SF関係の本の紹介(2017年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】

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●「アリスマ王の愛した魔物」小川一水著、ハヤカワ文庫JA、2017年12月、ISBN978-4-15-031309-8、700円+税
2017/12/31 ★★

 5編を収めた短編集。「ろーどそうるず」:AIを搭載したバイクの気持ち。「ゴールデンブレッド」:日本風の小惑星に墜落した宇宙戦闘機のパイロットは、衝突しながらもその社会に馴染んでいく。表題作:数学の天才だった王子は、王になって計算の殿堂、算廠を設立し、大勢に全てを計算させて、国を統治して、他国を統合していく。 「星のみなとのオペレーター」:小惑星の宇宙港のオペレーターが、コンちゃんと仲よくなって、宇宙ウニから人類を守る。ってゆうか、コンちゃんはアレだったわけだけど。「リグ・ライト」: 車の一部である女性型ロボットと、車と、車の所有者との愛情についての物語。ネットの海にダイブするイメージ。
 5編とも、よかった。表題作が一番印象に残った。最初と最後にメカな作品が配置されてるのは、どういう意味だろう?
●「タイタン・プロジェクト」A・G・リドル著、ハヤカワ文庫SF、2017年10月、ISBN978-4-15-012148-8、1040円+税
2017/12/29 ★

 ■。
●「コルヌトピア」津久井五月著、早川書房、2017年11月、ISBN978-4-15-209726-2、1500円+税
2017/12/20 ☆

 植物を演算素子に使う技術“フロラ”が開発され、緑地帯が巨大な有機コンピュータとなり、それを応用(?)しての発電も行われるようになった未来。環状緑地帯に囲まれた東京23区は、世界屈指の情報都市になっていた。その緑地が焼かれる事件が発生して、技術者の男が、植物による情報処理技術を開発した若き女性研究者と、事件の調べ始める。
 結局のところ“フロラ”を用いた一種のテロが描かれるのだけど、描かれている範囲が狭すぎて、なんのためのテロかよく分からない。この技術で世界がどう変わったのかも分からない。東京しか出てこなくて、東京ですらこの技術で何が変わったのかも分からない。そしてストーリーは小さな事件過ぎて、なんにも起きてないに等しい。
 あと“フロラ”という技術もよく分からない。木々がネットワークを組んで全体として有機コンピュータとして機能するなら、重要なのは菌根菌のネットワークだろうに。菌類がまるで出てこない。使える植物と使えない植物の違いは菌根菌を持つかどうかだろうに。それが出てこない時点で減点。動物もネットワークに加わるなら、もはや地球は一つの有機コンピュータ。なのに中途半端にアイデアが出てくるだけ。面白い展開の可能性があったから、なおさら不満が残る。
●「星を創る者たち」谷甲州著、河出文庫、2017年12月、ISBN978-4-309-41580-2、880円+税
2017/12/18 ★★

 ■。
●「ダーク・ジェントリー 全体論的探偵事務所」ダグラス・アダムス著、河出文庫、2017年12月、ISBN978-4-309-46456-5、920円+税
2017/12/15 ★

 ■。
●「SF飯 宇宙港デルタ3の食料事情」銅大著、ハヤカワ文庫JA、2017年11月、ISBN978-4-15-031306-7、760円+税
2017/12/15 ★

 中央星域の大金持ちの若旦那が、辺境の宇宙ステーションにやって来て、元使用人の女の子と出会う。彼女は、祖父が残した食堂を再開させようと頑張っていた。
 この宇宙では、食料合成機といのを使って食事をつくるのだけど、使い方次第で飯はまずくなる。というか、美味しい料理を作るにはかなりの修行がいるらしい。で、まだまだ修行中の女の子を、無駄に舌が肥えている若旦那が助ける。という物語。
 とりあえず、フルーツ弁当でプチヒット。そして、香辛料で大もうけ。と思ったら、ヌカミソハザードを起こして大騒ぎ。逮捕された若旦那は、小惑星に流刑になるも、なぜか牛人と第一種接近遭遇。食べ物あげて仲良くなって、無事に脱出。そこにブラコンの妹登場。ってところまで。かなり行き当たりばったりな展開に見える。
●「誰に見しょとて」菅浩江著、早川書房、2013年10月、ISBN978-4-15-209412-4、1700円+税
2017/12/1 ★★

