第3展示室 > 生物どうしのつながりと進化
B.うそをついて身を守る

多くの動物が昆虫をえさにしている。虫にとっては、それらの動物(天敵)にみつかるかどうかは命にかかわる大切なことである。そこで、虫はみつからないような、またはみつかっても逃げられるような工夫をこらしている。
エダシャク(ガ)の幼虫やナナフシは、体の形と色が小枝に似ており、目立たない(ミメシス)。
さらに、多くの虫は鳥のきらいな目玉もようで、または毒のある蝶やハチに似た体色でうそをつき、身を守っている(ミミクリー)。


●いろいろな動物が虫を食べる

昆虫は地球上でもっとも繁栄している。種類数も個体数も多く、密度も高い。そういう虫たちをえさにしているほかの動物は多い。とくに鳥は恐ろしい天敵で、なかでもヒタキ科やシジュウカラ科の鳥は虫を専門に捕食する。一羽のシジュウカラが一年間に10万匹以上の虫を食べるといわれている。また秋から冬には植物食のヒヨドリも、春から夏にかけては虫を食べることが多い。

●みつかっても逃げる

まわりの環境にまぎれて、恐ろしい鳥をだまそうとしても、なにかのきっかけでみつかってしまうことがある。その瞬間シタバガ類やタテハチョウ類は、後羽にある派手なもようや目玉に似たもようをみせて、鳥をおどし、鳥がひるんだすきに飛びさる。直径1cm以上の目玉もようは、鳥にとっての天敵であるワシタカ類やけものの目を連想させる効果があるらしい。
いっぽう1cm未満の目玉もようは、鳥につつく行動をおこさせる。ジャノメチョウのなかまはそれらを羽のへり近くにあしらい、最初の攻撃をかわす。
またシジミチョウのなかまは、触角に似た尾状突起と目玉に似たもようを後羽の先端につけている。鳥がニセの頭めがけて攻撃すると、逆方向ににげる。