第3展示室 > わたしたちはどこから
B.けものの骨格と生活

けもの(哺乳類)の骨格をみると、「頭―くび―胸―腰―尾」の骨がひとつづきになり、これを前足と後足とが支える形となっている。
頭の骨の中には、よく発達した脳が入っているし、顔を中心とした部分には、目(視覚)、鼻(嗅覚)、耳(聴覚)、口(味覚とそしゃく)などの器官が集中する。そのため、顔の向いている方向が移動方向と一致し、前足と後足の筋肉の付きかたや骨の形もみな、そのように設計されている。このような基本の形が、生活に応じて変化している。
生活する場所には、地上・地中・樹上・空中・水中などがある。食物を入手する方法にも、歩きまわってさがす、追いかけてとらえる、まちぶせておそう、などがある。敵から逃げるやり方もいろいろだ。これらはみな、骨格全体の形と関係しあっている。さらに、それぞれのけものの生活に合わせて、骨の部分ぶぶんも変化している。
ヒトは、直立して後足で歩くという思いきった変化をなしとげた。骨はどう変っただろう。(柴田)


◆草食性のけもの

地上で生活し、せんい質のおおい草や木の葉をたべる。敵におそわれたとき、走って早く逃げられる。長い足をもっているものがおおい。つまさきであるく。歯は、草をつみとったり、すりつぶすのに便利な形をしている。目の位置は、顔の両横にあって、広い範囲をみわたすことができる。

◆肉食性のけもの(食肉類)

ほかの動物(けものなど)を食べる。骨の関節はよく働き、背骨と背骨の間には、すきまがある。このために、体を自由にまげたり伸ばしたりできる。えものにしのびよったり、とびかかるとき、体のしなやかさが役にたつ。ネコ科のけものでは、指先の骨が大きくなっている。ここから丈夫なつめがはえている。歯は、かみついたり、ひきはがしたり、切りとるための形をしている。

◆雑食性になった食肉類

木の実も昆虫もたべる―といったように、植物も動物もたべることを雑食性という。食肉類でありながら、クマもキノボリグマも雑食性になっている。クマの奥歯(臼歯)は大きく、木の実などをかみくだくのに便利な形をしている。クマは足のかかとまで地面につけてあるく。


●アジアゾウ

ゾウは現在、陸上にすむ動物のなかで最も重い。アジアゾウで最大5t、アフリカゾウでは最大7tといわれる。この体重をささえるために、ゾウは太い柱のような足をもっている。首はとても短くなっていて、大きく重い頭をささえやすくなっている。そのかわり他の草食獣のように、口で直接食べ物を集めることはむつかしい。ゾウの鼻が長いのは、このような不便さをおぎなういみが、あるのだろう。(樽野)

●ナガスクジラ

流線型の体で、海の中を泳ぐのに適している。胸びれ(前足がかわったもの)・背びれ・尾びれがあり、後足は無くなっている。哺乳類なので、子クジラは乳をのんで育つ。鼻のあなから空気を出し入れして、肺で呼吸する。水蒸気をたっぷり含んだ温度の高い息が、低温の海上へはき出されると白くみえる。いくらかの海水もいっしょにとばされる。これは「クジラのしおふき」とよばれる。