日記風覚え書き

2018年1月2月、3月

(2005年1-3月4-6月7-9月10-12月、2006年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2007年1-3月4-6月7-9月10-12月、2008年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2009年1-3月4-6月7-9月10-12月、2010年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2011年1-3月4-6月7-9月10-12月、2012年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2013年1-3月4-6月7-9月10-12月、2014年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2015年1-3月4-6月7-9月10-12月、2016年1-3月4-6月7-9月10-12月
 2017年1-3月4-6月7-9月10-12月、2018年1-3月、4-6月、7-9月、10-12月)


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●2018年3月31日 2018年3月のまとめ 科研費の年度末の合間に、風邪ひいて北海道へ

今月は、頭に風邪をひいて、札幌での生態学会大会に出かける直前に回復。北海道では風邪気味だけど元気だったのが、帰ってきたら再び悪化。ゆっくり回復したと思ったら月末だった。一月ずっと風邪をひいていたような気がする。つまりずっと鼻の具合が悪くて、食べ物の味が今一つ分からない。なんて不幸なんでしょう。
そんな3月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事完了。カラスの巣チェックをぼちぼち継続、余裕があればついでにセンサス。

標本作りは、ホネホネ団の通常の活動日の2日のみ。
トリ先生には引き続き未登録でたまっていたホネ標本やUさんからの鳥の仮剥製をどんどん登録してもらった。
昨年末から続いていた名古屋方面の某先生からのホネ標本コレクションは一段落した模様。
月初めにザットンの吊り下げ作業、月末にその下に輪郭線を引く作業があった。

普及行事は、最初の日曜日に地域自然史と保全研究大会、最後の日曜日に子ども祭りと大物2発。第2日曜には、大阪鳥類研究グループの総会。とまあ盛り沢山。
博物館実習はなく、職業体験対応もなかった。けど、地域自然史と保全研究大会、大阪鳥類研究グループ総会、日本生態学会大会と週末ごとに3連発でなにかしら発表していた。ポスター発表2つは貼り逃げに近かったが。原稿はやはり書けてない…。

とまあいろいろあった中、今月読んだ本は、自然史系0冊と、SF14冊。
今月は完全休養日が1日だけ。ただ、生態学会大会の行き帰りの移動日2日は、事実上休養日だったが…。


●2018年3月30日 2017年度のミュージアムショップ

実は2016年度から始めたのだけど、毎週1回、ミュージアムショップの店頭で販売されている商品をカテゴリー分けしてカウントしている。一番大きな訳は、書籍とグッズ。書籍はさらに博物館出版物、一般書籍、サークル出版物、他の博物館の出版物などに分ける。
今日が2017年度最後のカウントだった。これで2016年度と2017年度のミュージアムショップを品揃えから比較することができる。

ミュージアムショップの仕様書には、店頭の商品点数についての縛りがあり、常時、書籍1000タイトル以上、グッズ500アイテム以上を揃えることとなっている。
ところが、2016年度は、4月はじめの時点で、グッズは約600アイテムあったが、書籍1タイトルしかなかった。ゴールデンウィークにいたって書籍が600タイトルを超え、6月末になってようやく書籍が1000タイトルを超えた。この時点でグッズも500アイテムを少し越えていたので、ようやく仕様書の条件を満たしたことになる。オープンして3ヶ月もかかってようやく仕様書の要件が満たされたことになる。ところがこの状態は3ヶ月しか保たなかった。10月始め以降、グッズがコンスタントに500アイテムを切るようになる。1月末には書籍も1000タイトルを切る。やる気がないとしか思えない。すでに1年での撤退を予定してるんだろうか(その後、翌年以降の入札に参加してきて、驚くことになる)。
2017年度は、4月の初めから3月の終わりまで、書籍1000タイトル以上、グッズ500アイテム以上はずっと維持された。それどころか、書籍は安定して約1300タイトル前後、グッズは800アイテム前後が維持された。これが普通。

質的にも2016年度と2017年度は全然違った。
2017年度は、サークルや他の博物館の出版物、あるいは作家やサークル、他の博物館のグッズといった一般に流通していない商品が取り扱われていた。その量は、グッズの約半分、書籍でも安定して60タイトル前後あった。これは、ミュージアムショップの普及教育的意義や、質の高い自然史グッズや書籍を育成する上でも意義が高い。
ひるがえって、2016年度は、こうした一般に流通していない商品の扱いは、(博物館出版物など内輪のものを除けば)サークルの出版物1タイトルを2ヶ月ほど扱っただけ。ミュージアムショップの意義が分かってないことが伺える。

さらに取り扱った書籍やグッズの中身を見ても、2016年度と2017年度はまったく違う。2017年度の専門的で質の高いミュージアムショップに比べると、2016年度はとてもミュージアムショップとは呼べないレベルだった。
こうした評価がきちんとなされることが、ミュージアムショップ業界全体のレベルを引き上げる上で、必要不可欠ではないかと思う。業者ごとの格付けとかしたらええんとちゃうかな。


●2018年3月29日 カキの性の話

カキの研究者さんから、カキの性表現について色々話をうかがった。奥が深すぎて、なかなかに興味深いが、謎が残りまくり。

カキには、放卵するか抱卵するかという二択があるらしい。どちらもホウランでややこしい。さらに性表現としては、オス、メス、同時的雌雄同体があって。さらにその3つの状態を、おそらく2週間程度で行き来できるらしい。
という中で、性表現がどういう条件でどのように決まるかという研究だった。ざくっといえば大きければメスになるのが有利なので、大きさと性表現には相関があり。同時に固着性動物のためもあって、LMCなどの効果なんだろう、周囲の個体の影響も受ける様子。そこに放卵か抱卵かという問題が関わってくる。

とても複雑で楽しい。そういう意味では面白かったのだけど、細かく個体毎の性表現の変化を追跡するのが困難というのがネック。3ヶ月後や1年後のチェックでは、解像度が粗すぎて、本当のパターンが見えず、ちょっともどかしい。カキの大きさではなく栄養状態で話をすべきな気もする。
抱卵する種類では、どのくらいの距離から精子がやってくるのか、オスだらけの中でどんな個体がメスになるのか。
などなど、まだまだストーリーは完結していない感じ。


●2018年3月28日 夏日?

今日は中高生と鉱物採集。3月だというのに夏日なんだろうか、まるで5月のように暑かった。Tシャツ1枚でも暑く、それでウロウロさせられるので、想定外の日焼けをしてしまった。3月だというのに。
3月にこんな事態は想定していないので、中高生達は軒並み水不足。冬ならペットボトル1本あれば余るくらいなので、その程度しか持ってきておらず、そしてあっさり飲み干す奴が続出。まあ、そんなことになろうかと、多めに茶を買っておいたので、分け与えてなんとかクリア。
ようやくバス停に出たけど、駅まで歩いても3km程度。歩いて帰る人と、バスで帰る人に別れることになった。が、ほとんどの子どもは歩いて帰ることを選ぶのに驚いた。その理由は、わずか100数十円を浮かせるためということが判明して、楽しくなった。中高生はそうでなくっちゃね。
というわけで、暑い中、さらに3kmほど歩くことに。なんかみんなでごちゃごちゃ言いながら歩いているだけでも楽しそうでけっこう。


●2018年3月27日 落葉樹クスノキ

常緑樹も葉っぱの入れ替えを行うので、落葉はある。クスノキの場合、新緑の季節に新芽を開くと同時に、古い葉の一部を落とす。ただクスベニヒラタカスミカメが蔓延するようになって、少し事情が変わってきている。
どうやらクスベニヒラタカスミカメにひどくやられた古い葉はすべて落とす方針らしい。おかげで、全体的にひどくやられた個体は、古い葉をすべて落としてしまっている。すると、葉っぱのないところに、新芽だけが展葉する光景になる。まるで落葉樹のよう。
新しい葉が開いても、葉っぱの総量は少なめで、中の方がスカスカになる。クスノキで暮らす動物たちに大いに影響を与えそう。たとえば、クスノキで営巣する鳥は減るだろうなぁ。


●2018年3月25日 子どもまつり2018 2日目

今年も無事に子どもまつりが終わり。終わり頃にプログラムは一番こなれ、2日間子ども相手にワークショップを展開した大学生たちは、明らかに成長した。人が成長するのを目の当たりにできるのは素晴らしい。
2日目は6回の公演に、おまけの1回を加えて7回公演をして、参加者は118人。おまけの参加者は数少なく、そもそも午前中の2回の参加者は少なめ、その分午後の回の参加者が多くなった。と昨日以上に多くの人数を受け入れたけど、やはりいずれも予定の30分前後で終わっている。ラップタイムを見てみよう。

1回目(参加者7人、11:00スタート):イントロ5分、お絵描き10分、受け留め3分、エンディング3分、ホチキス留め3分。合計23分。
2回目(参加者8人、11:45スタート):イントロ5分、お絵描き11分、受け留め4分、エンディング3分、ホチキス留め3分。合計26分。
3回目(参加者25人、13:00スタート):イントロ5分、お絵描き11分、受け留め5分、エンディング3分、ホチキス留め52分。合計29分。
4回目(参加者25人、13:45スタート):イントロ4分、お絵描き15分、受け留め6分、エンディング2分、ホチキス留め4分。合計31分。
5回目(参加者25人、14:30スタート):イントロ5分、お絵描き13分、受け留め7分、エンディング2分、ホチキス留め4分。合計31分。
6回目(参加者26人、15:15スタート):イントロ5分、お絵描き11分、受け留め6分、エンディング3分、ホチキス留め6分。合計31分。
7回目(参加者2人、15:50スタート):イントロ4分、お絵描き9分、受け留め3分、エンディング3分、ホチキス留め2分。合計21分。

今日は、お絵描きや受け留めの時間を時計を見ながら調節するのが一つのテーマだったのだけど、やっぱり時間がばらけている。それでいて、概ね30分ほどに納まる。謎だ。
もう一つのテーマは、受け留めをみんなに見えるよう、客側に向かって、できるだけ大きな声で、高く掲げて。声の大きさはまだまだだけど、おおむねちゃんとできていたかと。おかげで、そのシーンが保護者の撮影タイムと化していた。

今日は118名の内、26名が絵にテントウムシを登場させていた。この話を知ってる割合はこんなもんなんだろう。


●2018年3月24日 子どもまつり2018 初日

年度末の週末は、恒例のこどもまつり。子ども向けワークショップのサポートスタッフの大学生のみなさんが、自分たちで子ども向けワークショップを企画・準備・運営。本来のスタッフや学芸員は、それをサポートするだけ。
今年の担当は共生班。今まで3ヶ月ほど見守ってきた成果が試される日なので、あいかわらず見守るだけなんだけど、ドキドキする。朝一番に直前リハーサル。やはりスタッフたちからいろいろコメントをもらって、あたふたと最終調整をして、なんとか迎えた本番。どんなことになるんだろう?てなもんだけど、毎年不思議に思うんだけど、近頃の大学生は本番にめっぽう強い。初回からいきなり、おおむね大過なくプログラムが進む。ちゃんと予定の30分で終わっている。
結局、初日は6回の公演をして、参加者は103人。いずれも予定の30分前後で終わっている。ラップタイムを見てみよう。

1回目(参加者8人、11:00スタート):イントロ6分、お絵描き8分、受け留め3分、エンディング4分、ホチキス留め5分。合計26分。
2回目(参加者20人、12:00スタート):イントロ5分、お絵描き12分、受け留め4分、エンディング3分、ホチキス留め6分。合計30分。
3回目(参加者18人、13:15スタート):イントロ5分、お絵描き10分、受け留め8分、エンディング4分、ホチキス留め2分。合計29分。
4回目(参加者20人、14:00スタート):イントロ6分、お絵描き13分、受け留め4分、エンディング4分、ホチキス留め4分。合計31分。
5回目(参加者23人、14:45スタート):イントロ5分、お絵描き12分、受け留め8分、エンディング3分、ホチキス留め5分。合計28分。
6回目(参加者14人、15:30スタート):イントロ4分、お絵描き16分、受け留め5分、エンディング3分、ホチキス留め3分。合計28分。

イントロとエンディングにかかる時間は最初から割と安定していた感じ。ホチキス留めは、最初は手際が悪かったが、やがて上達して、あとは人数次第だろうか。お絵描き時間と受け留めの時間はけっこう変動していて、お絵描きが長い時は、受け止めが短くなっている。その結果、全体がおおむね30分になってる。これは意図してMCが調節していたのかと確認したら、どうやら偶然らしい。そういえば受け留めは話したい子ども全員に話させていたなぁ。ということは、時間をかけて絵を描いたら、子どもの話したい要求が抑えられるという傾向でもあるんだろうか?

ちなみにプログラムは、アリとアブラムシの共生を題材に、紙芝居をして、途中でアリはアブラムシにどんな貢献をしているのか考えてみよう!と難しいお題で絵を描かせる。その後、たとえばテントウムシがアブラムシを食べに来たら、撃退してくれたりするんだよう〜、と紙芝居の続き(一部人形劇)をするといったもの。最後に描いた絵と、紙芝居のコピーを綴じて冊子に。
103名の内、18名が絵にテントウムシを登場させていた。未就学児中心とはいえ、この関係を知ってる子どもがけっこういるんだなといった感じ。


●2018年3月23日 子ども祭り前夜

いよいよ明日明後日は子ども祭り。4ヶ月ほどかけて大学生たちがつくったワークショップを、子ども達に楽しんでもらえるかが試される。その前日の今日は、3つの班が直前準備。そして出来ればリハーサル。
例年、今年は3斑ともリハまでたどり着き、一つの班は夕方にはさっさと帰ってしまえる余裕ぶり。おかげでリハを見損ねた…。残る2班はありがちパターンで、夕方から会場設営して、さらに打合せをしてからのリハ。例によってダメ出しされて、修正におおわらわ。午後9時にみんな追い返されてた。

足跡班:昼間は、大きな実物大足跡を作る準備をしていた。もうプログラムは固まってる感が強いけど、リハを見損ねたので、担当学芸員にどんな課題を出されたのかは不明。

大阪の生き物班:イントロから、ボール投げて、お題を決めて、展示室で課題をクリアして、帰ってきてハサミで切って地図に貼る。
いろいろ考えてあるけど、回しはぜんぜんこなれていないので、そこを詰めないと子どもが立ち往生するかも。段取りの相談を。そして何より人数が必要なプログラムになってるのに、本番に来れる人数が少ないらしい。スタッフがサポートに入る方向で調整。

共生班:アリとアブラムシを題材に、相利共生の説明からの紙芝居、その途中で続きを考えるお絵描き、で続きをしてからの、冊子を作って解散。
ストーリーはいいとして、子どもへのお絵描きのお題が難しい。アリがアブラムシにどんな貢献をするか書けと言われても、ストーリー性のある絵を描くのは難しい。そして意外にも何を書けと言われているのか伝わりにくい。紙芝居のアブラムシは丁度いいデフォルメで可愛く、真似して描きやすい。でも、アリは難しい。あと、アリがテントウムシを追い払うシーンが説明だけでは分かりにくい。
ってことで、子どもが描きやすくなる設定を考えてもらうことに。そしてテントウムシとアリの対決は、紙芝居から一転しての人形劇の方向で調整中。この手法は面白いかも。


●2018年3月22日 神奈川県のハッカチョウ

生態学会での成果の一つ。ソウシチョウのポスター発表をしてるというのに、はす向かいで発表している方がやってきて、ハッカチョウの話を始める。関西ではどうですか? 聞くと卒論性が神奈川県のハッカチョウを調べたらしい。ちょうど神奈川県のハッカチョウ情報に飢えていたので、いろいろ教えてもらう。こちらからも兵庫県や大阪府の様子を教える。引き続きハッカチョウの調査を進めようかなぁと言ってるので、やれやれ〜、とあおる。
で、話の流れで、話題の卒論を送って下さることになった。今日、さっそく件の卒業研究が送られてきた。繁殖地の分布と環境、ねぐらでの個体数、繁殖調査、直接観察による食性と調査項目は多岐にわたっていて、日本でのハッカチョウの生態のアウトラインがけっこうしっかり描かれている。これは是非、論文にして引用しやすくしてほしい。
繁殖地は、海べりから山手までの4ヶ所に分かれているらしい。海よりに多い感じなのは、ハッカチョウらしい。でも、繁殖地が低密度で点在する大阪や、ほぼ面的に分布ずる兵庫県とは違う感じがする。できれば一度、神奈川県に現地調査に行ってみようかなぁ。


