:カワウ5羽
2019年8月7日:カワウ4羽
2019年9月2日:カワウ8羽
2019年10月2日:カワウ94羽、アオサギ1羽、ダイサギ1羽

ここはカワウの集団ねぐら。なのに、センサス調査がこの地点を通過するのは昼前なので、調査時刻があまり適当ではないけど。まあ、日による差はあれど、10月から4月くらいまでの冬場を中心に個体数が増えて、5月から9月の夏場は少ない。っていうパターンでいいんじゃないかなぁ。
ちなみに、この集団ねぐらは、少なくとも2002年から存在している。当時の記録をながめてみたけど、
・2002年当時も冬に多く、初夏には少なかった。
・2002年当時は、個体数が現在の数倍はいたっぽい。ただ、今も夕方になれば、もっと増えるのかもしれない。

で、質問は何かと眺めてみると。
どうして集まっているのですか? 集団ねぐらだから。
どうしてココに集まるのですか? それは分からない。伝統とか?
集まってるカワウのねぐらはどこですか? だからココ。
●2019年11月24日 手の上のスズメ

昼休みで、カウンター当番を交代して座っていたら、奥様な感じの女性が来られて、具合の悪いスズメがいるから見に来て欲しいと言われた。長居公園内だけど、けっこう遠い。行かなくて済んだりしないかと、いろいろと聞き出す。
とても具合が悪そうという。野生の生き物のことなので、保護すべきかは微妙。怪我とかしてるなら、博物館ではどうにもできないから、野生鳥獣に対応してくれる獣医に連れて行った方がいいこと。そもそも具合が悪くても、捕まえようとしたら鳥は逃げるはず。逆に逃げる元気も無ければ、その鳥が助かる見込は少ない。
と、一通り説明したけど、やはり見に来て欲しいとのこと。それでは、いまはカウンター当番なので、座ってないといけないけど、昼休みが終わったら行きますね。って納得してもらった。
カウンター当番が終わって、現地に向かっていたら、前方から、さきほどの奥様が。手の平の上にスズメが乗ってる。聞けば簡単に捕まえられたそう。見ればものすごく弱ってる。なんせ人の手の上に温和しく乗ってるし…。たぶん、助かりません。もし死んだら、博物館の標本として保存していいですか? と訊ねる。
標本にするのは嫌がられるかと思ったら、むしろそうしてあげてください。とのこと。そのまま受け取って、研究室に持ち帰った。その間にも虫の息で、研究室に着いた頃にお亡くなりになった。そのまま冷凍。死ぬのは予想していたけど、手の上でしなれると、けっこうショックが大きい。子どもの頃買ってたセキセイインコ以来で。哀しい思いでがよみがえる。
●2019年11月20日 意外と役立つ『外来鳥ハンドブック』

なんて書いたら失礼だな。でも、ターゲットの限られた本だなとは思っていた。で、買ったままほとんど開いてなかった。パラパラと写真ながめた程度。しかし、真面目に最初から最後まで見てみると、とても役に立つ。少なくとも外来鳥類についての原稿をいっぱい書かないといけない、今の私には〜! やはりターゲットは限られてる気がする…。

とりあえず注目は、最初にある外来鳥リスト。そこには野外での繁殖記録の有無が記載されている。このハンドブックでは、繁殖記録があるものを中心にセレクトしている様子。っていうのはさておき、繁殖記録がある外来鳥が分かるのは有り難い。
次に注目は、外来鳥類関連年表。最近のは他からも情報が得られそうな気がするが、江戸時代以前のが一目で分かるのは助かる。最近のに関しては、作製者が何に興味を持っているかが、むしろ見どころかも。
分類順に鳥が並んでいるので、最初の方にはキジ目。その多くは狩猟などの目的の放鳥由来なので、いつ頃どこらで放されたのかが書いてあるのが、参考になる。

ただ、私的に一番詳しいハッカチョウを見ると、突っ込みを入れたくなったり。「1970年代に京都で繁殖行動が確認され、1983年に大阪、1980〜1990年代に兵庫で繁殖記録がある」と記述されてるけど、関東の情報はあえて無視してるの? 1980年には神奈川で繁殖開始、1970年代には東京(どうやら埼玉でも)繁殖記録があるっぽい。東京や埼玉ではもしかしたら、1960年代にも記録があるんじゃないかなぁ。
外来鳥類の記録はしばしば無視されるというか、探鳥会でも鳥合わせから省かれるし、いちいち会報に観察記録は載らなかったりする。そんな中で、多くの外来鳥類の記録を見つけてくるのは大変なので、あまり突っ込むのはどうかって話だけど。
●2019年11月19日 博物館実習 秋期普及コースまとめ

ようは大阪自然史フェスティバル2019の準備、設営、運営、撤収を手伝ってもらう。という博物館実習。12大学から14名を受け入れた。標本を扱う他の博物館実習では、班に分かれての作業になるので、個々を比較しにくいけど、この博物館実習は、全員が似たようなことをするので、実習ノートに書いてあることを比較できて面白い。
博物館実習生をフェスティバルに投入するというのは、一昨年から始まった。最初の年は、数人だけだったけど、昨年と今年は十数人が集まった。数が集まれば、それなりに戦力になる。けど、馴れない場所で、知らないイベントを手伝うことになるので(少なくとも大部分の実習生にとって)、猫の手に毛が生えた程度しか役に立たない、とも言える。悪口ではなく、学芸員でも最初の年はあまり役に立たないので、無理もない。
ってことを頭にとめて、今年の実習生の感想を、実習ノートから拾ってみると面白い。

毎年そうだけど、
・会場設営と撤収に関しては、体力的に大変。
・フェスティバル当日については、様子が分からず最初はとまどった。
という声が、昨年に続き多かった。壁や机や椅子を運ばされるとは思わずに博物館実習に来てるんだろうから、無理もない。また、前もって研修は行ってるんだけど、それだけでフェスティバルをイメージできるはずもなく、博物館の構造すらあやふやな中では、とまどうのも無理もない。
他にフェスティバル当日に関して多かった声は、
・出展者や来場者からの質問にうまく答えられなかった。
・出展者や来場者にアナウンスしたり話しかけるのが、できなかった。
という2つ。それでも、初日の午後にもなると、それなりに質問に答えられるようになってきた。って書いてあることが多い。のに対して、アナウンスや話しかけるのに関しては、出来るようになったという記述と、結局上手く行かなかったかもな記述が混じる。
ちなみに博物館実習生には、自己肯定派と自己否定派に分かれるようで、「ミスもあったけど、最終的には適切に対応できた」と書いてある場合と、最後まで反省に終始している場合があった。どっちかと言えば、自己肯定派の方が多かった印象。自己肯定している人が本当に適切に出来ていたとは思わないんだけど、興味深い。
●2019年11月18日 京都府ハッカチョウセンサス調査スタート

手元にある京都府のハッカチョウの記録は、
・京都市右京区西京極西中島町、2006.1.7
・京都市伏見区深草西川原町:鴨川左岸(十条通下流)、2013.12.22
・京都市南区上鳥羽勧進橋町:鴨川右岸(竹田街道下流)、2013.12.22
・長岡京市下海印寺、2015.5.22、2016.5.18
・長岡京市奥海印寺火ノ尾、2018.5.16
この他に、
・1970年代に京都市内で繁殖したという話があるんだけど、観察者はすでに亡くなり、発表されていないので、詳細は不明のまま。
・かつて名神高速の京都東IC辺りで観察されていた時代があるらしいのだけど、詳細は不明。
・いつのことか分からないけど、八幡市でも記録されてるという。
・大山崎町円明寺:小泉川沿いで、2015.5.16の記録が、2015年6月4日の京都新聞に掲載されている。

以上を総合すると、近年の繁殖期の記録は、大山崎町から長岡京市にかけての小泉川沿いで主に見つかっているらしい。というわけで、大山崎駅から桂川右岸沿いからの小泉川沿いを調査コースに設定してみた。
まあ、今日はハッカチョウは影も形もなかったけど、確実に生息している場所でも見つからないのはよくある。一度や二度や三度や四度、調査にでかけて見つけられなくても諦めない。とりあえず一年間は毎月通ってみようと思う。

【追記】
11月20日に偶然Twitterで京都府でのハッカチョウ情報を発見。
・京都市中京区西ノ京永本町7-1:西ノ京中学校、2015.6.8
らしい。繁殖期の情報なので、とても重要。それ以前に、今まで何度も京都のハッカチョウをネットで検索してきたのに、今になってようやく見つけられたのが不思議。
●2019年11月17日 大阪自然史フェスティバル2019まとめ的ななにか

