ナチュラリストってどんな人?
大阪では昔からアマチュアが自然をしらべてきました
およそ55年前に大阪にしぜんし博物館の前身、自然科学博物館ができました。
大阪には自然がない?いいえ、そんなことはありません

2005年(平成17年)7月16日(土)〜9月4日(日)

会場

自然史博物館ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター2階)
交通案内

開館時間

午前9時30分〜午後4時30分
(入館は午後4時まで)
※7月23日〜8月28日の土・日は、午後6時まで(入館は午後5時30分まで)

休館日

月曜日(ただし祝日の場合は翌日)

観覧料

大人400円、高校生・大学生300円
※中学生以下、および市内在住の65歳以上の方、障害者の方は無料
※自然史博物館本館、植物園入園には別途料金が必要
(本館入館券とのセット料金は、大人600円、高校生・大学生400円)
※前売り券、団体割引あり

ちらしダウンロード
PDF形式
表面
928K
裏面
900k

主催:大阪市立自然史博物館、大阪市立自然史博物館友の会、大阪市教育委員会

楽しくてためになる イベント盛りだくさん

■ナチュラリストのお宝拝見

市民の皆さんから募集した生物,化石,鉱物などの実物標本や用具類など,現役のナチュラリストの宝物を紹介します.お宝にまつわるエピソードや専門家の解説も楽しめます.
 日時:7月17日(日)午後1時から
 展示は7月23日(土)〜9月4日(日)にネイチャーホールまたは特別展示室にて.

■自然史オープンセミナー「なにわのナチュラリスト」

「昆虫研究者の系譜と未来」
金沢至学芸員
「江戸時代なにわの自然科学」
嘉数次人学芸員(大阪市立科学館)
 日時:7月23日(土)午後3時〜午後6時
自然史オープンセミナー「化石を研究したナチュラリスト」
石井久夫学芸員、塚腰実学芸員
 日時:8月6日(土)午後1時〜4時
自然史オープンセミナー・スペシャル
「ナチュラリスト・日浦勇さんの世界」
日時:8月21日(日) 午後1時〜4時

申込みの必要はありません。
いずれも自然史博物館講堂にて
参加費無料 ただし博物館入館料が必要。

■ワークショップ「のぞいてみよう!ミクロの世界」

 夏休み中の土日祝日は,お子さまが参加できるワークショップを開催します.いろいろな顕微鏡で,ミクロの世界にちょうせんしましょう!
ねんれい 小学生以上
※小学生未満のお子様は必ず保護者の方とご来場下さい。
にんずう 1回15人
さんかひ 無料
じかん 11:00〜 /1:00〜 /2:00〜 /3:30〜
1回約45分のプログラムです。
かいじょう 特別展会場
(花と緑と自然の情報センター2階、ネイチャーホール)
うけつけ 開始30分前より会場にて受付けます。

くわしくは「ワークショップにおいでよ!」のページをご覧ください。



 動物、植物、昆虫、岩石、鉱物、化石などの自然を愛好し、研究する人のことです。
 自然の好きな人なら、だれでも「ナチュラリスト」になれます。今はまだ「好き」の度合いが高くなくても、大丈夫。きっと、自然の達人になれるでしょう。


 江戸時代には、化石や鉱物、貝の収集家の木村蒹葭堂、植物の押し葉をたくさんつくった畔田翠山が活躍しました。そんな昔の標本が今も残っているなんて、すごいですね。
 20世紀になってからも、たくさんのアマチュアが、大阪の周りの自然を調べました。ふつうのサラリーマンや、学校の先生、郵便局長さんなど、いろんな人が、自然を大好きになって調査や勉強、標本集めをしました。ナチュラリストは「町人学者」とよべるような人たちです。ちょっと変わった人も少なくはなく、そのおかげで家族が大変な目にあってしまったこともあったとか。
 いろいろなナチュラリストと、ナチュラリストが大好きになった自然のことを、みなさんに紹介します。


