SF関係の本の紹介(2013年分)

【★★★:絶対にお勧め、★★:けっこうお勧め、★:読んでみてもいい、☆:勧めません】


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●「約束の方舟」(上・下)瀬尾つかさ著、ハヤカワ文庫JA、2011年7月、(上)ISBN978-4-15-031040-0(下)ISBN978-4-15-031041-7、(上)720円+税(下)720円+税
2013/12/16 ★

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●「展翅少女人形館」瑞智士記著、ハヤカワ文庫JA、2011年8月、ISBN978-4-15-031045-5、760円+税
2013/9/25 ☆

 人から人形しか生まれなくなる奇病が蔓延した地球。人は減少し続け、まれに生まれる貴重なヒトの子は、集められ隔離され育てられている。で、少女だけが育てられてる修道院での、意味不明のいわば殺し合いが描かれる。
 奇病の原因やその行く末が論じられるわけではなく、少女の間の頽廃なドラマだけに焦点が当てられる。SFではない。

●「シリンダー世界111」アダム=トロイ・カストロ著、ハヤカワ文庫SF、2011年3月、ISBN978-4-15-011800-6、1100円+税
2013/9/5 ★

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●「天獄と地国」小林泰三著、ハヤカワ文庫JA、2011年4月、ISBN978-4-15-031030-1、840円+税
2013/9/1 ★

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●「ねじまき少女」(上・下)パオロ・バチガルビ著、ハヤカワ文庫SF、2011年5月、(上)ISBN978-4-15-011809-9(下)ISBN978-4-15-011810-5、(上)840円+税(下)840円+税
2013/8/24 ★

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●「跳躍者の時空」フリッツ・ライバー著、河出書房新社、2010年1月、ISBN978-4-309-62205-7、2100円+税
2013/3/13 ☆

 奇想コレクションの一冊。10編を収めた短編集。ネコのガミッチシリーズの5編すべてが収められている。スーパー猫の事件簿というあおりに期待して読むと、とても落胆する。ガミッチはほとんど何にも解決しない。残る5編も思わせぶりで、とりたてて何も起きないという点では共通。そしてSFでもない。思わせぶりファンタジーと命名してみた。

●「グリムスペース」アン・アギアレイ著、ハヤカワ文庫SF、2011年5月、ISBN978-4-15-011808-2、940円+税
2013/3/7 ☆

 グリムスペースという超空間を通じた超光速航行を可能にする殊な遺伝子を持つジャンパー。ジャンパーの独占企業による陰謀に巻き込まれた第1級のジャンパーが、アウトローに助けられ、逃げ回り、翻弄される。
 超光速航行を独占する企業、特殊能力を持った主人公、優秀で頼りになるアウトロー、最後の気功師を擁する一族、変身能力を持つ腕利きバウンティハンター。ちょっとデューンを彷佛とさせる魅力的な登場人物がいっぱい。なのに、妙に主人公の独白ばかりのストーリーは、上滑りまくっていて、ぜんぜん楽しくない。設定も主人公もぜんぜんいかされていない。そしてなぜか唐突に終わる。シリーズ第1作って感じで、放ったままの伏線がいっぱい。

●「リリエンタールの末裔」上田早夕里著、ハヤカワ文庫JA、2011年12月、ISBN978-4-15-031053-0、680円+税
2013/3/5 ★★

 4編を収めた短編集。『華竜の宮』と同じ世界を舞台に、鈎腕を持った主人公がお金をためてハンググライダーに挑む表題作「リリエンタールの末裔」。高次脳機能障害をテーマに、脳の内部状態の可視化、そしてある悲恋を描く「マグネフィオ」。無人海洋探査機のオペレーターの身体機能の拡張を描いた「ナイト・ブルーの記録」。架空のロンドンを舞台に、超一流の時計職人とその弟子がであった奇跡。補整型調査機械とのある種のファーストコンタクトを描いた「幻のクロノメーター」。共通するテーマは、機械や道具との一体化による人間の機能拡張ってことだろうか。記憶に残る作品が並ぶ。