 ■。
●「裏世界ピクニック2 果ての海辺のリゾートナイト」宮澤伊織著、ハヤカワ文庫JA、2017年10月、ISBN978-4-15-031301-2、780円+税
2017/10/29 ★

 「裏世界ピクニック」の第2弾。今回も4編が収められている。この調子で続けられるほどネットロアっていっぱいあるんだろうか? とちょっと心配になった。今回主に出てくるネットロアは、「姦姦蛇螺」「リゾートバイト」「猫忍者」「コトリバコ」。
●「裏世界ピクニック ふたりの怪異探険ファイル」宮澤伊織著、ハヤカワ文庫JA、2017年2月、ISBN978-4-15-031264-0、780円+税
2017/10/29 ★

 現実世界と隣り合わせに存在する裏世界。そこは怪談話に出てくる存在が実在する世界。その世界に出入りできるようになった二人が、裏世界で出会う怪異とのエピソード4編を収めた連作短編集。トラジャーハンティング要素もあって、楽しく読める。
 単なる怪談話をしてるのではなく、ネット上で語られる現代の怪談話“ネットロア”を題材にしているのだそう。ちゃんと引用先があるのも面白い。いろいろなネットロアが散りばめられているようだが、それぞれの短編で主に取り上げられているのは、「異世界に行く方法」「八尺様」「きさらぎ駅」「時空のおっさん」。ネットを検索したら、もっと詳しいことが分かるのかもしれないけど、怖いので検索しない 。
●「敵は海賊・海賊の敵」神林長平著、ハヤカワ文庫JA、2013年1月、ISBN978-4-15-031093-6、660円+税
2017/10/5 ☆

 匂冥が、匂冥教を潰しに行くのを察知した海賊課が動く。ってだけの話。なぜ匂冥が、匂冥教を嫌うかを延々と語ってくれる。
●「My Humanity」長谷敏司著、ハヤカワ文庫JA、2014年2月、ISBN978-4-15-031140-7、680円+税
2017/10/2 ★★

 4編を収めた短編集。『あなたのための物語』と同じ設定が2編。「地には豊穣」:ITP(Image Transfer Protocol)とバイオロボットを用いて経験を他者に伝達する技術。それは人間社会や文化にどんな影響を与えるか? 経験伝達は、一種の洗脳装置として働き、多様性と文化の終焉をもたらすんじゃ無いかという危惧。同時に、肉体を失っても、あるいは肉体から肉体を渡り歩いて永遠に生きる可能性。とても盛りだくさんで、忘れられない作品。「allo, toi, toi」:小児性犯罪者をITPを用いて矯正しようする試みたところ…。ITPのもう一つの可能性というか、予測不可能性というか。
  「Hollow Vision」:軌道ステーションでのテロへの対応の話かと思ったら、脳まで機械化したオーバーマンなど不死や超高度AIが絡んできて、ちょっと攻殻機動隊風。服にも霧にもなる液体コンピュータが面白い。「父たち時間」:工業用に使われていたナノボットがいつの間にか逃げ出し、自然環境で増殖する。ナノボットからなる白い霧が世界を覆っていく。ナノボットを喰うナノボットで解決を図るが…。一度制御を離れると取り返しのつかない感が、リアルで怖い。
●「Gene Mapper -full build-」藤井太洋著、ハヤカワ文庫JA、2013年4月、ISBN978-4-15-031107-0、700円+税
2017/9/25 ★★