●2018年3月21日 風邪で味が判らん

先々週に風邪をひいた。鼻水出まくるし、咳も出るし(鼻が詰まって口呼吸だからっぽい)、足がだるい。と思ってたら、生態学会大会に行く3日前にはさらにしんどくなって、測ったら37.2℃ど微熱がある。ヤバイなぁと一日寝たら復活。なんとか北海道に旅立てた。
生態学会大会中も、鼻水と咳は出るが、体調は良く、食欲もある。海鮮やジンギスカンを食べる。鼻が詰まってる、というかプールの中で鼻に水が入って痛い状態が続いている感じなので、味が少し判りにくい。それでも、前半は美味しくいただけた。が、後半は味がドンドン判らんくなってきた。
北海道からの帰りのフェリーで、風邪は悪化。鼻水と咳に加え、体がダルく頭が痛い。食欲はあるけど、鼻が痛くて、味が全然判らない。甘いか辛いか以上の味がほぼない。何喰っても甘い辛い以上は同じ味。食欲も失せてきた。
究極のバカ舌になってしまって、食べるのが楽しくない。そのうち治るかなぁ。バカ舌の人って、こんなんなのかなぁ。


●2018年3月20日 太平洋フェリー 苫小牧→名古屋

久し振りの北海道からの帰りは久し振りにフェリーで。苫小牧港から名古屋港までの2泊の中日は、3時間ほど仙台港に滞在する。昔昔、東日本大震災の前には、仙台港に滞在している間は、自由に下船して仙台市内に遊びに行ったりできた。でもあの日、仙台に大津波が押し寄せた時、フェリーはからくも沖合に出て、難を逃れたはず。
仙台港のフェリーターミナルには、その時、どの高さまで津波が来たかが示されている。そんなに高い場所まで来たのか。と改めてショックを受ける。でも、ターミナルにいればなんとか津波は逃れただろう。
大津波の直後、仙台港に寄港している数時間、フェリーから降りれなくなっていた。もし津波が来たら、緊急に出港するかもしれないという説明をされるのが生々しい。フェリーから見た仙台港周辺は、建物が一層されて、瓦礫が積み上がっていて、降りるなと言われるのにも納得できた。
今回、仙台港に着いて驚いたのは、フェリーから下船できるようになっていたこと。ただ、誓約書を書かされる。いざとなったら、放置して出港するらしい。もう一つ、驚いたのは、仙台港のすぐ近くにイオンモールができていたこと。短い時間にお買い物ができるじゃないか。今回は、昼寝してしまったが、この次は誓約書を書いてイオンモールに行ってみよう。


●2018年3月19日 生態学会大会感想戦

久しぶりに生態学会大会にフル参戦した。で、順不同で印象に残った発表を記録しておこうと思う。
ちなみに発表以外で一番印象に残ったのは、札幌はこの季節に雪が降って積もり、かて思うとすぐ融けてビチャビチャ、また凍って滑って。とにかく道が歩きにくい。そのせいか、道に細かい砂利をまく。あと宿がススキノの一画で周囲には、ホストクラブやなんたらパブがいっぱいあったことだったりする。
あと、聞いてはいたけど、街中にカラスが多い。ハシブトガラスが多いけど、ハシボソガラスもけっこう混じる。そのカラスとの距離が近い。ドバトのように足元を歩いていたりして驚く。

というのはさておいて、大会での発表で気になったのは、
鳥関係では、
・オオミズナギドリの雛の20%もの親がつがい外だった例。
・カワウがサギコロニーに入って増えても、アオサギは樹冠で営巣してる例。
この2つは多少なりと知ってる対象なので印象的だった。
・トキがおもに田んぼ周辺でミミズ喰ってる話。
それならどうして絶滅したんだろう?ミミズがすごい減った?
・ツバメの雌の尾羽が長いのも、性選択の結果かも?って話。
思っても見なかった。

哺乳類関係では、
・サケの豊凶がヒグマの体格に影響してるかも、ってのを遺跡の骨格をつかって検討していた。
・アライグマがカメを襲って、ケガしたカメがいっぱい。特にイシガメにとって、かなりしゃれにならない。

外来生物関係では、
・本州からもたらされたアズマヒキガエルが、北海道のエゾアカガエルをこのままでは絶滅においやるかも!って話。
・小笠原に入った外来の陸棲ヒモムシが、在来の小型甲殻類相の多様性を減らしまくってるらしい。
・ヒアリは中国からのコンテナにのって。輸送コンテナって、下側は木の板を敷いてるだけってのも知らなかった。

その他動物では、
・カニムシがネズミに乗っかって移動する話。もっぱら巣で暮らしていて、移動の時に乗るらしい。で、ハタオリドリ類の巣でも見つかってるカニムシがいるとか。日本の鳥の巣にもカニムシがいて、鳥からカニムシが捕れるかも!
・ナメクジの食物への選好性の実験。大ざっぱな実験なんだけど、面白かった。そんなに遠くからナメクジが食物を感知してるのかが気になる。

結局、理論面でなく、面白い現象ばかりを覚えているなぁ。


●2018年3月18日 取り除くか、放置するか、それが問題な外来生物

生態系内で、すでになんらかの機能を持っている場合、取り除くとかえって在来生態系に悪影響があるかもしれない。放置した時の害と、取り除いた時の害を、天秤にかけないといけない。
そこで問題になるのは、間接効果を含めたすべての影響を評価するのは、大抵は無理ってこと。さらに、その外来生物が現時点で果たしている機能は、本来必要なのかという議論も必要。

自由集会「外来顕花植物が在来昆虫類に与えるインパクトとは何か」は、発表自体も興味深かったが、それ聞きながらいろいろ考えるのに適した集会だった。
趣旨説明では「外来植物の光と影」と題して、外来植物が資源として利用されているケースがある。安易な駆除は新たな撹乱につながらないのか?まずは在来生態系の中での外来植物の評価が必要。なんて前振りが行われた。
で、ムラサキツメクサやセイタカアワダチソウが、マルハナバチなどに利用されているというデータが紹介される。利用しているのは判ったけど、取り除いたらどの程度の影響があるのかは示されないのが、趣旨からすると物足りない。
その次は、植食者を介した外来植物と在来植物の間の見かけの競争の可能性。それでは影でしかないから、メカニズムはよく判らないけど、見かけの共生もあるんじゃないかという話。物足りない。
一番印象に残ったのは、コメンテイター役のN濱さんのコメント。要約すると、「元々の在来植物が少ない都市等では外来植物が訪花昆虫にとって重要な資源にもなる。でも在来植物が豊かな森林や半自然草原等では、外来植物は在来種間の関係性を破壊したり、在来植物を追いやったりマイナス面が大きい。」ここまでの発表に必ずしも基づかないけど、そうなんだと思う。とても重要な指摘。


●2018年3月17日 ソウシチョウ分布調査のその続き

今日は久し振りの学会大会でのポスター発表。結局、10人ほどに説明した。人前でしゃべっていると、何を明らかにしたいかが自ずと整理されてきて、さらにデータを取りたくなってくる。
今回はざっとしたラインセンサスの結果をザクッと示しただけ。それで不充分なのは、環境要因との関連。ってゆうか、繰り返し質問された。ラインセンサスコースから読み取るということも可能だけど、あまり質の高いデータになりそうにない。
むしろ、地点を選んでスポットセンサス、プラス環境情報ってところだろうか。それで、ソウシチョウの生息環境をもう少し明らかにしつつ、各地点の環境をそろえた上でのウグイスとソウシチョウの生息状況を明らかにしたい。
なんてことを考えたけど、今年の繁殖シーズンは、ハッカチョウの調査の予定。その上、ソウシチョウの調査なんてできるかなぁ。できないだろうなぁ。でもやりたいなぁ。学会発表は危険だ。


●2018年3月16日 種子散布ネットワークの研究

たまたま食べてた種で種子散布ネットワークの図を作っただけでは、ぜんぜんおもんない。と、そんなネットワークを示してるポスター発表があったので、(おもんないとは言わずに、もっとこうしたら等と)コメントしてたら、それを聞いてたエライ先生から同意頂けた。それを聞いていたエライ先生からも、懇親会で同意いただけた。なんだ、みんな思ってるんやん。もっと指摘して、面白い研究にしていこうよ。
で、何がおもんないかと言えば、いろんな季節の情報をぜーーーんぶまとめて、一つのネットワークの図を作るんだな。下手したら、違う場所の情報を混ぜたりする。でも、種子散布っていうか果実食をめぐる種間相互作用って、周辺の果実の成り具合とか、果実食鳥の生息密度とかによって大きく変化するはず。つまり季節と場所によって全然違ってて当たり前。それをまとめてしまうから、本当の相互作用がなにも見えてこない。
季節ごと場所ごとのネットワークを作成しないと何も見えてこないと思う。どのようなプロセスがあって違ってるのかを議論してこそ面白くなってくるはず。そんなん食物網ネットワークの議論でも、花粉媒介のネットワークの議論でも当たり前でしょう(もしかして当たり前でないとか??)。どうして種子散布ネットワークはこんなに遅れてるんだろう?


●2018年3月15日 国内外来種の問題

来年、外来生物問題がテーマの特別展を企画しているので、今回の生態学会大会でも、外来生物問題を中心に講演やシンポをチェックしている。改めて外来生物に注目すると、それを扱ったものが驚くほど多い。とても注目度が高いのがよく判る。中でも「国内外来種を考える」という企画集会は、インパクトが高かった。北海道のヒキガエルのインパクトは凄かった。小笠原や伊豆など海洋島は国内外来種の問題も深刻。そして淡水魚の国内外来種問題はどうしようもなく深刻。

1題目は「見落とされてきた脅威を暴く〜北海道に定着したアズマヒキガエルのインパクト」
アズマヒキガエルは、本州原産、30年前に旭川に定着し、現在は各地に拡がる。エゾサンショウウオやエゾアカガエル幼生への影響が大きく、とくにエゾアカガエルは絶滅に追いやられる恐れすらある。っていう深刻な話。。本州では、同じようなサンショウウオやアカガエル類とヒキガエルは問題なく共存してることを考えると、共存の歴史って大切なんだなぁ。幸いカエルは長生きなので、対策を急げば間に合うかも。

2題目は、「富士箱根伊豆国立公園伊豆諸島における国内外来種問題」
伊豆諸島の国内外来種は、イタチ、ヒキガエル、シカ。三宅島のイタチはオカダトカゲをほぼ絶滅させ、アカコッコも激減させた。伊豆諸島のシマヘビやオカダトカゲ等は島ごとに分化が見られ、島間で生物を動かすのも問題。

3題目は、「見えない外来種:淡水魚における遺伝子浸透」
淡水魚には国内外来種がとても多い。ざっと62種。その62%が琵琶湖由来。コアユの放流のせい。コイや鑑賞魚の放流も大問題。10種ほどは在来種と交雑する。外見とmtDNAは別種の例とか、日本中に琵琶湖の遺伝子が蔓延しているという。
他産地の個体を放流することで、地元の川のアマゴの姿が変わっていくのを、地元の人が残念に思う状況にはならないものか。あまつさえ、放流個体の生存率は低く、異形交配弱勢で、地元のアマゴをかえって減らしかねないのに。
一方、イチモンジタナゴは、本来の生息地は絶滅寸前。種の絶滅を避けるには、放流されて定着した個体群を守らざるを得ない。クニマスにも似た状況。


●2018年3月13日 生態学会大会の高校生のポスター発表

自分の発表の準備もできたし(実はミスが見つかったが…)、明日からの生態学会第65回大会のプログラムを予習しておこう。と、パラパラのながめてたら、高校生のポスター発表というのがあった。なんと46題もある。会場は北海道なのに日本各地から集まるんだなぁ、すごいなぁ。と思いながらタイトルを見ていくと、なんか不思議な感じがする。外来生物がよく出てくる。単に研究対象として扱ってるだけでなく、外来生物問題を扱ってるとおぼしきものだけで12題もある。対象が外来生物というのを入れたら、さらに2題。タイトルからは断定できないけど、これも外来生物問題を扱ってるんじゃ?というのが、もう1題。およそ1/3もが外来生物な感じ。
どうやら教科書に出てくるらしいのだけど、外来生物問題は慎重に教えないといけないので、かなり難しいテーマだと思う。動物愛護的な可哀想路線にどう対応するか、一方で外来生物は全面的に悪で、滅ぼしてしまえ!も現実的ではない。適切な参考図書を選ぶのも一苦労。先生がかなり勉強しなくてはならない。
そんな中で、実際に野外で外来生物問題を自分で見てもらう機会をつくるのはいいことだと思う。もちろん、そこでの適切な指導は欠かせないけど、本だけの学習よりははるかに妥当なものに近づけそう。
そういう現場ニーズを繁栄しての高校生の研究テーマの偏りなんだろうか?


●2018年3月12日 美しい共生の世界幻想

大学生のサポートスタッフプレゼンツの子ども向けワークショップ「子ども祭り」が、いよいよ来週末にせまった。今年担当の斑は、共生がテーマで、アリとアブラムシの共生を取り上げるらしい。
それはそれでいいんだけど、そこでは

 アリさん「あっ、アブラムシくんがピンチ!」
  アリパーンチ!!
  ハヒフヘホ〜。テントウムシが飛んで行く。
 アブラムシくん「アリさん、ありがとう。お礼に甘い蜜をどうぞ」

てな感じの、まるで※※パンマンのような、勧善懲悪の美しい世界が描かれる。現代生態学を学んだ者としては、なにかしらその幻想を打ち砕きたくなって仕方が無い。
互いに利益を与え合っているというのは、外見的な事実かもしれないが、その背後の事情はもっと複雑で、あるいは身も蓋もない。アブラムシは防御力がない上に、逃げる能力もない。アリが近付いてきても、逃げも追い払いもできない。一方アリは、アブラムシを食べかねない存在。そこで、アブラムシはとりあえず食われないために、甘い蜜をあげてるだけかもしれないのだ。「ありがとう」ではなく「これでご容赦を」ってわけ。ただ、植物の汁を吸って暮らしているアブラムシにとっては、充分なタンパク質などを確保するため大量に汁を吸わざるを得ず、どうせ大量の糖分を排出する必要がある。
つまり、互いが自分の都合で行動する中で、ウィンウィンな着地点が見つかっただけ。美しい共生の世界というより、こんな説明が今風。

プランが固まるまでにそれを言うと、迷いはじめてワークショップ企画が完成しないので、もう後戻りできない時点。すなわち今日、爆弾を落としてみた。
ワークショップの企画自体は同じでも、そうした背景を知っていれば、もう少し奥行きのある説明や対応ができるだろう。たぶん。あるいは、どうしていいか分からなくなるだけかもしれないけど。


●2018年3月11日 琵琶湖のオオバンはどうして増えて、どうして減ったのか? その大阪への影響は?

