SF関係の本の紹介(2017年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】


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●「アリスマ王の愛した魔物」小川一水著、ハヤカワ文庫JA、2017年12月、ISBN978-4-15-031309-8、700円+税
2017/12/31 ★★

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●「タイタン・プロジェクト」A・G・リドル著、ハヤカワ文庫SF、2017年10月、ISBN978-4-15-012148-8、1040円+税
2017/12/29 ★

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●「コルヌトピア」津久井五月著、早川書房、2017年11月、ISBN978-4-15-209726-2、1500円+税
2017/12/20 ☆

 植物を演算素子に使う技術“フロラ”が開発され、緑地帯が巨大な有機コンピュータとなり、それを応用(?)しての発電も行われるようになった未来。環状緑地帯に囲まれた東京23区は、世界屈指の情報都市になっていた。その緑地が焼かれる事件が発生して、技術者の男が、植物による情報処理技術を開発した若き女性研究者と、事件の調べ始める。
 結局のところ“フロラ”を用いた一種のテロが描かれるのだけど、描かれている範囲が狭すぎて、なんのためのテロかよく分からない。この技術で世界がどう変わったのかも分からない。東京しか出てこなくて、東京ですらこの技術で何が変わったのかも分からない。そしてストーリーは小さな事件過ぎて、なんにも起きてないに等しい。
 あと“フロラ”という技術もよく分からない。木々がネットワークを組んで全体として有機コンピュータとして機能するなら、重要なのは菌根菌のネットワークだろうに。菌類がまるで出てこない。使える植物と使えない植物の違いは菌根菌を持つかどうかだろうに。それが出てこない時点で減点。動物もネットワークに加わるなら、もはや地球は一つの有機コンピュータ。なのに中途半端にアイデアが出てくるだけ。面白い展開の可能性があったから、なおさら不満が残る。
●「星を創る者たち」谷甲州著、河出文庫、2017年12月、ISBN978-4-309-41580-2、880円+税
2017/12/18 ★★

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●「ダーク・ジェントリー 全体論的探偵事務所」ダグラス・アダムス著、河出文庫、2017年12月、ISBN978-4-309-46456-5、920円+税
2017/12/15 ★

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●「SF飯 宇宙港デルタ3の食料事情」銅大著、ハヤカワ文庫JA、2017年11月、ISBN978-4-15-031306-7、760円+税
2017/12/15 ★

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●「誰に見しょとて」菅浩江著、早川書房、2013年10月、ISBN978-4-15-209412-4、1700円+税
2017/12/1 ★★

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●「裏世界ピクニック2 果ての海辺のリゾートナイト」宮澤伊織著、ハヤカワ文庫JA、2017年10月、ISBN978-4-15-031301-2、780円+税
2017/10/29 ★

 「裏世界ピクニック」の第2弾。今回も4編が収められている。この調子で続けられるほどネットロアっていっぱいあるんだろうか? とちょっと心配になった。今回主に出てくるネットロアは、「姦姦蛇螺」「リゾートバイト」「猫忍者」「コトリバコ」。
●「裏世界ピクニック ふたりの怪異探険ファイル」宮澤伊織著、ハヤカワ文庫JA、2017年2月、ISBN978-4-15-031264-0、780円+税
2017/10/29 ★

 現実世界と隣り合わせに存在する裏世界。そこは怪談話に出てくる存在が実在する世界。その世界に出入りできるようになった二人が、裏世界で出会う怪異とのエピソード4編を収めた連作短編集。トラジャーハンティング要素もあって、楽しく読める。
 単なる怪談話をしてるのではなく、ネット上で語られる現代の怪談話“ネットロア”を題材にしているのだそう。ちゃんと引用先があるのも面白い。いろいろなネットロアが散りばめられているようだが、それぞれの短編で主に取り上げられているのは、「異世界に行く方法」「八尺様」「きさらぎ駅」「時空のおっさん」。ネットを検索したら、もっと詳しいことが分かるのかもしれないけど、怖いので検索しない 。
●「敵は海賊・海賊の敵」神林長平著、ハヤカワ文庫JA、2013年1月、ISBN978-4-15-031093-6、660円+税
2017/10/5 ☆

