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本の紹介「羽 進化が生みだした自然の奇跡」

「羽 進化が生みだした自然の奇跡」ソーア・ハンソン著、白揚社、2013年4月、ISBN978-4-8269-0169-7、2600円+税


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【和田岳 20141024】【公開用】
●「羽 進化が生みだした自然の奇跡」ソーア・ハンソン著、白揚社

 尾脂腺からの脂を羽根に塗ることで、鳥は羽根の撥水性を保ってる。って聞いたことはないかな? でも、あれは違うらしい。羽根は羽根の構造だけで、ちゃんと撥水性を保つ。というような、羽根についての様々な話題が満載。
 話題は、羽毛の進化、断熱効果、飛翔の起源、商取引、微細構造と次々と話題が展開される。羽毛の強力な断熱効果の前では、むしろ重要なのは暑さ対策。で、鳥がどうやって熱を放出しているかを紹介したり。地上起源説と樹上起源説を紹介した後、WAIR仮説(駆け上がり仮説)を紹介したり。一昔前には、羽毛取り引きが世界的な大産業だったとは、全然知らなかった。カワウが羽根を乾かしている本当の理由が分かったり。へぇ〜と思うことが必ずある一冊。

 お薦め度:★★★★  対象:鳥か羽根か恐竜に興味があれば

【萩野哲 20130821】
●「羽 進化が生みだした自然の奇跡」ソーア・ハンソン著、白揚社

 羽は確かに、この本の副題になっているように、「進化が生みだした自然の奇跡」かも知れない。本書は鳥の専門家ではない著者が、羽の各分野の専門家に膨大な取材を行って構成した本であり、まずは羽の本来の姿である鳥の側から、羽はなぜどのようにできてきたのか、化石の記録からその起源を探り、どのような種類があるのかその分化を示し、飛行に完璧に適応した形態に感嘆する。次に、その羽に眼を付けた人間の側から、装飾や釣り具、ペンなどへの利用について教えてくれる。巻末には、本文と結構重複した付録がついているが、その中で羽の成長の図はちょっと驚きである。

 お薦め度:★★★  対象:生物学的にもそれ自身にも、とにかく羽に興味がある人

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