今日は、名城大学の橋本さんにオオバンの話をいろいろうかがった。東アジア一帯に目を配りつつ、琵琶湖の水鳥相や環境の変遷から、オオバンの個体数の増加を読み解こうとする話は、とても興味深かった。大阪府だけのオオバンのトレンドを見ながらいろいろ考えてたけど、琵琶湖や日本全体、東アジア一帯と連動させて考えると、視野が広がるなぁ、と改めて思った。

まずは少し前までの琵琶湖の話。琵琶湖のオオバンは、1990年代から2000年代にかけて激増。ってのはみんなが感じてるけど。その陰に隠れぎみだけど、多くのカモ類も増えてる。草喰いが増えるだけでなく、貝喰いも増え、でも魚喰いは減ってる感じ? 沈水植物群落の発達など、環境や食物との相関ははっきりいないが、ザクッとまとめて草喰いの水鳥が増加。
ちなみに、2015年以降、琵琶湖に一番たくさん浮いてる水鳥は、圧倒的にオオバン。ついでキンクロハジロ、ヒドリガモ、ホシハジロ。オオバンを含め水鳥が多いのは、湖北野鳥センター、琵琶湖博辺り、新旭野鳥センター。
そして、日本各地のオオバン個体数のトレンド。端的に言えば日本中どこもオオバンが増えている増えてる。東京湾岸や浜名湖とか海水でも問題ないらしい。そんな中、なぜか手賀沼では減ってる。これは手賀沼固有の環境要因のせい?
日本でオオバンが増えるのとほぼ同時期に、中国のオオバン越冬地のオオバンが減ってるらしい。だから日本全国でのオオバン増加に、なにかしら中国での状況が影響している可能性がある。もちろんオオバンの世界個体数の増加もあるかもしれない。
ちなみに九州のオオバンはハンカ湖との行き来が複数確認されてるという。中国との行き来の可能性を示す事例となってる。
一方、琵琶湖南湖の烏丸半島のオオバンは、大量にいたのが、2016年にハスが枯れてから、ほとんどいなくなったそう。それもあって、琵琶湖のオオバンは、2015年度がピークで、その後の2年は減少した。

京阪神では、2010年代にオオバンが増えたが、2017年頃からさらに増えた。以上の情報から推測すると、最初にオオバンが増えたのは、日本全体で起きている現象で、おそらく中国南部や韓国の越冬地からの引っ越してきた可能性がある。この2年ほど京阪神でさらにオオバンが増えたのは、琵琶湖で越冬していたオオバンが京阪神に散ったからではないだろうか?
桂川のオオバンは2016年度から増加。琵琶湖のオオバンが移動してきたと考えれば辻褄が合う。でも大阪府では2015年度から増加した。琵琶湖からの移動だけでは説明しきれない。さらにどっから来たのかな?


●2018年3月10日 連載企画 大阪都市鳥列伝ほか

鳥のサークルの事務局長をやっていて、隔月で12ページの会報を出さなくてはならない。もちろんクオリティコントロールは大切だけど、追い詰められると、とにかく12ページをいかに埋めるかという話になる。
毎回ページを埋めるだけの原稿を集めるのは大変。一番いいのは誰かに連載してもらうこと。毎回何ページかが確実に埋まるのは大きい。ともあれ、埋まらないページは自分で埋めることになる。埋めるにはネタがいるのだけど、毎回新ネタを考えるのは大変。ってことで、自分でも連載をしてみると少し楽。どんな感じのを書けばいいかが決まってるだけでも楽。
で、今は不定期に「手持ちデータを整理」って連載しているんだけど、データを引っ張り出して断片的でも整理しないといけないので、けっこう面倒。ついでに整理したのを、なんとかつまみ食いしている状態。そして、今回「瀬戸内海岸の水鳥調査紀行」という連載が、7回で終わってしまった。
なんか新しい連載考えなくては。

「手持ちデータを整理」みたいにデータ整理のような準備に手間のかかる連載は、一つで充分。調べ物をしまくらないといけない連載も大変。できれば「瀬戸内海岸の水鳥調査紀行」のように、経験をそのまま文章にするだけで済むのがベスト。というわけで、いつかはやりたい「大阪府鳥類誌 繁殖鳥編 改訂版」とか「大阪府鳥類誌 越冬鳥編」は、とりあえずパス。
そういえば、1回書いただけで立ち消えになってる連載(連載してないけど…)に「鳥のくらしのコラム」と「鳥についてのFAQ」がある。この2つが立ち消えたのは、テーマが曖昧過ぎて、何書くかを一から考えないといけなくて面倒だから。
で、思いついたのが「大阪都市鳥列伝」。都市鳥について書いた本がときどきあるけど、それを読む度にもっと面白く書けるのにとか、大阪の実情とは違うなとか思う。都市で繁殖する鳥を中心に大阪の都市での生態を紹介する。これなら、1種ずつ選んで書いていくだけ。自分の経験に基づいて書くだけなら、割と簡単。少しくらい引用してもいいし。なかなか手頃な連載企画な気がする。

もう一つ思いついたのは、「『鳥類学辞典』補完計画」。項目ごと執筆者ごとに書いてる内容・分量の偏りが激しいと評判の悪いこの辞典。もうちょっと書けるやろ〜、という項目を勝手に補足してあげようって企画。なかなか面白そうに思うけど、ちょっとは文献を調べないといけないからなぁ。何かを調べたついでがある時に、書いてみるならありかと思う。
一気に連載を2つ投入か?


●2018年3月9日 ザットンの輪郭

ザトウクジラの輪郭を描いてもらうんだから、と、タナティーにザトウクジラを上から見た図を探してもらい。全長と尾ビレの幅と前肢の長さの数字とともに、業者さんに送る。さっそく送られてきた図面を見ると、なんか違う。そうか前肢がどの程度開いているかとか、鼻先から前肢の付け根までの長さとかの情報もいるんだった。前肢の開き具合は、吊り下がってるザットン自体のポーズの問題なので、実物をはかりに行く。ハンカチ落としをしている幼稚園児の横で、メジャーを片手にウロウロ。


●2018年3月8日 抱卵斑のお勉強

明日はプレビューで、明後日からいよいよ特別展「恐竜の卵」が始まる。恐竜の卵がいっぱい並んでいて、どれも赤っぽい石の中に白っぽい丸い感じのが埋まってる。と、見た目が単調で、これで大丈夫なんかな?と思うけど、それはさておき。
この特別展では、恐竜が抱卵するという話が登場して、あまつさえ抱卵している恐竜の模型まで展示されてる。その胸にはっきり抱卵斑があるんだな。

恐竜が抱卵するってことが、そもそも本当に証明されてるのか疑ってるけど、抱卵斑があるって根拠がさらに疑ってる。抱卵斑の解説を書いてくれと言われたけど、現生の鳥の抱卵斑なら書けるけど、恐竜の抱卵斑がそれと同じとは限らない(そもそも存在を疑っている)ので、と断った。
そもそも地上の巣に10個以上の卵が並んでいるのに、1個しか温められないサイズの抱卵斑ってなになん?

解説は断っても、抱卵斑についての質問は来る可能性があるので、鳥の抱卵斑について勉強しておかないといけないなぁ。

ちなみに展示で一番興味深かったのは、エピオルニスの全身骨格の復元模型。胸骨が左右に分かれる勢いで、そもそも小さい。そして前肢がすごい下の方に付いている。この復元正しいのかなぁ?


●2018年3月7日 大和川下流部でオオバンが増えたのは、2015年度の冬から

1994年5月から毎月、水鳥をカウントしているので、データはたくさんある。でも、その整理・入力が進んでいないので、あまり活かせてない。で、今日は、2016年1月頃から大和川下流部のカウントでオオバンが出るようになったので、その少し前からのデータを入力してみた。ざっと2年分。なかなか面白い。
とりあえず、オオバンは2014年度の冬にはおらず、2015年度以降は毎年冬に記録されるようになっている。ざくっと言えば、11月下旬から出現して、4月頃までいる感じ。きれいに繁殖期に不在になるので、琵琶湖方面からやってきてるのかも。


●2018年3月6日 遺贈の勉強会

今日の午後は、遺贈の勉強会があると思っていたら、「高齢者社会と資料保全」の研究会だった。後半は確かに遺贈の勉強をしたが、前半は博物館が資料をどんどん受け入れるにはスペースも時間も人手も足りないという叫びが聞かれた。それはさておき、遺贈の話である。考えれば当たり前なことも多かったが、けっこう勉強になった。

遺贈寄付を受ける場合に知っておくべき3つ。相続人の遺留分を侵害してないか。侵害してたら返す事になる。現金か現物か。現物は寄付時点の評価額の含み益で課税。特定遺贈か包括遺贈(割合等で指定)か。包括遺贈には負債も付いてくる。連帯保証人とかが怖い。
公益法人の場合、大きな遺贈がくると、収支相償を満たせなくなる恐れ。それを避けるには、寄付者側に使途を指定してもらう。認定NPO法人の場合は、寄付の70%以上を事業費に使わないとダメ。対策は、理事会で使途を定めて特定資産に計上する。
遺贈を呼び掛けるには。使い道をはっきりさせるのが重要。具体的に。寄付者のためにできることを示す。感謝状とか。手続きを書いておく。公正証書遺言に、団体の正式名称をきちんと書いてもらう。1文字間違ってたら、もらえない。法人格のある団体への遺贈分は、相続税の課税対象にならない。
国境なき医師団調べ。寄付先を決める際に考慮することトップ3。営利目的でないこと、資金の使い途が明確なこと、活動内容に共感できること。団体が有名かどうかは必ずしも上位ではない。
どれだけ債務があろうと、特定遺贈は債務者よりも優先される。たくさん債務がある人が、標本を無事に次世代に残したい場合に、有効なケースがありそう。標本に値段がつかなくても特定遺贈はできる。

年食ってるから、未婚だから、子どもおらんし、遺贈したらいいのに。他人事なら、そう思うが、自分が言われたらムカッとしそう(実際に言われてムカっとしたことあるし。おまえには絶対に遺贈せん、と思った)。好きで未婚でも、好きで子どもをつくらんかった訳でもないとか。人の気持ちのセンシティブな部分に触れかねないので、特定の人への呼び掛けにはよほどの注意が要りそう。


●2018年3月4日 某市の生物多様性地域戦略策定における問題点

今日時点で、日本全国の政令指定都市20のうち、17都市で生物多様性地域戦略は策定されており、残るは大阪市、千葉市、広島市の3市だけらしい。その大阪市では、現在パブリックコメントを募集しているところ。という段階の今日、「都市の生物多様性地域戦略」というシンポジウムで、パネルディスカッションにパネラーとして登壇させられた。与えられた使命は、某市の生物多様性地域戦略を批判せよ。
みんなの前で、真っ向から批判するなんて喋りにくいなぁ。などと言ってたのに、思わず本音をいっぱい喋ってしまった…。よほど思うところがあったんだろう。大阪市関係者がいませんように。

大きな批判ポイントは、
・策定の体制:委員会には生物多様性のことが分かる人が入っていたが、叩き台を作る事務局サイドに生物多様性のことが分かる人が事実上いなかった。一番分かっている自然史博物館は表だって関われなかった。
・オール大阪の協力体制:策定の担当部局は意欲をもって取り組んでいたが、他の部局のやる気は低かった。生物多様性保全のために新たな取り組みをする気はまったくなくて、既存事業を戦略のどこに位置づけるかだけが問題になっていた。

幸か不幸か今回の地域戦略は次へのつなぎの色彩が強い。次に向けて、今回の地域戦略について、市民からの批判の声をたくさん挙げてもらうのが肝心だろう。という議論になっていた。


●2018年3月3日 この20年の大阪市内で繁殖する陸鳥の変遷

この20年ほどの間、5年ごとに大阪市内の広めの公園の鳥を繁殖期に調べている。ハシブトガラスやシジュウカラは記録される公園は、この20年の間に随分増えた。コゲラやエナガも増加傾向だけど、シジュウカラのようにブレイクはしていない。ブレイクしたかと思ったメジロは、ここ2回ほど頭打ちどころか減少傾向。どうしてなのかよく分からない。そして、0年前にはいたモズやセグロセキレイはすっかり姿を消してしまった。
この20年の間にも、大阪市内の公園は、木々が成長して、林が立派になってきた。これが森林生の鳥の増加をもたらしていると考えるのが普通だろう。まだ記録されては姿を消すような状況で、この調査には引っかかってないけど、ヤマガラやキビタキも大阪市内での繁殖記録が出てきた。森林生ではないけど、イソヒヨドリが進出してきたのも、この20年の大きな変化。今回の調査では、公園の調査でもイソヒヨドリが記録された。

次の20年。林がますます充実してくるなら、キビタキやヤマガラはもっと広く大阪市内で繁殖するようになるだろう。その気配は、大阪市周辺の市街地の公園の動向にすでに現れてきている。エナガのブレイク、コゲラのさらなるブレイクはあるのかも、注目されるところ。
あと20年なら調査を続けられるかなぁ。


●2018年3月2日 ザットンを吊り下げる 2日目

今日は、午後1時に取材が入ってる。そのタイミングで吊り上げ作業ができるかが、一番の焦点。あまり作業が早く進まないように。と思って出勤して、ふと外を見ると、もう作業を始めてる〜。

最初の1時間は、取り付け金具の準備。と同時に足場の上で、金具にペンキ塗り。
<その時、私は呼ばれてザットンを吊り下げた時の位置決め>
<ちなみに萌蔵は朝一番で、タイムラプス撮影をするカメラを設置>

午前の残る2時間で、6パーツに分かれていたザットンは3パーツになり。天井の鉄骨に吊り下げるためのワイヤーを取り付け、吊り上げるためのチェーンブロックがセットされ、ザットンの方にもチェーンブロックを取り付けるための綱が取り付けられた。
<私はというと、マスコミ対応があるから早めに昼食を喰っとけと言われて喰った>

昼休み
<マスコミ3社が早めに到着。広報担当さんとなんとなく言い訳をして作業再開を待ってもらう>

まずは、上の鉄骨に揺れ止めの金具の取り付け。それから胸郭、下半身の順でチェーンブロックで支えながら、台の取り外し。そして胸郭と下半身を接続。そのまま上へ吊り上げる。胴体の高さをだいたい決めてから、頭を吊り上げ、胴体と接続。それが午後2時半頃。
<とここまでは、なんにもすることがないので、見守るだけ。スタッフが次々と出てきてギャラリーに加わる。通りがかった来館者も見ているので、頭が上がる頃にはギャラリーが30人ほどに>
<ここからが私の今日一番の仕事。高さとポーズを決める。頭の高さを隣のマッコに揃えてもらう。最下端が約3m。前肢の最下端もほぼ同じ高さに。頭は少し下げて頭上部が見えるように。っていうので、文句がないかギャラリー達にも確認。異議はなかった>

高さの調節が終わって、午後3時の休憩。
休憩後、約1時間半でワイヤでの固定が完了。
<その頃私は、閉館時刻を見計らいつつ、囲んでいたパーティションを回収。ザットンが載っていた台は、業者さんが処分してくださるとのことなので、その金具だけもらっておく。元々この金具はマッコに使ってた奴。また次にクジラが来て組み立てた時に使おう>

そして揺れ止めのワイヤーを4つの柱に固定し終わったのが、午後6時20分。
<その間、私はとくにやることもなく、でも落ち着かなく。時々現場に出向いては周辺をウロウロ。ワイヤーが邪魔になってたりしないかチェックする程度>

片付けをして、トイレに行って、さあ撤収かと思ったら、作業してたみなさんがスマホやデジカメでいろんな角度から撮影大会。成果物の画像をあまり持ってないねん的な発言があった。でも他の人は記念写真かなぁ。
で、午後7時に撤収。
<なんとなく作業が終わった感じなのを見て、私はお見送り。お疲れさま〜。また次のクジラの時もよろしく〜>

ちなみにスタッフは、下準備の昨日は5人で車が3台。実際に吊り下げた今日は7人で、午後から社長がやってきた。


●2018年3月1日 ザットンを吊り下げる 1日目

今日と明日の2日間で、ザットンことザトウクジラの全身骨格をポーチに吊り下げる。ナガスケとマッコに並ぶわけ。実際にザットンが吊られるのは明日で、今日はその準備作業。吊り下げるための鉄骨を屋根に取り付けたりする。

朝一番で、トラックとワンボックスと軽自動車の3台が到着。さっそく現場であるポーチに入ってもらって荷物を下ろす。荷物を下ろした車は、博物館の裏へ移動。
<その頃、私はザットンを2階のネイチャーホールからポーチに運ぶルート上に、置きっ放しになっている荷物を移動させる作業>