●「平ら山を越えて」テリー・ビッスン著、河出書房新社、2010年7月、ISBN978-4-309-62206-4、2200円+税
2013/3/4 ★

 奇想コレクションの一冊。9編を収めた短編集。突然北アメリカにでーっかい山ができたら、翼の生えた子どもが生まれたら、飛行機に乗って平行世界に行ってしまったら、スケベな宇宙人がやってきたら、ネアンデルタ−ル人のところにタイムトラベルして帰れなくなったら、月で素敵なファーストコンタクト、クローニングを使った復讐ベースの刑ができたら、ものすごく頑張って世話しないと植物が生えないようになったら、人口のコントロールのために軍隊が使われるようになったら。基本的には、ワンアイデアで、何が起こるかを考えた古き良き正当派SF短編が並んでいる。ちょっと異様な未来を扱った作品は、ちょっと怖い。ファーストコンタクト物2つが印象的だった。

●「創世の島」バーナード・ベケット著、早川書房、2010年6月、ISBN978-4-15-209135-2、1400円+税
2013/2/26 ★

 エスタ−・グレン賞受賞。聞いた事のない賞だなと思ったら、ニュージーランドの賞らしい。著者もニュージーランドの人で、どうやら舞台も未来のニュージーランド風。
 ストーリーは、ほぼ一つの部屋で進行する。少女がアカデミー入学の口頭試問を受ける。そのやり取りの中から、人類の未来が明らかになってくる。生物兵器を用いた世界大戦で、世界の大部分は無人になった様子。生き残った者達は、他所からやってくる者を排除しつつ、なんとか生き延びる。そして、できた今の社会。その社会の秘密が最後に明かされる。
 最後には、驚きの展開が待っているのだが、ある程度SFを読んでる人なら、予想がつく部分も多い。でも、やはりあのラストは驚くというか、妙に印象的。途中のいわば劇中劇で挿入される「意識とは何か?」という問答も、これまた新味はないけど、印象的。というわけで、新鮮ではないけど、印象に残る作品。

●「エンドレス・ガーデン ロジカル・ミステリー・ツアーへ君と」片理誠著、早川書房、2010年9月、ISBN978-4-15-209158-1、1900円+税
2013/2/25 ★

 仮想空間内で、40万の箱庭世界を巡る旅。旅の目的は、世界を救うために10本のカギを集めること。仮面の忍者赤影かドラゴンボールか。さまざまな世界を巡りながら少年少女は成長するってこと。
 カギを集めるためには、さまざまな課題が課される。体力や勇気が求められることもあるが、基本的にはパズルを解く事が求められる。答えがあって、何度失敗してもやり直しが効く状況ではあるが、何度も何度も失敗をくり返すのは疲れそう。そして、ついに10本のカギを集めた末に明かされる事実は?!
 物語の中の物語の様相。個々の箱庭世界(40万といいつつ、主に描かれるのはカギが隠されている10の世界)での趣向を楽しむ小説。錬金術の絵画の謎なぞを解く。リアル双六。宇宙飛行士シミュレーションのような設定。さまざまな芝居がくり返される世界。囚人のジレンマを地で行くカードゲームの世界。ゲームブックの世界。後半ほど、趣向が面白い気がする。
 設定上やむを得ないかもしれないが、主人公2人が薄っぺらい印象。魅力的な人物抜きに大部を読まされるのはちょっと辛い。世界設定も旅に出る理由も、種明かしされた後も、ちょっと無理がある感じ。

●「天冥の標V 羊と猿と百掬の銀河」小川一水著、ハヤカワ文庫JA、2011年11月、ISBN978-4-15-031050-9、760円+税
2013/2/11 ★★