今年も2日間のフェスティバルが無事に終わった。いっぱいトラブルは起きたけど、大勢が集まるイベントにトラブルやらクレームはつきもの。大勢の来場者が楽しんでくれたし、多くの出展者はなにかしら得て、それなりに満足して帰ってもらえたと思う。ということで、全体を見渡せば、大きな問題はなく、無事に終わったと言っていいんじゃないかと思う。もちろん反省点や改善点はいっぱいある。フェスティバルはこれで16回目なのに、いまだに毎回反省点と改善点があるのは、不思議な気もするけど、まあずっと改善点は残ってくんだろうな、とも思う。ってことで、今回気の付いたトラブルや反省点や改善点を、思いつくままにリストアップしておこう。

・とりあえず一番目立ったトラブルめいたものは、初日のとあるイベント。想定外というのも失礼だけど、超人気で早くから人が集合場所に並び、1時間以上待つのもものともしない。そんなに早くから長時間並ばれると、イベント的にはその時間帯、他のブースに行く人が減ってしまう。その受付では、よく分からないプチ炎上案件まであった。毎年実施されている企画で、今まで炎上することもなかったから、運営側はのほほんとしていたのだけど、今年たまたまそういう人が目立っただけのような気もするけど、諸般勘案するに来年以降は、整理券対応かなぁ。
・もう一つのトラブルが多かったのは、大人の事情で日曜日にB会場に生じたゲート。外から中には自由に入れるけど、中から外には出られない。なんで出られへんねや!めいた苦情が頻繁にあった。苦情でなくても説明を繰り返さないといけない。ってことは、予想されたので強面が一人張り付いていたのだけど、その人の負担が大きすぎた。来年は、ゲート無しも考えて良いかも。
・ありがたいことに、近頃は来場者数が増加傾向にあり、今回は両日とも天気が良かったので、来場者数は過去最高。おかげで会場は混雑。なかでも、C会場入口に個人販売ブースを並べたので、入口がボトルネックになってしまった。来年以降は、C会場自体がもう少し明るくなるので、人が滞留しそうな販売ブースは、C会場のもっと中にグルッと配置したいと思う。
・一昨年から博物館実習生をフェスティバルに投入している。準備、説明、運営、撤収を体験してもらうのは、けっこう達成感があるらしく、博物館実習のプログラムとしては悪くないと思う。ちょっと長時間労働になってしまうけど。ただ、実習生は博物館初心者なので、その多くは戸惑うだけで、端的に言って人数の割りに戦力にならない。もう少し多めにアルバイトの投入がいると思う。でないと、使える人材の育成もできない(博物館実習生は1回ぽっきりだし)。

大きな改善ポイントは上記の4つと思う。細かい反省点・改善点はいっぱいあるけど。問題はあるけど、改善は無理なのは、講堂とA会場の空調。来場者が多いと、とても暑くなるのだけど、この季節、空調はすでに暖房に切り替わっているので、冷房が入れられないんだそうな。とりあえず目一杯換気してもらうしかなさそう。
●2019年11月15日 大阪自然史フェスティバル2019前夜 午後から始まるけど

明日からがフェスティバル本番。しかし、その前日はすでに一種の祭りの中。午前はゆったりしていたが、午後からは学生スタッフの研修。からの、会場設営。夕方にまた学生スタッフの研修。
昨日のうちに運んであった壁を設置して、机と椅子を会場に運ぶ。あちこちから運び出してこなくてはならず。出展者数が過去最高なので、学芸員の研究室からも持ち出して、机の必要数をようやく達成。机のサイズがバラバラなので、場所毎に、出展者毎に、微妙に調整。個人出展ブースが並ぶ区画では、机の細かい場所もこちらで調整。1日目と2日目ではブース数が違い、1日目の夜の企画もあるので、移行しやすい配慮も必要。
なんてことをしている間に、出展者もやってきて、ブースの設営作業をはじめる。出展者がきたブースは優先的に、機材を置かないといけない。間に合わなければ、出展者の来ていないブースのを、ちょいと持ってきたり。
午後5時過ぎには、設営を一段落させて。明日は朝が早いので、学生スタッフを早めに帰して。でもその後も、イレギュラーな機材、たとえば畳を出してきて、例えば小さめ机を手配したり。一方で、邪魔なので、チラシ置きの台とか、傘立てとかを隠す。
いよいよ全体の設営が終わったら、自分が関わってるブースの設営作業。明日は午前7時に出勤なので、早く帰って寝たいけど、なかなか帰れない。毎年のことだけど。
●2019年11月13日 博物館実習 2019年秋期普及コース オリエンテーション

今日から5日日程で博物館実習がスタート。大学生が14人。初日の今日はオリエンテーション。次回のために今日のスケジュールを記録しておく。

09:30 博物館実習スタート 出欠取って、資料を配って、名札を作らせて、友の会に入会させる。ブログの担当も説明(担当したブログを書いて始めて、実習を受けたと認めることを宣言)。
今回の博物館実習は、大阪自然史フェスティバルの準備・運営をしてもらうので、Tシャツのサイズも確認。実習時間帯も変則的なので、説明。ブログの書き方と担当のブログを書いて実習を完了したと評価するとの説明。
10:00〜11:35 博物館の間取り、沿革、事業内容(研究、資料収集、展示、普及教育)、友の会・サークル・ネットワークなどの説明。フェスティバルの意図も真面目に説明。博物館に足りないものとして、お金、人手、スペース。
(11:35〜11:40 休憩)
11:40〜12:05 管理棟の案内・解説。あちこちに置いてある標本などについて言い訳。まずは、フェスティバルで関係する外来研究室を紹介。書庫と植物研究室と特展準備室を見せる。パネルを何年も再利用していることを証拠を見せて説明。A会場になるネイチャーホールを覗く。
(12:05〜13:00 昼休み)
13:00〜14:10 収蔵庫見学ツアー。3つの収蔵庫をめぐって解説。二層構造の秘密、タイプ標本、火災時の対応など。壁の違い、通路がうまってるとか、なぜ収蔵庫に本があるかなどにも注目。
(14:10〜14:25 休憩)
14:25〜15:50 展示室見学ツアー(常設展)。メンテナンスがメインテーマ。電気の球換えの難しさ、掃除のしにくさを中心に、ダメなケース、ダメな展示を紹介して歩く。また壊されたハンズオン展示を説明したり。第5展示室では、展示の意図と、アナログのゲームや仕掛けの難しさも解説。 博物館におけるミュージアムショップの普及教育的意味についてもふれた。
15:50〜16:00 実習ノートの記入。

実習ノートは学芸員がチェックして、コメントなどを書くので、学芸員とのコミュニケーションツールとして使うように、って指導するのを忘れた…。
●2019年11月11日 ハッカチョウセンサス調査2シーズン目

この10月までの1年間、大阪府内の4コースで、ハッカチョウのセンサス調査を行った。ハッカチョウが定着している可能性の高いエリアを4コース選んだ。ハッカチョウの1年間の出現パターンが知りたかったから。
で、この一年は奈良と京都を調べてみることにした。今度は、調査の目的は一変して、まだ定着していないが、繁殖記録のあるエリアを調査して、定着初期の様子を、そして定着の有無を押さえようというのが目的。2018-2019年の繁殖期に記録のある場所として、奈良県では大和郡山市のイオンの周辺にコースを設定。京都府では、大阪府との境界に近い大山崎町から長岡京市のおもに小泉川沿いを狙うことにした。
奈良県と京都府で一番ハッカチョウの定着が期待できるエリアなんだけど、外したら、1年間ただ歩いただけに終わる。ギャンブル度が高いなぁ。できれば、和歌山県の田辺市で、2019年3月にハッカチョウが確認された場所も調査したいのだけど、こちらはギャンブルした時のコスト(主に電車賃)が高すぎるので断念。
●2019年11月10日 修行の成果

今日、無事に淀川のハッカチョウ観察会リベンジを果たした。修行の成果が現れて嬉しい。思い起こせば1年ほど前、柴島から塚本の淀川右岸でハッカチョウの観察会を設定した。大阪府で、一番多くのハッカチョウが情報があるエリア。一番確実にハッカチョウが見られるはずのエリアだった。しかし、なぜかハッカチョウは見つけられず…。チョウゲンボウとかハジロカイツブリでお茶を濁す事になった。
それから1年間。別にリベンジ目的ではないけれど、同じコースを毎月歩いてハッカチョウのセンサス調査を行った。その結果分かった事は、非繁殖期は営巣場所である長柄橋や塚本鉄橋にはハッカチョウはいない。むしろハッカチョウは、新御堂筋から阪急の間に群れでいることが多い。
という訳で今日。予想通り長柄橋周辺にハッカチョウはいない。新御堂筋を過ぎてもハッカチョウがいない。ハッカチョウの群れがよくとまってる木にもいない。これは厳しいかな、と思いながら、時々ハッカチョウの群れがいる高水敷の草むら周辺を見渡す。チラッとハッカチョウの声がした気がする。というわけで、しばらく待ってみると、ハッカチョウの群れが飛び立った。見つけた〜。
この場所によくいると知らなかったら、そもそも立ち止まらなかっただろう。チラッと声がした気がしたら、実際にハッカチョウがいることが多い。というのも経験の賜。修行の成果が出て、見事にハッカチョウを見つけたと言って過言ではないだろう。表には見せなかったけど、内心は鼻高々。
●2019年11月9日 動物園の動物死体の行き先