 拡張現実が普及して、コミュニケーションがもっぱら拡張現実を通して行われるようになった未来。蒸留作物と呼ばれる遺伝的に完全に操作された作物が一般化している未来。蒸留作物をデザインするフリーのジーン・マッパーである主人公は、新たなイネのプロジェクトに不具合が起きたとことで、ベトナム・カンボジアに飛ぶことになる。地元文化と交流しつつ、イネの変異の原因を探る。フルスクラッチで遺伝子が設計できると、恐ろしいバイオテロの可能性が生じるって話。
 拡張現実が一般化した時の、ビジネスの進み具合が丁寧に描かれていて面白い。人体通信を使った決済、オフィスの拡張現実ステージなど、他にも新技術も投入されて、さらに盛り上がる。アバターを用いた拡張現実の可能性も描かれる。
●「公正的戦闘規範」藤井太洋著、ハヤカワ文庫JA、2017年8月、ISBN978-4-15-031290-9、740円+税
2017/9/21 ★★

 ■。
●「ネクサス」(上・下)ラメズ・ナム著、ハヤカワ文庫SF、2017年9月、(上)ISBN978-4-15-012142-6(下)ISBN978-4-15-012143-3、(上)860円+税(下)860円+税
2017/9/18 ★★

 ■。
●「ジャック・グラス伝」アダム・ロバーツ著、早川書房、2017年8月、ISBN978-4-15-335034-2、2300円+税
2017/9/11 ★

 ■。
●「墓標都市」キャリー・パテル著、創元SF文庫、2017年7月、ISBN978-4-488-76901-7、1340円+税
2017/9/9 ★

 ■。
●「行き先は特異点」大森望・日下三蔵編、創元SF文庫、2017年7月、ISBN978-4-488-73410-7、1300円+税
2017/8/29 ★

 ■。
●「レッドスーツ」ジョン・スコルジー著、ハヤカワ文庫SF、2017年7月、ISBN978-4-15-012134-1、1000円+税
2017/8/9 ★

 宇宙艦隊に配属された新任少尉は、さまざまな危険なミッションを繰り返す。巨大な肉食の地虫のいる惑星、致命的な疫病が蔓延する惑星、殺人マシンがうろつく宇宙ステーション。共にたたかうクルーの死亡率がとても高い一方で、なぜか上級士官は絶対に死なない。なにかがおかしい。クルーの間でささやかれる生贄効果。真実を探っていくと…。
 スタートレック由来のあのギャグをネタにしているのは、タイトルを見たら判る。それだけだと出オチになってしまう。そのギャグが真実なんだろうとけど、どのように説明するのかな?と思いながら読み進めていくと…。驚いたことに、物語の中でスタートレックへの言及があって…。宇宙艦隊はどこかに行ってしまって、「ラスト・アクション・ヒーロー」の逆ってゆうか。円城塔ですか、みたいな話。
 タイトル変えて、宇宙艦隊での謎解きに終始して、最後に、我々は赤い服を着てたからアカンかったかぁ、で、短く終わった方が楽しかったと思う。
●「ID-0 2」菅浩江著、ハヤカワ文庫JA、2017年7月、ISBN978-4-15-031283-1、780円+税
2017/8/8 ☆

 「ID-0 1」の続きで完結編。移動天体ラジーブは、オリハルトを集積した人類施設を次々と襲い、オリハルトを取り込んで巨大化していく。そんな中、記憶を失った男の、Iマシンの開発にまで遡る過去が明らかになっていく。治療を兼ねた実験の失敗。それによって精神がオリハルトの中に散らばった少女の意識。巨大なオリハルトの中に囚われた少女というイメージは綺麗だけど。
 オリハルトを狙ってまるで生命のようにふるまう移動天体ラジーブ。はたしてラジーブは生命なのか、プログラムを実行している機械なのか、両者に違いはあるのか?と問うあたりは楽しいのだけど、それ以上にはならない。
●「正解するマド」乙野四方字著、ハヤカワ文庫JA、2017年7月、ISBN978-4-15-031284-8、600円+税
2017/8/7 ★