ついで、足場のタワー2台の組立作業。
<その頃、私は作業エリアの周囲を、パーティションで囲む作業>

足場を組立終わった。
<と、その時、私はネイチャーホールに呼ばれて、今日からの「恐竜の卵」展の設営に邪魔だから、ザットンをどけるように言われる>
仕方が無いので、急遽ザットンをネイチャーホールから下ろす作業。頭と前肢を取り外して、エレベーターになんとか乗せて、建物のつなぎの部分の渡り廊下を通して、ザットン6ユニットをポーチへ運ぶ。
<その時、私は作業の手は足りてるので、見守ったりドアを開けたりするだけ…>

昼休み

午後は4時間ほどかかって、ザットンを吊り下げるための鉄骨を、天井に取り付ける作業。
<その時、私はもう手伝うことがないので、窓から作業の様子を随時眺めて、時々現場に行ってみたりするだけ。おもなお仕事は、明日の吊り上げ作業が何時頃になるかを確認すること。取材希望がきてるもので。で、取材は午後一番に来るので、午前中に吊り上げ作業が終わってしまわないでね、と念押し>


●2018年2月28日 2018年2月のまとめ 大物の皮と戯る一ヶ月

先月末にやってきた大物くん。ホネは砂場にセットしたらおおむね放置なのだが、皮の方はいろいろ面倒。小さめのは塩水に浸け、大きいのには塩を擦り込み。もういいかなぁ、となったら、天日干し。雨がいつ降るかが気になって仕方が無い。雨が降りそうならカバーして、大丈夫そうなら、適宜裏返したり折り曲げたり。シラスや昆布を干してる漁師さんの気持ちがよく分かる。そんなこんなで一ヶ月、おおむね乾いたけど、まだもう少し干したい感じ。余裕があれば皮の内側を削って綺麗にしたい。
そんな1月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事完了。木の実チェックは終了し、カラスの巣チェックがスタート。なんとなくセンサス調査は継続。

標本作りは、ホネホネ団の通常の活動日以外に、行事で2日鳥の皮剥き。
先月に引き続き、トリ先生にお願いして、廊下に積んであったホネや仮剥製を整理・登録。片付いたのから、収蔵庫へ。
名古屋方面からのホネの寄贈は、まだ継続中で、まだ継続する。たまっていたのの半分をやっと冷凍室に入れた。

普及行事は、友の会バックヤードツアー2日と友の会月例ハイクと、友の会関連が中心。
博物館実習対応もなかったけど、中学生の職業体験対応が1日。講演や査読は、なし。原稿はやはり書けてない…。

とまあいろんな出来事があった中、今月もけっこう本を読んだ。自然史系4冊と、SF17冊。
今月も完全休養日を2日確保できた。(説明しよう。完全休養日とは、職場に行かず、調査や行事、委員会、学会など講演会にも出かけなかった日のことである。基本的には家でゴロゴロして本を読んでる)


●2018年2月27日 カツオクジラの話を聴いたら…

今日は、タナティーがカツオクジラの話をしていた。今里標本と呼ばれている頭骨が、カツオクジラと同定されて珍しい珍しいと盛り上がった。あの話。
タナティー的には、現時点でそんなに大きな成果ではないと、再三繰り返していた。

とはいえ、日本でカツオクジラの記録は13例。標本が残っているのは、今里標本を入れても6例。そういう意味では珍しい。
で、その話で一番ショッキングだったのは、日本でカツオクジラが記録された地点のプロットを見たとき。家島にプロットがある。これって2009年のあれやんなぁ。あれってカツオクジラやったんかぁ。そうかあ、そうやったんかあ。ほんでカツオクジラの標本は、頭骨だけのを入れても日本に6つだけかぁ。

その他、カツオクジラがミンククジラやニタリクジラと誤同定されまくりの話も興味深かった。カツオクジラの学名が献名された、ニタリクジラの専門家までもが間違っていたとは…。
そういえば家島のもニタリクジラという話だったよなぁ…。

あの時は、ホネ展の直前で忙しくて、とても回収に行ける状態ではなかった。で、浜に埋められたはず。その後、浜を掘り返して回収しようという話も持ち上がったが、先方はユンボも用意してくれるという話だったが、なぜか立ち消えに。
その後、ニタリクジラには縁がなく、残念に思っていたが、今日カツオクジラの話を聞いて、より一層残念に思う。あれから9年、もう砂になってしまってるだろうなぁ。


●2018年2月26日 猫の誕生日

今日は仲が良かった猫の誕生日。生まれて3ヶ月の頃知り合って、2年ちょっと仲良くしてたけど、もう逢えない。
晩ご飯にブリのアラを焼いて喰った。骨あげたら喜んだかなぁ。

猫と暮らしたいけど、まだ別の猫と仲良くなる気分にはなれず。生き物の世話は下手だし、独りで飼えるかも疑問。仲良くはなれるんだけどなぁ。
いつかまた。は、あるんだろうか。

夜、遊び相手もいないので、やたらと本が読める。


●2018年2月25日 子ども祭り中間発表会2018

3月末の週末に予定されている子どもワークショップ企画、子ども祭り。大学生のサポートスタッフが3班に分かれ、自分たちで子どもワークショップのプログラムを企画、準備、実施する。一年の総決算的なイベント。で、今年も本番約1ヶ月前の今日、中間発表会があった。準備の最終段階に入る前に、他の班のメンバーやスタッフに、プログラム案を見てもらって意見をもらうというもの。
一昨年から始まったが、ここでの意見で方針を大きく転換することもある大きな節目。そして、いっぱいコメントをもらって、混乱したまま一夜を明かしてもらう日でもある。午後6時から、3つの班がそれぞれ現時点でのプランを実演。コメントをやり取りして、最後に各班で今後の方針転換について話し合う。午後6時に集合して、2時間半もやってた。
今回特筆すべきは、3つの班がすべてクイズを取り入れ、参加者にシールを貼ったシートを持って帰ってもらうプランだったこと。なんて多様性の低いこと。

共生班(喰う喰われる班改め)
たとえば共生関係にあるアリとアブラムシを登場させて、アリはアブラムシに甘い汁をもらいます。それではアブラムシはアリに何をしてもらうでしょう?てな問題を出すらしい。この企画の問題は、自由な発想を愛でる設問ではなく、明かな正解があること。間違えた子にどう対応するかが難しい。間違ってるのには間違ってると言わざるを得ない。あるいは間違ってるかどうか判らない回答にどう対応するかは、かなりの知識が必要。
クイズ形式って難しいんだよ。

身近な自然班
クイズカードを引いて、展示室に行って、展示をみて答えてもらおうという企画。この場合の問題は、字を読めない子どもにどう対応するか。クイズカードを読めなければ、展示の解説も生きものの名前も読めない可能性がある。それにどう対応する? 未就学児が多い子どもワークショップでは、字が判らなくても大丈夫な企画が望ましい。
だからクイズ形式は難しいのよ。

古生物足跡班
古生物の全身骨格の特に足を観察して、どんな足跡になるかなというクイズをしてもらうという企画。3つの班の中では、一番クイズをする必然性が高いと思う。正解を出させるというより、正解に迎えるようなヒントを上手に出すのがポイントかと。


●2018年2月23日 読書サークル 第96回会合覚え書き

隔月で、課題本の紹介文を持ち寄って、本についてあれこれ言い合うサークル。今日の会合で出た本についての意見を記録。

今日の課題本は7冊。2冊繰り越しになったので、5冊についてあれこれ話し合った。
ちなみに各人は紹介文を書いてきていてて、4つを最大として★を付けている。

●「宮澤賢治の地学教室」
(紹介文4つ、平均★数は2.8)
 宮澤賢治の小説を抜粋して紹介しつつ、それに絡めたり絡めなかったりで、地学を紹介。登場人物の教育テレビ風やり取りを除くと、高校生向けの教科書っぽい。宮澤賢治ファンからの風当たりが強かった。抜粋するなんてもっての外らしい。

●「わが家は、野生動物診療所」
(紹介文3つ、平均★数は3.3)
 目の前の動物の命を救うストーリーなので、素直に読めば評価が高くなる。しかし、人と野生動物との関わりを真面目に考えるなら、単に目の前の動物の命を助ければいいのか?という疑問が出てくる。そして、著者自身が付録の中でそういう主旨の発言をしているのが不思議。そういう目で本文を読むと、出てくる事例は、目の前の動物の命を助けて自己満足しているだけの事例ともとれる。子ども向けの絵本で深読みを求めることの是非が問題となった。

●「水辺の番人 カワウ」
(紹介文4つ、平均★数は2.8)
 近頃は悪者にされがちなカワウの生態、かつて絶滅が危惧されたこと、生態系の中での機能を紹介しているという部分は評価された。が、羽根が濡れる理由、木にとまれるわけ、ねぐらへの戻り方、絶滅危惧の状況など、解説文の問題点が指摘された。じゃあ写真集として見ればいいかと思いきや、なぜかボケた写真がやたらと多い…。

●「生痕化石からわかる古生物のリアルな生きざま」
(紹介文5つ、平均★数は3.0)
 マイナーな生痕化石を紹介しようという意図は評価が高かった。でも、5人中4人は、生痕化石から分かることをもっと色々突っ込んで紹介して欲しかったらしい。1人は、このくらいでちょうど良く楽しめたとのこと。少なくとも初心者にはオススメの一冊と言っていいらしい。あと著者のビジュアルの評価も高かった…。

●「ボクが逆さに生きる理由」
(紹介文4つ、平均★数は3.0)
 コウモリのあれやこれやがいっぱい載っていて、みんな楽しく読んで、それぞれにお気に入りの蘊蓄を仕入れた模様。そして誰もが、飛翔の仕組みを多少なりと読み飛ばしたらしい。


●2018年2月22日 貝の鳥散布

要は、鳥がけっこう貝を運んでるんじゃないかという話。こんなことを考えたのは、先日の呑み会でのこと。屋上ビオトープにドブシジミが出現したんだけど、これって鳥が運んだんとちゃうかなぁ。と某大学の准教授さんが言ったのがきっかけ。ドブシジミって、小さくて固くって、なかなか消化されにくそう。そういえば、ドブシジミは2年続けて同じ場所に発生しない、などと図鑑に書かれたりするほど、生息場所がふらつくらしい。これって運ばれては発生を繰り返してるからなんじゃないのか?という説。
水鳥の足とかに付いたりするよりも、喰われて運ばれる可能性で盛り上がった。思い付く散布者は、カルガモ、セキレイ、ハシボソガラスとかだろうか。とりあえず生きて糞から出るか実験?

そういえば、北摂方面のため池や湿地に生息する水辺の生物調査の結果を眺め時も、こんな孤立したため池に、どっかから魚や貝が来るのが不思議だなぁ。と思った。自然状態でため池からため池に貝を運ぶ有力候補は、やはり鳥かも。この説の大きなネックは、山間部の小さなため池にはそもそもほとんど水鳥が入らないこと。せいぜいカルガモかサギ類? 一番よくいそうなサギ類は、あまり役立ちそうにないなぁ。


●2018年2月21日 草地環境保全のために

スキー場やゴルフ場に続き高速道路沿いも活用できるだろう。って話を昨日した。
かつては自然破壊の代名詞だったスキー場やゴルフ場も、近頃は近年日本で減少著しい半自然草地としての価値が見直されてきている。実際、スキー場にけっこう貴重な草本が生えているのは今や当たり前。ゴルフ状も、農薬の種類を考えて、使用を限定すれば、生物多様性保全に貢献できるという話が普通に語られるようになっている。
だとしたら、高速道路である。高速道路に法面はつきもの。そこは何かしら草地になっている。平地から山地まで、さまざまな環境に、帯状とは言え馬鹿にならない面積の草地をつくりだしている。今のところ、外来生物を中心に吹きつけが行われていたりして、外来生物問題が引き起こすマイナス面の方が目立つけど。ここに生物多様性保全の意味を付加して、真っ当に環境をつくりあげていけば、草地の生物多様性保全に多いに貢献できるに違いない。というわけで、関係者のみなさん、よろしく。


●2018年2月20日 大阪府で一番多い鳥

とある席でつまらない話をしていて、なぜか大阪府で一番多い鳥はなんだろう?という話題になった。ツバメかムクドリかスズメじゃないかと思うのだけど、どうかな? 根拠らしきものと一緒に考えると、けっこう面白い。
とりあえz、どこにでもいる普通種か、大きな集団を見ることのある種を考えればいいだろう。

カモメ類で一番多いのはユリカモメだろう。大阪湾岸のがたまたますべて大阪府にいると仮定すると。2000年冬に大阪湾岸のカモメ類をカウントしまくった時の合計数は約1万羽。その後、ユリカモメは大幅に減っているから、1万羽は超えない。
カモ類で一番多いのはホシハジロで、大阪府のカモ類のざっと半分はホシハジロと言ってそんなに間違ってない。毎年1月にカウントされている大阪府のカモ類の総数は、年によって違うし、調査地点も一定ではないけど、ざくっと多い年で5万羽程度? 多めに6万羽として、その半分は3万羽。これを超える水鳥、ってゆうか非スズメ目はいないだろう。

スズメ目で多そうな種は、集団ねぐらをつくってくれるので、そのデータを思い浮かべよう。
ツバメは、大阪府内に集団ねぐらが、北部に2ヶ所、中部に1ヶ所、南部に普通は2ヶ所ほど。北部の淀川鵜殿は多ければ3万羽ほど、赤阪下池は1万羽ほどとして、残る3ヶ所に集まるのが、5千羽、1万羽、5千羽としたら。大阪府の集団ねぐらに集まるツバメの個体数合計は、約6万羽。これを超える可能性があるのは、スズメかムクドリしかないに違いない。
ムクドリの集団ねぐらは充分に把握できていないけど。2014年秋に大阪府内のムクドリの集団ねぐらを大ざっぱに調べた限りでは、1万羽クラスの場所が2ヶ所、7000羽クラスが1ヶ所、3000羽クラスが4ヶ所、2000羽クラスが2ヶ所、1000羽クラスが5ヶ所見つかった。これを合計すると4万8千羽。捕捉率がよく判らないけど、80%としたら、大阪府内にムクドリは約6万羽ということになる。ツバメと引き分け。
スズメの集団ねぐらの分布と規模はさらに把握できていない。適当に小学校区1つにスズメの集団ねぐら1つとして、一つのねぐらに 200羽集まると適当に仮定。大阪府内の小学校は約1000校なので、単純計算したら大阪府内のスズメは約20万羽。半分でも10 万羽。
だとすると、大阪府で一番多い鳥はスズメに決定だけど、スズメの個体数推定はいい加減過ぎるからなぁ。


●2018年2月19日 ため池のユリカモメ

先月はあちこちにいたのに、今日はさっぱりいない。どうしたかな? そもそもここ数年、ため池に入るユリカモメはほとんどいなかったのに、先月いた方が不思議。今月に関しては、そろそろイカナゴシーズンで、大阪湾岸のユリカモメは明石海峡周辺に集まりつつある季節。そちらのモードにシフトしたと考えるのが自然かと。だとしたら、先月ため池に入っていたのも、海に食べ物が少なかったから、と理解したらいいのかな?