動物園の動物の死体を、できるだけ多く標本として残して、研究や普及教育に活用したい。というテーマで外部資金を申請したところなんだけど。近所の複数の動物園関係者と話をしていて、いまだにいつのまにか焼却処分されてる死体があることを知って、愕然とした。
たしかにそういうケースがいっぱいある。と申請書類に書いたけど、まさかこんなに近くで行われていたとは〜。
一つは、大阪府南部の某動物園もある施設。そこに蓄積している骨格や剥製などの標本を引き取って欲しいと来館された。できる限り引き取ると答えたあとで、これから死ぬ個体がいたら、その死体も引き取りますよ。と何気なく言ったら、先日死んだライオンを焼却処分したところだったという返事。ここからはアジアゾウとかキリンとか引き取ったこともあるのに。こちらが引き取るってことは知ってそうなのに、声かけもなく焼却処分されていたとは〜。と、ややショックを受けた。
その直後に、もう一発。今度は、最寄りの動物園。今まで1000体以上の死体を引き取ってきた。が、話の中で、そういえば先日ヤギが死んだはずだけど、その死体はどうなったんですか?と訊ねたら、焼却処分したという答え。なんと、勝手に家畜の死体はいらないと判断していたらしい。何年付き合ってんねん!と言いそうになった。
●2019年11月8日 読書サークルの2018年度まとめ

来週末に迫った大阪自然史フェスティバルに向けて、今日の夕方は、友の会読書サークルBooksの展示を作った。中身は毎年同じで、一年間にみんなで読んだ課題本の紹介文を、表紙画像とともに模造紙に貼り付けるポスターを作成。それを貼り出して、手に取れるように本の実物と、持って帰れる紹介文の冊子をセットしたら完了。
ちなみに2018年度の課題本は48冊。完成した紹介文は48冊分、この一年は読んだけど紹介するのは止めとこうと結論した本はなかった。前年度からの繰り越しとか、次年度への繰り越しがあるけど、合計数はたまたまずれなかった。
紹介文が48冊完成したの内、自分が読んだ本を数えると37冊。地学系の本はともかく、課題本になった生物系の本は一通り読むようにしてるつもりが、生物系なのに読んでない本が6冊もあった。写真絵本とか、あまりに子ども向けの本は、食指がまるで湧かなかった…。ただ「土 地球最後のナゾ」は読みたかったけど、うまく入手できず。
昨年と一昨年はポスターに、一年間に読んだ本の中で、一押しのにさらにコメントを付けた。今年は本の冊数が多すぎて、書く場所がなくて断念。でも、ここに記録しておこう。2018年度は翻訳本に面白いのが多かった。『世界からバナナがなくなるまえに』は広く読まれて欲しいし、『サルは大西洋を渡った』や『蠅たちの隠された生活』『蜂と蟻に刺されてみた』も面白かった。日本の研究者が書いた本では、『歌う鳥のキモチ』がアイデアに満ちていて面白かった。『絶滅危惧の地味な虫たち』も多くの人に読んで欲しい本。人類の進化の最新情報が得られる『我々はなぜ我々だけなのか』や、『うつも肥満も腸内細菌に訊け!』もオススメ。
●2019年11月7日 大阪府の外来生物リストを作ってみた

今年度末に迫った外来生物展(仮)に向けて、解説書の原稿を執筆中。のはずなんだけど、なんか気分が乗らないので、その巻末付録の大阪府外来生物リストを作成してみた。担当は、哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類だけなので、一瞬で片が付く。と思ったら意外と悩ましかった。
両生類は、ウシガエルだけだから楽勝〜。と思ったら、そういえば京都市鴨川にはチュウゴクオオサンショウウオがいっぱい。下流の淀川にもいるかも。いやいないはずがない。そういえば北摂で見つかったオオサンショウウオが交雑個体だったという話があったような…。
爬虫類は、繁殖が確認されている種だけに絞る事で、ペット由来の外国産のカメ類をほぼ排除できる(排除しないとキリが無いので、しかし情報が不充分だし)。が、悩ましいのはカミツキガメとクサガメ。カミツキガメははたして繁殖記録があるのか。クサガメは在来個体群がいなかったと言い切れるのか?
鳥類は、割と簡単。と思ったが、明治時代以降に定着という話にしたら、ドバトが入らない。たぶんアイガモも入れられない。最初の定着が明治時代より前であっても、その後も放されているなら入れる。と言った判断が必要になる。そういえば忘れていたけど、淀川鵜殿で繁殖したシロガシラも外来鳥類扱いだろうなぁ。
哺乳類では、家ネズミ3種とノネコとイヌの扱いが、ドバトと同じく問題。でも入れないというチョイスはないやろう。あと、ハクビシンをどうするか悩んで資料を調べたけど、これは外来哺乳類とするしかなさそう。
と、簡単そうな陸上脊椎動物ですら、これだけ悩む。いわんや昆虫や植物をや。
●2019年11月6日 外来生物テーマの特別展のタイトルを考える

外来生物問題は、しばしば科学を離れて、センシティブな問題も含むので、それテーマの展示には注意がいりそう。もちろんタイトルもよく考えなくては。で、タイトルにおいて、譲れないポイントを考えてみた。
まず
・外来生物は“悪”であるという話にはしたくない。
・かといって、外来生物対策は不要であるという話でもない。
また展示がどんな感じになりそうかと言えば、
・展示には、市民参加で実施してきた外来生物調査プロジェクトの成果を発表することになる。それはつまり、外来生物の分布の現状を把握するというもの。
・同時に、誤解の多い外来生物及び外来生物問題を、生態学的立場から正しく知ってもらうのも重要な要素。
・落としどころは、どう考えても、正しい知識と、現状把握に基づいて、外来生物(問題)について考えよう。ってところ。

以上を踏まえれば、“考える”とか“知る”とかがキーワード。考えるのは何かと言えば、“つき合い方”とか“これから”。
パッと思いつくタイトルのイメージは、「外来生物の取扱説明書」とか「外来生物とのつきあい方」。

【追記】
いろんな案が出て、最終候補は、「外来生物の取扱説明書」「外来生物問題の今とこれから」「知るから始める外来生物」「外来生物を考える」の4つ。副題はすぐに確定して「〜未来へつなぐ地域の自然〜」。
落としどころがモニタリングな感じで。とても自然史博物館らしい。
●2019年11月5日 広島県スクミリンゴガイ紀行

外来生物調査プロジェクトでは、大阪府中心の外来生物の分布調査を、2015年からみんなで進めてきた。なかでも、ハッカチョウとスクミリンゴガイは、日本全体の分布を調べよう!と大胆な展開。なぜかこの最後の1年にスクミリンゴガイにはまったのだけど、その調査も、この10月で一応終了。が、心残りが…。というのもネットで調べると生息記録があるらしいのに、調べてないエリアがある。栃木県南部は、まあ群馬県調べてるからいいか。長野県とか鳥取県も目をつぶるとしても、広島県の分布が押さえられてないのが気になってしかたがない。岡山県や山口県から九州の情報はあるのに、抜けてる感がハンパ無い。
よく考えれば、調査に行く予算を持ってるので、広島県にスクミリンゴガイ調査に行けるなぁ。えーい、行ってしまえ!

ネットでの情報から福山市にけっこう生息しているらしい。そこから3ヶ所をピックアップ。あと東広島市西条の詳しい生息地もネットで見つけた。この辺りは鉄道の駅から近いから、回れそう。世羅町とか内陸部の情報も見つけたけど、鉄道の駅から離れすぎなので断念。三原市にもいるっぽいけど、どこかなぁ。
という訳で、広島県ツアーを決行した。福山市で情報のあった3ヶ所ではあっさり確認成功。途中下車した三原市では、見つけられず。情報のあった東広島市では無事に確認(8月に探した時には見当外れの場所を探してて見つけられなかったけど。下調べは大切)。ついでに帰りに、岡山県との境界部でも調べて、確認プロットを増やしてみた。
分布図を見ると、岡山県と山口県の分布がつながった感じで、ちょっと嬉しい。分布図作りって、隙間があると埋めたくなるという麻薬めいたものがあって、危険。
●2019年11月4日 生存確認

博物館でのサークル活動に参加している途中具合が悪くなった方がいて、なんとか帰られたんだけど。帰ったら無事に帰ったと連絡してね、明日の朝も生存確認の連絡くださいね。となったのが昨日。夜に無事に帰りましたの連絡があって、第一段階はクリア。
が、しかし、今朝連絡が来ない。今日は今日で行事があって忙しかったのだけど、昼になっても連絡がないので、元気ですかー、とメールを入れる。午後の行事が終わっても連絡がこない。もう一度、生きてますかー、とメールを入れた。が、だんだん心配になる。どうしよう?
メールのやり取りはあるので、メールで連絡はできるのだけど。住所や電話番号は知らない。でも、生存確認に行った方がいい気がする。困った。住所聞いておけば良かった。仕方が無いので、サークルのメンバーに住所知ってる人はいるかと訊ねる。
結果的に言えば、住所は分からなくてアタフタしている間に、生存してますとのメールが届いて、一安心。

