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本の紹介「アオリイカの秘密にせまる」

「アオリイカの秘密にせまる 研究期間25年、観察した数3万杯」上田幸男・海野徹也著、成山堂書店、2013年4月、ISBN978-4-425-85401-1、1800円+税


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【森住奈穂 20130701】【公開用】
●「アオリイカの秘密にせまる」上田幸男・海野徹也著、成山堂書店

 わたしにとって、イカは“食べ物”。スーパーなどの食料品店で見かけるイカはすでに食材であって、つまりもう死んでしまっているのだけれど、そのイカが生まれてからスーパーにたどり着くまで、否、お皿に乗せられて食卓に上るまでの大冒険がイキよく1冊にまとめられている。知能が高く、人に慣れると手から餌を食べることがあるとか、心臓が3つあるとか、目からウロコのうんちくがいっぱい。アオリイカに特化した本なので、この本を読めばアオリイカに関する知識は一通り網羅できそう。素人のわたしにとっても、絵や写真がたくさん載せられているおかげで読み進めやすかった。約1年という短い生涯。今度お皿の上でめぐり逢ったら、今まで以上の感謝の気持ちで「いただきます」。

 お薦め度:★★★  対象:イカの魅力にあらがえない人

【萩野哲 20130627】
●「アオリイカの秘密にせまる」上田幸男・海野徹也著、成山堂書店

 イカの中で最も美味といわれるアオリイカについてまとめた書。内容は、アオリイカ研究の経緯についての著者たちへのインタビューに始まり、全般的なアオリイカの知識、繁殖行動、成長、回遊、摂餌生態から、漁法、特に餌木(エギ)釣り、調理法、好不漁の原因追及に及んでいる。日本産アオリイカには3つの型(シロイカ、アカイカ、クアイカ=たぶん別種)があること、あれだけ大きくなる(最大胴長50cm)のに寿命はたった1年であること、何回も産卵できること、東シナ海から日本海に大回遊を行うこと、意外にも釣り餌として使用されるアジはアオリイカにとってあまり好みではないことなど、大変興味深い。このようなアオリイカは、イカの中では漁獲高が少なく、魚屋でも見かけることは少ないのが現状である。このような研究成果が生かされ、もっと食べる機会が増えればと願うものである。

 お薦め度:★★★  対象:おいしいものを食べるのが大好きな人

【中条武司 20130628】
●「アオリイカの秘密にせまる」上田幸男・海野徹也著、成山堂書店

 今から数年前、対馬で「シロイカの活け作り」として出されたイカの刺身はとてもおいしかったなあ。本書を読むと、シロイカとはアオリイカの1型(将来的に別種となるだろうとのこと)であるらしい。そしてアオリイカは「イカの王様」として好まれるとても美味なイカだそう。なるほど、そりゃおいしかったわけだ。

 さておき、アオリイカの秘密に迫ると書かれた本書、その一生、繁殖、餌の取り方、イカの釣り方・さばき方に至るまで、アオリイカ三昧な内容。アオリイカの標識調査が日本中で行われていることや、餌資源の確保という問題はあるにせよ累代飼育が可能ということなど、興味深い内容がいろいろ。夏に五島に行ったらアオリイカ食べられないかなあ。

 お薦め度:★★★  対象:イカ好きな人


【和田岳 20130823】
●「アオリイカの秘密にせまる」上田幸男・海野徹也著、成山堂書店

 副題にあるように、25年もかかってのアオリイカ研究の成果を紹介した本らしい。研究者が、なんとなく今までの成果をまとめた原稿を提出。これでは売れないと思った編集者が、釣り人が買いたくなるように、手を入れるよう指示。ついでに冒頭に研究者インタビューも入れて、取っつきやすくしちゃおう!
 こんな経過で、できた本なんじゃないかと思わせる。随所で釣り人を意識した文が挟まる。想定読者は釣り人。釣りにさほど興味がなく、純粋にイカの生態を知りたい者は、ちょっと居心地が悪い。そして、あまり詳しい事は解ってないんだな。と納得する1冊。

 お薦め度:★★  対象:エギングをする人

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