●2018年2月18日 100人で シカの観察 奈良公園

今日は博物館友の会の行事で奈良公園へ。参加者は111人。なかなか大変。でもそれを見越して、スタッフも4人ほどはいる。
奈良公園ということで、本当はシカを間近にじっくり観察するつもりだった。しかし、100人近くでシカを観察しようとすると、シカを取り囲むようになってしまう。シカがビビるか、大勢の人でシカを追い立てるかのようになり、うまく観察出来ない。仕方ないので足跡とか糞とか毛を説明してみたり。けっこうシカの毛が拾えて、それはそれでよかった。大量に袋に集めてる子がいた。
リスのエビフライポイントでは、リスのエビフライが大量に見つかった。拾いたい子どもはだいたい全員見つけられたと思う。下見ではさっぱり見つからなかったのに、目が多いと違うなぁ。
はねはね団のみなさんが来てたのもあって、ひたすら羽根を拾ってる子どもが目立った。カルガモ、ドバト、キジバト、アオバト、ハイタカ、カラス、ヒヨドリ、メジロ、トラツグミ、シロハラ、ルリビタキ、スズメ、ハクセキレイ等。子どもはすごい。ルリビタキの小さな青い羽根まで見つけてくるし。アオバトの羽根にいたってはいっぱい見つかってた。
周囲に何故か子どもがいっぱいいて、ずっと話をしてるので、鳥を見付けるのが大変。前半はろくに見つけられなかったが、春日野辺りでなんとかニュウナイスズメとレンジャクが出て一安心。レンジャクは赤も黄色も見られた。個人的にはエナガやメジロがナンキンハゼ種子の白いのをこそげて食べにに来てるのが面白かった。
昼間の部が終わった後、希望者だけ再集合してムササビ観察。昼間の部の半数ほどが参加した。巣が判ってる場所で待ってたら、予定通り出てきたが、その後鳴かず飛ばず。30分以上待ったが、寒いので飛ぶのを見るのは断念して解散。全員姿は堪能したから、良しとしよう。


●2018年2月17日 枝を立てる文化の観察

今日は、高槻市の原から摂津峡を経てあくあぴあまで歩いた。原はすっかり枝を立てる文化圏に取り込まれていることか確認された。
鳥を探しながら原の集落をフラフラ歩いていると、真ん中を流れる芥川に行き当たった。なにかいるかなと思ったら、遠くの方にクサシギがいる。見ると、その近くに望遠レンズを付けたカメラをかまえるおじさん。そこまで行って、近くからクサシギが見れてなかなか良かった。が、カメラマンはまるでクサシギを無視。カワセミ待ちをしてるんだった。
そのオジサン達が、カワセミに止まらせるために河原に枝を立てている。見渡すと、10本以上の枝が立ってる。枝にとまった同じようなカワセミの写真を、みんなで繰り返し撮るってことだろうか。その前をクサシギがうろうろしてても興味無し。何故そんなにカワセミが好きなのか不思議。
河原に枝を立ててる風景とともに、枝にくるカワセミだけを待ち、それを撮影する。1つの文化として確立してる感がある。身近な異文化だけど。さほど交流したくもないけど。

その後、芥川沿いを歩いていくと、河原のあちこちに、異文化の住人達が立てたと思しき枝が見つかる。枝の有無をチェックして記録していけば、異文化圏を明らかにすることができそう。


●2018年2月16日 アカエリカイツブリ顛末記

アカエリカイツブリと言えば、大阪人にとっては憧れの鳥の一つ。大阪湾にはなかなか入らないので、なかなか見られない。見られたところで、地味な鳥。なーんやこんな鳥か、と思ったり。なんか大きめのカイツブリで、カンムリカイツブリと違って汚いから、きっとアカエリカイツブリなんだろうなぁ、と思われたり。なかなか評価はされないが、ライファーには違いなかったりもする。
ちょいと調べてみると、最近の記録は、
 1986年1月15日 堺市7-3区埋立地
 1994年3月26-28日 岸和田市久米田池
 2006年1月13日 泉南市座頭池
 2012年4月1日 大阪市大阪城公園
 2013年3月28日-4月4日 泉大津市汐見埠頭
 2016年3月5日 泉大津市汐見埠頭
と過去40年ほどでこんだけしかない。
そんな鳥が届いたら、どうする? それも死にかけの状態で。そらもう、貴重な記録を標本で残したいと思うだろう。でも助かるなら助けなくては。標本と生存の間で揺れ動く心を記録しておこう。

2月15日の昼過ぎ、生きた鳥を保護したと段ボール箱が持ち込まれた。中を見てビックリ。アカエリカイツブリが入っていた。長居公園のすぐ西のマンションで保護されたという。首の下の方の前面に大きなキズがあって血まみれ。中身が見えている。
とりあえず預かって、様子を見て動物病院にも連れて行くが、たぶん死ぬだろう。死んだら博物館で標本にするけどいいですね? と了解をもらって預かった。
とりあえず経過を淡々と記録しておこう。

●2018年2月14日夜 大阪市住吉区長居3-2-26(長居公園のすぐ西)のマンションの屋上で保護される。
●2018年2月15日昼過ぎ マンションの管理会社の人によって、大阪市立自然史博物館に持ち込まれ、博物館が預かる。
●2018年2月15日深夜 ようやく馴染みの獣医に連絡がとれる。とりあえず診てもらうことにする。
●2018年2月16日11時半から12時半頃 動物病院に連れて行き診てもらう。キズの周辺の羽根を抜いて、蒸留水で洗浄、縮んでいた皮を引っ張って縫い合わせる。麻酔が覚めるまで数時間様子をみるように言われる。
●2018年2月16日16時過ぎ 麻酔は覚めてる様子。各部を計測してから、実習室のシンクに水をためて入れてみる。撥水性は問題なく浮かぶし、浅いけど潜水もする。期限良さそうに水も飲んでる。問題なさそう。
●2018年2月16日16:50 長居植物園の大池に放鳥。元気に泳いで離れていった。

計測値も記録しておく。
体重709.0g(16:35時点)、自然翼長170mm、尾長0mm、ふしょ長58.7mm、露出嘴峰長49.1mm、全頭長103.1mm。

受け取った時から、死んだら貴重な記録を標本に、とずっと思っていたのは否めない。でも、助かりそうな鳥を殺してまで標本にするのは、もちろん違法だし、気分も悪い。そして、鳥自身、大きなキズが開いてる時から一貫して元気で攻撃的。めっちゃ噛まれた(さほど痛くないけど)。こうなれば、できればしばらく長居公園の池に滞在して回復してから、北に旅立っていって欲しい。
結局、死ぬ可能性の方が高そうに思うけど、シンクの水に浮かんだ時も、池に浮かんだ時も、段ボールに入ってる時よりはるかに機嫌がよさそう。どうせ死ぬにしても水に浮いて野外で死んだ方がいいんだろうなぁ、と思わせる姿だった。
あー、もちろん残念なことに回復できずに死んでしまったら、標本に回収しないと。


●2018年2月15日 ツグミは1羽、ムクドリは2羽

果実がなくなり、ヒヨドリがすっかり目立たなくなって、ツグミやムクドリは地面におりてる。でも、ツグミとムクドリは様子が違う。ツグミが1羽ずつ散らばってるのに対して、ムクドリはもっぱらペアで動いている。2羽で仲よさそうなムクドリに対して、ツグミは2羽が近付いたら、とたんにケンカ。なわばりにも似たものがあるらしい。カモのように越冬地でペアをつくって、繁殖地に戻るって考えはなさそう。一方で、すぐにそのまま繁殖期に突入するムクドリは、ペアが仲よくしている必要があるんだろう。果実から地上の虫へ、冬の食性はよく似てるのに、こうも対照的なのはなんか面白い。


●2018年2月14日 シカの下見

日曜日の行事の下見に行った。この連休、隣でシカの頭を剥きながら説明している団長が、今度の日曜に奈良公園に行く行事があるから、その時に、これとかこれとかを生きたシカで確認するといいよ!と言っていた。団長は影響力があるので、本当にそれを聞いてくる人がけっこういそう。となると、シカの説明をしなくてはならない。確認できるかの下見もしなくては。
交尾期ではないこの季節、シカはおとなしい。が、団長が説明していたシカの上顎に前歯がない、というのを観察するのは意外に困難ということが判明。頭つかんで唇めくれば見えるけど…。シラミバエも見つからないなぁ。シカはいるけど、鳴かないし、ケンカもしないし、泥も浴びていないし、仔ジカも連れてない。シカをじっくり観察するには、ネタが少ない時期。ということでシカ以外を観察しそう。
リスのエビフライがよく落ちている場所をチェック。エビフライはあるけど、あまり新鮮じゃない。数も多くないけど、参加者は見つけられるかなぁ。鳥はニュウナイスズメを探したが見つからず。アトリやルリビタキしか見つからない。本番が心配になってきた…。


●2018年2月13日 外来研究員制度の成果

2000年に外来研究員制度ができて、18年。登録者数は、1人から56人へとうなぎ上り。所属のない研究者に、所属を与えることで、自然史科学(および博物館学)の研究をサポートするという機能はそれなりに果たしてきていると思う。
逆に、とくにリタイア研究者の外来研究員は、その高い専門性はしばしば学芸員を凌駕していて、学芸員が教えを乞うことも多い。担当学芸員が不在の時に、市民からの質問に対応してもらうことすらある。そうした外来研究員を、いつの頃からか賢者と呼ぶようになった。賢者が集う外来研究室は、通称賢者の間。
もちろん賢者以外の外来研究員も重要だけど。さらに賢者を集めたら、さらに楽しい展開になるかな?


●2018年2月12日 友の会バックヤードツアー2018 2日目

今日も友の会会員向けのバックヤードツアーで鳥の皮剥きを見せて鳥の標本の説明をする。隣では、団長が哺乳類の標本の解説。シカの頭は皮剥きが進行して、昨日以上にインパクトのある光景。
今日は、午前中にハイタカ、午後にカワセミのミイラを剥いた。カワセミは干涸らびまくってるので、水をつけながらの皮剥き

今日は早めにハイタカを剥き始め、午前の最初の班の時には胴体の切り離し直前、2番目の班には、内臓を開けて見せる余裕。とはいえ、今日もフクロウの説明がストロング気味。ハイタカと比べての話もしたり。午前最後の班の時には、ハイタカの裏返った頭を戻して見せるという余裕っぷり。このパターンが一番いい気がする。ハイタカからハジラミがけっこう採れたのでハジラミの説明もできた。

午後も早めにカワセミを剥き始めたが、いかんせんミイラ状態。水をつけながら慎重に剥いていくと全然はかどらない〜。結局、あまり剥かれていないカワセミを見せつつ、説明は昨日剥いたフクロウと、午前に剥いたハイタカですましてしまった…。それでもカワセミはネームヴァリューがあるので、青くて綺麗〜、ってだけでうけていた。誰もカラスバトに関心を示さないのが不満。


●2018年2月11日 友の会バックヤードツアー2018 1日目

今日と明日は毎年恒例の友の会会員向けのバックヤードツアー。例によって鳥の皮剥きを見せて鳥の標本の説明をする担当。例によって隣では、団長が哺乳類の標本の解説。今年は教材用の頭骨をつくるために、シカの頭が大量に転がっている。例年になくインパクトのある光景。
今年は、申込みが多くて、2日ともダブルヘッダー。3班に分かれるので、1日6回説明をすることになる。
今日は、午前中にフクロウ、午後にオオタカのヒナとシジュウカラを剥いた。

午前はフクロウの剥き始めに出遅れ、最初の2班はフクロウをろくに剥かないまま、フクロウの説明をすることになった。軟らかい羽根を触ってもらって、風切最外の消音装置を見てもらって、足の指の剥きが変わることを見せて、意外と丸顔じゃないとか、耳が大きく、さほど左右非対称じゃないとか説明していると、哺乳類を合わせた持ち時間の15分を使い切りそうになって、慌てて切り上げる。3班目は、哺乳類からの説明。あっちが時間をほとんど使い切った…。せっかく目を取りだして、性別をチェックしてと思ったのに〜。目の取り出しだけを見せて、急いで羽根や足の説明。
フクロウは説明したいことが多すぎて、鳥の皮剥き自体の説明がとてもおろそかになった…。
あと、フクロウの羽根に触るのを怖がってる男の子に、お母さんが無理矢理触らせようとするのをとめねばならなかった。フクロウ嫌いになっちゃうじゃないか! フクロウの羽根は触れなくても、フクロウのことは嫌いにならないでください。って言えばよかった。

午後は、早めにオオタカヒナの皮剥きをスタート。最初の2班に、胴体裏返ってる姿と、胴体の中身が取れてる様子を見せれた。が、なんとなく鳥の説明は午前と同じくフクロウ。最後の班の時にはオオタカヒナは終わってしまい。シジュウカラを剥いている途中。小さすぎて説明できない…。やはりフクロウを説明〜。

結局、一日中フクロウについて熱く語っていた感じであった。


●2018年2月10日 ハトの繁殖期と子育て

考えてみれば、ハト類は、ピジョンミルクで子育てをするので、生殖器の状態とそのうにピジョンミルクがあるかどうかをチェックすれば、繁殖モードかどうか、子育てしているかどうかが分かる。
今日剥いたカラスバトは、そのうにピジョンミルクが入っていた。子育て中らしい。腹を開けると長径11mmもある大きな精巣があった。繁殖モードらしい。なんとなく繁殖期なんだなと納得していたが、トリに指摘されて気付いた。子育てしているのに、精巣が発達してる必要はないんじゃ? そういえばそうだなぁ。繁殖期が長いって理解でいいのかなぁ。


●2018年2月9日 大物狙いのカラスたち

1月末に届いた大物。ホネにすべく砂場にセットして、埋めきれない部分にはブルーシートをかけておいた。あとは夏頃に回収したらいいな、おっとその前に少し腐った時点が足の裏の皮を回収せねば。と気楽に考えていた。
が、今日、カラスが集まってるからなんとかして、と言われた。またまた何を言ってんだか。と思いつつ見に行くと、確かに十数羽のカラスが集まっていた。なんとブルーシートに穴を開けて、中の肉をつついている。なんてこった。
慌てて、ブルーシートをさらに2枚調達してきて、上にかぶせてみた。これが暖かい季節なら、数日しのげば、白い妖精たちがカラスより先に肉を処理してくれるんだけど、幸か不幸か厳冬期の今、肉は長持ちしてしまう。カラスが諦めてくれるといいけど、粘られると困るなぁ。


●2018年2月8日 コインランドリー

久しぶりに洗濯をした。2ヶ月ぶりで、今年初めてになる。昨年は6回しか洗濯していないようなので、平均的なペースらしい。
久しぶりなので、大量の洗濯物を背負ってコインランドリーへ。近所なので、洗濯機を回しては家に戻り、乾燥機に放り込んでは家に戻るの3往復。
近頃気になるのは、5台あった洗濯機が、1台壊れ、2台壊れ、今は3台しか動かないこと。修理する様子がない。やがて全部壊れたら、やめるつもりじゃなかろうか? ここが無くなったら困るなぁ。


●2018年2月7日 ルミナリエ的なイベントの影響

毎日、日没時から午後11時頃まで、灯りを付けて、音を流して、スモークたいたら、野鳥にどんな影響があるかと質問された。そりゃ、それなりに影響はあるだろう。端的に言えば安眠妨害。
でも、特定の場所でないと困る集団ねぐらとかはないし、夜行性の鳥がいるような場所でもないし、巣場所とかがあっても、イヤなら鳥の方が移動してくれそう。っていう意味では、公園で暮らす鳥類に決定的ダメージはないように思う。あまり望ましい企画じゃないけど。
それはさておき、植物にとってはよく分からん長日処理だし、地球環境にとっては二酸化炭素を供給しまくりの影響はどうなん? と言う方が気になった。とはいえ、植えられた樹が並ぶ公園の話。自然環境への影響という意味では、コケ類とかシダ類とか草本類とかを考えないと。と言う訳で、担当は他になります。
しかし、どうして猫も杓子もルミナリエ的なのをやりたがるかねぇ。灯りがいっぱいあったら、何が嬉しいのかなぁ。


●2018年2月6日 20年後の大阪府の自然

某大阪の野鳥の会が20年後に100周年を迎えるのかな。で、20年後についてのアンケートを書くようにというお達しが来たので書いてみた。

●今から20年あなたはどのように鳥と関わって行きますか?
そら学芸員として、大阪の自然の記録を残すべくがんばる感じ?

