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本の紹介「極限に生きる植物」

「極限に生きる植物」増沢武弘著、中公新書、2002年8月、ISBN4-12-101654-8、940円+税


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【加納康嗣 20061120】
●「極限に生きる植物」増沢武弘著、中公新書

 美しい写真、簡明でわかりやすい解説で非常に読みやすい。寒冷な高地や極地、乾燥した砂漠や土壌の不安定な火山灰地、石灰岩や蛇紋岩、カンラン岩など特殊な土壌環境が重複した極限地帯もあるが、そこに生きる植物たちの姿を紹介している。環境に適応し、見事に形を変え、巧みな戦略で生きぬいている姿は不思議そのものである。海岸砂漠の霧の通り道に出来る砂漠のお花畑(ロマノス)群落に、陸続きなのにそれぞれ固有に特殊化したノラナという植物が分化している面白さなども。 それにしても、アフリカやアンデス、ヒマラヤ高地の塔のようなかっこいい植物たち、レイムノビレ(セイタカダイオウ)、ボンボリトウヒレン、ジャイアントセネシオ、ジャイアントロベリア、ロベリアテレキー、センチュリープラントに会いたいものだ。なぜ円錐形や円筒形なのか、なぜそんなに大きいのか。なぜ突然そこにニョッキリと生えているのか?

 お薦め度:★★★★   対象:植物に関心のある大人、遠くへ旅行したい願望のある方

【村山涼二 20061214】
●「極限に生きる植物」増沢武弘著、中公新書

 極限の世界、極寒(北極・南極・高地・北海道・富士山頂など)、低栄養、有害成分のある地域(橄欖岩とヒダカソウ)、水分の乏しい地域(アンデスの砂漠の霧の水分を利用するロアサウレンス)、僅かな太陽エネルギーを捕捉し虫たちを呼び込むヒマラヤの白い塔形の温室(レウムノビレ)等、美しい花、珍しい形態の植物が、けなげに種の保存に生きているさまが、美しい写真で見ることが出来る。増沢さんが、「しっかり生きよ」と励ましているような気持ちが写真の一枚一枚から伝わってくる。居ながら極地の自然がわかる。

 お薦め度:★★★★   対象:中学生以上廣く一般に

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