 匂冥が、匂冥教を潰しに行くのを察知した海賊課が動く。ってだけの話。なぜ?冥が、?冥教を嫌うかを延々と語ってくれる。
●「My Humanity」長谷敏司著、ハヤカワ文庫JA、2014年2月、ISBN978-4-15-031140-7、680円+税
2017/10/2 ★★

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●「Gene Mapper -full build-」藤井大洋著、ハヤカワ文庫JA、2013年4月、ISBN978-4-15-031107-0、700円+税
2017/9/25 ★★

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●「公正的戦闘規範」藤井大洋著、ハヤカワ文庫JA、2017年8月、ISBN978-4-15-031290-9、740円+税
2017/9/21 ★★

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●「ネクサス」(上・下)ラメズ・ナム著、ハヤカワ文庫SF、2017年9月、(上)ISBN978-4-15-012142-6(下)ISBN978-4-15-012143-3、(上)860円+税(下)860円+税
2017/9/18 ★★

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●「ジャック・グラス伝」アダム・ロバーツ著、早川書房、2017年8月、ISBN978-4-15-335034-2、2300円+税
2017/9/11 ★

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●「墓標都市」キャリー・パテル著、創元SF文庫、2017年7月、ISBN978-4-488-76901-7、1340円+税
2017/9/9 ★

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●「行き先は特異点」大森望・日下三蔵編、創元SF文庫、2017年7月、ISBN978-4-488-73410-7、1300円+税
2017/8/29 ★

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●「レッドスーツ」ジョン・スコルジー著、ハヤカワ文庫SF、2017年7月、ISBN978-4-15-012134-1、1000円+税
2017/8/9 ★

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●「ID-0 2」菅浩江著、ハヤカワ文庫JA、2017年7月、ISBN978-4-15-031283-1、780円+税
2017/8/8 ☆

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●「正解するマド」乙野四方字著、ハヤカワ文庫JA、2017年7月、ISBN978-4-15-031284-8、600円+税
2017/8/7 ★

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●「誤解するカド」野崎まど・大森望編、ハヤカワ文庫JA、2017年4月、ISBN978-4-15-031272-5、800円+税
2017/8/7 ★

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●「巨神計画」(上・下)シルヴァン・ヌーヴェル著、創元SF文庫、2017年5月、(上)ISBN978-4-488-76701-3(下)ISBN978-4-488-76702-0、(上)1000円+税(下)960円+税
2017/8/6 ★

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●「暗黒の艦隊 駆逐艦<ブルー・ジャケット>」ジョシュア・ダルゼル著、ハヤカワ文庫SF、2017年5月、ISBN978-4-15-012127-3、920円+税
2017/8/1 ☆

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●「女王陛下の航宙艦」クリストファー・ナトール著、ハヤカワ文庫SF、2014年6月、ISBN978-4-15-012131-0、1140円+税
2017/7/31 ☆

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●「ID-0 1」菅浩江著、ハヤカワ文庫JA、2017年6月、ISBN978-4-15-031282-4、740円+税
2017/7/28 ☆

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●「量子怪盗」ハンヌ・ライアニエミ著、ハヤカワ文庫SF、2014年3月、ISBN978-4-15-011951-5、1060円+税
2017/7/27 ★

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●「カタストロフ・マニア」島田雅彦著、新潮社、2017年5月、ISBN978-4-10-362209-3、1600円+税
2017/7/22 ★

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●「風待町医院異星人科」藤崎慎吾著、光文社、2017年6月、ISBN978-4-334-91172-0、1800円+税
2017/7/8 ★

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●「ブラインドサイト」(上・下)ピーター・ワッツ著、創元SF文庫、2013年10月、(上)ISBN978-4-488-74601-8(下)ISBN978-4-488-74602-5、(上)840円+税(下)840円+税
2017/4/20 ★

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●「迷宮の天使」(上・下)ダリル・グレゴリイ著、創元SF文庫、2017年3月、(上)ISBN978-4-488-76601-6(下)ISBN978-4-488-76602-3、(上)900円+税(下)900円+税
2017/4/14 ★★

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●「錆びた太陽」恩田陸著、朝日新聞出版、2017年3月、ISBN978-4-02-251465-3、1700円+税
2017/4/12 ★