てなことがあって、改めてサークルの活動の参加者への責任について考えさせられる。今回の場合は元々具合が悪かったのに参加して、悪化したパターンなので、こちらに直接的な責任はない。とはいえ、具合が悪くなったのを知っていて、その後をまるで無視って訳にもいかない。ってことを考えると、住所・電話番号といった個人情報を把握していたら、対応できる範囲も拡がる。面倒と言えば面倒だけど、安心といえば安心。
昨今は、個人情報保護の観点から、住所などを求めないことも多いけど、それも良し悪しかもしれない。
でも、住所知ってて、安否確認に行って、出てきてくれたらいいけど、(具合が悪くて)出てこれなかったり、(家まで押しかけられて迷惑なので)出てこなかったりしたら、次はどうしたらいいんだろう? かように参加者との距離感は難しい。
●2019年11月3日 キクイタダキ

キクイタダキの皮剥きをした。小さい鳥を処理するだけなのに、ここまで小さいと、それだけで盛り上がる。とても綺麗だし、とても可愛い。顔立ちも可愛いし、風切羽の模様も素晴らしい。今まで観察会でキクイタダキが出現したら、色の悪い小さなメジロなんて言ってた。大変申し訳ないことをした。
鳥の体羽の大きさって、体が小さいほど小さいのだけど、体が小さくなるほどは体羽は小さくならない感じで、小さい鳥は相対的に体羽が大きめに感じる。でも、小さい鳥はホネが細く、とくに脚が細いので、壊しそうな気がして怖い。その分ワクワク感があるかも。
手にとると、頭は見所だらけ。頭頂の羽根を広げると、めっちゃたくさんオレンジの羽根があって、黄色い羽根より多いのだけど。閉じたら、オレンジの羽根はほとんど目立たなくなる。体重4.2g。取り出した胴体はとても小さくて可愛い。ほぼ全頭長と同じ長さ。つまり2頭身…。頭骨はパチンコ玉大。
百見は一剥きにしかず。これからは観察会でも、可愛さと綺麗さと小ささをきちんと伝えよう。
●2019年11月2日 役所の見張り番とクレイマーの境目

とある役所に頻繁に苦情をいれる人がいるとしよう。自分が思い込んだら、役所の説明には納得せず、自分の理屈に基づいて、繰り返し繰り返しクレイムを入れる。だんだん役所側の扱いも雑になってきて、また来たか、と冷たくあしらわれるに至る。
とある知り合い。生物屋なので、役所の環境関連の方針について、要望を提出してる。役所は自分たちの論理で説明するけど、生物屋として納得できるものではない。繰り返し繰り返し要望を繰り返す。だんだん役所側の扱いも雑になってきて、副町長に暴言を吐かれてみたりする。
その2人が、ひょんなことに、お互いのことを知らずに、話す機会があったらしい。役所の対応が悪いという点で意気投合気味に、理解しあえたっぽい。
両方の事情をある程度知ってる者としては、両者は全然違う。ただ、自分の理屈に基づいて、役所の対応が悪いと思っている本人達のキモチは何も変わらない。役所側からしても、繰り返ししつこく文句を言ってきて面倒な相手、という意味で両者はまったく変わらない。両者の違いは、当事者間には存在せず、第三者の評価にのみ存在する。それも第三者側の評価軸、あるいは価値観に左右される。
まあ、論理的な判断ができるかどうかという違いはありそうな気はするけど。
●2019年11月1日 2019年10月のまとめ スクミリンゴガイ調査最後の追い込み、そしてハッカチョウ新展開

10月に入ってもさっぱり涼しくならず、巨大台風とかやってくるし、とまあ夏のまんまのようなつもりでいたら、下旬になって急に朝晩が冷え込んで、しっかり秋になった10月。外来生物調査もいよいよ大詰めで、とくにスクミリンゴガイ調査は10月末までという宣言が出ていたので、情報が足りなかった京都府に行ってみたり、気になって仕方がなかった三重県方面に二度の遠征に出てみたり。自分の調査そっちのけでスクミリンゴガイの分布調査してた気がする。でも、ハッカチョウの調査も新展開。昨年からの懸案だった奈良県の繁殖地がようやく判明。また記録があるのに詳細が分からず気になっていた広島県と山口県の方にもコンタクトがとれて、確認してもらえることになった。これで、少なくとも西日本のハッカチョウの分布の変遷の歴史はおおむね追えるはず。心残りは、広島県のスクミリンゴガイ。11月に入ってから、こっそり確認に行くことを計画中。
そんな2019年10月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。ハッカチョウセンサスは、大阪府の4コースが今月で一年が終了して、おしまい。一年間通ったところに、もう来ないのかと思うと、少し寂しい感じに。
地元植物園の鳥のセンサス調査と果実のチェックを、遅ればせながら今年度もスタート。
外来生物調査は、最後にマイブームがやってきたスクミリンゴガイ調査に行きまくる。名張・伊賀ツアーに続いて、三重県北部ツアーも決行してしまった。ついでに少し魚を採る。ムネアカオオクロテントウは密かに探すも、さっぱり見つけられなくなった。

ホネホネ団の通常の活動日が2日。ほかは標本関連の作業なし。

普及行事は、ジュニア自然史クラブの活動と、友の会秋祭りに少し顔を出した以外は、琵琶湖最北の近江塩津の地域自然誌シリーズ。ダルマガエルがいて、水生昆虫も豊富で、他では見られない淡水貝や淡水魚。とても楽しい。唯一の心残りは、帰りに道の駅で買った食料を、鉄道の駅に忘れてきてしまったこと…。
展示関係は、とくになし。外来生物展の解説書の原稿は10月末締め切りだったのに、誰も書いてない!

講演はないんだけど、ポーチで幼稚園児相手にクジラトークをした。博物館実習はなし。
委員会関係はなし。査読もなし。投稿論文は書けてない…。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系8冊と、SF13冊。
完全休養日は0日。
●2019年10月31日 今年も幼稚園児200人とクジラのホネ

200人の幼稚園児200人相手に、クジラのホネがぶら下がっているところで、そのクジラの話をするっていうお仕事。昨年に引き続き今年も。例によって、幼稚園児たちは、すでに一番大きなナガスケについては、紙芝居を見て予習をしてきてるらしい。
当日、水色のジャージ上下の幼稚園児達が、同じく水色ジャージの先生に引率されて到着。服装は全員一緒で、帽子の色が違っていて、青、水、緑、赤、黄、黄緑の6チームに分かれてる。今年判明したのは、6つの組には鳥の名前が付いていて、かもめ組、きじ組、つばめ組、はと組、ひばり組、つる組らしい。それぞれ30人ちょっとで、合計約200人。
今年は各組1つ(つる組はなし)の質問が事前に送られてきていて、朝の内に調べておけたのがありがたかった。指し棒の代わりに引っ張り鈎、ついでにクジラ庖丁を用意した。

とにかく、おぼえて帰って欲しい内容を3つ宣言。
・ナガスケは、シロナガスクジラではなく、ナガスクジラ。
・ぶら下がっている3匹とも、大阪の海で死んで見つかったこと。
・クジラは、歯のないヒゲクジラと、歯のあるハクジラに分かれること。
クジラの死体が見つかって、ホネを回収に行く話を紹介。その流れで引っ張り鈎やクジラ庖丁も紹介。引っ張り鈎は、先月も和歌山県でのクジラ回収に使ったから臭い。と言ったら、臭いたい!と子ども達が大勢手を上げて、収拾がつかなくなるところだった〜。
ヒゲクジラとハクジラの話から、クジラが食べる物の話へ。オキアミはけっこう通じた。マッコはイカばかり食べてたといっても反応薄かったけど、ダイオウイカも食べてたと言ったら、とたんに反応。
事前に質問事項を知らされていたので、その答えを先に言う訳にはいかず、ちょっと喋りにくい。持ち時間15分あったけど、10分で質問コーナーへ。