ナチュラリストは博物館といっしょに大阪の自然を調べるようになりました。博物館も、ナチュラリストのおかげで大きくなることができました。
そして、自然史博物館と一緒に自然をたのしみ、学ぶ人たちの会、自然史博物館友の会ができました。友の会ができて、今年で50年になります。


公園や河川敷、海辺や野山にでかければ、まだまだ自然に親しめます。自然史博物館友の会や博物館と一緒に、身近で意外な自然に親しんでみませんか?そうすれば、あなたも「ナチュラリスト」の仲間入りです。


「なにわのナチュラリスト」のポスターやチラシに登場した標本や写真の解説
木村蒹葭堂(きむら けんかどう)貝石標本
(大阪府指定文化財)

 江戸時代中期の大坂の偉大な本草学者、木村蒹葭堂の貝と石の標本。
「源氏物語」など文学にちなんだ貝や、日本に最初にヨーロッパから持ち込まれたモミジソデ(巻貝の一種)標本などを含む貴重な貝のコレクションと、日本各地の貝化石を含む奇石コレクションが、漆塗りの重箱と縞柿の重箱の中に入っています。
 重箱の漆が剥げるなどしたため、平成15年度に修復しました。(当館所蔵)

畔田翠山(くろだ すいざん)押し葉帖

 江戸時代末期の紀州藩士、畔田翠山がつくった押し葉で、日本に現存する最古級の植物標本です。
 数枚から数十枚の押し葉を、採集した場所や、草と木に分けて綴じたものが、69冊もあります。翠山は、自ら各地に採集にでかけていました。翠山の地元、熊野や大峰・大台の山、高野山だけでなく、北陸の白山や立山の標本もあります。
 縦40cm、横28cmの、当時としてはめずらしく大きな台紙に、特徴がよくわかるように植物標本が貼られています。植物のことをよく分かっていた、優れたナチュラリストです。

ウンナンシボリアゲハ成虫標本

 1981年に再発見されるまで、何と世界中に1頭しか標本がなかった「幻の蝶」の標本です。1933年に雲南省で調査を行った植物学者ジョージ・フォレストが採集し、1939年に新種として記載されました。ギフチョウ属とシボリアゲハ属の中間的な特徴をもち、ギフチョウの仲間の進化を明らかにするカギになる種類と考えられています。
ギフチョウの仲間の系統を研究した日浦勇は、この種類を基に新属Yunnanopapilio(ウンナンシボリアゲハ属)を記載しました。現在では、雲南省の他に、四川省新興村ミニヤコンカ山でも生息が確認されています。

押し葉標本を作製する田川さん

 京都大学の田川基二博士は日本のシダ植物の分類の草分け的存在であるが、関西シダとコケ談話会を指導することにより、多数のアマチュア研究者を育てられた。
ゲートル姿が懐かしい。

メタセコイア発見のもとになった標本
(三木 茂コレクション)

 新生代の植物化石の研究に取り組んだ三木茂博士は、1941年に、収集された化石の中から、メタセコイアを発見しました。絶滅した植物だと考えられていましたが、1945年に中国で生きているメタセコイアが発見され、「生きている化石」として有名になりました。
 写真は、メタセコイア発見のもとになった標本です。 三木博士は約3万枚の植物化石のプレパラート標本を作成し、研究に使いました。また、大阪市立自然史博物館友の会の初代会長もつとめました。

セアカゴケグモ拡大模型

 1995年に大阪市立自然史博物館友の会会員の竹田吉郎さんが、高石市で見たことのないクモを捕獲しました。
 自然史博物館へ持ち込まれ、西川喜朗友の会会長がセアカゴケグモと同定しました。セアカゴケグモが日本に侵入したことがわかり、毒グモ騒動が起こりました。発見の年は友の会設立40周年でした。
 地元の生き物を地道に観察してきた友の会会員が大活躍した例の一つです。
 全国報道された体長1センチの若いメスをモデルに、20倍の拡大模型を作製しま
した。
 セアカゴケグモは大阪市内にもひろがっており、なかまのハイイロゴケグモ、クロゴケグモも各地で発見されています。日本全国におけるゴケグモ属の最近の分布図なども公開予定です。