●20年後の野鳥の会はどうなってると思いますか?
そら会員数はさらに減って、指導者層は高齢化してる。指導者層のリクルートができないと、観察会が維持できなくなる。
現在、会報は編集担当一人でがんばってるけど、20年もつとは思えないから、後継者がなければ、会報の発行もあやうい。
観察会と会報がなくなったら、会員数はさらに減って、負のスパイラル。アリー効果に似てるなぁ。

●20年後のバードウォッチングはどう変わってる?
今の鳥好きの子どもは、たいていデジカメを持って撮影してる。どちらかと言えば、双眼鏡を持たずにカメラを持ってる。こうした子らが将来どうなるかが気になるけど、どうなるかよく分からない。
あと、個人的には羽根拾いを趣味にする人が増える気がする。自分の周りでも、この10数年ですごく増えたし。

で、一番気になる質問は、
●20年後の大阪の自然や野鳥はどうなってると思いますか?
いっぱい書いたった。
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山林はこれ以上減ることはないと考えますが、シカやイノシシの増加が止まらなければ、林の環境はさらに変化します。シカが南部にまで分布を拡大し、生息密度が高くなれば、ウグイスなど林の低層に生息する鳥が減少する恐れがあります。
 田んぼなど農耕地、ため池の減少は止まりそうにありません。タマシギやヒクイナはもちろんのころ、カイツブリやバンも絶滅危惧種になるかもしれません。ケリ、ヒバリ、セッカなども大きめの河川敷にしか生き残れない可能性があります。市街地周辺のツバメも減るんじゃないかと考えています。
 都市の緑地は、やや増加していくのではないかと思います。過去、40年ほどの間、都市緑地では、従来山林で繁殖していたシジュウカラやメジロなどの鳥が繁殖するようになってきました。今後もこの傾向は続き、コゲラやエナガの生息地が増え、ヤマガラやキビタキも進出してくると考えます。また都市部に生息する鳥類の増加に伴い、オオタカ、ハイタカ、ハヤブサ、チョウゲンボウといった鳥を主食とする猛禽類が、都市部で増加し、さらに繁殖地も増えると思います。
 大阪では、干潟や砂浜に渡来・繁殖する鳥が暮らせる環境は、すでにあまり多く有りません。過去40年ほどの間は、埋立地がその代替地として機能してきました。コアジサシやシロチドリの集団繁殖地ができ、ベニアジサシやツバメチドリも繁殖しました。シギ・チドリ類が多数渡来する場所もうまれました。埋立地にできた湿地・ヨシ原は、チュウヒなどの繁殖地としても重要です。しかし、今後新たな埋立地はあまり造成されないでしょうし、既存の埋立地の整備が進むと考えられます。もし、埋立地の整備の中で、鳥類の生息地を確保できなければ、干潟に渡来する鳥の個体数は大幅に減少し、コアジサシやシロチドリなど繁殖個体群は大阪府から失われる可能性が高いでしょう。

 全体的に言えば、埋立地と農耕地周辺の環境が危機的です。すなわち、湿地や水辺、ヨシ原、裸地といった環境に暮らす鳥は、どんどん大阪府から姿を消す可能性が高いと考えます。
・夢洲や堺7-3区埋立地、関空二期島などの埋立地に野鳥の生息地を確保すること
・ため池や農耕地のまとまりを残していくこと。
 こうした働きかけをしていく必要があります。
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●2018年2月4日 快晴の湖北を走るバス

今日は中高生と滋賀県長浜市湖北町の野鳥センター周辺に鳥を見に行った。一番気になっていたのは、どんな鳥が見れるかではなく、全員バスに乗れるか。
昔は普通の路線バスが入ってたと思う。コミュニティバスになった頃から、マイクロバスになった。そして、今ではバスと名乗ったハイエースが走ってるだけ。その定員は8人〜。参加者が多いと、バスに乗れない。ただ予約すれば、増発便を出してくれるらしい(その時刻は決まってるけど)。野鳥センター発の時刻は、定期便は14:48発で、予約の増発便は15:40発。間が1時間あいてるけど、この2台に分乗すれば、最大16人まで乗れる。それでも乗れなかったら、元気な奴を見繕って、駅まで歩いて帰ってもらおう。行きはみんなで歩くから、往復歩きはけっこうな距離になるけど。積雪があると、けっこう大変かもだけど。
必ず事前に表明することと念を押しておいたら、参加希望者は12名。引率いれて13名。定期便に5人乗れれば全員バスで帰れる。大丈夫かなぁ。と心配していたら、当日2人キャンセルになった。定期便3人と予約便8人なら大丈夫な気がする〜。

今日は、帰りのバスが心配で、鳥見どころではなかった。そして意外な困難は、定期便に乗って1時間ほど早く帰る3人を選ぶこと。みんな遅くまで残ると言い張る。歩いて帰ってもいいと言い張る。いやでも、行きですでに疲れたって言ってたやろ!と説得してもなかなか聞かない。
申し訳ないけど、こちらの頼みを聞いてくれる子を選んで、お願いして先に3人帰ってもらった。ちなみに当日キャンセルの2人が来ていたら、バスには乗れなかった。危なかった。もうここで行事するのは止めよう。


●2018年2月3日 羽根拾い2017年度冬

今日は羽根拾いの行事。今回もなかなか盛りだくさん。一人ではさっぱり見つけられないから、数の力っていうか、熟練者が混じってるというか、子どもはすごいっていうか。
持ち帰ってきて図鑑で調べて判明したのも含めて、コブハクチョウ、カルガモ、コガモ、ドバト、キジバト、アオバト、オオバン、ハシボソガラス、ハシブトガラス、シジュウカラ、ヒヨドリ、メジロ、トラツグミ、シロハラ、スズメ、アオジ。他に不明のカモ。
オオバンの羽根は少し前までは拾えたことがなかったので、頭の中の候補種リストに入ってない。そのため見る度に悩む。そろそろ覚えなくっちゃ。観察会的には、アオバトやトラツグミという、模様や色が綺麗な羽根が拾えてよかった。
羽根拾いの行事なのに、ホネを拾ってくる人もいる。ハシブトガラスの頭骨、ハトっぽい烏口骨+肩胛骨、なんか鳥の大腿骨、イタチらしき寛骨、ネコサイズの寛骨+大腿骨。今日はなぜか多め。
昼食後、もっと羽根を探すと、もう一度植物園を一周した子どもが、ホネを拾ったと言って、持ってきたのがタヌキの頭骨。とても綺麗にホネになっていて、正直標本に欲しい。これどうするの?と尋ねたら、持って帰るとの答え。仕方がないから、洗い方と保存の仕方を説明。いらんようになったら寄贈してね。


●2018年2月2日 大物の皮処理

ゾウ、キリン、サイ、ラクダ、エランド。陸棲の大型哺乳類(草食)は、今まで処理したの全部あまり皮下脂肪が付いてない。おかげでかろうじて処理できてる気がする。例外がカバだけど、カバは水棲大型哺乳類ということにしておこう。水棲大型哺乳類は、クジラを代表格として、むしろみんな阿呆みたいに脂肪が付いてる。
で、今日は、その陸棲の大物の皮を処理した。一昨日に頭の皮を処理した時は、1人で2時間+2人で4時間でなんとかなった。今日は胴体の皮が大小2枚。3m×4mほどの皮と、1m×2mほどの皮。2人で3時間。口や耳や目など細かい処理の必要な場所が多く、かつ心情的にも丁寧に処理したい頭の皮処理の方が時間がかかる。胴体なんか、えいや!で構わないので、割と早い。
処理が終わった皮は塩漬けに。頭と小さい胴体の皮は、移動させて塩水に浸けたけど、大きい胴体の皮はまるで動かないので、そのまま塩を擦り込んで、ブルーシートで包んでみた。3日も漬けたらいいかなぁ。塩漬けの皮って、なんか喰えそうな感じがする。でも、塩をものすごい使ったから、塩分取り過ぎ。


●2018年2月1日 博物館実習と職業体験

今日は、中学生4人の職業体験の対応。午前中の館内バックヤードツアーの後、午後はラクダ胎児のホネを洗ってもらった。そういえば、職業体験とか博物館実習では、毎回のようにホネ洗いをしてもらってる。おかげで、ちゃくちゃくとホネが完成していくけど、小物を洗わせると盛り上がらないので、大物のホネ標本ばかりが完成していくような気がする…。今年度の職業体験の対応はこれで終わりだろうから、この一年、どんな作業をしてもらったか振り返ってみよう。そういえばジュニア自然史クラブのミーティングでもホネ洗いをしてるから、それも入れてみてっと。

・2017年4月4日 ジュニア自然史クラブ 中高生8人程度 午前:ダチョウのホネ洗い
・2017年8月3日 ジュニア自然史クラブ 中高生8人程度 午前:ライオンのホネ洗い
・2017年8月23日 博物館実習 大学生4人 午後:コヨーテのホネ洗い
・2017年8月24日 博物館実習 大学生3人 オランウータン四肢+ゴーラルのホネ洗い
・2017年11月30日 職業体験 中学生1人 午後:コアラのホネ洗い
・2018年1月10日 博物館実習 大学生4人 カリフォルニアアシカ+ドリル+ナマケグマのホネ洗い
・2018年1月15日 職業体験 高校生1人 カピバラのホネ洗い
・2018年2月1日 職業体験 中学生4人 午後:フラコブラクダ胎児(頭以外)のホネ洗い

子ども達にホネを洗わせてる間に、隣で別のを洗ったりしてる。けど、他の日にホネ洗いはほとんどしていないので、ホネ洗いしてるのは年間8日だけってことになりそうな…。これでは砂場から引き上げたホネが博物館裏にたまっていく一方だなぁ。


●2018年1月31日 2018年1月のまとめ やたらSF読んでたら、大物がきた…

昨年の終わりに家の本棚に本を綺麗に並べた。SFは本棚5つに入ってるのだけど、その内、2つには未読の本ばかりが並んでいる。なぜか2012年から2014年に発行されたSFがいっぱい未読になってる。これを何とかしたい! と正月に今年はいっぱいSFを読もうと、密かに心に誓って1ヶ月、なんと毎日少なくとも1冊はSFを読むということを続けている。このまま一年は続かないだろうけど、できるだけ多く読んでいきたい。ただ不思議なのは、30冊以上読んだのに、未読の本棚にさほどスペースができたように見えないんだな。
SFを読む以外に1月は冷凍室を空けるというミッションがある。というのも2月の休館中に展示出ている植物標本を冷凍して、年に一度の虫殺しをしないといけないから。なのに、月末には、アシカにゾウと立て続けに大物が届き、この処理に追われる。冷凍室はなんとかスペースを確保できたと思うけど、今度は砂場がいっぱいになってしまった。夏まで、これ以上、大物が届きませんように〜。
そんな1月を振り返ってみよう。

ルーティンのため池調査、大和川調査は無事完了。外来生物調査プロジェクトの調査はシーズンオフ。
長居植物園の木の実は1月半ばでほぼ無くなり、果実食鳥もすっかり少なくなった。なもんで、センサス調査と木の実チェックはまだ継続するけど、かなり楽に終わる感じ。

標本作りは、ホネホネ団の通常の活動日以外に臨時活動日が1日、さらに行事で2日鳥の皮剥き、さらに別枠で大物が到着。大人の事情で部屋や廊下を片付けるついでに、あちこちにあった剥製や箱詰めできたホネを収蔵庫に運び込んだ。
名古屋方面の名誉教授からのホネの寄贈は、さらに継続中で、冷凍待ちの山ができてきた…。

普及行事は、博物館たんけん隊と友の会総会で丸3日。植物園案内の鳥スペシャルでは、果実がまるでなくなっていて、ネタが少なくて困った。
博物館実習があったので、研修と実習、後始末とそれなりに時間をとられる。でもまあ今回のメンバーは、すんなりブログを書いてくれた。

講演は、某団体向けと学芸ゼミの2本。博物館実習対応合計2日と、高校生の職業体験対応1日。査読1本をこなした。原稿は全然書けてない…。
とまあいろんな出来事があった中、どんなに遅く帰っても本を読んでいた。おかげで読んだ本は、自然史系は0冊だけど、SFは34冊。短めのを選んだけどね。
ちなみに完全休養日は、2日確保できた。(説明しよう。完全休養日とは、職場に行かず、調査や行事、学会など講演会にも出かけなかった日のことである。基本的には家でゴロゴロして本を読んでる)


●2018年1月30日 懺悔ゼミ2018

今日は年に一度の懺悔ゼミの日。学芸員がこの一年の目標が達成されたか報告し(たいてい達成されていないので、懺悔となる)、次の一年の目標を高らかに宣言する。あらかじめ言い訳してることも多いので、あまり高らかじゃないことが多いけど。

2017年の三大目標は、瀬戸内海展を無事にオープンさせる、ホネホネサミットを開催する、ショップ問題をなんとかする。まあ、割と成功の見通しの高いのを並べた。そして予定通り達成された。瀬戸内海展は来場者数や売上げはさておき、内容面では良い感じにオープンできたと思う。ホネホネサミットは来場者数はさておき、出展者の規模も来場者の満足度も高かったと思う。そして、ミュージアムショップはダメダメな業者が去って、元の良い感じに戻った。その他、調査や普及行事も予定通りにできた。一方で、あの本はやはり全然進まなかった。
2017年を一言でまとめると、原稿執筆以外は、けっこう順調だった。

2018年は特別展の担当はあまりないので楽ちん。その代わり2019年の特別展の準備(とくに解説書)。そしてそれを目指した科研費がらみの調査プロジェクトが最大の課題。
もう一つは、資料収集保管業務。冷凍室やストッカーをもっと開けたいし、ホネ砂場からの大物の回収が多い。そして水漬け処理の終わったホネの回収・箱詰めも大きな課題。
そんな中で、2018年こそ強化したいのは、原稿執筆。あの本はもうさておくとして、瀬戸内海展関連のデータをまとめたいし、一つ前の博物館学的アンケート調査の結果も書かないといけない。20年以上継続しているルーティン調査のデータもはき出していきたいなぁ。

2018年の主要目標をまとめると、
一に、外来生物展に向けての調査と解説書準備。
二に、標本作製をどんどん進めて、冷凍室、砂場、水漬けを空けていく。
三に、貯め込んだデータの論文化を少しでも進める。
少し頑張ればできそうな気がする。新たな仕事が増えなければ…。


●2018年1月29日 大物処理

数年前から、もう年寄りだし、数年以内にXデーが来るだろうとは聞いていた。でも、まだまだ先に違いないと思っていた。が、ついに4日前の夕方、あっさりとXデー到来。
3年前にもう1頭のXデーがあったのだけど、それは東の国にかっさらわれた。次は大阪に残さねば。と思っていたので、連絡があったときは即答で、引き取るとの返事。
でも、解体現場に手伝いにいかなくっちゃだし、皮剥きに肉取りに大変だなぁ。と思ったら、こちらが参戦する前に、先方がドンドンやってくださったらしい。頭の皮はこちらで剥いて、皮も保存すると連絡してあったので、頭だけは皮付きまるごと。他は、もう皮剥いて、バラして、肉取ったので、持って行くわ〜。と連絡があった。
他の皮はいらんのか?と言われたけど、前回大変だったので、頭だけにしぼって頑張る。と答えたら、胴体の皮も少しは保存して欲しいらしい。じゃあ、1m四方くらいだけなんとかすると答えた。トラックに載せられて、運ばれてきたものを見て驚いた。胴体の皮を丸ごと持ってきてるし…。
とりあえず、ホネは砂場に設置なので、頭ごとユニックで砂場に下ろしてもらう。ざっと1時間半かかった。片付けてあった場所に予定通り納まった。皮の方は、処理しやすい水道の所に下ろして、ざっと荷台を洗って、トラックは帰っていった。

残された我々は、3人がかりでまずは頭の皮剥き。簡単に転がらないので意外と大変。6人で4時間かかって一段落。クレーンかチェーンブロックが欲しい。トラックに残ってもらえばよかった。
この時点で外は暗くなってきたけど、半屋外に場所を移して、鼻の皮剥き。これが想像以上に大変で、4人で3時間かかった。先に行くほどヒゲが多く、毛根を切らないように剥こうとするとかなり時間がかかる。先っぽの皮の裏側は、まるでホヤのよう、と言ってる方がいたが、本当にそんな感じ。重くて室内に持ち込めず、外での作業は寒かった。
キリンの角、ラクダのコブ、ゾウの鼻。この3つを、皮剥きが面倒な大型陸棲哺乳類の三大パーツに選定した。