事前にもらった質問は、
・クジラは大きいのに、どうしてホネは小さいの? →ホネ小さくないけどなぁ、と言いつつ、長さは一緒。上半身もあまり変わらないけど、下半身はたしか細い。大きな理由は、内臓がないことと、後肢がないこと。といいながら、寛骨を紹介。
・どこの海から流れてきたの? →日本の近くの太平洋からだと思う。3種とも日本近海に生息する種類で、普通は大阪湾に入ってこないことを付け加える。
・飾ってあるクジラは何歳? →秋に回収された7mのザトウクジラは、たぶん0歳。9mのメスのマッコウクジラは、性成熟前後くらいで、性成熟は9歳くらいなので、8歳くらい? 19mのナガスクジラのオスは、性成熟しているので、10歳以上。90歳近くまで生きることがあるらしいので、それ以上は不明。
・なぜクジラは大きいの? →大きいメリットは、浮力、寒さに強いなど。デメリットは、たくさんの食べ物がいることなど。本当のところは分かっていない。
・なぜ自然史博物館で飾っているの? →みんなに勉強してもらうため、そして自慢するため。ついでに言えば、大きくてかさばるので、収蔵庫に入れておくと邪魔だから。と言ったら、邪魔と言わないで〜、と男の子に言われた…。

というところで終了。と思ったら飛び入りの質問も飛びだした。
・世界にクジラは何頭? →ミンククジラは1万頭以上いる。クジラ目は全部で70種以上いるので、全部合わせたら100万頭は超えそう。
・クジラの脳はどのくらいの大きさ? →実物の脳の入ってる辺りを教える。そんなに大きくないねぇ。
・飾ってあるクジラは何年生まれ? →ザットンは0歳で、2015年に打ち上がったので、2015年生まれ。マッコは、8歳だとすると、2010年に打ち上がったので、2002年生まれ。ナガスケは、1990年に打ち上がって、10歳以上なので、1980年より前に生まれたことになります。
・マッコウクジラにはどうして上の歯がないの? →この質問は鋭い。歯はあるけど、ホネに刺さってないので、骨格標本を組み立てる時につけられなかった。 200人が一斉に、臭いを嗅ぎたい!と言い出した時はどうなることかと思った。気をつけよう。
●2019年10月29日 交雑個体が見つからない訳

ある在来系統が生息しているエリアに、外来系統が持ち込まれたとする。在来系統と外来系統は同種なので、交雑可能。なのに、交雑個体はほとんど見つからず、在来系統が生息していたエリアが、外来系統に置き換わっていく。なんて現象があったとして、これはどのようなプロセスを想定したら説明できるんだろう?
てなことを、考えたのは、大阪府のドジョウの系統の話を聞いてる最中。大阪府の大部分のドジョウは中国大陸からの系統だらけ。とはいえ、本当の山間部には在来系統だけが出現している。そして、大阪平野の周辺部で、市街地に比較的近いエリアでは、両方の系統が見つかってる。ただ、面白いことに交雑個体はほとんど見つかっていないらしい。本当だとしたら、とても不思議。在来系統が、優勢な外来系統に吸収合併されたのなら分かるけど。交雑できるのに、交雑せずに置き換わったとしたら、競争排除的なプロセスよりも、変化した環境が外来系統に適していたとか、繁殖干渉とかを想定した方がいいのだろうか。
ともかく、両系統が生息しているエリアでの在来系統と外来系統それぞれの出現場所が知りたいところ。
●2019年10月28日 介護タクシー

年寄りが、エレベーターのない5階で暮らすのはリスキーだなぁ。という話を聞かされた。実家の話なんだけど。
医者に行ってないから、確定では無いけど。どうやら年寄り二人でお出かけして、帰ってくる時、駅を出た辺りで、母は大腿骨あたりを骨折したらしい。なんとか家の下までたどり付いたのだけど、家はエレベーターのないマンションの5階。父がサポートして、何時間もかけて家までたどりついたという。しかしそこで力尽きて、母は数日、玄関から動けなかったという。今は、なんとかベッドにたどり着いたのだけど…。
という段階で電話がかかってきた。これからどうしよう?という相談だった。意味が分からないので、久しぶりに実家に戻る。たぶん6年ぶり? 聞いたとおり、母はベッドに倒れていて、寝返りも打てない様子。トイレなど動く必要ができたら、父が背負って何とか運ぶという。客観的に見て、ものすごいやばい感じ。長期間持たないどころか、すぐに父も倒れそう。そうなると、どうにもならなくなる。
ということで、とにかくまず、脚を医者に診せて、治療するのが最優先。どうせ骨折してるから入院させよ。と進言。なんとこの時点で医者に診せていなかった。往診を断られ、しかし運べなかったらしい。ケースワーカーとかにも相談したけどラチがあかなかったとのこと。ただ、骨折の可能性は考えて無くて、放置すればそのうり治るという甘い考えもあったっぽい。
とにかく医者に診せる算段をせよ。と言ったら、ケースワーカーに相談して、介護タクシーという手段を教えてもらった。介護の必要な年寄りの病院への送迎をする仕事らしい。まさに今欲しいのはそれ!という訳で、5階なんですけど?と電話したら、大丈夫とのこと。ただ、3人がかりになる。で、介護タクシー業界は個人営業が基本らしく、複数社の都合を合わせてくるっぽい。
介護タクシーがダメなら救急車でも呼ぶしかないところ。そういうサービスがあって良かった。それにしても、年寄りの5階暮らしはリスクが多すぎる。

その後、医者に無理を言って往診してもらうことに成功(どうやら前回は強く頼まなかったらしい)。医者も骨折だろうとの見立てで(そらそやろ)、病院の方へ連絡してくれた。で、予定通り介護タクシーで病院へ。しばらく入院。帰りは治ってるといいねぇ。

【追記】
骨折は治っても、5階まで歩いて登れるまでは回復しない可能性大。との診断が出たので、早々、1階の家を探す。幸い、実家のマンションのすぐ近くのマンションの1階が確保できたので、そちらに住む事に。とりあえず一件落着。
●2019年10月27日 中高生と昆虫採集

今日は中高生と、豊能町で虫採り。
棚田の石積みのところに集まってなにかしてるなぁ。と思ったら、クロスズメバチの巣があるらしい。小さいとはいえスズメバチの巣のすぐ前で観察するというのは、なんと危険な。でも、ハチが専門の学芸員が引率してるからこそできる観察かも。ハチ好きの奴もいて、それを採ったりしてるんだけど、集団に襲われないかとちょっとドキドキ。
水生昆虫好きは、田んぼやその周辺に少したまったところを水網ですくいたいらしく、あちこちの田んぼをチェックして、すくいに行ってる。えーと。田んぼにズボズボ入って行ったらアカンで。
水路にたまった泥の中に、イモリが混じってるのに気付いた奴らが、泥をすくいまくる。道路を汚すな。採りすぎるな。いろいろ監督に忙しい。
虫好きは、ヘビも好きなんだろうか。ヘビを見つけては捕まえてくれる。ヤマカガシが多くて、5匹は見た。いずれも1m弱位の長さ。他に、ジムグリ1匹、ヒバカリ1匹。これを持って帰りたがるんだなヤマカガシは危険動物に指定されてるから、持って帰るな。と阻止。ジムグリとヒバカリは持ち帰ってもいいけど、餌を用意できるんか? 親が嫌がるんとちゃうんか? と確認して、絶対家の近所に逃がさないと約束させる。
いろいろやってくれて面白い。
●2019年10月26日 雨の翌日の羽根拾い行事

雨が降ると、羽根が濡れて、閉じてしまって、黒っぽくなって、見つけにくくなる。今日は、せっかくの羽根拾いの行事なのに、前日に雨が降って、残念な感じ。ちゃんと羽根が拾えるか心配。と思ったら、ベテラン羽根拾い屋のみなさん(主に子ども)は、ムクドリ、カワラヒワ、アオバトなど、鳥の羽根を次々と拾ってくる。数は少ないけど、種数に遜色はない感じ。さすがだなぁ。
とはいえ、鳥の羽根拾いが初めての人には難易度が高すぎた。わずかな羽根で時間をもたさねばならない。ってことで、羽根拾いをしてから、キジバトやドバトを観察して、あそこの模様を作ってるのが、あんな羽根こんな羽根なわけ。てな説明を交える。いつもの羽根拾いの場合は、鳥自体をあまり観察しないのだけど、羽根を考えながら鳥を観察するのは、割と新鮮で面白かった。またやろう。
●2019年10月25日 読書サークル 第106回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今日の課題本は8冊。1冊繰り越されてきたので、9冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「珪藻美術館」
(紹介文5つ、平均★数は3.6)
 評価はとても高かった。画像がきれい、ってだけの評価ではなく。撮影方法や珪藻とかの説明を興味深く読んだ人が多かった。

●「結局、ウナギは食べていいのか問題」
(紹介文3つ、平均★数は4.0)
 ウナギを食べて良いのか?というのは、生物多様性に多少なりとも関心のある人が答えを知りたい問題。それをタイトル通り、周辺の状況を合わせて、分かりやすくまとめてくれる。食べてはいけない、という結論にならないのが面白い。でも、消費者がきちんと考えて行動するかどうかが重要という指摘。できるだけ多くの人に読んで欲しい。というのがみんなの一致した意見。