 原発事故で人の立ち入りが制限された地域。遅々として除染作業が進まない中、そこをパトロールするロボットたち。そこになぜか一人の人間の税務署員がやってくる。制限地域の中は、接触すると爆発するタンブルウィードなど、不思議な動植物が跋扈し。人のようでいてヒトではなくなった、マルピーと呼ばれる存在など。異界と化していた。税務署員という闖入者とともに、ロボット達は、.制限区域の謎に迫る羽目になる。
 ロボットたちの名前は、なぜか「太陽に吼えろ」刑事達の愛称(ジーパンやマカロニはいるけど、スコッチやスニーカーはいない)。ネズミの名前はアルジャーノン。バイクの名前はワイルド7号。それだけでなんか楽しいのだけど、もちろん福島第一原発のことを思い出さざるを得ない設定。展開にもいろいろ思うことになる。
●「横浜駅SF」柞刈湯葉著、角川書店、2016年12月、ISBN978-4-04-072157-6、1200円+税
2017/4/10 ★★

 横浜駅が自己増殖して本州の99%を覆ってしまった世界。北海道は横浜駅の侵攻を食い止めているが、九州では瀬戸際での闘いが続いている。そして、四国へは着実に横浜駅の侵攻が進んでいる。なんで横浜駅やねん!というはさておき、もうこれだけで意味不明で面白そう。
 横浜駅のエキナカ社会は、脳にSuikaを埋め込まれた人間だけが、駅に管理されて暮らす社会。非Suika人間は、攻撃を受け、強制排除される。非Suikaの主人公は、5日間だけ有効な「18きっぷ」と使命を託され、エキナカへの旅を始める。北海道からの工作員など横浜駅の支配に抵抗する勢力も登場し、徐々に増殖した横浜駅内部の姿が、歴史が明らかになっていく。
●「みずは無間」六冬和生著、早川書房、2013年11月、ISBN978-4-15-209420-9、1600円+税
2017/3/27 ★

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●「無限の書」G・ウィロー・ウィルソン著、東京創元社、2017年2月、ISBN978-4-488-01461-2、2800円+税
2017/3/23 ★

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●「ミラー衛星衝突」(上・下)ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2012年3月、(上)ISBN978-4-488-69814-0(下)ISBN978-4-488-69815-7、(上)980円+税(下)980円+税
2017/3/18 ☆

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●「特命任務、発令!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2014年7月、ISBN978-4-15-011968-3、1100円+税
2017/3/16 ☆

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●「任務外作戦」(上・下)ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2013年3月、(上)ISBN978-4-488-69816-4(下)ISBN978-4-488-69817-1、(上)1100円+税(下)1100円+税
2017/3/15 ☆

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●「外交特例」ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2014年3月、ISBN978-4-488-69818-8、1300円+税
2017/3/13 ☆

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●「勅命臨時大使、就任!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2017年1月、ISBN978-4-15-012112-9、1100円+税
2017/3/10 ☆

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●「マイルズの旅路」ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2017年2月、ISBN978-4-488-69821-8、1300円+税
2017/3/5 ☆

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●「転位宇宙」A・G・リドル著、ハヤカワ文庫SF、2016年10月、ISBN978-4-15-012096-2、1000円+税
2017/2/27 ☆

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●「エクソダス症候群」宮内悠介著、東京創元社、2015年6月、ISBN978-4-488-01818-4、1700円+税
2017/2/6 ★

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●「女帝の名のもとに ファースト・コンタクト」(上・下)マイケル・R・ヒックス著、ハヤカワ文庫SF、2016年8月、(上)ISBN978-4-15-012086-3(下)ISBN978-4-15-012086-3、(上)900円+税(下)900円+税
2017/2/1 ☆

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●「最後の近衞戦士」(上・下)マイク・スミス著、ハヤカワ文庫SF、2016年12月、(上)ISBN978-4-15-012107-5(下)ISBN978-4-15-012108-2、(上)840円+税(下)840円+税
2017/1/23 ☆

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●「スペース金融道」宮内悠介著、河出書房新社、2016年8月、ISBN978-4-309-02493-6、1600円+税
2017/1/15 ★★

