自然史関係の本の紹介(2017年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】


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●「マンボウのひみつ」澤井悦郎著、岩波ジュニア新書、2017年8月、ISBN978-4-00-500859-9、1000円+税
2017/11/2 ★

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●「海のクワガタ採集記 昆虫少年が海へ」太田悠造著、裳華房、2017年7月、ISBN978-4-7853-5124-3、1500円+税
2017/10/30 ★

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●「カラスと京都」松原始著、旅するミシン店、2016年8月、ISBN978-4-908194-03-0、1500円+税
2017/10/23 ☆

 カラスマニアの著者の学生時代の話がつらつらの描かれる。大学入学から始まり、バイトで屋久島のサル調査や福井でのクマ調査にいったこと、野生生物研究会での時間、呑みに行ったこと、思い出に残る講義、はじめた頃のカラスの観察、院試、そして就職。極めて私的な思い出話が続く。時代としては、1回生から4回生までの4年間が中心で、修士課程の2年間は少しだけ。
 時代は、主に1990年代前半。同じ頃、同じ大学をウロウロしていたものとしては、とても懐かしい。サークルが同じで、研究室も隣、研究対象も同じ鳥。というわけで、大部分のネタがリアルにわかってしまう。著者は、旧の動植の建物に入ったり、川那部さん・日高さん・田隅さんの講義を聴いた、最後の世代なんだなぁ。まだ安部さんや小林さんが生きてたんだなぁ。でも、森さんはすでに教官に採用されてて、まだ大迫さんが出入りしていて、能田さんも院生だったのかぁ。カモ研はすでに活動してなかったんだなぁ。いろんなことを思い出す。いくらでもコメントできるけど、普通の人がこれを読んで面白いか? っていうのが、評価のすべて。

 というのはさておき、いくつか補足。
 京大キャンパスの地図は、理学部生物系の視点そのままで笑った。工学部はよく分からんとか、中央の文系学部はまるで知らんとか。北部構内でも数学とか物理系の建物が完全に無視されてるとか。賀茂大橋より西は謎というのも同じ。
 女子寮には入れないというくだりがあるけど、これは間違い。男子学生でも用事があれば、入れる。実際、サークルの用事とかで何回か入ったことがある。
 日高の講義で、レポートをいっぱい書いたら、単位を落とされるというのは、たぶん都市伝説。単位をもらうのに必要なのは、履修カードへのハンコだけ。で、日高はレポートを持って行ったら、レポートを読む前にハンコをくれていた。おそらく白紙を提出しても単位はでたはず。
 川那部さんの脊椎動物学で「クジラは魚であるを立証せよ」ってレポートのお題は、その頃、毎年だしていたテーマ。なかなか面白いレポートが出てこないと言ってた。それを一発合格とは、本当に凄かったはず。
 卒業研究は必修じゃないけど、12単位がおいしいから、たいていの人がやる。卒業の単位自体は3回生の間にほぼ集まるから、4回生の時は、大部分のコマが空いてる。というのも、少なくとも著者の頃までの伝統やね。
 小ヨモギ小屋で野研の面々が食べていた食事メニューは、さらに10年前から変わっていない。そして、寝袋に入ってウダウダしていて、やむを得ず寝袋から出るのを“脱皮”というのも同じ。「酒の一滴は血の一滴」も昔から言ってたなぁ。伝統とは恐ろしい。
 院試は語学でしか差が付かないというのも伝統的な傾向。昔は辞書持ち込み可だったので、辞書を引くスピードを練習したもんだけど、著者の頃は持ち込み禁止になってたのかな? ちなみに私の院試の時の英作文のお題は、「カレーの作り方を説明しなさい」だった。

 最後に、気になった点をあげてみよう。大阪市大から移ってきた鳥の教授がまーったく出てこない。この思い出に絡めたくなかったんだろうか? カラスの研究ではいろいろあったはずだけど。
 そもそも院に入ってからの話が少ないのだけど、研究室での話がほとんどない。研究室の先輩は藪田しか出ないし。大阪市大から鳥の院生も移ってきたのになぁ。
 院生時代の話は、次の本にとってあるのか、それとも思い出したくない思い出なのか。いろいろと邪推してしまう。

●「ヒトのなかの魚、魚のなかのヒト 最新科学が明らかにする人体進化35億年の旅」ニール・シュービン著、ハヤカワ文庫NF、2013年10月、ISBN978-4-15-050392-5、800円+税
2017/10/20 ★

 著者は化石を発掘する古生物学者でありながら、発生学や分子遺伝学的な研究にも手を染める総合的な進化生物学者。近年盛んな進化発生生物学(エヴォデヴォ)の一端を紹介する一冊。
 第1章は、自らの体験としての化石探しの話。そして魚類と四足動物をつなぐティクターリクを発見する。第2章は形態学的に魚の鰭に手の起源を探す。第3章は、手の構造を発生させる遺伝子の話。第4章は、歯の化石発掘の話から、歯、毛、羽根、乳房が同じ起源を持つという話。
 第5章は頭部、形態学的・発生学的にとくに4つの神経系を取り上げ、ヒトの頭部の構造が、魚の 鰓弓に由来することを説明。第6章は、発生学的・分子遺伝学的に動物のボディプランを制御する共通の仕組みの話。第7章は、単細胞生物から多細胞生物が生まれたのは、どんな理由で、どのような仕組みでなされたかの話。第8〜10章は、順に嗅覚、視覚、聴覚の感覚器の進化の話。定番の話題だけど、進化発生生物学的な近年の成果が紹介される。第11章はまとめ、ヒトの体には魚、さらには微生物にまでつながる進化の道筋の痕跡が残されているって話。
 形態に残る進化の道筋という定番のテーマに、エヴォデヴォな成果を混ぜてきたって感じかと。基本的なテーマはいいとして、全体を通した軸が分かりにくく、章ごとの個別の例はつまみ食い感が強い。全体的に化石を用いた研究とのリンクがもっと明確にされれば、新しさも出たんじゃないかと。個人的には第1章から第3章までの流れで最後まで行ってくれればもっと楽しめた。


●「動物たちが教えてくれる 海の中のくらしかた」佐藤克文文・木内達朗絵、福音館書店たくさんのふしぎ2017年8月号、667円+税
2017/10/19 ★

 水中で暮らす動物のバイオロギングを紹介。主に登場するのは、ウェッデルアザラシ、キングペンギン、マッコウクジラ。どうしてバイオロギング研究が始まったかというエピソードの紹介の後は、著者お気に入りのネタだからか、潜水時の速さの話とか、沈むときと浮かび上がる時の運動の話が繰り返される。「ペンギンもクジラも秒速2メートルで泳ぐ」がネタ本と言っても良いかもしれない。
 絵を使って分かりやすく解説してくれているが、絵本とは思えないくらいテキストが多い(「たくさんのふしぎ」としても多い)。むしろ絵本と思わない方がいいかも。
 バイオロギングのことをあんまり知らない人には、初めてのバイオロギング本としてお勧めかも。タイトルも海中の動物のバイオロギング研究の意義を上手く伝えていると思う。

