ネイチャースクエアー > 大阪の移入種

外国産の生物が、人間の移動にともなって日本へ入り、野生の生活を始めるようになると、それを帰化生物とよんでいる。日本へは、船や航空機の積荷にまぎれこんできたり、有用動植物として輸入されたりして、入ってくる。一部が、いつの間にか逃げだし、日本の土地で野生化する。帰化生物となるには、いろいろなことが複雑にからんでいるが、主として、ふたつのことが関係している。まず、土地の開発で自然環境が壊され、荒れた土地や裸の土地が広がったこと。次に、入ってきた生物が、日本在来の種類との競争に勝ち残ったり、競争相手がもともといない場合である。それぞれの例として、セイヨウタンポポとミシシッピー川流域からきた動物たちを考えてみよう。


◆ミシシッピーからきた動物

北アメリカのミシシッピー川下流域は泥地がおおい。このあたりから持ちこまれた動物のいくつかが、日本に住みついている。とくに、都市やその近くの池や川に多い。富栄養の水にすんでいたので汚れた水にも強い。日本の池や川には大型の肉食動物がすくなかったが、ミシシッピーからきた動物たちは、空いた席へうまく入りこんだといえよう。


◆タンポポが示す環境破壊

タンポポのなかまには、もともと日本にあった種類(在来種)と、外国から入ってきた種類(帰化種)とがある。在来種のタンポポと帰化種とでは、生えている場所がちがい、帰化種は、日本のもともとの植物が生えている、比較的安定したような場所には入ってこない。そのためどちらのタンポポがあるかを調べると、その場所の自然状態を知ることができる。