 アニメ『正解するカド』のノベライズを依頼された乙野四方字が、なにを書いたらいいのか悩む。という、まさかノンフィクションじゃないですよね?って感じのお話。困った挙げ句に、アニメの登場人物に相談するなど。
●「誤解するカド」野崎まど・大森望編、ハヤカワ文庫JA、2017年4月、ISBN978-4-15-031272-5、800円+税
2017/8/7 ★

 アニメ『正解するカド』に絡めて(?)、とにかくファースト・コンタクトSFアンソロジー。10編を収めていて、日本人作家6人、海外の作家4人。筒井康隆の「関節話法」はポキポキ楽しい。小川一水の「コズミックロマンスカルテット with E 」は、一人で宇宙船に乗っていたら、美少女姿の宇宙生命体に結婚を迫られる。そしたら宇宙船が、異星人が、と結婚結婚と繰り返される物語。野尻抱介の「恒星間メテオロイド」は、事故調査にいったら、宇宙コウモリに出会う。クロウリー「消えた」では雑用をこなす便利なエルマー、スタージョン「タンディの物語」では秘密の友達ぬいぐるみのブラウニー、ディック「ウーブ身重く横たわる」では謎の異星の豚ウーブ。みんな謎の存在をあっさり受け入れすぎ、って話が続く。円城塔の「イグノラムス・イグノラビムス」は、私が、謎の宇宙人センチマーニと哲学的な問答をする。飛浩隆の「はるかな響き」は、ヒトザルがモノリスに出会って、ある音に遭遇してしまう。それは宇宙的な犯罪であった。といった感じ。この短編集で一番よかった。いやもちろんコニー・ウィリスの「我が愛しき娘たちよ」があるけど、この作品はとても有名で、あちこちで読めるし。野浮ワどの「第五の地平」は、宇宙草をもったチンギス・ハンが宇宙を目指す。
●「巨神計画」(上・下)シルヴァン・ヌーヴェル著、創元SF文庫、2017年5月、(上)ISBN978-4-488-76701-3(下)ISBN978-4-488-76702-0、(上)1000円+税(下)960円+税
2017/8/6 ★

 ■。
●「暗黒の艦隊 駆逐艦<ブルー・ジャケット>」ジョシュア・ダルゼル著、ハヤカワ文庫SF、2017年5月、ISBN978-4-15-012127-3、920円+税
2017/8/1 ☆

 地球の環境悪化が問題になった時代、太陽系内で異星人の宇宙船が見つかり、ゲートを使ってワープする技術を得た人類は、宇宙に広がった。そこでは、地球を抜きに地球連合が形成され、地球人の居住圏を異星人から守るために設立されたのが、暗黒の艦隊だった。しかし、異星人との遭遇がないまま、艦隊の規律は乱れまくっていた。
 主人公は、規律乱れまくりの艦隊の中で、異端視されながらも規律を守り続ける艦長。その努力が、突如はじまった異星人“ファージ”の侵攻に遭遇して、報われることになる。ってゆうか、先頭に立ってほとんど孤立無援で戦うことになる。上層部の命令を無視して、仲間を大勢死なせて、でも成果は上げる一匹狼的な艦長の活躍。“ファージ”のとりあえずの侵攻はかろうじて食い止めたものの、人類滅亡の危機は続く。
●「女王陛下の航宙艦」クリストファー・ナトール著、ハヤカワ文庫SF、2014年6月、ISBN978-4-15-012131-0、1140円+税
2017/7/31 ☆