●「ぼくの村がゾウに襲われるわけ。 野生動物と共存するってどんなこと?」岩井雪乃著、合同出版、2017年7月、ISBN978-4-7726-1316-3、1400円+税
2017/10/18 ★★★

 たいていの人は、テレビでアフリカのサバンナに群れる大型哺乳類の画像をみたことがあるだろう。動物好きなら、セレンゲティやンゴロンゴロという場所は憧れの地。一度は動物を見に行ってみたいと思ったりもするだろう。しかしこうした野生の王国の影で、苦しんでいる人たちがいることは、日本ではほとんど知られていない。
 著者は、文化人類学(たぶん)の研究者であり、同時に社会活動家でもあるらしい。アフリカの野生動物を密猟者から守るために、勇んでアフリカに乗り込んだ若き研究者の卵は、思いもよらなかった事実に直面して、考えをあらため、地元の人と野生動物との共存について考えるようになる。
 白人がやってくる前、いわば持続可能な形で野生動物を狩って暮らしていたアフリカの人々。しかし植民地時代から独立後も、地元の人による狩りは、どんどん禁止されていく。白人ハンターのために、後には観光客を呼び込むために、国立公園などがつくられる。そこでは元々暮らしていた人たちが狩りをすることは禁止され、国立公園内の村々の人たちは、強引に追い出される。元々暮らしていた場所で、元々の暮らし方を続けようとしたら、密猟者と呼ばれ、逮捕され、多くの人が殺された。やむを得ず、国立公園の外で農業で暮らしをたてようとすると、国立公園から出てきたゾウに作物を荒らされ、追い払おうとした人々がゾウに殺される事態も生じる。ゾウを殺したら密猟者と呼ばれ逮捕されるのに、ゾウに殺されても誰も保障してくれず、収穫物はなくなり、日々の生活にも困る人々。
 タンザニアのセレンゲティ国立公園のほとりのイコマ民族に寝泊まりさせてもらって、著者はそうした歴史を知り、現実を目の当たりにする。そして、アフリカゾウから畑を守るためにできる援助をはじめる。アフリカゾウとの知恵比べはけっして終わりはなさそう。真の解決は、イコマ民族をはじめとする地元の人たちが、狩りを含めた元々の暮らしを取り戻した時に訪れるような気もする。しかし、そこへの道はまだまだ遠く、すでに以前の暮らしの文化的基盤を失った人たちが、元の暮らしに戻れるかも怪しい。それでも、少しずつ事態が改善するように願わずにはいられない。
 野生生物を守るためにつくられた国立公園の背景で、こうした人権蹂躙が行われているのは、タンザニアに限らない。アフリカの各地で、北アメリカでアメリカ・インディアンが、オーストラリアではアボリジニーが先祖伝来の地を追われ、苦しんでいる。そうした元々暮らしていた人々の権利を守ろうという動きは、世界各地で起きてはいるが、まだまだ道半ばの様子。
 この本では、 イコマ民族の現状から始まり、植民地時代からの歴史、タンザニアの社会的な問題。そして、世界各地で起きている同様の出来事と事態を改善しようとする動きを紹介していく。あえてアメリカ・インディアンという言葉を使っていることを含め、言葉の意味や出典元もきちんと明記されている。そして、日本との関わりにまで目が配られている。是非多くの人に読んで考えて欲しい一冊。

 日本でも、近年シカやイノシシ、クマ、サルによる獣害が大きな社会問題となっている。これにはかつての山間部における人と自然の関係の変容が関わっていると考える人が多い。遠くアフリカで起きていることは、けっして対岸の火事ではない。また、日本での象牙製品のニーズなどを通じて、日本の我々の行動は、アフリカでの出来事に直接的な影響を与えてもいる。逆に言えば、日本にいてもアフリカでの事態をなにかしらいい方向に向かわせる手伝いはできるということ。この本の最後、第8章「わたしたちにできること」には、具体的な提案がいくつかあげられている。よく考えて、できる範囲でなにかしたいと思った。


●「歌うカタツムリ 進化とらせんの物語」千葉聡著、岩波科学ライブラリー、2017年6月、ISBN978-4-00-029662-5、1600円+税
2017/9/25 ★★★

 あとがきを先に読んだ。「本書では、カタツムリの進化の研究、という限りなくマニアックでローカルな世界から、どれだけグローバルな物の見方が導かれるか、というもくろみに挑戦しました」とあった。さほど深く考えず、いいねぇ、とだけ思って本編を読み出した。確かに陸貝を中心にした貝類研究の話ばかり出てくる。しかし、その歴史が、現代進化論形成の歴史に直結してくるのには驚いた。
 登場してくる人物たちも有名人が目白押し。ギュリック、フィッシャー、ライト、ドブジャンスキー、モース、グールドなどなど。日本に縁のある人を強めに出しているとはいえ、現代進化論を語る上ではずせない人の大半が、貝類研究の流れで登場してくるとは。最後に著者の小笠原での研究も紹介される。
 この本は単なる貝類から進化の研究史をおっただけではない。進化研究の歴史における、貝類の形態の多型は適応なのか遺伝的浮動なのかという大論争の紹介の書でもある。カタツムリにいろんな模様があるのは知っていても、それでこんなに盛り上がっていたとは知らなかった。返す返すもハワイマイマイがすべて失われたのが残念。小笠原のカタマイマイが生き残ることを祈りたい。

 大阪人としては、ギューリクが大阪で過ごして関西のカタツムリ研究に大きな影響を与えたというのが勉強になった。その流れのコレクションは当館にもある。そして個人的には、中学生の頃から知っている貝好き少年が、一人前の研究者になって、その研究を紹介され、謝辞にも載っているのが感慨深い。いろいろ貝を教えてもらって、大先生と呼んでいたのだけど、本当に大先生になりつつあるらしい。そのうち、大先生の本も読んでみたい。


●「昆虫こわい」丸山宗利著、幻冬舎新書、2017年7月、ISBN978-4-344-98463-9、1000円+税
2017/9/18 ★

 アリの巣の共生甲虫やツノゼミの研究で知られ、昆虫の伝道師でもある著者。毎年海外に行きまくってる印象が強いが、その世界各地に昆虫採集に出かけた話を一挙に放出。
  ペルー、カメルーン、カンボジア、ミャンマー、ケニア、フランス領ギアナと、本当に世界の低緯度地域に行きまくっている。これで、本当はあまり旅行は好きじゃないと言われても、説得力がない。荷物盗られそうになったり、賄賂取られたり、せっかく採集した標本が日本に届かなかったり、宿泊場所がハードだったり。いろんな目に遭ってるけど、本当に危ない目にはあってないし、全体的にとても楽しそう。あまりに楽しそうに見える、と本人も自覚があるからか、随所にあくまでも研究のための標本採集だと念を押してる上に、最後の番外編では「ちゃんと研究もしてますよ」と、研究紹介もしてるけど、まあ遊びに行ったついでに研究しているようにしか見えないかも。
 前編に渡って、基本的には旅行記と昆虫採集記。こんなん採れた嬉しかった〜。って話が並ぶ。とても楽しく読める。タイトルは落語の「饅頭こわい」と同じ意味の「昆虫こわい」 。だとしたら、今度は「※※がこわい」でしめてほしかった。

