大阪府下のカワウの繁殖

確認データ   分布図

内容のまちがいに気づいた方、新たな情報(観察記録や文献)を持っている方はお知らせ下さい。



カワウの繁殖状況と解説

 冬期は湾岸部にごく普通で、内陸の河川や池でもよく見られる。1963年までは堺市仁徳陵で100-200羽が繁殖していたが、その後確実な繁殖記録はなく個体数も減った。1980年代になって琵琶湖で繁殖するようになると、大阪でも冬期の個体数が増えた。同時に夏期の観察例も増え、2000年には岸和田市で繁殖が確認された。大阪府レッドデータブックでは、要注目とされている。
 全長81cm程度。水に潜って魚を捕食し、周囲の水辺や樹上で休息する。日本全体ではほぼ年中繁殖しているが、近畿地方での繁殖期はおもに2月〜6月頃で、樹上に木の枝を組み合わせて大きな巣をつくる。近畿地方では琵琶湖の竹生島と伊崎、伊丹市の昆陽池、奈良県橿原市の深田池などで繁殖している。急速に樹を枯らすので、駆除や追い出しが行われることが多い。


私自身が確認した情報(【和田】と表示)を中心に、大阪市立自然史博物館へ寄せられた情報(【博物館】と表示)、和田個人が聞いた情報(【個人情報】と表示)、文献情報(【文献】と表示)を基に作製しました。

文献リスト
1.(財)日本野鳥の会大阪支部(1987)大阪府鳥類目録.日本野鳥の会大阪支部.
2.須川 恒(1993)魚食性水鳥(ウやミズナギドリなど)の生態と現況.関西自然保護機構会報14(2):65-72.

博物館や和田個人に情報を寄せて下さったのは次の方々です。
 鍋島靖信氏、西中美穂氏、藤井俊夫氏


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確認データ

※1950年代以降の繁殖記録がある場所。及び1980年代以降、集団が集まっていて、(将来の、周辺での)繁殖の可能性のある場所。

【大阪府】
○堺市:仁徳陵
 1963年まで 100-200羽が繁殖【文献1】
・堺市:新日鉄鉱石荷上げ港
 1999年 集団ねぐら?岸壁に300羽以上【個人情報(鍋島靖信)】

・岸和田市岡山町:箱谷池
 1999年夏 約20羽が残る。カワウらしい巣も2つ確認【博物館(西中美穂)】
 1999.11.25 約600羽が集まる【博物館(西中美穂)】
●岸和田市三ヶ山町:蜻蛉池
 2000年5月 巣立ちビナが観察される。5巣程度の古巣も確認【個人情報(西中美穂)】

【大阪府以外】
●滋賀県:竹生島
 1982年 戦後初めて5巣の繁殖が確認される【文献2】
 1985年 北部斜面で62巣が繁殖【文献2】
 1987年 約200巣が繁殖【文献2】
 1990年 約400巣が繁殖【文献2】
○滋賀県ビワ町早崎:丁野木川河口沖の給水棟
 1987年 15巣で造巣→撤去される【文献2】
●滋賀県近江八幡市伊崎
 1988年 30-40巣が繁殖【文献2】

●奈良県橿原市:深田池
 2000.2.27 少なくとも9巣で営巣。巣材運びも確認【和田】

●兵庫県伊丹市:昆陽池
 2000.1.10 少なくとも13巣で営巣。盛んに巣材を運ぶ【和田】
・兵庫県加古郡稲美町蛸草:千波池(加古大池のすぐ南)
 1997.2.23 約100-200羽の集団ねぐら【個人情報(藤井俊夫)】