 恒星間宇宙に進出した地球人類は、イギリス、アメリカ、中国、ロシアなどの有力な国ごとに星系コロニーを形成していた。そのコロニーが、突如謎の異星人に襲われ占領された。コロニーを奪還に向かった新型航宙母艦は、次々と撃破され、人類は存亡の危機に。そんな中、装甲が厚いだけがとりえの老朽艦とその酔っ払い艦長に出撃命令がくだる。で、まあとりあえず異星人をほぼほぼ1艦で撃破して帰ってくるわけ。ほぼほぼ宇宙軍内や艦内での人間関係が描かれる感じ。
●「ID-0 1」菅浩江著、ハヤカワ文庫JA、2017年6月、ISBN978-4-15-031282-4、740円+税
2017/7/28 ☆

 オリハルトと呼ばれる謎の物質によって、人類はミゲル・ジャンプというワーク航法を手にした。オリハルトの空間転移力は、Iマシンに精神を憑依させて、遠隔からロボットを操ることを可能にした。
 オリハルト鉱石を研究する学生だった主人公は、小惑星での調査中に事故に遭遇、Iマシンを操るオリハルト鉱石発掘業者の一団に救われ、同行することになり、オリハルト鉱石をめぐる戦いに巻き込まれていく。Iマシンに憑依したままの記憶のない男、オリハルト鉱石の中から救い出された少女、少女を狙う?謎の天体。と、謎をまき散らして、次巻に続く。
●「量子怪盗」ハンヌ・ライアニエミ著、ハヤカワ文庫SF、2014年3月、ISBN978-4-15-011951-5、1060円+税
2017/7/27 ★

 ■。
●「カタストロフ・マニア」島田雅彦著、新潮社、2017年5月、ISBN978-4-10-362209-3、1600円+税
2017/7/22 ★

 有償の治験モニターに参加したら、冬眠マシーンも試すことになり、何度目からの冬眠から覚めると、病院には誰も居なかった。病院だけで無く街に出ても誰もおらず、いったい何が起きたのか、東京の都心を目指す。
 太陽の大規模なフレア爆発によるコロナ質量放出、からの原発のメルトダウン、さらにボトルネックウイルスによるパンデミックという3連発。生き残った人々と、シェルターで存続する政府。ワクチンをめぐる争い。そして、人工知能による支配、VR世界。治験モニターの真実が明らかになる。
 いろんな要素が投入されて、軸が判りにくいまま、終わってしまう感じ。
●「風待町医院異星人科」藤崎慎吾著、光文社、2017年6月、ISBN978-4-334-91172-0、1800円+税
2017/7/8 ★

 5話を収めた連作短編集な感じの構成。友達がおらず、砂浜で1人で過ごし、イタチと遊ぶ少年。今日も砂浜にいたら宇宙人と遭遇。友達になった宇宙人の具合が悪くなって、知り合いの医院に助けを求めると、そこは…。これが第1話。ETからのシマックを思わせるストーリー。
 第2話は、幽霊のように見つけにくい陽炎街の喫茶店のマスターが、という話。第3話は、宇宙生物スザクを使って蟲をとる鵜飼いと、その蟲が寄生してって話。 第4話は、脳をいっぱい持ってるクラゲ型宇宙人の治療の話。水子供養とも言える。第5話は、博物館の標本が実は…。で、救出作戦というか盗難事件というか。コダマさんが幸せになって目出度し目出度し。医院に入院してる異星人があやつるロボットが活躍。
 少年と宇宙人との交流が、おだやかに描かれる感じ。宇宙人や宇宙生物の生態も楽しい。
●「ブラインドサイト」(上・下)ピーター・ワッツ著、創元SF文庫、2013年10月、(上)ISBN978-4-488-74601-8(下)ISBN978-4-488-74602-5、(上)840円+税(下)840円+税
2017/4/20 ★

 ■。
●「迷宮の天使」(上・下)ダリル・グレゴリイ著、創元SF文庫、2017年3月、(上)ISBN978-4-488-76601-6(下)ISBN978-4-488-76602-3、(上)900円+税(下)900円+税
2017/4/14 ★★