●「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。」川上和人著、新潮社、2017年4月、ISBN978-4-10-350911-0、1400円+税
2017/8/27 ★

 「鳥類学者 無謀にも恐竜を語る」「そもそも島に進化あり」に続く、著者単著のエッセイ本第3弾。恐竜の話、島の話と全体を通じてのテーマがあった前2作と違い、ただただ好きなことを書いたと言っても過言ではないエッセイ集。
 第1章の4編は、島の鳥の話。メグロ、西之島、ハシナガウグイス、ズグロミゾゴイ。最後だけが小笠原から離れる。第2章の2編は、南硫黄島に調査に行く話。第3章はちょっとまとまりがない。鳥の骨、島のヤギ駆除、アカガシラカラスバト、鳥の糞から生きたカタツムリ。第4章はなんのまとまりもない。クルクル回る、鳥の足趾、島にやってくるネズミ、死んだふり。第5章もまとまらない。インドネシアの林と日本の夏鳥、外来鳥類ガビチョウ、小笠原のヒヨドリ2亜種の由来、シカの血をなめるカラス。第6章、まあ好きにやってる。オガサワラヒメミズナギドリ、国際学会に行った、リンゴジュースと鳥の色、恐竜はなぜ水中に進出しなかったのか。
 ふざけながら、脱線しながらもけっこう科学者っぽいことを言ってる所は、おおむね前2作と同じ。でも今回の方が、脱線度が高く、ときには脱線したままだったりする。そんな中で、外来生物問題に関しては、ところどころに真面目な口調が混じるのが、おそらく著者自身は少し恥ずかしく思ってたりすんだろうかと思ったりする。
 とても読みやすいし、面白いのだが、全体を通じてのテーマが明確な前2作の方が好き。これの評価が低い理由は、もう一つあって、後半に多くなるエッセイのうち、島の話でも外来生物でもない話は、自分でも書けそうな気がするんだなぁ。SNSやってる鳥の研究者にはそう思う人がけっこういるんじゃないかな? そこで。著者の口調をまねてみんなでエッセイを書いて、トリビュート本を出すとかどうだろう? タイトルは「鳥類学者だけど、鳥が好き」とか。。


●「毒々生物の奇妙な進化」クリスティー・ウィルコックス著、文藝春秋社、2017年2月、ISBN978-4-16-390601-0、1600円+税
2017/8/25 ★★

 原題は「Venomous: How Earth's Deadliest Creatures Mastered Biochemistry」。toxic(毒がある)の中に、venomous(毒液を持つ)とposonous(有毒な)がある。後者は食べたら危険という意味、前者は毒を出したり、注入してきたりする。そして原題の副題にあるように、Venomousの生化学的側面についての本。同時にVenomousやその周辺の人々への巡礼の旅の記録であり、出会いの物語でもある。著者は、Venomous研究者でありサイエンスライター、そしてたぶんVenomousオタク。
 第1章はカモノハシの物語。カモノハシが毒の側面からこんなに研究されているとは知らなかった。そしてどうやら性選択で毒を獲得したおそらく唯一の動物(オス同士が闘争で使う)というのも面白い。 第2章は、最凶(最強ではない)の有毒生物の話。よくあるオチではある。毒ヘビがヒトの進化に大きく影響したという仮説は、真偽はさておき面白い。第3章はヘビ毒に対する耐性の話。ミツアナグマ、オポッサム、ハリネズミ、スカンク、マングース、ヘビクイワシなどの中には、特定のヘビ毒に対する耐性を持ってるものがいるらしい。そして、世の中にはヘビ毒を自らに注射して耐性を得ようとする「自家免疫実践者」という人たちがいるらしい〜。第4章は、サシハリアリ、カサゴ類、トックリガンガゼモドキなどの毒によって起きる激痛の話。第5章はコモドオオトカゲの毒の話。毒を持っていることはなかなか認められなかったらしい。第6章はガラガラヘビ。壊死を起こす血液毒は怖い〜。第7章はヒョウモンダコやイモガイ。磯観察で出会う可能性があるので、ほんとうに注意が必要。第8章は、毒でマインドコントロールという話。エメラルドゴキブリバチが、ゴキブリに毒を注入してゾンビ化する。というと他人事だけど、世の中にはコブラ毒を注射したり、毒蛇にわざとかまれてハイになる人たちがいるらしい(マインドをコントロールされとる!)。最後の第8章は、毒からさまざまな薬が作られており、これからも新たな薬が期待されるという話。
 毒をもった動物、あるいはそれに襲われる動物、それを襲う動物について、いろいろと知らないことが出てくる。とくにVenomousとその周辺の動物(ヒトも含む)との共進化が興味深い。万能抗毒素や自家免疫の話はこれからどうなるんだろう?とこれからの興味もつきない。とりあえずヤマカガシやヒアリよりもヒョウモンダコがしゃれにならんので、今度磯観察に行くときは注意しよう。
 Venomousを毒々生物と訳すのはセンスがないと思う。ある年代以上に毒々モンスターを思い出させる作戦かもしれないけど、内容を正しく伝えてないんじゃないかな。

●「珍奇な昆虫」山口進著、光文社文庫、2017年2月、ISBN978-4-334-03970-7、1000円+税
2017/8/24 ★

 著者は、あのジャポニカ学習帳の表紙写真を40年以上にもわたって撮ってきたカメラマン。当然ながら本の表紙も、ジャポニカ学習帳風。昆虫の撮影旅行がらみのエッセイ集。
 東南アジア、オセアニア、中南米、アフリカ、日本と地域毎に章立てされている。日本を除けば行ってるのは、もっぱら低緯度地域。1テーマ10ページ内外で24テーマが並ぶ。

 第1章: ハナカマキリ、ウツボカヅラの中を泳ぐアリ、ゾウの糞にくる糞虫、世界最大のシジミチョウ、ツムギアリ、カブトムシ相撲
 第2章: クリスマスビートル、パプアキンイロクワガタ、ミツツボアリ、ハンマーオーキッドにだまされるツチバチ
 第3章:ダーウィンのチリクワガタ、タケノコを食べるカブトムシ、スゴモリシロチョウ、オオカバマダラの越冬地、ハキリアリ、ヘラクレスオオカブト、バケツランにくるミドリシタバチ、テナガカミキリ
 第4章:霧で露を集めるゴミムシダマシ、砂丘を走るゴミムシダマシ、シロアリを食べるゴミムシダマシ、アフリカの2大巨大チョウ
 第5章:アリに育てられるシジミチョウ、化学擬態するトビモンオオエダシャク、サムライアリ

 世界のほんとうにあちこちに行きまくっている。かなりの下調べをして、地元のガイドを雇って、何度も訪れている感じ。
 選ばれているテーマは、大きい虫、綺麗な虫、面白い生態をもっている虫といった感じ。わりと聞いたことのある虫が多い。撮影に行った年代を見た限りでは、既にそこそこ有名な虫を自分の目で見て、撮影して回っているらしい。
 書かれている内容は、旅行記・撮影秘話と、実際に観察した虫の様子。だけに留まらず、関連した研究が紹介されていたりもする。実物を自分で見て書いている部分については、違いを感じさせる。
 帯に「お宝写真を一挙披露」とあるけど、写真が全体的に小さいのが残念な感じ。