 「天冥の標I メニー・メニー・シープ」「天冥の標II 救世群」「天冥の標III アウレーリア一統」「天冥の標IV 機械じかけの子息たち」に続く、シリーズ第5弾。これだけ読んでもちゃんと分かるけど、ここまでを読んでたら、いよいよ大展開で、今までのエピソードがどう言う意味を持っていたのかが分かりはじめる。なんと全宇宙の運命をかけた闘いが関わってくるらしい。
 ダダーのノルルスカインのエピソードと、農夫とその娘のエピソードが交互に並ぶ。農夫のエピソードもある種の悲哀と親子の葛藤に満ちていて面白いのだけど、やはり注目はノルルスカイン。寄生的被展開体という存在/概念が面白い。そんな存在はいろんなSFに出てくるけど、ちゃんと位置付けされて、視野が拡がる感じ。
 というわけで、人類は宇宙の知性体を救うのか!?次の巻に期待。

●「天冥の標IV 機械じかけの子息たち」小川一水著、ハヤカワ文庫JA、2011年5月、ISBN978-4-15-031033-2、860円+税
2013/2/7 ★

 「天冥の標I メニー・メニー・シープ」「天冥の標II 救世群」「天冥の標III アウレーリア一統」に続く、シリーズ第4弾。とはいえ、前を読まず、これだけ読んでもちゃんと分かる。この巻だけ取り上げたら、宇宙を舞台にSF調のポルノ小説といった風情。どうみても18禁だと思う。だからといって、SFじゃないって訳ではなく、かなりしっかりとSF。
 性的奉仕を目的として生み出されたアンドロイドだけからなる衛星が主要舞台。救助されて、その衛星で目覚めた主人公が、ひたすらその手の奉仕を受ける。というのが、ストーリーと場面の大部分。でも、やがてその背景が明らかになり、謎の存在も加わって、その衛星世界壊滅の危機を乗り切るべくがんばる。
 この事件の背景にはさらに大きな図式があるらしいのだが、それは後の巻のお楽しみ。

●「風の邦、星の渚 レ−ズスフェント興亡記」(上・下)小川一水著、ハルキ文庫、2011年5月、(上)ISBN978-4-7584-3551-2(下)ISBN978-4-7584-3552-9、(上)743円+税(下)743円+税
2013/2/2 ★

 舞台は中世ドイツ。そこで密かに起こるファーストコンタクト。という点では、「異星人の郷」にものすごく似てる。ペストの猛威も迫ってくるし。ただ、あちらの宇宙人と違って、こちらの宇宙人は可愛い(少なくとも通常の見た目は)。そして、あちらがコンタクトがテーマの中心なのに対して、こちらは架空の都市の勃興がテーマ。
 疎まれて、田舎の村の追いやられた領主の息子。そこで偶然であった宇宙人のサポートを受けつつ、自由都市を興そうと奮闘する。村びとの支持を得て、海賊を味方につける。しかし、デンマークに攻められ、領主に責められる。
 ファーストコンタクト物としては、目新しくない。というか、宇宙人がいなくても話は成立しそう。

●「星の光はいまは遠く」(上・下)ジョージ・R・R・マーティン著、ハヤカワ文庫SF、2011年6月、(上)ISBN978-4-15-011813-6(下)ISBN978-4-15-011814-3、(上)780円+税(下)780円+税
2013/1/28 ★

 銀河に人類が拡がった未来を描く「一千世界」シリーズの1冊にして、長篇第1弾。銀河辺境で、とある放浪惑星がある恒星に近付いたので、その期間だけ惑星を一部改造して、近隣惑星のみなさんで祭りを開いたとしよう。惑星が恒星を離れるに従って、祭りは終わり。人々が次々と立ち去り、薄れ行く太陽のもと、人陰もまばらになった惑星が舞台。かつての恋人に呼び出された男が、恋人がすでに”結婚”しているのに落胆し、取り戻そうとし、ややこしくなる話。
 辺境のさまざまな惑星の風俗が面白い。とくに中心となるのは、男尊女卑も極まった感のあるハイ・カヴァラーンの習俗。その歴史をひも解きながら、どうしてそのような習俗が成立したかが明らかになっていく。よく知らずに異文化を評するのは過ちの元ってところだろうか。
 明らかになって行くと言えば、登場人物の言動の背景。最初は訳が分からなかったり、感じ悪いと思っていた人物の言動が、やがてどういうコンテクスト、どういう意図のもとにあったのかが分かってくる。後書きにもう一度読み直すと違った意味を持って読むことができるとあったが、なるほどその通り。SFとしてというより、小説としてうまいなぁって感じ。