 ■。
●「錆びた太陽」恩田陸著、朝日新聞出版、2017年3月、ISBN978-4-02-251465-3、1700円+税
2017/4/12 ★

 原発事故で人の立ち入りが制限された地域。遅々として除染作業が進まない中、そこをパトロールするロボットたち。そこになぜか一人の人間の税務署員がやってくる。制限地域の中は、接触すると爆発するタンブルウィードなど、不思議な動植物が跋扈し。人のようでいてヒトではなくなった、マルピーと呼ばれる存在など。異界と化していた。税務署員という闖入者とともに、ロボット達は、.制限区域の謎に迫る羽目になる。
 ロボットたちの名前は、なぜか「太陽に吼えろ」刑事達の愛称(ジーパンやマカロニはいるけど、スコッチやスニーカーはいない)。ネズミの名前はアルジャーノン。バイクの名前はワイルド7号。それだけでなんか楽しいのだけど、もちろん福島第一原発のことを思い出さざるを得ない設定。展開にもいろいろ思うことになる。
●「横浜駅SF」柞刈湯葉著、角川書店、2016年12月、ISBN978-4-04-072157-6、1200円+税
2017/4/10 ★★

 横浜駅が自己増殖して本州の99%を覆ってしまった世界。北海道は横浜駅の侵攻を食い止めているが、九州では瀬戸際での闘いが続いている。そして、四国へは着実に横浜駅の侵攻が進んでいる。なんで横浜駅やねん!というはさておき、もうこれだけで意味不明で面白そう。
 横浜駅のエキナカ社会は、脳にSuikaを埋め込まれた人間だけが、駅に管理されて暮らす社会。非Suika人間は、攻撃を受け、強制排除される。非Suikaの主人公は、5日間だけ有効な「18きっぷ」と使命を託され、エキナカへの旅を始める。北海道からの工作員など横浜駅の支配に抵抗する勢力も登場し、徐々に増殖した横浜駅内部の姿が、歴史が明らかになっていく。
●「みずは無間」六冬和生著、早川書房、2013年11月、ISBN978-4-15-209420-9、1600円+税
2017/3/27 ★

 ■。
●「無限の書」G・ウィロー・ウィルソン著、東京創元社、2017年2月、ISBN978-4-488-01461-2、2800円+税
2017/3/23 ★

 ■。
●「ミラー衛星衝突」(上・下)ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2012年3月、(上)ISBN978-4-488-69814-0(下)ISBN978-4-488-69815-7、(上)980円+税(下)980円+税
2017/3/18 ☆

 ヴォルコシガン・シリーズの12冊目で、「メモリー」に続く話。皇帝直属の聴聞郷という職についたマイルズが、コマールのミラー衛星破壊事件を追う。その事件の背景では、バラヤー皇帝とコマール人女性との婚礼をめぐる陰謀が進行していた。ってゆうより、マイルズとエカテリンの出会いを描いたストーリーというべきかも。
●「特命任務、発令!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2014年7月、ISBN978-4-15-011968-3、1100円+税
2017/3/16 ☆

 「海軍士官クリス・ロングナイフ」シリーズ第5弾。第4弾の「辺境星区司令官、着任!」と飛ばしてしまったのだけど、さほどつながりのない任務をこなすだけなので、問題なく読める。惑星の首長である父と、100からの人類の居住惑星をたばねた知性連合の王を祖父に持ち、お姫様が我が儘に活躍する。
 今回は、人類最古の植民惑星ニューエデンに、なぜかコンピュータの買い付けに行く。
●「任務外作戦」(上・下)ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2013年3月、(上)ISBN978-4-488-69816-4(下)ISBN978-4-488-69817-1、(上)1100円+税(下)1100円+税
2017/3/15 ☆