●「生から死へ、死から生へ 生き物の葬儀屋たちの物語」ベルンド・ハインリッチ著、化学同人、2016年8月、ISBN978-4-7598-1822-2、2300円+税
2017/8/14 ★

 日本の鳥屋の間では「ワタリガラスの謎」で知られているハインリッチは、実はけっこう虫屋でもあった。と分かる1冊。副題の通り、死体を処理する生き物たちの生態が描かれる。
 第1章の舞台は北米。というかハインリッチの家の近所。死体を見つけるたびに、セットしてどんな動物がやって来るかを観察する。やってくるのは、シデムシなどの昆虫から、ワタリガラスなどの鳥、コヨーテなどの哺乳類まで多岐にわたる。そして、この本で熱く語られるのは、ワタリガラスではなく、むしろモンシデムシ。第2章は、舞台を低緯度地域に移し、主役はハゲワシやコンドル。こうした大きな腐肉食性鳥類が暮らすには、常に大きな死体が供給される環境が必要で、大型の草食動物の死体の供給が減少する中で、こうした大型腐肉食性鳥類の生存も脅かされている。ある薬を処方された家畜を食べることで、普通種だったベンガルハゲワシが急速に減少し、いまや絶滅が危惧される事態になってるとは知らなかった。第3章は、植物遺体を食べる昆虫やキノコ、そして枯れ木を利用する鳥たちの話。第4章は川をさかのぼって死ぬサケと、海で死んで海底に特殊な環境をつくるクジラが主役。最後の第5章は、エピローグ。人の死をからめつつ、死と再生について語る。
 全体を貫いているのは、死とは終わりではなく、新たな物語の始まりであるといった観点。キノコ屋はよく言いそうだけど、鳥屋がいうのは珍しい。きちんと生態系に死体を供給しないと、生きていけない生き物もいるという点は、よく考える必要があると思う。第5章は蛇足感が否めないが、最後に人も絡めたかったんだろうなぁ。
●「バッタを倒しにアフリカへ」前野ウルド浩太郎著、光文社新書、2017年5月、ISBN978-4-334-03989-9、920円+税
2017/7/12 ★

 「孤独なバッタが群れるとき」の著者、バッタ博士による第2弾。前作が院生時代中心で、バッタの飼育と室内実験の話だったのに対して、こちらはポスドク時代のモーリタニアでの話が中心。
 モーリタニアへ行って、運転手のティジャニ、ウルドの名前をくれた庇護者であるババ所長との知己を得て、いざバッタの研究を。と思ったら、バッタがいない。困った困った。困ったからゴミムシダマシを調べてみたり、ハリネズミを飼ってみたり、フランスへ浮気をしたり、広報活動に精を出してみたり。と、試行錯誤の末、なんとか次のポジションを獲得し、バッタの大群にも遭遇。という話。
 とにかく、有期の身分で、フィールドワークなんてろくにしたこともないのに、単身アフリカに乗り込むという勢いがすごい。その勢いで、いろんな人を巻き込んでなんとか夢に向かって進んでいく。ある種のサクセスストーリー。物語として、とても面白い。
 今時っぽい語り口はとてもこなれている。そして不安定な身分が夢に向かって頑張るポスドクの現実(ちょっと普通のタイプのポスドクと違うけど…)は、切々と訴えてくるものがある。ただ、前作と違って、ぜんぜん研究の中身が出てこない。ゴミダマはさておき、アフリカでのバッタの研究の中身はまるで不明(最初の手慣らしみたいなデータはさておき)。まだ論文化されていないからなんだろうけど、それが不満。そのせいで、普及書ではなく、エッセイといった趣きになっている。最後に書いてある通り、お世話になった人々やファンに向けての現状報告といったものなんだろう。
 この本がファンへの報告以外で役立ってるとしたら、きっとモーリタニアへの親近感と好感度をあげたってことだろう。アフリカにはいろんな事情を抱えた大変な国も多いけど、たまたま行った国が、親日的で良い国でよかったなぁ。
●「野生のチューリップ」前嶋昭著、福音館書店たくさんのふしぎ2017年5月号、667円+税
2017/7/4 ★

 カザフスタンに野生のチューリップに出会うために出かける。園芸品種にまけないくらい、赤や黄色が鮮やかな野生のチューリップが登場する。というか、風景とチューリップの写真ばかりで構成されている。
 冬は寒く、春以外は乾燥した厳しい環境で、タネから何年もかけて育つ野生のチューリップ。花壇に植えられる栽培品種のチューリップとは少し違う。でも、その姿はやっぱりチューリップ。
 チューリップも風景も写真はとても綺麗。でもストーリーが弱いというか、旅行記風でいてそれが活きていないというか。野生のチューリップの生態の説明もあるのだけど、頭に入って来にくいのは何故?

●「したたかな魚たち」松浦啓一著、角川新書、2017年3月、ISBN978-4-04-082054-5、800円+税
2017/7/3 ★

 フグやカワハギの分類屋さんが、魚のあれこれをいろいろ書いた一冊。
 第1章は、多様性がテーマかなぁ。なんか魚のことがいろいろ書いてある。第2章はたぶん魚の生息場所の話。第3章は、採食行動や食性の話だろうけど、運動の話もあるような。第4章は対捕食者戦略なのかなぁ。第5章は繁殖戦略、第6章は回遊かな。
 知ってる話が多いけど、もちろん知らなかった情報もある。高い体温を保つアカマンボウ。釣りをするタイコウボウダルマ、フグ毒の意味などなど。全体的には、とりとめなく魚のことが次から次への書いてある感じ。とくにオチはなく、蘊蓄を並べていく人の話を聞いてるよう。
 それ以上に気になったのは、文章自体。
・“実は”が多用されるのだけど、さほど “実は”ではないことが多い。
・そんな簡単な疑問ふつうは持たへんで、と思うような自問から話をはじめたりする。
・最初に結論を言って、その説明をはじめて、同じ結論に落ち着く冗長な展開。
 これって、この著者と同年代の 、とある知り合いの魚の分類屋さんの文章に似てる。その文章に苦労させられたのを思い出す。この年代の魚の分類屋はなにか申し合わせでもあるの?