●「ほうさんちゅう」
(紹介文4つ、平均★数は3.3)
 「珪藻美術館」とよく似た内容。珪藻と放散虫はどうちがうの?という人もいたくらいだし、内容も似ている。一つ違うのは、「珪藻美術館」は簡単に自分でも観察できるのに対して、放散虫の方は、大阪では簡単には見つけられないし、より高倍率が必要で、簡単には観察できないこと。

●「生命の歴史は繰り返すのか?」
(紹介文3つ、平均★数は4.0)
 野外で、そして室内で、実験的に生命の進化を解き明かそうという試みが、さまざまに紹介される。けっこう難しい内容を含んでいると思うけど、読んだ人の評価は全員とても高かった。

●「キリン解剖記」
(紹介文4つ、平均★数は3.5)
 ひたすらキリンを解剖する研究者に、読んだ人はかなり好感を持った様子。科学的に何を明らかにしたかはさておいても。子どもの頃、キリンが少し好きだっただけなのに、ここまでのめり込んでるのが面白いのだろうか。

●「虫や鳥が見ている世界」
(紹介文4つ、平均★数は2.5)
 紫外線反射を撮影した画像と、普通のカラー画像がひたすら並ぶ。写真集としては面白いけど、付いてる説明文が、どこまで信用できるかという議論。あと、紫外線反射を撮影して、可視光では見えない模様が出てくるなら意味があるけど、出てこないなら特に知見は増えないという指摘も。

●「ふしぎないきもの ツノゼミ」
(紹介文4つ、平均★数は3.5)
 他では見られないほど、世界各地の大量のツノゼミの美しい画像が並ぶ。その多様性だけで、読み手を圧倒した感じ。著者のマニアックぶりが伝わったのがいいんだろう。

●「葉っぱはなぜこんな形なのか?」
(紹介文3つ、平均★数は2.7)
 著者は、この本の前に葉っぱを10万枚スキャンして図鑑をつくったらしい。第1章はその図鑑作りの話で、第2章は葉の形についての考察。ここまでで終われば良かったのに。というのが低い評価の理由らしい。第3章と第4章はタイトルから離れたエッセイが続き、少なくとも読んだ人は、どこかで聞いたような話で面白くなかったらしい。

●「地球はなぜ「水の惑星」なのか」
(紹介文2つ、平均★数は2.5)
 口を揃えて、地球化学の話は難しい。という。ただでさえ難しいのに、構成がさらに理解を妨げているという指摘。


●2019年10月24日 大阪のヒナコウモリ

大阪府レッドリストでは、ヒナコウモリは情報不足になっている。本当に情報が不足しているんだな。大阪府で最初にヒナコウモリが見つかったのは、2003年。堺市の人家でのこと。それまで、大阪府にヒナコウモリがいるなんて思いもしなかったので驚いた。その後、なぜか堺市で立て続けにヒナコウモリガ見つかった。その後、枚方市など他の場所でもポツポツ見つかった。が、大阪府全体での生息状況はさっぱり分からない。どうやら人工物に潜り込んで市街地で暮らしているらしいのだけど、飛んでるコウモリを見分けられる人はまずいないので、情報は集まらない。効果的な探索方法も見当たらず、ひたすら保護されるのを待つだけ。
今日、大阪府八尾市からヒナコウモリを保護したとの情報が届いた。八尾市からは初めての記録。とても貴重。たぶん市街地のアチコチにいるんだろうけど…。
とにかく、コウモリを保護する機会があれば、その大きさを是非チェックを! ちょっと大きいのと違う?ってなれば、ヒナコウモリの可能性あり。是非お知らせを。って言っても、みんな、そもそもアブラコウモリの大きさ知らないだろうしなぁ。
●2019年10月22日 三重県のスクミリンゴガイ

今年で、外来生物調査プロジェクトが終了する。その最後の年になって、スクミリンゴガイの分布調査にはまった。日本全国を回るのは無理でも、近畿地方の様子は把握したい。日帰り圏は制覇したい。で、名古屋方面と奈良盆地の情報はあるけど、その間が空白地帯。見つからなかったのではなく、調査が抜けている。これは気持ち悪い。というわけで、先の10月17日に、名張市や伊賀上野市の調査ツアーを決行した。スクミリンゴガイは全然見つからなかった。どうやら東海地方と近畿地方の間で、スクミリンゴガイの分布は分断されているらしい。それじゃあいったいどこで途切れているのかなぁ。と、伊勢湾岸に目をやると、名古屋市には分布している。松阪市でも記録されている。でも、その間は、そもそも調査がなされていない。どうせなら伊勢湾岸の分布もおさえたいなぁ。
という訳で、ツアーを決行することにした。名張〜伊賀ツアーと同じで、時刻表片手に、グーグルマップで駅の周辺の水田の存在を確認しつつ、どの電車に乗って、どの駅で降りるかを計画する。まるで、鉄道マニアちゃんである。さしずめタニシ鉄。
ジャンボタニシを列車でGO!でポイントになるのは、駅のどのくらい近くに水田があるか。路線によっては、駅によっては、30分に1本しか便がないので、それに乗らねば。あっさり見つかれば、スムーズに行くけど、いないという結果を出すには、最低30分は探さねば、というのがレギュレーション。
結果としては、伊勢湾西岸にはあまりスクミリンゴガイは多くない。近鉄名古屋線沿線を津市から四日市市まで、10ヶ所をチェックしたところ、3ヶ所でしか見付けられらず。津市と四日市市に、まばらに分布してる印象。鈴鹿市では見つけられなかった。帰りに強引に亀山市を1ヶ所チェックしたけど、見つからず。亀山駅から奈良駅経由の帰り道が、やたらと遠かった。
●2019年10月21日 陸ガモが渡ってくる順番

今日は雨が降る前に自転車でため池巡り6時間。サギ類もカワウもまだ繁殖地に戻ってない。カモは一通り揃った。と思ったら、オカヨシガモが全然いない。ヨシガモはいつもの池に到着してるのに。キンクロハジロやハシビロガモもまだ少なめな気がする。夏場にいなくなったオオバンも復活したが、まだ7ヶ所と少な目。一般的に一番早く渡ってくるのはコガモ。ということを踏まえると、カルガモを除く陸ガモ類の渡来の順番は、コガモ>マガモ、ヒドリガモ、ヨシガモ、オナガガモ>ハシビロガモ>オカヨシガモてな感じになる。この順番が正しいとして、このタイミングの違いは、何の違いを反映してるんだろう? 単純に考えれば、繁殖地までの距離だろうか。距離が遠いほど遅れるなら、オナガガモはもっと遅れて、オカヨシガモが一番乗りでもいいかもなんだけど。
むしろ、繁殖地が北な方が、早く渡り始めるのかも。あるいは中継地でブラブラしてる時間の影響が大きいのかも。


●2019年10月20日 大都市の都心部の小面積の緑地で、いかに生物多様性に配慮するか

というような事を、相談されたというか、考える機会を頂いたというか。すぐに鳥を呼びたい的な話になるのだけど、それは割と簡単なんだけど、そんなんでいいのか?って話。
鳥を呼ぶなら、とりあえず樹を植えれば、それなりに鳥は来そう。ソメイヨシノなら、花の季節にはヒヨドリやメジロが集まる。果実をつける樹木であれば、果実食の鳥は来る。鳥を呼ぶのは簡単。とくに果実食の鳥は、樹上営巣の鳥は。植え込みを用意すれば、シロハラやアオジも来てくれる。渡りの鳥を含めれば、出現する鳥の種数をかせぐのは簡単。
でも、もう少し違ったアプローチが欲しいところ。それは鳥以外の生物群に配慮したものであって欲しい。その方針にあった鳥の指標種はなんだろう?
●2019年10月19日 キジバトの繁殖期のピークが、春から初夏ではなく、秋である理由

とある集まりで、「どうしてキジバトの繁殖期は、他の鳥のように春から初夏ではなく、秋にピークがあるのでしょう?」てな問題を出してみた。意外な答えが返ってきて驚いた。
答えは2つあった。1つは、夏から秋に種子などの食べ物が多いからという答え。繁殖期を食物資源で説明するのは、ラックのシジュウカラ研究以来ので伝統。キジバトの場合もそれで充分説明できると、なんとなく思っていた。
驚いたのは、もう一つの方。鳥の捕食者である猛禽類が少ないからではないかという説明。大阪府の市街地の場合、秋から冬に猛禽類が増えるから、この説明は直接的には正しくない。冬ではなく夏に繁殖する理由にはなるかもしれないけど、春ではなく秋の説明にはならない。ただ、捕食者が繁殖期に影響を与えているかもというのは面白いと思う。
捕食者サイドからすると、春と秋の違いは、営巣しているかしていないか。だとしたら、春と秋に猛禽類の個体数が同じでも、秋よりも春の方が狩る個体数が多い。つまり捕食圧が高い。捕食圧の高い春から初夏を避けて、晩夏から秋に繁殖する傾向がある。というのは充分あり得る説明だと思う。
●2019年10月18日 コビレゴンドウをようやく砂場へ