皮剥きに解体にと、最初の作業を全部やってもらって、トラックに積んで運んで、指定の場所に下ろしてもらう。とまあ上げ膳据え膳なのに。てっきり、やることが残っていない〜。と思ったのに。驚くほどやることがいっぱいあった。皮剥きから参戦した、あのゾウはどうして一日で処理が終わったんだろう?と思ったけど、あの時はあっさり皮は断念してたっけ。


●2018年1月28日 歴代オリジナルTシャツ

博物館友の会からNPO法人になってからまで、とくに近頃は毎年新たなオリジナルTシャツが作られてきた。それを一度、ズラッと並べてみよう。という話になって、今日の博物館友の会総会では、歴代オリジナルTシャツが並べて展示された。もう一つなにか忘れられてるデザインがあるんじゃないかという話もあるが、それはおいといて。色違いとか言い出したら切りがないので、それもおいといて。とにかく発掘されたオリジナルTシャツのデザインは、28にも上った。
それが並んでるのを眺めていて、そのすべてを持ってることに気付いて驚いた。近頃はなんとなく買うようにはしてるけど、初期のもちゃんと買ってたんだなぁ。ってことで、その気になれば、自分が着古したTシャツで、同様の展示が作れることになる。ちなみに今回展示してあるのは新品だけど、新品が見つからなかった一つは、私の使用済みTシャツだったりする。
で、この28デザインの人気投票が行われた。どれが一位になるかドキドキ。その前に自分がどれに投票するかが悩ましい。ホネと鳥関係のデザインだけで7デザインもあるからなぁ。

人気投票の結果は、
第1位:カモメTシャツ
第2位:フナムシTシャツ
第3位:アンモナイトTシャツ
第4位:淀川水草Tシャツ
第5位:シカホネTシャツ

このうち、現在販売中なのは、第3位のアンモTシャツと第5位のシカT シャツだけ。上位に入った残る3デザインのリバイバルが期待される。で、色の注文とかが飛び交っていた。でも、とりあえずカモメTシャツは、胸側と背側のデザインを入れ替えてもらわんと。背中にいいデザインがあっても見えなくて、全然嬉しくない。センス疑うわ。


●2018年1月27日 果実と鳥の観察会 クスノキベニヒラタカスミカメの衝撃

今日は年に一度の果実と鳥の観察会。のはずが、今年の果実はすでにほぼ無くなっており、なにを観察したらいいか頭が痛い。
この冬は果実が豊作の予定だったので、この時期に果実と鳥の観察会を設定した。が、クスベニヒラタカスミカメのせいでクスノキは大不作。そのあおりを喰って、クスノキはもちろん、他の果実もすでにほとんど無くなっている。果実食鳥用の果実である程度残ってるのは、エンジュとヒイラギモチだけ。あとは干涸らびて残るムクノキ果実。
仕方が無いので、正直に言い訳。出だしでクスベニヒラタカスミカメについて、ディスりまくっておく。あとは、エンジュ、ヒイラギモチ、干からびたムクノキ果実。それしかないから仕方がない。
と担当者が苦しむ中、植物はまるで無視でひたすら羽根を拾っていたのが3人。成果を見せてもらうと、ヒドリガモ、オオバン、モズ、ハクセキレイ、アトリとなかなかのラインナップで驚いた。羽根拾いに変更すれば良かったかも。


●2018年1月26日 大和川河口にカモメがいない!

月に一度の大和川下流部の水鳥カウント。自転車で新明治橋から下流に向かって走る。気温が低く、向かい風がけっこう強く、めっちゃ寒い。唯一の救い(?)は、鳥が少ないので、すいすい進むこと。でも、寒くて手がかじかんでいて、字を書くのに時間がかかるので、すいすいとはいけない。
すいすいはさておき、鳥がものすごく少ないのは間違いない。カモ類は、上流よりにはカワアイサ3羽だけ(カワアイサがいるのは驚いた)、河口部にもヒドリガモの小さな群れがいるだけ。それなりにカモがいるのはJR阪和線〜南海高野線辺りのみ。めっちゃ調査しやすい。カモメ類にいたっては、セグロカモメが1羽飛びまわるのみ。南海本線周辺から河口にカモメ類の群れがまったくいない。1月にこんなことは、調査始めて20年以上経つけど初めて。増水していないし、工事もしていない。中州はちゃんとあるのにどうしたことか。
大阪湾全体から姿を消したはずはないだろう。だとしたら、どうして大和川河口には来ないのか。そもそもここは休憩場所。考えられるのは、落ち着いて休憩できない自体が起きたとか? タカやハヤブサが襲った程度ではすぐに戻ってきそう。誰か花火でも上げた?


●2018年1月25日 復活のアトリ

当番で、展示室のカウンターに座っていたら、グループ学習に来たとおぼしき中学生から、ドアの外に鳥が落ちてる。首がとれそう?などという連絡。とりあえず見に行くと、非常ドアの向こうに小鳥が落ちている。窓ガラスに衝突したらしい。鍵を取りに行って、ドアを開けて(非常ドアなのでいざという時はプラスティックカバーを壊して開けられるのだけど、普段は壊さずに開けねばならない)、小鳥を拾う。アトリの雄だった。拾ったら頭をあげた。なんだまだ生きてた。それも割と元気そう。まだ飛べないけど、安静にしておけば復活する可能性が高い。ってことで、中学生には、窓ガラスに衝突して脳しんとうを起こしているけど、安静にしておけば復活するかも。と伝えて持って行く。
ちょうど食べきったお菓子の丸い箱の中に、タオルを入れて、鳥入れて、蓋をして。人の来ない部屋に置いておく。それが午前中。

昼休み、アトリは元気になったかなぁ。とのぞきにいったら、箱の蓋が開いていて、アトリがいない。幸い窓にはシェードが下ろしてあったけど、迂闊にもドアが開いたままだった。鳥は明るい方向に飛んでいくので、廊下に出てどこかに行ったかも!
で、慌てて近くの部屋をのぞいたり、廊下の窓の下をチェックしたり(室内から逃げようとして窓ガラスに衝突することも多い)。でも、見つからない。どうしよう〜、と思いながら元の部屋に戻って、ふと上を見たら、枝付きの鳥の巣の標本にとまって、おとなしく見下ろしていた。右往左往してるのを、上からずっと見てたな〜。
昆虫研究室から勝手に捕虫網を借りだしてきて、捕獲を試みる。部屋の中を元気にグルグル飛びまわること。完全に復活して、元気過ぎるくらい。何週目かに、物品棚の上にとまったところに網をかぶせて、ようやく確保。
脚環つけて、測定して、すぐに放した。雄の幼鳥。脂肪はほとんど蓄積していない。クスベニヒラタカスミカメのせいで、今年はクスノキ果実が不作。果実食鳥は脂肪を蓄積していそうだけど。もともとこの冬は豊作年。種子の生産量は多いはずなので、種子食の小鳥は脂肪を蓄積していない。って理解でいいのかな?


●2018年1月24日 果実食鳥の糞分析2018

今日は、某団体向けの果実食鳥の糞分析実習の日。年中行事もこれで12回目。
果実食鳥のタネが入ってそうな糞を拾ってきてもらい、拾ってきた周辺で比較標本用の果実を採集してくること。という宿題をもとに、今日は、午前中に果実からタネを取りだして、実物タネ図鑑作り。午後は、糞を洗って、タネを取りだして、午前に作った図鑑で同定。って段取り。

午前。採ってきた果実を水の中で果肉を取り除いて、新聞紙の上で水気をとる。例年だと勝手にどんどん紙にテープで貼り付けてるけど、今年は自分たちで持ってきた紙の上に並べてるだけの班が多い。ちなみに今年は、なぜか2テーブルで1班になっている。
今年は豊作予定の都市だったのだが、クスノキがクスベニヒラタカスミカメのせいで不作。あおのあおりを喰って、他の果実も食べ尽くされるのが早め。タネ図鑑用の果実があまり集まっていない。クスノキ、ムクノキ、エンジュ、モチノキ、ナナミノキがほとんどない。でも、スタッフが用意してくれた果実や、急遽長居公園で採ってきた果実を足して、各班25種程度の果実は並んだ。例によって、被食散布ではない、シンジュ、アキニレ、サルスベリも持ってきていた。1つの班だけ優秀で、1つの果実にタネが何個入っているかとか、果実の様子も記録していた。同種であってもタネの数や形に変異があることは、あとから解説しておいた。
ネズミモチがなくて、その分説明をはしょる。今年もコトネアスターのような謎の果実があった。

午後。同じく採集してきたタネの入った糞を、水の中でふやかして、タネをつまみ出す。新聞紙の上で水気をとって、同じ種類と思しきタネごとにまとめて紙の上に並べて、午前につくった実物タネ図鑑で名前を調べる。
例年、午前のタネ図鑑作りは盛り上がっても、糞分析はやる気のない人が多かったりするのだけど、今年はけっこうみんな真面目に取り組んでいた。ただ一つの班はタネの種類が少なすぎてあまり楽しげではなかった。もう一つの班は、ろくにほぐさずに糞を丸ごと新聞紙に並べていたり、マルカメムシだらけだったり。のこる1班は優秀で、タネの種数も多く、色んなタネの見分け方を説明できた。
一番少ない班で10種程度、多い班で20種を超えるタネが、糞から出てきた。ラインナップは、トウネズミモチ、クロガネモチ、センダン、ナンテン、ヘクソカズラが多かった。1つの班だけナンキンハゼをかなり出していて、ムクノキやクスノキのタネも出ていた。サクラやキカラスウリといった、この季節あまりお目にかからないタネも出てきた。
糞から出たタネの種数が少なめで、大部分実物タネ図鑑でカバー出来た。参加者がよく間違えていたのは、トウネズミモチとモチノキの区別。タネの種数が多かった1つの班では、クスノキ・ナンキンハゼ・ムクノキ・エノキを混ぜて、ホルトノキ・サンシュユ・ハナミズキを混ぜていた。実物タネ図鑑でカバーできていなかったタネは、キカラスウリ、エンジュ、カナメモチ、クマノミズキ、サクラなど。
今年図鑑見ないと同定できなかったタネは、キカラスウリ、カナメモチ。今回は謎のまま終わったタネが5〜6種類あった。糞から出たタネの少なかった班が暇に任せて、小さなタネを一つ取っていた。丸くて平べったく、表面にアミガサタケのような模様があって、茶色の光沢。とりあえずヒサカキ類かなぁ、としたけど違ったかも…。


●2018年1月20日 ブックトーク第2弾

200人以上は入る講堂で開いたけど、来場者は50人弱。もう一つ小さな部屋でも開催できた。話の内容はとても面白かったのに、勿体ない感じ。広報が課題だと思う。案内を流すタイミングが遅いのが一つ。もう一つはもしかしたらブックトークというものが、図書館ユーザーにはいざ知らず、博物館ユーザーには今一つ通じてないんじゃ無いかという疑いが…。


●2018年1月18日 後羽のある鳥と後羽のない鳥

後羽の有無は、羽根の持ち主を考える時にとても参考になる。なんと、日本の大部分の鳥の後羽の有無を調べて報告してくれてる素晴らしい報告があるのだ。

藤井幹・丸岡禮治(2007)羽根に特異的な構造が見られる種の整理 羽根を同定するための基礎資料として.山階鳥学誌38:120-142.

手持ちの羽根コレクションに加え、山階鳥研に行って、所蔵標本の後羽の有無を調べてまとめるという力作。調べたのは、移入種を含む日本産鳥類を対象に、非スズメ目334種とスズメ目85種。

後羽には、長い羽軸を持つタイプと、わずかな羽軸しかないタイプがある。それを分けてくれてるのも有り難い。その他に羽軸のない後羽っぽいのもあるが、これは参考程度にチェックしているだけらしい(標本を傷めずにチェックできにくいから)。
種毎にまとめた付表が付いているのだけど、それをグループ単位で、タイプごとにまとめるとこんな感じ。
──────────────────────────────
・長い羽軸付きの後羽あり:キジ目、ミコアイサ、サケイ目、カイツブリ、アホウドリ科、多くのウミツバメ科、コウノトリ目、サギ科、トキ科、ツル目、ノガン目、ヨタカ目、チドリ目、インコ目、タカ目(ミサゴ以外)、アカショウビン、ブッポウソウ、クマゲラ、ハヤブサ目、セキレイ科

・綿羽状の後羽あり:アビ目、カイツブリ目(カイツブリ以外)、ミズナギドリ科、アマツバメ目、ヤマセミ、キツツキ目(クマゲラ以外)、大部分のスズメ目(ヤイロチョウ科、ツバメ科、セキレイ科を除く)

・後羽なし:カモ目(ミコアイサ以外)、ネッタイチョウ目、ハト目、カツオドリ目(ウ科を含む)、ペリカン科、カッコウ目、ミサゴ、フクロウ目、サイチョウ目(ヤツガシラ科を含む)、カワセミ、ヤイロチョウ科、ツバメ科
──────────────────────────────

意外にもまったく後羽がないグループが少数派。そして同じグループ内でも例外的な種がいたりするのが面白い。近縁なキジ目とカモ目が対照的なのも不思議。


●2018年1月17日 研究室の片付け

年に一度、研究室にワックス掛けが入る。で、仕方がないから、研究室を片付ける。面倒だけど、こんな年中行事でもないと、研究室は散らかる一方。そういう意味では、あって有り難いのだけど、面倒なのは面倒なので、ブーブー言いながら、嫌々片付ける。子どもかおまえは! って感じ。
日頃からきちんと片付けておいて、明日ワックス掛けするぞ!といきなり言われても、どうぞー、と言えるようになりたい。無理だけど。


●2018年1月15日 Mixi13周年

この日記めいたものを書き始めて、今日で丸13年。Twitterを始め、Facebookの面倒まで見だしてから、かつてほど毎日書いてないけど、長めの日記はここに書いてる。書き忘れると、なにかちょっと残念気がする。ガラケーの機種を変えたら、ガラケーから書き込めなくなって、より書き込む機会が減ったけど、まだ当分は続けそう。Mixiがなくなっても、なにかしら続けよう。

例によってこの1年365日の中で何日書いたか(実際には、何日書いてないか)を数えてみると、288日書いていた。昨年、一昨年に続き300日を切ったけども、思ったよりは書いてる。
ちなみに過去を振り返ると、一年目325日、二年目344日、三年目331日、四年目324日、五年目329日、六年目303日、七年目315日、八年目304日、九年目295日、十年目265日、十一年目は279日、十二年目は284日書いていた。Twitterを始めた六年目に激減し、十年目でさらに減少。十一年目以降、少しずつ盛り返してる気がするかな?


●2018年1月14日 Twitter8周年

8年前の昨日Twitterを始めた。あやうく今年も記念日を忘れてところやった〜。
丸八年経って16693tweet。最初の一年に2922tweet、二年目は2674tweet、三年目は2494tweet、四年目は2188tweet、五年目は1827tweet、六年目は1667tweet、七年目は1534tweetつぶやいた。そして、この一年は1387tweet。減少傾向は止まらない。

フォローしてるのは199名。7周年で201名、6周年で184名、5周年で180名、4周年で184名、3周年で167名、2周年で157名、1周年で143名。この1年であまり変わってない。
フォロワーは、2842名、7周年で2580名、6周年で2272名。5周年で1955名、4周年で1757名、3周年で1472名、2周年で1108名、1周年で659名。年200〜300人ペースは維持されている。

なんだかんだで8年続いた。Facebookはすでにオワコン、LINEも頭打ち。Twitterとかぶる要素の多いインスタグラムが伸びてるのかなぁ。とはいえ、Twitter中心での発信は継続の予定。
ってわけで、コメントするなら出来ればTwitterの方でよろしく〜。


●2018年1月13日 シロガシラ どうしておまえは 大阪に

2017年、高槻市の淀川でシロガシラが見つかり、あまつさえ繁殖までしたらしい。南国生まれのはずなのに、大阪で繁殖するとは…。でも、南国生まれだから、大阪の冬を越せるのかな? まだいるというので、いなくなる前に見ておこう。ということで、今日は淀川右岸を島本町から高槻市の鵜殿の辺りまで歩いてみた。実を言えば、本当にシロガシラに出会えるとは思ってなかったのだが、本当に出会えた。こんなに寒い大阪でシロガシラを見るなんて、とても変な感じ。
みんなでシロガシラをながめながら、議論が盛り上がる。これが自力で飛んで来たとしたら、
・つがいで渡りにも等しい距離を移動してきた。
あるいは
・それぞれ単独で移動してきて、たまたま高槻市で出会った。
どっちもありそうにない。となると自力で飛んで来たのではなく、人が持ち込んだと考えるのが順当。そのパターンとしては、
・高槻にシロガシラを根付かせようと(?)、つがいで放した人がいる。
・シロガシラを複数個体飼育していたのを、全部orペアで逃がした人がいる。あるいは、そんなペットショップがある。
シロガシラをペットで買ったり売ったりしてるとは思えないから、わざわざシロガシラを2羽高槻に放した人がいるという結論になる。あり得ない可能性をすべて排除したら、残ったのが正解なのである。どんなにありそうになくても。


●2018年1月12日 ユリカモメ内陸進出の謎2

昨日は、近所のため池61ヶ所を自転車でめぐった。ここ数年、ため池にぜんぜんユリカモメが来なくなっていたのに、今年は7ヶ所にユリカモメが入ってる。いったいどうしたんだろう? 近所の桃ヶ池にもユリカモメが入ってるし、今年は海でなにか起きてるんだろうか?