●「おっぱいの進化史」祖田修著、技術評論社、2017年1月、ISBN978-4-7741-8679-5、1880円+税
2017/6/3 ★★

 “おっぱい”とは乳房のことでもあり、そこから出てくる乳汁のことでもある。などと最初に宣言されているが、この本の話題はもっぱら乳汁のこと。なんとなれば、著者は人以外の乳汁の成分研究の専門家なので。
 第1章は、ヒトを中心におっぱい分泌の仕組みと成分の紹介。第2章は、さまざまな哺乳類のミルクの成分の話。脂質・タンパク質・糖質の割合が違うってだけでなく、クマのミルクは乳糖が少なくてミルクオリゴ糖が多いとか。 アザラシやクジラのミルクは、脂っこくて糖の少ないとか。カンガルーのミルクは、最初はミルクオリゴ糖が多いのが、途中で脂肪が多くなるとか。ミルクオリゴ糖には、血液型のような型があるとか。乳頭をもたない単孔類のミルクには、MLPという細菌の増殖を抑えるタンパク質が入っているとか。興味深い話題が満載。第3章は、おっぱいの進化、すなわち哺乳類の進化の話。形態的な進化や、遺伝子型の変遷の話ではなく、メインはミルクに関わる酵素やタンパク質の進化。生理的な側面から、化学物質の構造や代謝から進化を考える。第4章は発酵乳、第5章はミルク利用の話。
 ヒトのミルクの成分、発酵乳やミルク利用の話にも興味深い要素はあった。生理的側面から化学的に進化を考えるという世界は初めて知った。が、なにより面白かったのは、さまざまな哺乳類のミルクが紹介される第2章。ネコに安易に牛乳あげたらダメだってよく分かる。まだまだ個々の動物のミルクの成分には謎がいっぱいらしく、動物の子どもを人が代用乳で育てるのにはまだまだ課題がいっぱい。ってことも知らなかった。 動物園は大変そう。

●「カラス屋の双眼鏡」松原始著、ハルキ文庫、2017年3月、ISBN978-4-7584-4078-3、500円+税
2017/5/28 ★

 「カラスの教科書」でブレイクした松原先生による、生物学者視点の自然エッセイ。もちろんカラスの話は多いけど、カラス以外の動物もいろいろ出てくる。
 と言いつつ、第1章はやっぱりカラスの話。学生時代の京都の話もあるし、就職してからの東京の話もある。第2章はカラスを離れて、鳥の話。学生相手に野外実習したときの話と、木津川での調査の話が混じる。木津川の調査プロジェクトにこんなに参加していたとは知らなかった。某教授(当時)の「見つけてねえだけなんじゃねえの」という名文句が登場。第3章は、カラス調査の最中に、違う動物に目が行く話。って感じ。第4章では、ヘビやハエトリグモにも興味があるよって。その合間に、自分の持ち物や服装の話なんかがはさまれる。
 カラスの話は今までの著作とかぶってないのか?と思ったりもしたけど、面倒なので確認はしてない。全体的にまとまりなく、思いついたことを好きなように書いた感じ。正直な感想は、同じようなのは自分でも書けるなぁ。ブレイクしていないから、どこも出版してくれないだろうけど。


●「ヒト 異端のサルの1億年」島泰三著、中公新書、2016年8月、ISBN978-4-12-102390-2、920円+税
2017/5/16 ★

 著者はマダガスカルに通い、アイアイの研究で知られた霊長類学者。機会を見ては世界の類人猿に出会いに行った経験と、最新のヒトの進化についての研究成果をふまえつつ、類人猿とヒトの進化について独自の考えを開陳する。タイトルの1億年は霊長類の誕生からの時間だが、この本で扱われるのは、もっぱら類人猿進化の2000万年。
  短い第1章では、マダガスカルのキツネザルに出会いに行く話からの、霊長類の分類と系統の話。この本で唯一の類人猿以外の霊長類が出てくる。第2章はボルネオのオランウータンとの出会いの話からの、2000万〜1300万年前の初期の類人猿の話。第2章は、ルワンダのゴリラに会いに行った話からの、1000万年前前後、とくにヴァレンシアン・クライシスの話。第4章は、タンザニアのチンパンジーを見に連れて行ってもらった話からの、700万〜500万年辺りの化石類人猿の話。第5章は、アンボセリの話からの400万〜200万年前のアウストラロピテクスの話。第6章は、マサイマラの話からの260万〜150万年前頃のホモ・エレクトゥスの話。第7章は、50万〜3万年前のネアンデルタール人の話。第8章は、19万年前からのホモ・サピエンスの話。最後の第9章は、「最後の漁労採集民、日本人」とある。
 ヒトの進化について、最新の研究成果を紹介してくれる本は他にもあるが、類人猿の進化を紹介してくれる本はないので、とても勉強になる。ただ、他の研究者の研究成果を踏まえ、自分の観察から、自分の意見を開陳するというスタイルが繰り返される。初期人類の食性、二足歩行はどのように始まったのか、言語の由来、どうしてヒトはアフリカから拡がったのか、ハンドアックスは何に使われたのか、なぜヒトは毛のないサルなのか。さまざまな人類学上の大問題に対して、著者の考えが示される。既存の考え方をバッサバッサとぶった切るので、とても気持ちいい。しかし、それはあくまでの著者の考えに過ぎないので、完全に鵜呑みにする訳にはいかない。ってことで、どこまでが事実で、どこからかアイデアかを区別できない人にはオススメしにくい。


●「鳥のくらし図鑑 身近な野鳥の春夏秋冬」おおたぐろまり著、偕成社、2016年11月、ISBN978-4-03-437460-3、2000円+税
2017/4/30 ★★

 「この羽 だれの羽?」の著者が、39種の鳥の一年の暮らしを、鳥が見られる主な環境ごとに紹介。
 スズメ、ヒヨドリ、ムクドリと身近な3種から始まる。都市部の留鳥は一通り取り上げられている。それぞれの鳥が一年のどの季節に日本にいて、どんな暮らしをしているかが、季節ごとに紹介されている。同時に日本で繁殖する鳥については、繁殖行動を重点的に取り上げている。日本で繁殖しない鳥に関しても、繁殖の様子を軽く取り上げつつ、冬の暮らしに重点を置いている感じ。採食行動や群れでの行動、集団ねぐらも取り上げ、双眼鏡マークの囲みの中に、主な観察ポイントが紹介される。それぞれの種について、ヒヨドリの渡り、ムクドリのねぐらの変化、メジロの舌、ハトの巣場所といったトピックが紹介されると同時に、混群、繁殖期、渡りについては、大きなトピックとして1ページあてている。絵本というより、絵を多用したバードウォッチング入門の本といった趣。都市部を中心に、本州で比較的身近に見られる鳥が重点的に取り上げられていて、都市鳥のくらしの入門書としても参考になる。
 情報量が多いだけに間違った情報も少し混じっているように思う。気になったのは、ヒヨドリ「春になると群れからはなれて、ペアになる。繁殖期は5カラ9月で長い」。少なくとも大阪では繁殖ペアは一年中つがい関係を維持している。群れからペアに分かれるのは、若い個体だけの話だと思う。繁殖期は通常5〜8月。9月にヒナが出る例はほとんどないと思う。そういう意味で繁殖期はさほど長くない。キジバト「真冬以外はいつでも繁殖できる」とあるけど、年中繁殖可能だし、関西では実際に1〜2月でも繁殖例はさほど珍しくない印象。キジバト「ひなは、ふ化してから30〜40日ほどで巣立つ」とあるけど、この表現は長すぎ。実際には15〜25日ほどで巣立ちって感じ。キジバト「群れになることはほとんどなく、1羽か2羽でいることが多い。しかし、まれに、食べ物が多い場所にいるときや、冬には、群れていることがある。」とあるけど、キジバトの群れはまれではない。むしろ若い個体は基本的に群れで生活しているようで、年中、キジバトの群れは普通に見られる。まあ、食べ物の多い場所が中心なのは確かだけど。
 とまあ、突っ込みたくなる部分はあるけど、全体的にはとてもいい本だと思う。なにより絵が上手。


