SF関係の本の紹介(2024年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】

和田の鳥小屋のTOPに戻る

●「ミステリウム」エリック・マコーマック著、創元ライブラリ、2023年12月、ISBN978-4-488-07088-5、1300円+税
2024/1/15 ★

 帯に「言語にまつわる死に至る奇病とは?」と書かれていたので、SF的要素があるのかと思って読んでみた。結論から言えば、タイトル通りミステリであって、SFとは言いがたい。ただ、マジック・リアリズムだし、クリストファー・プリーストですか?って感じの謎めいた雰囲気。ワクワクしながら読み終えた。SFじゃないけど、なぜか楽しめた。あえて言えば、ソシュールをパロった犯罪学の展開は、どこかSFちっく。
 イギリス北部を思わせる小さな田舎の炭鉱の村に、一人の植民地人がやって来る。そして起きる事件。次々と人が死んでいく。事件を担当する行政官の招きを受けて、まだ生きてる村の人にインタビューして真相に迫ろうとする主人公。やがて明らかになった事実、はすぐに別の事実に書き換えられて…。
●「Voyage想像見聞録」宮内悠介・藤井太洋・小川哲・深緑野分・森晶麿・石川宗生著、講談社、2021年6月、ISBN978-4-06-523420-4、1550円+税
2024/1/7 ★

 6人の作家が、旅をテーマに書いたアンソロジー。SFよりの作家が並ぶが、SFと呼べるかもしれないのは3作だけ。
 宮内「国境の子」。国境の島、対馬で生まれた子が、父に会いに韓国へ。藤井「月の高さ」。旅公演の舞台担当のスタッフが青森県に向かう道中。一番、SF書いてよさそうなのに、一番SFから離れたのを書いてる。でも、この2作は印象に残る。森「グレーテルの帰還」。連れ子を連れた親同士が再婚した家庭。ヘンゼルとグレーテルというより、主人公は白雪姫状態。王子さまが…。これまた印象に残る作品。でもSFじゃない。
 小川「ちょっとした奇跡」。自転が止まった地球、残された人類を載せて走り続ける2隻。もっともSF的な作品。未来は閉ざされて手くらい中で、なんか意地悪な話。
 深緑「水星号は移動する」。移動ホテルの話、という説明でいいのかな。もっと大きな話の中の1エピソードっぽい。
 石川「シャカシャカ」。何が起こってるか判らないけど、世界がいくつものパーツに分かれて、ランダムに入れかわる。そんな地球で生き抜こうとする話。でも、これも未来がなさそう。それとも時間まで混ぜられるので、なんとか成るんだろうか?
和田の鳥小屋のTOPに戻る