●「防衛戦線、始動!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2011年10月、ISBN978-4-15-011829-7、1100円+税
2013/1/21 ☆

 「新任少尉、出撃!」「救出ミッション、始動!」に続く第3弾にして、一応3部作の完結編。といっても気になる武闘派メイドの正体も分からないし、解決されていない伏線があるので、さらに続くらしい。
 第2弾はぜんぜんミリタリーSFではなかったけど、第3弾はアメリカらしい愛国的ミリタリーSF。自分らの惑星を救うために、自らの命を投げ出して、しょぼい宇宙軍と市民義勇軍が巨大戦艦群に立ち向かう感じ。

●「救出ミッション、始動!」マイク・シェパード著、ハヤカワ文庫SF、2011年8月、ISBN978-4-15-011822-8、1100円+税
2013/1/18 ☆

 「新任少尉、出撃!」に続く第2弾。お金持ちの成り上がりプリンセスの友だちは苦労するというお話。どこからか何でも調達してくるメイドとか、休暇中でもお嬢様のガードに励むボディガードとか、口答えばかりするコンピュータとか、なんか登場人物がとっても日本のアニメ風。

●「アバタール・チューナー」(I〜V)五代ゆう著、ハヤカワ文庫JA、2011年2〜10月、(I)ISBN978-4-15-031022-6(II)ISBN978-4-15-031029-5(III)ISBN978-4-15-031038-7(IV)ISBN978-4-15-031044-8(V)ISBN978-4-15-031048-6、(I)700円+税(II)700円+税(III)740円+税(IV)700円+税(V)740円+税
2013/1/11 ★

 最初は取っ付きにくい異世界ファンタジーだなぁ、と思ったが、ある種の仮想世界物。と思いきや、仮想世界が現実世界と合流し、さらに現実世界もなんやら非現実になっていて、不思議な展開。あとがきで2つの有名なSFへのオマージュである的な記述があるが、『結晶世界』ともう一つは、唯二読んでるヴォネガットのあれなんだろう。
 仮想世界と現実世界を結び付ける展開は面白い。”神”の設定もまあまああり。でも、主人公、悪役、神のいずれについても行動原理がよく分からない。誰一人感情移入できる登場人物がおらず、命をかけた行動の理由が不可解なままの話は読みにくい。さらに現実世界の政治状況も意味不明。SFとしてよりも、小説としての問題かと。おかげですべてが仮想世界の話にしか思えない。

●「グランド・セントラル・アリーナ」(上・下)ライク・E・スプアー著、ハヤカワ文庫SF、2011年7月、(上)ISBN978-4-15-011818-1(下)ISBN978-4-15-011819-8、(上)840円+税(下)840円+税
2013/1/2 ★

 超光速航法を試してみると、宇宙全体のミニチュア世界”アリーナ”に転移して帰れなくなってしまう。で、帰る方法を入手するまでの物語。
 アリーナには5000からの宇宙全体から集まった知的生命が集い、騙し騙され、駆け引きを続けている。右も左も分からない新参者の地球人が、宇宙の海千山千にどう立ち向かうかと言う展開。
 面白気な世界ではあるが、そこかしこに日本アニメの影響があるらしい。展開はお約束通り。普通の元気の女の子が、実は世界の謎を握ってるんだろう。とはいえ、盛り沢山の謎は、ほぼすべて解かれないまま放置されて終わる。シリーズ第1弾ってことなんだろう。

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