 ヴォルコシガン・シリーズの13冊目で、「ミラー衛星衝突」に続く話。バラヤーに戻ったマイルズは、未亡人になったエカテリンに求婚しようとするが、前途多難。エカテリンの庭園デザイナー業は前途多難なんだか判らないが、マイルズは策略をこらしすぎて…。その上、ライバルは現れるは、陰謀はあるは、襲撃はあるは、バラヤーお家芸の政治闘争は激しい。男女の関係も、バラヤーの社会もややこしいってことだろうか。
●「外交特例」ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2014年3月、ISBN978-4-488-69818-8、1300円+税
2017/3/13 ☆

 ヴォルコシガン・シリーズの14冊目で、「任務外作戦」に続く話。新婚旅行に出かけていたら、グラフ・ステーションで起きた事件の解決を皇帝直々に依頼される。コマールの通商船団の護衛士官が事件に巻き込まれ、通商船団が足止めを食ってるという。行ってみると、船団の護衛部隊と、ステーションの警備隊やクァディーとが対立していた。で、両者をなだめつつ、事件を解決追う。するとバイオテロの陰謀が明らかになっていく。
●「勅命臨時大使、就任!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2017年1月、ISBN978-4-15-012112-9、1100円+税
2017/3/10 ☆

 「王立調査船、進撃!」に続く、「海軍士官クリス・ロングナイフ」シリーズ第7弾。順番通りに読んでないから、だんだん判らなくなってきた。でも、どこから読んでもさほど気にせず楽しめる。その場限りの判りやすく、読みやすく、楽しいシリーズ。
 が、ここにきて、異星人イティーチ族が登場して、今までより少しSFっぽくなってはきたかも。100もの人類が居住する惑星をたばねた知性連合の王の孫娘が、異星人との外交で頑張る。
●「マイルズの旅路」ロイス・マクマスター・ビジョルド著、創元SF文庫、2017年2月、ISBN978-4-488-69821-8、1300円+税
2017/3/5 ☆

 ヴォルコシガン・シリーズの15冊目で、少なくとも現時点での最終巻。中年になったマイルズが皇帝直属の聴聞郷として、惑星キボウダイニの人体冷凍会社協会の会議に出席したら、誘拐されて、地元の少年に助けられる。やがて明らかになるのは、冷凍人体をめぐる惑星規模の犯罪。
●「転位宇宙」A・G・リドル著、ハヤカワ文庫SF、2016年10月、ISBN978-4-15-012096-2、1000円+税
2017/2/27 ☆

 ■。
●「エクソダス症候群」宮内悠介著、東京創元社、2015年6月、ISBN978-4-488-01818-4、1700円+税
2017/2/6 ★

 ■。
●「女帝の名のもとに ファースト・コンタクト」(上・下)マイケル・R・ヒックス著、ハヤカワ文庫SF、2016年8月、(上)ISBN978-4-15-012086-3(下)ISBN978-4-15-012086-3、(上)900円+税(下)900円+税
2017/2/1 ☆

 ■。
●「最後の近衞戦士」(上・下)マイク・スミス著、ハヤカワ文庫SF、2016年12月、(上)ISBN978-4-15-012107-5(下)ISBN978-4-15-012108-2、(上)840円+税(下)840円+税
2017/1/23 ☆

