近所のため池

 1995年11月から調査を開始して、現在も継続中です。1ヶ月に1度の割合(基本的に毎月10日から月末までの間に実施)で、大阪市南部・堺市北東部・松原市西部・美原町北部の池を自転車でまわって、見た水鳥の種類と個体数を記録しています。アビ目、カイツブリ目、ミズナギドリ目、ペリカン目、コウノトリ目、ガンカモ目、ツル目、チドリ目の鳥を調査対象の水鳥と決めています。まあついでに他の鳥についても種類だけは記録しています。
 1987年作成の国土地理院の10000分の1の地形図「長居」と「松原」に載っているすべての池を、基本的には調査対象にしました。ただし調査開始時点で存在しなかった16の池は調査のしようがありませんし、池の近くへ行くことが困難な3つの池と別に調査している長居公園の2つの池は調査対象からはずしました。また調査地域の境界付近にある「天王寺」の桃ヶ池、「八尾」の東大海池、「北野田」の大津池は調査対象に含めました。その結果、調査対象の池は77個になりました。
 調査を始めて丸2年の間に、M25とM28の池は完全に埋め立てられました。代わりと言っては何ですが、M20も調査することにしました。結局、1997年10月時点で調査している池は76個です。
 調査は午前10時から午後3時30分までの間に行ない、雨や雪が降っている日は行なっていません。サギ類の中には、夜行性や昼行性の種が混じっていて、早朝や夕方には移動する可能性があります。またカモメ類は昼に川を上ってきて、夜は海で寝ます。その逆にカモ類は、昼間は川で寝ていて、夜に海に行って食物を採ると考えられます。そこで比較的、水鳥たちの動きのない真っ昼間に調査をすることにしています。雨や雪の降っている日に行わないのは、調査者がいやがっているという理由の他に、鳥の発見効率が下がるという理由があります。

主な池の紹介  調査対象の池のリスト  池の現状  各池で記録された鳥の種類(繁殖記録付き)


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1.主な池の紹介(全部の池は紹介しきれないので、20個を選んで紹介します。かっこ内は調査コードです)

●桃ヶ池(T1):冬になるとハシビロガモがたくさんやってきます。夏には南西の池はハスで覆われてしまいます。毎年カイツブリが繁殖します。
●万代池(N3):冬になるとヒドリガモが多い池です。毎年、アメリカヒドリとヨシガモがやってきます。たいてい雌もいるのがポイントで、ヨシガモの雌の識別に自信のない人は、一度挑戦してみて下さい。近頃はなぜかバリケンという鳥も1羽います。
●長居植物園の大池(N4):冬になるとホシハジロがたくさんやってきます。桃ヶ池、万代池、この池は互いにすぐ近くにあるのにやってくるカモの種類がなぜか違います。夏にもカルガモが見られるのに、なぜか繁殖しません。
●瓜破の下池(N6):カイツブリ、バン、カルガモが繁殖する大阪市内では貴重な池です。一部が埋め立てられてしまいました。
●西大海池(N15):ゴルフの打ちっ放し練習場になってしまっています。でもカイツブリがよく浮いていて、ゴルフボールに当たらないもんなんでしょうか。毎年、数十羽のコアジサシが観察され、杭の上にとまって休んだり、餌を運んでいるのも見られますが、どこに巣があるのかよくわかりません。
○毛白池(M3):トチカガミが生えていたのですが、埋め立てられてしまいました。
●大泉池(M5):大泉緑地にある一番大きな池です。毎年、アメリカヒドリとヨシガモがやってきます。ハジロクロハラアジサシを観察したこともあります。
●北新町の大池(M6):鳥は大したことないのですが、オニバスが生えていました。水を抜いて一部を埋め立てたので、今年は生えていません。オニバスが生えていた場所はヨシ原になっています。水を入れたらまた生えるかもしれません。
●松原市の寺池(M13):池の大部分をヨシ(のような草)が覆っている池で、ヨシゴイを記録しています。カイツブリやバンも繁殖しています。お気に入りの池です。
●穴池(M15):夏にはハスで覆われる池です。冬にはコガモが多く、クイナがいたりします。
●頭泉池(M16):大泉緑地にある池です。ヒクイナが越冬したことで有名な池です。ヒクイナがいた年には、大きなカメラがいっぱい並んでいました。でも調査でヒクイナを記録したことはありません。
○日高沢池(M25):オニバスが生えていましたが、今は埋め立てられて駐車場になっています。
●中池(M26):鳥は大したことないのですが、オニバスが生えていました。今年はなぜか生えてきませんでした。かわりに9月には緑色のオオアカウキクサでいっぱいになりました。
●にさんざい古墳(M30):毎年、冬になるとオシドリがやってきます。南側の樹の陰になっている水面あたりを探してみましょう。
●但馬池(M32):夏にはカイツブリやバンが繁殖し、冬にはコガモがたくさんやってくる池です。とにかくすぐ近くで鳥が見られます。お気に入りの池です。
●菅池(M34):島があって小さなサギのコロニーがあります。冬にはいろいろな種類のカモがやってきます。池が深いのか、よくカンムリカイツブリやミコアイサなど潜水性の鳥も記録されます。お気に入りの池です。オアシス計画とやらで一部埋め立てられています。
●堺市の寺池(M37):池の大部分をヨシ(のような草)が覆っている池で、バンがたくさん繁殖しています。オオアカウキクサも浮いています。お気に入りの池です。親水公園か何かにする計画があるんだそうです。やめて欲しいものです。
●堂ヶ池(M39):鳥は大したことがないのですが、夏には池の水面がオオアカウキクサと青いウキクサで埋め尽くされます。赤と緑の二色になって、ある意味でとてもきれいです。
●北池(M55):秋にクロハラアジサシがいたり、春先にシマアジの群がいたり、春に水が少なかったらツルシギが入ったり、と言った具合でいろいろ思いがけない鳥を記録しています。お気に入りの池です。2004年10月には、アカガシラサギとレンカクを同時に観察しました。
●大津池(K1):サギのコロニーやツバメのねぐらで知られている池です。サギのコロニーはここ数年の内に、アオサギが減り、コサギが増えるなど、けっこう変化しています。ヨシ原では、ヨシゴイやヒクイナも記録しています。お気に入りの池です。


2.調査対象の池のリスト

Codeに()がついている池は、調査開始時に存在していたが、調査対象からは外した。


3.池の現状

 1987年測量の1/10000地形図の「長居」と「松原」には95個の池が載っているが、調査を開始した1995年には16個の池がなくなっていた。8年間で16.8%が消えたことになる。さらに調査を開始して丸2年間に、2つの池が完全に埋め立てられ、6つの池が一部埋め立てられた。このままのペースで池が埋め立てられていくと、2038年に池は一つもなくなる(下図:縦軸に注意してください)。


4.各池で記録された鳥の種類(繁殖記録付き)