●「ゾンビ・パラサイト ホストを操る寄生生物」小澤祥司著、岩波科学ライブラリー、2016年12月、ISBN978-4-00-029656-4、1200円+税
2017/4/28 ★★

 著者は「メダカが消える日」などの著作もある環境ジャーナリスト。雑誌「科学」に「パラサイトの惑星」として連載したもののうち、パラサイト・マニピュレ−ションにまつわる4回分に加筆した一冊。
 第1章は、麦角菌や冬虫夏草の話からゾンビアリの最後の一噛みの紹介。第2章はハリガネムシの紹介から、カマドウマやカマキリの入水自殺。そしてカワムツの行動を変える吸虫の話。第3章は、セイヨウミツバチの群れ崩壊現象の原因の話からの、ゾンビ蠅。および捕食寄生の紹介からのコマユバチやクモヒメバチの寄主コントロールの話。第5章は、ネコ科動物とトキソプラズマの話を紹介しつつ、トキソプラズマに感染したネズミがネコを恐れなくなる話。そして、トキソプラズマが人を操る可能性を匂わす。ここまで研究成果を、比較的客観的に紹介してきた後、最後のあとがきに考察っぽい話がある。
 比較的新しいパラサイト・マニピュレ−ションの話題が並ぶ。同時に冬虫夏草やミツバチの群れ崩壊現象についての説明もよくまとまっている。全体にとても読みやすい。そのせいか、すぐに読み終わってちょっと物足りなくもある。

●「雪と氷の世界を旅して 氷河の微生物から環境変動を探る」植竹淳著、東海大学出版部、2016年8月、ISBN978-4-486-02000-4、2000円+税
2017/4/24 ★

 フィールドの生物学シリーズ。氷河の中に暮らす微生物を調べるために、世界の氷河へサンプリングに行く。
 第1章は序章。雪氷生物学と出会い、卒論でチリのパタゴニアの氷河のサンプルを処理する。以降は世界をまたにかけてのサンプリング。第2章と第3章でロシアのアルタイ山脈、第4章でアラスカ、第5章で中国の七一氷河、第6章でグリーンランドのカナック、第7章でウガンダのルウェンゾリ山。氷河って単なる氷の塊かと思ったら、赤くなったり、クリオコナイト粒や氷河ナゲット(著者命名)というコケや微生物の塊があったり、想像以上に生物の活動が豊富。その生物の豊富な層の重なりから年間の氷河の成長具合が評価できるとは知らなかった。
 寒い国々に調査と称して出かけるのだから、「菌世界紀行」と同じように、ロシアなどで飲んだくれているだけの話かと思ったら、とても真面目にサンプリングして帰ってくる。研究者としてはあるべき姿だけど、読み物としてはちょっと物足りない。現地で世話してくれるマザコンの奇特な人もでてこないし。


●「泳ぐイノシシの時代 なぜ、イノシシは周辺の島に渡るのか?」高橋春成著、サンライズ出版、2017年2月、ISBN978-4-88325-610-5、1800円+税
2017/4/21 ★★

 タイトル通り、近年イノシシが泳いで、島に渡ってるケースが多発していることを紹介した一冊。かと思いきや、最後には近世から現代にいたるイノシシの分布の変遷や、人との関わりの変化にまで話が及ぶ。イノシシと人の歴史が判る一冊。
 第1章はイントロ。1980年代以降、イノシシが泳いで島に渡る事例が多発していて、農業被害や生活被害を起こしていることをざっと説明。そして、第2章では、琵琶湖、瀬戸内海、宇和海、九州、南西諸島と日本各地で、イノシシが泳ぎ、島に渡った事例を次々と紹介。第3章では話は世界に及び、アジア、ヨーロッパ、アメリカを泳ぐイノシシ、さらにヒゲイノシシやバビルサまで泳ぐ話が出てくる。第4章が白眉。江戸時代、明治・大正時代、現代のイノシシの分布の比較からはじまって、生息地の拡大の要因として、温暖化、土地利用の変化、養殖イノシシ・イノブタの問題、狩猟や駆除の影響など人とイノシシの関わりの変化が語られる。第5章は終章。イノシシの泳ぐ能力、そして狩猟時の注意など。
 正直に言えば、第3章までは単なる事例集だったのが、第4章でとたんに、イノシシと人の歴史の中で、両者の関係性が変わることによって、近年泳ぐイノシシが増えてきた構図が描かれる。同じ話を繰り返していて、ちょっとくどい所もあるけど、現代の獣害問題を考える上で、とても勉強になる本。
●「海の寄生・共生生物図鑑」星野修・齋藤暢宏著・長澤和也編著、築地書館、2016年7月、ISBN978-4-8067-1517-7、1600円+税
2017/4/12 ★★

 伊豆大島を舞台に、魚に付着して生活する小型甲殻類を中心に、普通のダイビングではまず相手にされることのない小さな動物たちを、美しい写真で紹介した写真集。
 寄生性カイアシ類を皮切りに、ウオノエ、ウミクワガタ、エビヤドリムシ、アミヤドリムシと小さな甲殻類が並ぶ。ついで、魚につくヒル、ヒトデ・ウニ・ゴカイと一緒にいる貝、カイメンやホヤにひっつくゴカイ。とここまでなら寄生・共生生物なんだけど。底生カイアシ類、ウミケムシやウロコムシといったゴカイ類、ウミグモ、オニナナフシ、コツブムシ、オオメアミ、ホソツツムシ、ヤドカリモドキ、コノハエビ、タナイス、クーマ、ウミノミ、ワレカラ、ホソヨコエビ、ヨコエビ、アミ、イソヤムシなどなど。もう寄生でも共生でもない不思議な動物のオンパレード。
 小型の海産甲殻類がこんなに並ぶ写真集も珍しい。それだけでも価値があると思う。紹介されている動物の大部分は、1cmに満たない小さな生き物。こんなに多様な世界があるとは知らなかった人も多いはず。今度海に行ったら、こうした小さな生き物を探してみよう。見てみたいのは、ヒトデに潜り込んでるヤドリニナ、触角に子ども達をのせて世話をしてるオニナナフシ、とてもカラフルなヒメオオミアミ、海のオケラみたいなタナイス、確かにエイリアンに似てるウミノミ類。

●「カメムシ おもしろ生態と上手なつきあい方」野澤雅美著、農文協、2016年3月、ISBN978-4-540-15223-8、1600円+税
2017/4/7 ☆