9月末日に回収してきたコビレゴンドウをようやく砂場へセットした。砂場からの回収時のために、どうしたのかを記録しておこう。
腰椎と尾椎と下顎は、砂場へ。寒冷紗を敷いた上に置いた。回収時には椎骨の順番をちゃんと維持したい。寒冷紗を敷いたのは、V字骨を行方不明にしないため。下顎骨の歯はあまり残ってないし、太めなので、そのままでも失われない気がする。でも、充分腐って抜けるようになれば、トリ先生に抜いてもらおう。
前肢も寒冷紗を敷いた上に載せて、上に軽く寒冷紗を載せた。軽く砂をかけた。春にトリ先生にトレースして回収してもらおう。
頭骨は、重すぎて運べず、タンクの中に放置。頸椎と胸椎も一緒に入れておくことに。肋骨は札を作ってあったので、1本ずつにつけておいた。回収時には胸椎の順番を確認してから。ビニールテープを通してからかな。
そしてタンクは、ビニールシートで覆っておいた。

【追記】
2020年4月15日、コビレゴンドウの世話。頸椎・胸椎・肋骨・下顎骨はホネになってきたので、水漬けに。椎骨にはビニール紐を通した上で。
放置してあった頭骨は、糞の上のメロンの成れの果てがしぶといので、砂場にリセット。トリ先生が片方の前肢と歯を回収してくださった。夏にはできあがるかな。
●2019年10月16日 大阪府のハッカチョウセンサス調査の一年を終えて

昨日で、一年間にわたった月例の大阪府のハッカチョウセンサス調査4コースがすべて終了した。内1つの猪名川コースは、池田市にはじまって伊丹市を通過して、尼崎市で終わるという、あまり兵庫県っぽいコースだし。一年間の調査といいながら、10月に始まって、10月に終わったので13回調査してるけど。
結論としては、大阪府のハッカチョウの生息密度だと、大部分の場所はセンサス調査でほとんど引っかからない…。年中それなりにハッカチョウが記録できたのは、淀川右岸コース(淡路から姫島)のみ。 で、大阪のハッカチョウ調査は断念して、そこそこ様子も分かったし。これからの一年は、今大注目の西日本のハッカチョウ分布拡大の最前線。中でも気になる京都府、奈良県、和歌山県をチェックしてみようと思う。センサスしても無駄かもだけど、一応コースを決めてセンサス調査。場合によっては、新たな情報次第で、コースも変えてみよう。
●2019年10月14日 大阪府の遊水池をチェックしてみる

今回のハギビスが襲った東日本の様子を見て、ダムの有効性の過大評価の話はさておくとして、遊水池の価値が再評価されている。ような気がする。で、大阪府の場合はどうなんだろう?と気になった。大阪府には、既存の遊水池はほとんどない。かろうじて寝屋川市から東大阪市辺りに、恩智川治水緑地、深北緑地、打上川治水緑地程度。となれば、他の水系周辺で、これから治水緑地は準備できるんだろうか?
チェックすべきは、とりあえず猪名川、安威川、芥川、淀川、大和川、石川といった辺りだろうか。
猪名川の場合は、伊丹空港を使えばいいような気がする。安威川の場合、安威川ダムをさておくなら、茨木市最南部から摂津市辺りに設定可能な気がする。芥川の場合は、津之江公園が遊水池なんだろうか? もう少し上流の塚脇辺りにも設定できそうな。淀川沿いは、高水敷のゴルフ場をなくして、低い湿地にしておけば、かなりまかなえるんじゃ? 大和川沿いでは、松原市東部と藤井寺市辺りなら設定できないかなぁ。いっそ、八尾空港を…。石川では、東側の富田林の水田地帯だろうか。
普段は、水田として利用しつつ、低湿地を維持して、いざという時、遊水池。もっと大阪府でも考えて欲しい。早くしないと候補地もなくなってしまう。
●2019年10月13日 テンの祭り

今日はテン祭り。用意した8匹全部オスだった。内3匹が、ふぐりが周囲と比べて黒くなってた。基本夏毛の個体に見られた。こんなとこ黒く目立たせて何の得が?
そして、ダイダイテンを発見した。キテンやスステンではなくダイダイテン。
テンは夏毛と冬毛があるのみならず。色彩変異に飛んでて、どうなってるのか気になる。たとえば、顔が白くて、胴体が明るい黄色のキテンは、大阪府ではぜんぜん見当たらない。顔の色が黒っぽかったり、白っぽかったりのパターンも今一つ分からない。
そんな中で、ダイダイテンは、胴体全体がかならいオレンジ色。テンの喉には必ずオレンジ色の部分があって、洗うとそのオレンジ色が抜けてドキドキする。というのはさておき。オレンジ色のエリアは、喉だけの場合もあれば、けっこう胸まで拡がってる場合もある。ところが、ダイダイテンはそれがほぼ全身に広がってる感じ。よく見ると、顔や足先に黒がまだら入ってて、尾の付け根半分も黒っぽい。ダイダイ斑テンと呼ぶべきかな。
●2019年10月12日 ハギビスの日

台風は、けっこう南西に離れているのに、大阪府にも暴風警報が出て、今日は職場は臨時休館。サークルの観察会は当然ながら中止。なので、ゆっくり起きて、様子を見に博物館へ。強い北風が入ると、ぶら下がっているクジラが心配。と思ったけど、幸い風はたいしたことはなく、雨もまあザーザー降ってる程度。大和川の水位に注意を、というアナウンスも流れていたけど、全然大丈夫だった。なんというか、今年は関東がえらいめにあって、大阪は大丈夫な年らしい。
●2019年10月11日 S市のレッドリスト改訂

昨日は、某S市のレッドリスト改訂の最初の会議に出席した。1990年代末に最初にレッドリストを策定して、その後、2回の改訂を経て、今回が3回目の改訂。10年に一度の改訂のペースをきちんと守っていて、とても感心。ここのレッドリストには最初の策定の時から関わっているので、今回で4度目。市側の担当者の面々もすっかり入れかわって若返った。委員の方もけっこう入れかわって若返った。ってゆうか、最初の時は一番の若手だったのに、今ではけっこうな年長さんになってしまった…。最初からずっと関わっているのは、もしかして私だけ?
前回は、哺乳類屋がいて、両生爬虫類屋がいなかったので、鳥類と爬虫類を担当させられた。今回は、見回したところ、哺乳類屋がいなくて、両生爬虫類屋がいる。ってことは、鳥類と哺乳類の担当かなぁ。と思ったら、想定外の展開…。なぜか、哺乳類と両生爬虫類を仕切ることに?
でもまあ、両生爬虫類は、若手さんに頑張っていただこう。S市にヤマカガシの記録があるはず問題とか、カスミサンショウウオは近頃、何サンショウウオになったのか問題とか。突然降って湧いたアフリカツメガエル問題とか。課題が多いので、押しつけられて(?)ちょうどいい。
哺乳類は脳天気にコメントするという楽ちんな立場かなぁ。鳥類は、埋立地の状況確認が課題かと。
●2019年10月9日 奈良県のハッカチョウ情報

ネットで見つけて以来、ずっと気になっていた2018年奈良県のハッカチョウ情報。なんと、その方と連絡が取れて、詳しい場所を教えて頂けた! やはり大和郡山市だった! 7月に探しに行ったとき、すぐ側を通ってる〜。ストーカー的に、良い線行ってた。
奈良県のハッカチョウ情報は、2018年からあって、その記述から奈良盆地の真ん中かなぁ、と考えていた。ブログにありがちだけど、詳しい場所が書かれていない。1人は、河合町辺りに鳥を見に行ってる。1人は、奈良市居住といいながら隣接市で見たっぽい。ってところから大和郡山市北部だろうかと推定していた。奈良県の知り合いに尋ねても分からず。と思っていたけど、ふと件のブログに書き込むことを思いついた。思いつくのが遅いけど。という訳で、2つのブログに書き込んだら、河合町方面の方からあっさり返事がきた。案ずるより産むが易し。予想通り大和郡山市北部だった! 少し遅れて、野鳥の会な方からも情報をいただけて、やはり大和郡山市北部! どうも同じ場所。
2018年に続き、2019年も同じ辺りで繁殖期に見かけてるとのこと。ってことは少なくとも1つがいが同じ場所で繁殖を繰り返したっぽい。滋賀県では2年で繁殖をやめた例があるので、来年どうなるかが注目。とりあえずこの非繁殖期にもいるのかを、見に行っとかねば。
●2019年10月8日 Tシャツデザインして、NPOをサポートってお仕事