 宇宙を舞台にしたヤミ金の取り立て屋の話。という説明だと、舞台が宇宙なだけで、あとはなにわ金融道みたいな話を思い浮かべるだろう。それはそれで正しいけど、その中でしっかりSFしていてすごい。そして、面白い。
 5編が収められた連作短編集。本文で描かれる主な取り立ての相手だけでも、 アンドロイド、コンピュータの中の人工生命、コンピュータウイルス。チラッと触れられるのには、星自体であるガイア、なんてのまである。
 そんな取り立ての中で、アンドロイドや人工生命の人権問題があるかと思ったら、量子ファイナンスなどという金融工学、人格を転写して債権から逃げようとするアンドロイド、ナノマシンの変異によって発生する病気、アンドロイドと人の異種婚。いろんなアイデアがちりばめられていて、とても楽しい。その背景には何光年もの星間に広がる金融会社が、地球の本社-支店システムを踏襲しているというギャグも忘れない。続きが読みたいけど、続けられそうだけど、いったん簡潔はしてるなぁ。
●「天界の眼 切れ者キューゲルの冒険」ジャック・ヴァンス著、国書刊行会、2016年11月、ISBN978-4-336-05921-5、2400円+税
2017/1/11 ☆

 「ジャック・ヴァンス・トレジャリー」の2冊目。「ダイイング・アース」の作品の内、キューゲルが登場する7編を収めた短編集。 「ダイイング・アース」ってのは、科学がものすごく発達した後に衰退しつつある遠い未来の地球を舞台にしたもの。充分に発達した科学は、もはや魔術と区別がつかない。という後付けの説明のもとにSFと言い張られるけど、そういう設定は単なるファンタジーと区別がつかない。そして、どこにも発達しまくった科学の雰囲気は出てこない。というわけで、ファンタジーであって、SFではないとしか思えない。
 そして切れ者と銘打ってもらってるキューゲルだけど、けちで好色な盗人で、仲間を裏切って、自分だけが自体を切り抜ける話ばかりが繰り返される。ぜんぜん共感できないし、切れ者感もない。これがピカレスクロマンなら、怪盗ルパンはなるほど紳士だし、ピカレスクロマンじゃない。
 唯一面白かったのは、一番最後だけ。
●「自生の夢」飛浩隆著、河出書房新社、2016年11月、ISBN978-4-309-02521-6、1600円+税
2017/1/9 ★★

 7編を納めた短編集。最初の2編と最後の1編を除くと、人間の行動と考えたことを逐一テキストとしてネットに書き出すライフログシステムCassyという電子的エージェントと、構築された電子的書字空間、そこに投入された新しい形の詩、詩の天才アリスと、アリスにつくられ野生化したポエティカル・ビースト、そして電子的書字空間をひいては現実世界までもむしばみつつある謎の<忌字禍>。聞いたことのない、不思議な世界の物語が、つむがれていく。
 ある意味、分かりやすいアリスの話である「#銀の匙」「曠野にて」から「野生の詩藻」 が好きかも。「海の指」の希望の見えない狭い世界、「自生の夢」に出てくる言葉の能力はとても怖い。「はるかな響き」は、あの有名な映画と、ヴォネガットみたいだなぁ、という感想で正しいのだろうか?
●「星群艦隊」」アン・レッキー著、創元SF文庫、2016年10月、ISBN978-4-488-75803-5、1200円+税
2017/1/2 ★★

 「叛逆航路」「亡霊星域」に続くサンシラリー三部作の最終刊。後ろには、前日譚の「主の命に我は従わん」も付いている。
 辺境を放浪する第一作。一転して、 宮廷劇であり、復讐を果たしたような果たしてないような第二作。そして第三作は、独立戦争。というか自由を求めて戦う話。
 舞台は、第二作と同じ宇宙ステーションとその惑星。大きなテーマは、AIを含めて、人とは何か。あるいは「意義ある存在」とは何か。ここまでも見え隠れしていた圧倒的な科学力を持つ異星人プレスジャーが大きな意味を持つ。人類とAIとの対立に、両者が共有する文化をほとんど理解しない異星人の視点が効果的に投入される。
 ってゆうか、ともすれば暗くなりそうな第三作を楽しく読ませてくれるのは、圧倒的に異星人の通信士さんの力。人類世界の各所に派遣された異星人通信士の道中記の短編集とかを読みたい。
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