 中学生の頃から50年以上というカメムシマニアさんが、気の赴くままにカメムシについて書いてみた一冊。
 まずは「パート1 身近なカメムシとことんウォッチング」。カメムシの概要を紹介して、庭、田んぼ、野山、山地、地面、水辺の主要なカメムシをざっと紹介。「パート2 おどろきの素顔と暮らしぶり」では、分類、食性、変態、交尾、子育て、冬越しをざっと紹介。それから、キンカメムシ、カスミカメムシ、サシガメ、肉食系カメムシ、キノコを喰うカメムシ、グンバイムシといったグループをざっと紹介。最後に分布の変化や外来カメムシの紹介。最後の「パート3 カメムシと上手につきあう」は、人との関わり、見つけ方、生活史の話、防ぎ方、カメムシ相を調べる、と並ぶ。
 とにかく、全体的に“ざっと紹介”感ばかりがただよう。さまざまな環境のカメムシを紹介してくれていても、どこの話をしているのか、どのくらい網羅しているか判らない。生態の説明も中途半端な感じ。グループごと解説してるけど、これでカメムシの全体像になってるの? 最後のパートは構成自体意味不明。まさに気の赴くままに書いた感じで、割と知ってる話ばかりだったからだろうか、カメムシの全体像を把握できた感じもしなければ、カメムシってこんなに面白い虫なんだ!とも感じられなかった。残念。


●「鳥獣害」祖田修著、岩波新書、2016年8月、ISBN978-4-00-431618-3、820円+税
2017/4/6 ☆

 著者はもともと農業経済の研究者で、大学を退官して、農作業を始めたところ獣害に遭遇したらしい。で、人と動物の関係について考えはじめ、こんな本を書いてみました。
 第1章は、哺乳類は可愛いけど、農作物を荒らされたらムカつくわぁ。獣害があるから放棄される田畑が増えるのも問題って書いてある。第2章はなぜか農業への獣害から離れて、街中にでるイノシシ、住宅地などでのクマとの遭遇、シカやイノシシが列車と衝突する話。第3章は、大型獣の増加と獣害の増加がデータで示される。「害獣の価値」論としてディープ・エコロジーが紹介される。第4章と第5章は、中山間地で獣害を避けていかに農業をするかという観点から、実例がいくつか紹介される。第6章は獣害とは関係なく、東洋と西洋の動物観の比較。第7章は、近世以降、日本人が大型哺乳類を食物としてどう利用してきたかを紹介。第8章は、著者としての解決案なんだろう。新たな動物観への展望として、もう一度食物として利用しようって書いてある。第9章は蛇足。今西錦司の自然観まで出てきてしまう。
 最初から獣害に関わらず、人と大型哺乳類との関係性の話をしているが、ディープ・エコロジーが出てきて、さらに獣害の話から離れていく。学者さんが、現実をちょっと見ただけで分かった気になって、机上の空論を展開してくれただけにしか思えない。東西の動物観の比較するなら、それに対応した獣害への対応の違いの話をして欲しいところ。増えたシカを食肉にってのは、今更教えてもらわなくてもみんな思ってる。知りたいのは、それを軌道に乗せるアイデア。農業経済という少し違う畑から、斬新な提案があることを期待したけど、完全に期待外れ。


●「「幻の鳥」オオトラツグミはキョローンと鳴く」水田拓著、東海大学出版部、2016年12月、ISBN978-4-486-02118-6、2000円+税
2017/3/30 ★

 フィールドの生物学シリーズの一冊。著者は、学生時代は大阪市大で、サンコウチョウ類の研究をしていた。それが就職して奄美大島のオオトラツグミ調査に取り組むことに。その流れがそのまま紹介される。
 第1章から第3章は、順に静岡でのサンコウチョウ、タイでのカワリサンコウチョウ、マダガスカルでのマダガスカルサンコウチョウの調査の話が語られる。とくに第2章は、このシリーズらしい若者が右も左も判らない熱帯で調査に取り組む話。こういう展開好きなので、このパートを膨らませばよかったのに。マダガスカルはチームでの調査なので、調査サイトが確立していて、ちょっと楽しくない。ちなみに第1章の読みどころは、指導教官のY教授の描かれ方かと。
  第4章と第5章は、就職して奄美大島に赴きオオトラツグミの調査に取り組む話。地元の人たちとの連携で、オオトラツグミの生息状況と生態を明らかにしていく。ついでに子育てにも取り組む。
 海外エピソード付きのサンコウチョウの話は面白いのだけど、それならそれだけで一冊にすればよかったのに(このシリーズっぽい!)。ただ、サンコウチョウ類の研究ですっきりした結果が出なかったから、膨らませにくかったのかも…。オオトラツグミの話自体は面白いけど、前半とまったく関係ないからなぁ。というわけで、前半と後半で別の話がまとまって読めるお得な一冊なんだけど、引っ付けたら単なる水田さんの半生記になっただけという感じ。

●「恐竜はホタルを見たか 発光生物が照らす進化の謎」大場裕一著、岩波科学ライブラリー、2016年5月、ISBN978-4-00-029649-6、1300円+税
2017/3/29 ★★

 メインタイトルだけを見て、恐竜の視覚の話?などと思ったら、発光生物の話。ホタルはむしろ端役で、海産動物を中心にした発光生物の多様性・全体像を知ることができる一冊。
 第1章「意外に少ない陸上の発光生物」は、発光生物の系統樹上での分布の話。タイトル通り陸上の発光生物が意外に少ない。節足動物の一部を除くと、巻き貝とミミズなどがわずかに光るだけ。陸上脊椎動物は誰も光らない。 第2章 「海が発光生物であふれているのはなぜか」は、海産発光生物の適応的意義の話。獲物をおびき寄せるだけじゃないんだね。第3章「光るなんてことがなぜできる?」こそが著者の専門。同じルシフェリンという名前で呼ばれていても、ホタルとウミホタルではまったく違う物質とは知らなかった。第4章「ティラノサウルスはホタルを見たか」は、本のタイトルに付けたからの付け足し感が強め。白亜紀にホタルはいたかを検討。ルシフェリンは意外と簡単に進化しうるらしい。第5章「イクチオサウルスの巨大な眼は光るサメを見たか」は、発光生物の進化の話。共生発光から発光性の微生物から物質を取り入れての自力発光へ。そもそも微生物はどうして発光するようになったのかという謎はさておき…。
 発光と反射の違いくらいは知っていたけど、蓄光というのも区別しなくてはならないとは気付いてなかった。自力発光と共生発光も知らなかった。という具合に知ってるようで知らない発光生物のいろいろが紹介されていて、普通に勉強になった。


●「竜宮城は二つあった ウミガメの回遊行動と生活史の多型」畑瀬英男著、東海大学出版部、2016年9月、ISBN978-4-486-02104-9、2000円+税
2017/2/23 ★

 フィールドの生物学シリーズの一冊。このシリーズらしく、若者が研究の道を志し、苦労しながら、一人前の研究者に成長していく。ようでもなくて、成長の過程ではなく、経験を書いてるだけで、まるで紀行文のような一冊。海外の学会に行った話がコラムで混ぜられる。本当に紀行文で、本文となんにも関わりが無い。
 竜宮城とはウミガメの採食海域のこと。アカウミガメの採食海域が太平洋と東シナ海の2ヶ所に分かれていて、太平洋を採食海域にしている個体は小さい。という発見を南部や屋久島での調査風景とともに書いた第1章。 小笠原でアオウミガメで同様の現象がないかを調べにいった第2章。第3章と第4章は再びアカウミガメに戻ってきて、屋久島で2つの採食海域を利用するアカウミガメのさまざまな生活史パラメータを比較する。で、けっきょくどうして2つの採食海域があるのかという疑問は謎のまま。尻切れトンボな感じで終わる。そもそも、どう見ても不利な太平洋を採食海域とする個体が存在するのは何故なのか?という方向から書かれないのが不思議でならなかった。
 とまあ少なくともウミガメのことは色々と勉強にはなるのだけど。とにかく読みにくい。脱線が多い。それも一つの段落の中で。本筋と関係のないどうでもいい細部や感想や出来事が書かれ、それがその後展開するわけでもない。正直読者的にたいてい興味もわかない。後書きに出版社から13万字書くように言われたとあるので、増量してるんだろうか。たくさん読書をしたというくだりが、本文に何度も出てくるのだけど、本をいっぱい読んだ人が書いたとは思えない。いや、もしかしたら『白鯨』とか『フィネガンズ・ウェイク』とかを目指したのか?