最近出会った不思議な仕事。仕事なのかなぁ。これで喰ってけるのかなぁ。でも、NPOにとっては有り難いかも。そんな活動を紹介しよう。あまり詳しくないけど。
聞くところによるとスタッフは、3人だと思う。ディレクター兼広報、インタビュー兼ライター、そしてデザイナー。NPOを取材して、それに基づいて、ウェブページを作成し、オリジナルTシャツをデザインして、ネットで販売。販売は、1週間ほど限定。Tシャツを売った利益を、NPOと分けっこ。
NPO側からしたら、一切の出費なしに、オリジナルTシャツの売上げの一部がもらえるコストは、インタビューに応じて、ウェブサイト監修して、Tシャツデザインにチェックして、希望をいろいろ言うだけ。言い方は悪いけど、丸儲け。
充分にTシャツが売れれば、仕掛けた側も商売として成り立つ。はず。デザインの良さで、真っ向勝負って感じだろうか。ファン層がいれば、コンスタントにそこそこ売れるかもしれない。でも、それだけのデザインが作れるなら、NPOを絡めなくても商売自体は成り立ちそう。
NPOを絡めるメリットは、NPO側のファン層をそれなりに取り込める。あるいはNPO側の広報力を使える。ってところだけど、NPO側のファン層や広報力はたかがしれてる。というか、たかがしれてるNPOばかりサポートしてる気がする。となると、純粋にNPOをサポートするためにやってくれてるとした思えない。とても有り難い。スタッフのみなさんが、ちゃんと喰えてるのか心配。
●2019年10月7日 奈良盆地のスクミリンゴガイの分布

河内長野での調査の帰り道、なぜか近鉄電車で移動して、奈良盆地北部のスクミリンゴガイ探し。2003〜2005年に大和川水系の水辺の生き物の分布を調べた時、奈良盆地のスクミリンゴガイも調べた。その時の結果で印象的だったのが、奈良盆地北部の富雄川沿いと竜田川沿いにスクミリンゴガイは、あまり多くなく。大和川合流に近いエリアでのみ見つかった。あれから15年ほど。スクミリンゴガイの分布がどう変わっているかは興味のあるところ。
で、今日は竜田川沿いの駅で降りては、スクミリンゴガイを探すを繰り返した。チェックしたのは、勢野北口駅、竜田川駅、平群駅、元山上口駅、萩の台駅、一部駅。元山上口駅まで、つまり平群町ではスクミリンゴガイの卵塊が見つかった。萩の台駅以降の生駒市では見つからず。15年でけっこう上流側に分布を拡げた感じ。平群町と生駒市の間は、田んぼあるいは盆地が途切れるので、そこをまだ突破できていない感じかと。
ちなみに、その他の奈良盆地北部では、富雄川水系は大和郡山市まではいるけど、奈良市にはおらず。佐保川水系は近鉄奈良線より南にいる感じかな。
●2019年10月6日 大阪から琵琶湖にまで観察会をする意義

今日は琵琶湖最北端で観察会。大阪から出掛けると、大人は往復5000円からのお金がかかる。家族で参加とかしたら、交通費がバカにならない。でも、内容盛り沢山で、かかったお金だけの価値はあると思う。
とにかく、名も知れない(担当学芸員もよく分からない)琵琶湖固有のカワニナ類や、大阪府とは似てて否なるかつてはオウミヨシノボリと呼ばれてたトウヨシノボリが見られる。大阪府ではほぼ絶滅して、近畿地方でもほとんど見られなくなったダルマガエルが普通に見られすぎて、絶滅危惧種という言葉が嘘っぽいほど。
小川には、アユがフラフラ泳いでいて。水路をすくえばナベブタムシが死ぬほどすくえる。苅田には、ヒメミズワラビが生えていて、水路に繁茂する大量のコウホネ。琵琶湖岸の浅瀬をウロウロすると、イバラモやヒロハエビモやセンニンモやコウガイモやネジレモが見つかる。
どれもこれも大阪府では絶対に見られない。片道2500円で、これだけ大阪府と違う自然が見られれば、元は十二分にとれた気がする。
ついでに道の駅があるから、地元の産物を買ったりしたら、完璧。また来たいなぁ。
●2019年10月5日 越冬ツバメの不思議

なんとなく越冬ツバメの文章を書こうと思い立った。というのも岡田(1957)という当時の越冬ツバメの情報をまとめてくれてる文章があったから。で、越冬ツバメの話を検索していくつか見てみると、知ってるようで知らないことがいろいろ出てきて面白い。
日本で最初に越冬ツバメが見つかったのは、静岡県の浜名湖畔で、1936年のことだそう。まず本当かなぁ、と思う。さらに1957年時点でも日本全体で数ヶ所しか知られていなかったらしい。本当かなぁ。
でも一番驚いたのは、少なくとも1950年代までの越冬ツバメは、必ず人工物に塒をとっていたこと。その後、たくさんの越冬ツバメが見つかるようになったけど、いつから人工物に塒をとらなくなったんだろう? それも人家の中に入って、天井に渡された電線とかで寝てる。そう言えば、そういう画像をよく見たっけ。室内の天井に電線が張られてたん?というのも不思議。
そして、今となっては不思議なのは、当時の越冬ツバメは、本当にツバメだけ。ツバメ以外のツバメ類の越冬記録が見当たらない。今でもコシアカツバメやショウドウツバメの越冬例は稀だけど、イワツバメはたくさん越冬するようになっって久しい。当時は本当にイワツバメは越冬してなかったのかなぁ? まあ、当時は大阪府ではイワツバメはそもそも繁殖してなかったけど。
●2019年10月4日 京都府のスクミリンゴガイの分布の南限

昨日、京田辺市で会議があった。その前後に、京都府南部の木津川沿いで周囲に田んぼのある駅で降りては周辺をウロウロして、スクミリンゴガイ探しをしてみた。JR木津駅、JR祝園駅、JR三木山駅、近鉄富野荘駅、近鉄新田辺駅、近鉄寺田駅の6駅の周辺を見たけど、スクミリンゴガイはまったく見付からず。たしか巨椋干拓地にはいたはずだから、京都府の分布の南限は、もう少し北なんだろうか? と思いつつ八幡市が気になる。
という訳で今日、田尻町からの帰り道、なぜか京阪電車に乗って、八幡市のスクミリンゴガイをチェックしてみた。京阪八幡市駅を下りて、田んぼを目指して東へ、南へ。あっさりスクミリンゴガイが見つかる。田んぼを探せばすぐ見付かる。南限を求めてどんどん南を向かうけど、ずーっと見つかる。やがて薄暗くなってきて、南限を見つけないまま、八幡市駅に引き返した。
京都府の分布南限は八幡市と京田辺市境辺りにありそうに思う。水系的に言えば、昨日調べて見つからなかったのは木津川水系。今日、いっぱい見つかったのは、大谷川水系。水系で分かれてる可能性があるんじゃないかなぁ。

【追記】
おそらく木津川に西岸側の分布境界は、この予測で正しいんだろう。しかし、木津川右岸側の分布南限は間違っていた。思わぬところから情報が舞い込んだのだけど、JR上狛駅の西側の水路にスクミリンゴガイが生息していた。ネットにも情報が上がっていた〜。という訳で、京都府のスクミリンゴガイの分布の南限は、上狛駅の南西辺り。まあ、飛び地だけど。
●2019年10月1日 2019年9月のまとめ いつの間にかスクミリンゴガイブームが到来

市民を交えた外来生物調査のプロジェクトは、2015年からやっていて、その当初からスクミリンゴガイ調査は始まっていた。ふと気付くと日本全国の分布を調べる!と宣言されて、あまり出かけない地域に行く機会があれば、ついでにスクミリンゴガイを探したりしてきた。それから4年以上経って、この調査も10月で終了。という時になって、スクミリンゴガイ調査がマイブームになってしまった。今までに集まった情報をプロットした分布図を見ては抜けている地域をチェックして、機会があれば、どころかけっこう足を伸ばしてチェックに行ってしまう。
そんな2019年9月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事終了。大阪府の4コースのハッカチョウセンサスも予定通り実施。今シーズンの地元植物園の鳥のセンサス調査と果実のチェックを、そろそろスタートさせないといけないが、まだサボってる。
外来生物調査は、最初に書いたようにスクミリンゴガイ調査ブームが到来。魚では、カダヤシではなく、ドジョウを狙ってしまう今日この頃。そろそろムネアカオオクロテントウを探すシーズンでもある。

ホネホネ団の活動日が、行事や学会の都合で1日だけ。でも、大人向けのホネ標本作りの行事が1回。そして、なぜか月末に和歌山県方面にマゴンドウを回収に行った。

普及行事は、先の大人のホネ作り行事以外は、ジュニア自然史クラブの活動のみ。
展示関係は、何もしていない。

講演では、大阪市大での日本動物学会という参加したことのない学会で、大阪の都市で繁殖する鳥の話をさせられる。おかげで、日本鳥学会大会の参加が1日だけに…。その1日はポスター発表してただけ。つまらない。博物館実習はなし。
委員会関係はなし。査読もなし。投稿論文は書けてない。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF13冊。
完全休養日は0日。
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