第3展示室 > 海は生命のふるさと
D.深海にすむ

水深が200mをこえる海の中は、ふつう深海と呼ばれている。ここは、光のとどかない暗やみで、動物の餌となる有機物が少なく、水温も低い。
深海の魚類には、このようなきびしい環境を生きぬくために、ある器官をきょくたんに発達させたり、逆に、必要のない器官を思いきって退化させてしまった例がみられる。たとえば、光がほんのわずかに残っている深さには、眼が異常に発達したものがいるが、光がまったくとどかない所では、眼の退化したものが多くなる。また、水中に浮かんで餌を待つものでは、体の筋肉は弱よわしく、組織は水を多く含んでぶよぶよだが、口だけはがんじょうで大きく、自分と同じくらいの大きな動物でものみこめるものがいる。
深海は、起源の古い動物たちが多く生き残っている場所でもある。深海での生活にいちじるしい適応を遂げ、特殊化している魚類は、どれも魚類の中の原始的なグループに属している。深海底には、ほかにも、ウミユリ類や軟体動物の単板類など、「生きている化石」として知られている動物が少なくない。


●ラブカ

現存するサメの中では、もっともその祖先に近い原始的なサメである。ふつうのサメとちがって口は前端に開き、えらはむきだしのままで、側線は溝状になっている。せぼねの部分は円筒状で脊椎骨は発達しない。深海にすみ、めったに見つからない動物である。