などと考えていたら、昨年も1月終わりに同じ事を書いていた。なーんだ、昨年もユリカモメはため池に入っていたんだ。じゃあ、昨年と今年は、いったい何が起きてるんだろう? …もしかして、一昨年も書いてたりしないだろうな?

ユリカモメが内陸に入ってこなくなったのは、
・餌を与える人が減ったとか。
・ユリカモメ個体数が減ってわざわざ河川を上がる理由がなくなったとか。
・内陸に行きたがる幼鳥が減ったので、あまり上がってこなくなったとか。
・海に食べ物が豊富で、上がってこなくても食べられるとか。
なんてことを考えたりしたけど、再び上がってきたということは、その原因が無くなったってことかな? やっぱり分からないけど。


●2018年1月10日 冬の博物館実習スタート、したのは3日前

3日前から、今年度最後の博物館実習、冬の一般コース5日間がスタート。連休の2日間の後、1日あけて今日からの3日間の日程。間に休みをはさむのはイレギュラーだし、全体のプログラムもとてもイレギュラー。っていってるけど、昨年も似たようなパターンだった…。今年のパターンを記録しておこう。

7日:オリエンテーションはなく、挨拶もそこそこに行事の研修とサポートに投入。いきなりでとまどった〜、という声多数。そりゃそうでしょ。でも、それなりに行事のサポートをしつつ、楽しんでる風ではあった。

8日:午前にようやくオリエンテーション。館報をネタに博物館のアウトラインを紹介。午後は初日と同じ館内行事のサポート。その館内行事が子ども達と一緒に館内をめぐるというものなので、そのサポート自体がオリエンテーションになっているといってもいいんじゃないか、という理解。

9日:休館日なので、博物館実習もお休み。学芸員の大部分も休み、空調も止まってるし。

10〜12日:3つの班に分かれて、標本実習など。“など”に当たった班は、展示用パソコンの掃除とかをやらされてた。

で、本日は、標本実習で4人を担当。標本台帳と標本受入票を説明してから、ホネ洗いをしてもらう。今日のレシピは、メガネグマ、カリフォルニアアシカ、ドリル。なかなかヴァリエーションがあって、ホネを比べるとおもしろい。ので、早く終わらせて、ホネを説明して、ホネを作ってる場所とかを巡ろう。と思ったのだけど、一日まるまるかかった…。
メガネグマはこちらで午前中だけで済ませ、アシカとドリルの頭もこっちで洗ってしまい、アシカの脚2本と背骨もこちらで洗って、ようやくギリギリに終了。
終わってから、耳小骨を見せ、主だった関節を説明し、3匹とも年寄りでホネが癒合したり、歯が無くなったりしてるのを見せ、ドリルが頭でっかちなのを見せ、アシカの歯の特徴を説明し、第一頸椎や指先の骨を比べた。


●2018年1月8日 成人式恒例 鳥の皮むきショー2018

昨日と今日は、1月の連休恒例、小中学生に鳥の皮むきを見せる日(実際には小学生ばかりだったが…)。他の人は年によっていろいろ分担が違うのだけど、こちとらは毎年鳥の皮むきを仰せつかる。
今年も見栄えのする大きな、あるいは奇麗な、あるいは説明するネタのある鳥を用意するのが通例。で、昨日はオオタカとトラツグミ、今日はハイタカとヤマシギを用意してみた。正月明けなので、あればタカを出してくる傾向がある。
早めに鳥を測定しておき、プログラムが始まる前から鳥を剥き始め、3班に分かれて順次やってくる子ども達を待ち受ける。

昨日は中学年だけが賑やか。最初は中学年。トラツグミの裏返した頭を見せて、目玉を取りだして見せて、内臓も開けてみせる。知り合いが混じってるので、反応がいい。最後に脳も取りだして見せたら興味持ってた。次は高学年。ほとんど完成したトラツグミの皮を見せて、また目玉や内臓も説明。トラツグミの舌を見せたら反応がよかったので、オオタカの舌も開けて見せてみた。最後は低学年。オオタカの胴体を取り外して、胴体の肉を見せる。まあまあいい反応。

今日は中学年が一番おとなしい。最初は中学年。中身を取りだしたヤマシギの皮を見せて、内臓を見せた。嘴の先を開いたり、長い舌を見せたら反応がいい。次は高学年。裏返したヤマシギの頭を戻して見せた。取りだしてあった目玉や内臓、舌も見せた。舌へのリアクションがいい。ハイタカの嘴と鋭い爪も紹介。最後は低学年。裏返したヤマシギの頭を戻して見せた。リアクションはいいのだけど、とても元気で同時にしゃべりまくっていて、説明しにくい。ハイタカの足の鋭さを説明したときは聞いてくれた。

昨日の中学年はデジカメでパチパチ撮りまくる子どもがいっぱいで、どうなることかと思ったが、他の班はそんなに撮りまくる子どもは多くなかった。
他はツキノワグマ・ライオン・レッサーパンダ・カイウサギ・コアラの皮と、コアラの頭骨。今日は、ツキノワグマの皮を引っ込めて、ライオンの頭骨を出した。量的には頃合いだったかと思うが、皮を減らして、ホネを入れた方がよかったかも。
ライオンの毛がよく抜けたので、猫アレルギーに注意した。犬アレルギーの子どもが昨日と今日一人ずついたが、クマやレッサーパンダには反応しないようだった。


●2018年1月7日 鳥の剥き初め

今年の剥き初めは、はくぶつかん探検隊。大きいとか綺麗とか見栄えの良いのを選ぶのが通例。で、ちょうどオオタカのヒナが届いていたので、縁起良くタカをと準備。あとはトラツグミ。下記の例年の剥き初めに比べると控えめだったかもしれない。そして例年、タカを選ぶ傾向があるかも。

ちなみに
2016年の剥き初めは、1月10日でオオタカ1羽、ツノメドリ1羽、ヤマガラ1羽、シジュウカラ1羽。
2015年の剥き初めは、1月4日でマミジロ1羽、キンバト2羽。
2014年の剥き初めは、1月4日でハジロカイツブリ1羽。
2013年の剥き初めは、1月13日でアオバト1羽、クロツグミ1羽、イカルチドリ1羽、ノゴマ1羽、キクイタダキ1羽。
2012年の剥き初めは、1月8日でカワセミ1羽、コガモ1羽、キビタキ1羽、モズ1羽。
2011年の剥き初めは、1月10日でフクロウ1羽、オオタカ1羽、メボソムシクイ1羽、オオルリ1羽。
2010年の剥き初めは、1月10日でオオバン1羽、サシバ1羽、カルガモ1羽、オオコノハズク1羽。


●2018年1月6日 仕事初めは行事初め、そして年賀状の傾向

少なくとも21世紀に入ってからは、例年、行事初めは1月5日頃の中高生向け行事なのだけど、それが昨日雨天中止となったので、珍しいことに今日の植物園案内が行事初めとなった。ちなみに、昨日までの5日間も毎日職場に来て、何かと作業しているのだけど、出勤のハンコを押しておらず、今日が今年のハンコ押し初め。ってことは、今日が仕事初め。
他の人は、一昨日や昨日が仕事初めだったんじゃないかなぁ。と思うのだけど、なぜか会う人会う人、「あけましておめでとうございます。今年もよろしく…」てな挨拶をしてくる。出勤扱いにしているかはともかく、年末からずっと休みなく19日連続で職場にやってきてる。今年もすでに職場にきて6日目。いまさら「あけましておめでとう」って気にはなれないので、なんとなく、相手の呪文に合わせて頭を何度か下げてみる。とても面倒。

2007年以降年賀状を出すのを止めたので、年々届く年賀状は減っている。と思いきや、近頃、下げ止まり。毎年20通程度は来てしまう。一つは、仕事で何かと関わりができる業者関係。どっかの委員会の委員とかをやっていたりすると、その業務を受注している業者がなぜか年賀状を送ってくる。どっかの出版社に原稿を書くと、そこから年賀状が送られてきたりする。一度メーリングリストに載ると延々と送り続けてくるところが多いらしく、こうした年賀状は年々微増傾向。この年賀状は全然嬉しくない。
もう一つは、近頃観察会とかでよく会う子ども達からの年賀状。この年賀状は嬉しい。でも、もう年賀状は廃止したしなぁ。で、年の初めに出会った時に、年賀状の御礼を言ってみる。行事初めの恒例行事かも。
一方、昔からの知り合いからの年賀状はほとんど来なくなった。が、ごく一部に(返事もないのにめげずに)送り続けてくる人が若干名。年賀状をやり取りしなくても、SNSでけっこうつながっているから、いいと思うんだけどなぁ。
今年は、子どもの頃から知ってる奴からも年賀状が来た。就職したから張り切ってるんだろうか。いつまで続くか観察しよう。


●2018年1月5日 皮処理終了、正月も終了

というわけで、今日で実習室を占拠して年末から11日間にわたって行ってきた皮との戯れが終了。ってゆうか、まだ少し作業が残ってるけど、そろそろ実習室を空けなくてはならないので、終わったことにした。今年の成果は、哺乳類16枚、ペンギン2枚。大物が多かったけど、数は少なくて、毎日の作業時間は2〜3時間程度で済んだので、割と楽だった。脂肪が取り切れていない個体がほとんどいなかったのも楽だった理由の一つかもしれない。


●2018年1月4日 豊作年予定が、果実が早くなくなり鳥たちは?

この冬は、とても珍しいパターンの年で、果実の豊凶が果実食鳥に与える影響を考える上で、とても面白いんじゃないかと。ツグミやムクドリはどんな動きをするんだろう?と。果実をチェックしていて思った。
奇数年度の今年度は、通常なら果実は豊作よりのはず。だとしたら、ヒヨドリやツグミ類は秋にあまりやってこない。そして、果実はなかなか無くならず、ヒヨドリは一冬をダラダラ過ごし、ツグミは年が明けてから登場。
ところが、今年度はクスベニヒラタカスミカメがいる。そのせいで、クスノキがめっちゃ不作。想定外の不作。その上、クスベニヒラタカスミカメは近畿地方周辺にのみ拡がっていて、中部以北にはまだ入っていないはず。だとしたら、ツグミは、予定通りなかなか来なくて、年が明けてから登場。一方、ヒヨドリの秋の渡来数は、少なめだけど、果実はあっさりなくなるので、無くなったらどこかに移動したり食性をシフトする。
この20年ほど見てきたパターンを当てはめるとそうなる気がする。どうなるだろう?


●2018年1月3日 2018年を予言

年が明けると話題になりがちなのは、今年の目標なんていうことが話題になるけど、そんな遠い先まで目標立ててる余裕がない。とりあえず週末の行事や博物館実習の準備をしなくちゃとか、1月末の友の会総会のバザーのこともあるしとか。仕事の予定は一年間立ってるので、それをきちんと進めるのが目標だったりして、ダラダラ書き始めたら切りがない。かといってプライベートは、目標たててみても、うまくいきそうな気配がなくて空しい。
そして目標は達成しないと意味がないけど、予言ははずれても、テヘヘと頭をかけばいいだけなので気楽。というわけで、予言である。昨年はすべて当たった。十二分な予防措置をしてるので、外れる方が驚きという内容なので、当たり前かも。今年も確実に当たるように2018年を予言しよう。

まず、3月に北海道、8月に高知県、9月に新潟県に行くことになるだろう。11月には大阪で、自然史関連の大きなイベントが開かれるだろう。
うーん、他になにも思いつかない。霊感が薄れたかも…。


●2018年1月2日 鳥の日の成果2017

なにわホネホネ団の活動に「鳥の日」を設定することにしたのが、2012年9月。2013年からは、毎月1回、通常活動日(いわば哺乳類の日)の他に鳥の日を設定することにした。2017年の鳥の日の活動成果を集計しておこう。

2017年の鳥の日
・活動日:13日間(10月に2日活動)
  内、4日で西表島鳥類調査隊の活動
・処理した鳥の個体数:170羽(皮剥きのみ、鳥の日以外の活動日の処理数は除く)(平均13.1羽)
  内、22羽(すべてキンバト)は西表島鳥類調査隊の活動
  他に、骨取り+羽のサンプル採取の処理が2羽。
・のべ参加者数:196名(平均15.1名)
  内、見学者34名(平均2.6名)

というわけで、2017年も鳥の日の活動で、鳥の仮剥製が随分増えた。参加者数は昨年並みを維持。キンバト処理がボチボチ進み始めた。年間で海鳥メインの日が5日。そうでなくてもなんやかんやと海鳥を処理していることが多かった。

<過去の鳥の日の記録>
・2016年
・活動日:14日間(11月に2日活動)
・処理した鳥の個体数:172羽(平均12.3羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:204名(平均14.6名)内、見学者28名(平均2.0名)

・2015年
・活動日:11日間(9月は活動なし)
・処理した鳥の個体数:125羽(平均11.4羽)+骨取り6羽。
・のべ参加者数:122名(平均11.1名)内、見学者19名(平均1.7名)

・2014年
 活動日:13日間(9月、12月に2日活動、10月は活動なし)
 処理した鳥の個体数:140羽(平均10.8羽)+骨取り19羽
 のべ参加者数:152名(平均11.7名)内、見学者25名(平均1.9名)

・2013年
 活動日:15日間(4月、9月、12月に2日活動)
 処理した鳥の個体数:225羽(平均15.0羽)
 のべ参加者数:205名(平均13.7名)内、見学者32名(平均2.1名)


●2018年1月1日 一年の計

一旦、午前8時頃起きたのだけど、二度寝して目が覚めたのは、昼過ぎ。年越し蕎麦の汁に、焼いた餅を入れて、雑煮を食べる。今年はカシワを多め。しばらくSFを読んでから、シャワーを浴びた。やけに天気がいいので窓を開けてみたら、とてもさわやかな青空で、とても暖かかった。そのまましばらくゴロゴロ。で、今度はパンを食べてから、博物館へ。例年以上にダラダラしてる。
博物館では、とりあえずメールをチェック、返事が必要なメールはとくになし。あまり気分がのらないので、サイトを少し更新しただけで、力尽きる。軽く皮と戯れて、早めに帰る。やはり例年以上にダラダラしている。
元旦なのに、新年早々やってきてる学芸員がほかにいるらしい。でも、とくに顔を合わせるでもなく、警備員さんに会釈しただけ。結局、誰とも話さない一日。これは例年並み。

一年の計は元旦にあるとすると、今年はろくに人と話しもせずにダラダラする一年になりそう。過去2年は正月早々ネコを触ったけど、今年はネコはいない。楽しい一年になる予感がまるでない。もっとも昨年は、正月早々ネコにさわって、あんな一年だったけど。


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