●「進化の教科書 第1巻 進化の歴史」カール・ジンマー&ダグラス・J・エムレン著、講談社ブルーバックス、2016年11月、ISBN978-4-06-257990-2、1680円+税
2017/2/22 ★★

 『Evolution: Making Sense of Life』という原著を、日本語では3分冊で発行。というのはいいけど、3分の仕方が変わってる。「進化の歴史」「進化の理論」「系統樹や生態から見た進化」という3テーマで、原著の関連する章を再編成するらしい。で、第1巻「進化の歴史」では「進化の歴史」というテーマで原著の3章、13章、14章、17章を納めている。なんと“一般的な生物学あるいは応用的な話が多い”原著の1章、2章、5章、12章、18章は訳出しないとのこと。よく原著者がOKしたなぁ。もはや原著とは別の本といっていいかも。
 で、訳出された第1巻は、「岩石の語ること」「種の起源」「大進化」「人類の進化」の4つの章からなる。理論の話は第2巻に譲るので、自然選択の説明はまったくなしに、岩石に見られる進化の証拠だとか、 種分化の仕組みだとか、クレイドの存続期間、大量絶滅、ヒトの進化の歴史が紹介される。
  それぞれの章は最新の話題を盛り込んだ内容で、論文に基づいてるし、よくまとまってるし、勉強になる。教科書というには、発見につながるエピソードも交えられていて、お話としても読みやすい。ただ、途中の章から訳出してるせいなんだろう、説明無しに専門用語が出てきたりする。クレイドもあまり詳しく説明されずに、ばんばん出てきた。


●「となりの野生動物」高槻成紀著、ベレ出版、2015年11月、ISBN978-4-86064-453-6、1700円+税
2017/2/21 ★

 シカを中心とした哺乳類の専門家が、一般向けに動物の生活をやさしく解説しようとしたらしい。後書きを読むと、動物学的な記述だけでは面白い内容にならないので、昔話やことわざに出てくる動物のイメージから話をはじめることにしたらしい。
 タヌキ、ウサギ、イノシシ、カヤネズミ(ネズミ)、アライグマ、クマ、カモシカ、サル、シカが順に取り上げられる。最初のうちは企画通り、昔話やことわざ、あるいは一般のその動物に対するイメージの話から入って、多少強引にでも後半はその動物の生態や生息環境の話につなげている。が、後半に行くほど入りの部分がおざなりになってきて、最後のシカではほとんどない。終章で、動物側から人間について語らせるという企画は、寒かった。
 哺乳類の研究者である著者の各動物の生態などについての記述はさほど違和感がないのだけど、一般のイメージに対するコメントはちょっと…。昔話などに影響された一般のイメージが、その動物の実体とはそぐわない、というのはいいけれど、さほど根拠なく著者のイメージで置き換えてるだけに読める部分が多いのが気になる。
 あと、動物学的な解説が、書きやすい特徴的な部分だけを取り上げている感じ。出だしの一般のイメージを覆す部分を集中して取り上げれば、より統一感のある内容になったんじゃないかと残念な感じ。各章の終わりの方は、それぞれの動物とのつきあい方についてふれられている。その部分には、著者の見識が示されていて、すでに動物に詳しい人は各章の最後だけ読んでいけばいいかも。とくに、シカが増えすぎた原因とそれへの対応、サルの駆除についてのコメント、里に出没するクマとのつきあい方についてのコメントは重要と思った。
 それにしても、 なぜキツネやイタチ、モグラ、コウモリは取り上げなかったんだろう? 不得意なの?

●「植物をたくみに操る虫たち 虫こぶ形成昆虫の魅力」徳田誠著、東海大学出版部、2016年11月、ISBN978-4-486-02097-4、2000円+税
2017/2/19 ★

 フィールドの生物学シリーズの一冊。このシリーズらしく、若者が研究の道を志し、海外に行ったりしながら成長して、一人前の研究者として一歩を踏み出していく。というところで終わるかと思いきや、ポスドクや期限付き雇用やらで5つの研究室を渡り歩き、いろんな経験を積み、ようやく佐賀大学にパーマネントの職を得る。今度こそ終わるかと思いきや、研究室を預かる身になってからの苦労話や教育論が語られる。このシリーズとしては、ちょっと変。著者が”若手”じゃないからだな。
  結局の所、成長の物語ではなく、半生記を読まされ、教育論を聞かされる感じ。その合間に、自分が関わった様々な研究が紹介される。虫こぶの話を期待したのなら、微妙。虫こぶの話もあるし、それはそれなりに面白いけど、虫こぶとは関係ない話も何でも盛り込んでくれてる。思い出したら、海外での経験も投入。応募関連での苦労話も混ざってくる。
  タイトル通りに虫こぶの話を読みたい人は、第2章、第3章、第5章、第6章だけを読めばいいだろう。細菌が植物にこぶを作る際は、植物ホルモンを作る遺伝子を植物の中に送り込んで、植物の代謝系を乗っ取るのに対して、昆虫が虫こぶを作る際は、自分で植物ホルモンを合成して、植物の中に送り込むらしい。昆虫は虫こぶを作らせることによって、より栄養価の高い食べ物を得ている例があるらしい。タマバエの興味深い生態もいろいろ出てくるし。こういった話ばかりだったら、もっと面白い本になったろうに。


●「新たな魚類大系統 遺伝子で解き明かす魚類3万種の由来と現在」宮正樹著、慶應義塾大学出版会、2016年10月、ISBN978-4-7664-2298-6、2400円+税
2017/1/24 ★

 シリーズ遺伝子から探る生物進化の第4弾。ミトコンドリアの全塩基配列(ミトゲノム)の解析から、魚類の系統関係を明らかにしていった第1章から第8章。科研費に外れたからと取り組んで、近頃大ヒットしている環境DNAの話が第9章。体系立った解説をするのではなく、明らかにしていったプロセスを研究の時間軸にそって紹介した一冊。東海大学出版部のフィールドの生物学シリーズの古参版。
 魚類の系統関係の話自体は、あまり細部に入り込まなければ興味深いし、最新の魚類の系統関係についての勉強にもなる。けど、功成り名を遂げた研究者が、自分の業績を延々と自慢し続ける。自慢たらたらの文章には正直辟易した。
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