 ■。
●「スペース金融道」宮内悠介著、河出書房新社、2016年8月、ISBN978-4-309-02493-6、1600円+税
2017/1/15 ★★

 宇宙を舞台にしたヤミ金の取り立て屋の話。という説明だと、舞台が宇宙なだけで、あとはなにわ金融道みたいな話を思い浮かべるだろう。それはそれで正しいけど、その中でしっかりSFしていてすごい。そして、面白い。
 5編が収められた連作短編集。本文で描かれる主な取り立ての相手だけでも、 アンドロイド、コンピュータの中の人工生命、コンピュータウイルス。チラッと触れられるのには、星自体であるガイア、なんてのまである。
 そんな取り立ての中で、アンドロイドや人工生命の人権問題があるかと思ったら、量子ファイナンスなどという金融工学、人格を転写して債権から逃げようとするアンドロイド、ナノマシンの変異によって発生する病気、アンドロイドと人の異種婚。いろんなアイデアがちりばめられていて、とても楽しい。その背景には何光年もの星間に広がる金融会社が、地球の本社-支店システムを踏襲しているというギャグも忘れない。続きが読みたいけど、続けられそうだけど、いったん簡潔はしてるなぁ。
●「天界の眼 切れ者キューゲルの冒険」ジャック・ヴァンス著、国書刊行会、2016年11月、ISBN978-4-336-05921-5、2400円+税
2017/1/11 ☆

 「ジャック・ヴァンス・トレジャリー」の2冊目。「ダイイング・アース」の作品の内、キューゲルが登場する7編を収めた短編集。 「ダイイング・アース」ってのは、科学がものすごく発達した後に衰退しつつある遠い未来の地球を舞台にしたもの。充分に発達した科学は、もはや魔術と区別がつかない。という後付けの説明のもとにSFと言い張られるけど、そういう設定は単なるファンタジーと区別がつかない。そして、どこにも発達しまくった科学の雰囲気は出てこない。というわけで、ファンタジーであって、SFではないとしか思えない。
 そして切れ者と銘打ってもらってるキューゲルだけど、けちで好色な盗人で、仲間を裏切って、自分だけが自体を切り抜ける話ばかりが繰り返される。ぜんぜん共感できないし、切れ者感もない。これがピカレスクロマンなら、怪盗ルパンはなるほど紳士だし、ピカレスクロマンじゃない。
 唯一面白かったのは、一番最後だけ。
●「自生の夢」飛浩隆著、河出書房新社、2016年11月、ISBN978-4-309-02521-6、1600円+税
2017/1/9 ★★

 7編を納めた短編集。最初の2編と最後の1編を除くと、人間の行動と考えたことを逐一テキストとしてネットに書き出すライフログシステムCassyという電子的エージェントと、構築された電子的書字空間、そこに投入された新しい形の詩、詩の天才アリスと、アリスにつくられ野生化したポエティカル・ビースト、そして電子的書字空間をひいては現実世界までもむしばみつつある謎の<忌字禍>。聞いたことのない、不思議な世界の物語が、つむがれていく。
 ある意味、分かりやすいアリスの話である「#銀の匙」「曠野にて」から「野生の詩藻」 が好きかも。「海の指」の希望の見えない狭い世界、「自生の夢」に出てくる言葉の能力はとても怖い。「はるかな響き」は、あの有名な映画と、ヴォネガットみたいだなぁ、という感想で正しいのだろうか?
●「星群艦隊」」アン・レッキー著、創元SF文庫、2016年10月、ISBN978-4-488-75803-5、1200円+税
2017/1/2 ★★

 「叛逆航路」「亡霊星域」に続くサンシラリー三部作の最終刊。後ろには、前日譚の「主の命に我は従わん」も付いている。
 辺境を放浪する第一作。一転して、 宮廷劇であり、復讐を果たしたような果たしてないような第二作。そして第三作は、独立戦争。というか自由を求めて戦う話。
 舞台は、第二作と同じ宇宙ステーションとその惑星。大きなテーマは、AIを含めて、人とは何か。あるいは「意義ある存在」とは何か。ここまでも見え隠れしていた圧倒的な科学力を持つ異星人プレスジャーが大きな意味を持つ。人類とAIとの対立に、両者が共有する文化をほとんど理解しない異星人の視点が効果的に投入される。
 ってゆうか、ともすれば暗くなりそうな第三作を楽しく読ませてくれるのは、圧倒的に異星人の通信士さんの力。人類世界の各所に派遣された異星人通信士の道中記の短編集とかを読みたい。
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