第2展示室 > 古生代の海と森
C.三葉虫の海


古生代のはじめに、海にすむ生物は種類・数ともに飛躍的にふえ、無脊椎動物のほとんどのグループが現れた。そして先カンブリア代の動物とちがい、キチン質や石灰質のかたい殻をもつものが現れた。
古生代前半(カンブリア紀〜シルル紀)には、三葉虫、筆石、腕足類、床板サンゴ、オウムガイ(直角石類)などが栄えた。とくにカンブリア紀には三葉虫、オルドビス紀には筆石、シルル紀にはサンゴが大繁栄した。古生代後半になると、これらは衰退し、かわって四放サンゴ、紡錘虫、アンモナイト(ゴニアタイト類)、貝類などが栄えた。しかし、三葉虫をはじめ、紡錘虫、四放サンゴなど、古生代を特徴づけた多くの動物群は、ペルム紀末で絶滅してしまう。
いっぽう、最初の脊椎動物である魚類はオルドビス紀に出現し、デボン紀に全盛をきわめた。そしてデボン紀後期には、魚類のうちから上陸して爬虫類へと進化するものが現れた。 (両角)


◆三葉虫

古生代にすんでいたキチン質の外骨格をもつ節足動物。カンブリア紀からオルドビス紀にかけてもっとも栄えたが、デボン紀以降は衰退し、ペルム紀末には絶滅した。約1500属、10000種が知られている。
体長はふつう3〜5cmだが、なかには1cmほどの小さなものや、70cmにもなる大きなものもある。三葉虫はおもに浅い海底をはいまわる生活をしていた。ときどき体を丸めた状態の化石が見つかるが、これは敵から身を守るときの姿を示すと考えられている。

◆紡錘虫

有孔虫類に属する石灰質の殻をもった原生動物。石炭紀前期に小型有孔虫から進化し、石炭紀後期からペルム紀にかけて栄えたが、ペルム紀末に絶滅した。100属以上、約5000種が知られている。
紡錘虫はテーチス海を中心に、それに近接するほとんどの海にすんでいた。化石はサンゴや石灰藻とともに、石灰岩の中にはいっていることが多い。後期古生代の重要な示準化石である。

◆先カンブリア代の生物

地球の誕生から約10億年たって、太古の海で生命が生まれた。南アフリカの30数億年前のチャート層から見つかるらん藻類の化石が、最古の記録である。しかし、このような古い年代を示す化石はみな、原核生物の化石で、確かな真核生物の化石としては、北アメリカの約14億年前の地層から見つかる緑藻類などの化石が最古のものである。
先カンブリア代の終わり近く(6〜7億年前)になると、大型の多細胞生物がかなりみられるようになる。エディアカラ動物群とよばれる多毛類、節足動物、クラゲのような生物などの化石が、世界各地で見つかっている。
エディアカラ動物群が生まれるより前に、原生動物が現れたはずだが、今のところ確かな化石は見つかっていない。

◆古生代の魚

最初に現れた魚は、無顎類とよばれる顎のない開いたままの口をもった魚だった。かたいうろこや骨板で体をつつんでいたので甲皮類ともよばれる。
シルル紀の終わりになると、板皮類という顎をもつ魚が現れた。多くの板皮類もかたい骨板で体をおおっていた。これらと甲皮類は、まるでよろいをつけたように見えるので、甲冑魚とよばれることもある。無顎類や板皮類はデボン紀に栄えたが、デボン紀末には衰退し、かわって軟骨魚類と硬骨魚類が栄えるようになる。
硬骨魚類の中でも、総鰭類に属するユウステノプテロンなどは、空気呼吸をするための内鼻孔をもっていただけでなく、がっしりとした背骨とヒレをもっていた。そのため、すんでいた川や沼の水がひいた時でも、はいまわることができたと考えられている。この総鰭類の中から両生類が生まれた。