[NEW!]昆虫と自然2001年7月号に記事が出ました.

ハナノミダマシのページ
The Scraptiidae of Japan
(Insecta: Coleoptera)

 ハナノミダマシ科(鞘翅目)はハナノミ科の1亜科として扱われることも多かったが,成虫,幼虫とも に形態も大きく異なっており,独立科とすべきものである.
 世界のおもに温帯から暖帯に分布し,約600種が知られる.日本からは5属16種が知られているが,保育社の図鑑も標本写真が3種しか掲載されていない など,本科の知見はたいへん不十分で,分類・分布に関する研究は著しく遅れている.
 本ページはそれを補うべく開くものである.引用される場合は
shiyake@mus-nh.city.osaka.jp
宛へご一報いただき,私信扱いで発表していただくのが望ましいと思われる.
 本ページ開設によって得られた知見は,いずれまとめて論文にしたいと考えているので,標本寄贈・同定依頼などを承りたい.



CONTENTS
目次

ハナノミダマシ科
Scraptiidae Latreille, 1807

1. Genus Anaspis Geoffr., 1762
フナガタハナノミ属

1a. Subgenus Silaria Mulsant, 1856

1a-1 Anaspis (Silaria) luteola Marseul, 1876 キイロフナガタハナノミ
1a-2 Anaspis (Silaria) mitchyi Chujo et Nakane, 1953 ミッチフナガタハナノミ
1a-3 Anaspis (Silaria) hayashii Chujo et Nakane, 1953 ハヤシフナガタハナノミ
1a-4 Anaspis (Silaria) shibatai Nomura, 1961 ノムラフナガタハナノミ

1b. Subgenus Anaspis Emery, 1876

1b-5 Anaspis (Anaspis) funagata Kono, 1928 コフナガタハナノミ
1b-6 Anaspis (Anaspis) infuscata Motschulsky オオアカフナガタハナノミ
1b-7 Anapsis (Anaspis) marseuli Csiki, 1915 クロフナガタハナノミ
1b-8 Anaspis (Anaspis) frontalis (Linnaeus, 1758) オオクロフナガタハナノミ
1b-9 Anaspis (Anaspis) ohshimana Nomura, 1963 アマミフナガタハナノミ

1c. Subgenus Nassipa Emery

1c-10 Anaspis (Nassipa) takeii Chujo, 1957 タケイフナガタハナノミ

2. Genus Pentaria Mulsant
ホソフナガタハナノミ属

2-1. Pentaria elongata (Kono, 1929) ホソフナガタハナノミ
2-2 Pentaria ohkurai Nakane オオクラフナガタハナノミ

3. Genus Ectasiocnemis
モンフナガタハナノミ属

3-1 Ectasiocnemis shirozui (Chujo, 1957b) オオフナガタハナノミ
3-2 Ectasiocnemis anchoralis Nomura, 1961 モンフナガタハナノミ

4. Genus Scraptia
ハナノミダマシ属

4-1 Scraptia livens Marseul, 1876 キイロハナノミダマシ
4-2 Scraptia forticornis Schilsky, 1899 ヒメハナノミダマシ

5. Genus Canifa
スジアシハナノミダマシ属

5-1 Canifa cribricornis Champion スジアシハナノミダマシ



1. Genus Anaspis Geoffr., 1762
フナガタハナノミ属

 眼の後方の側頭部はないか,非常に狭い.後脛節は太短く,後付節第1・2節の和より明らかに短い.前・中付節第4節は非常に小さく,2葉状の第3 節の中に隠れる.
 邦産の本属は3亜属に区分される.

1a. Subgenus Silaria Mulsant, 1856
1a-1 Anaspis (Silaria) luteola Marseul, 1876 キイロフナガタハナノミ
 全体に黄褐色で,触角先端部および腹部は黒褐色.♂の第4腹板中央部と第5腹板先端 部は強く湾入する.
 体長3.0〜3.5mm.
 Holotype. BMNH.
 主な産地.<本州>岐阜県郡上,東京都内.<四国>寺川,愛媛県小田深山.
 分布.本州,四国,九州.
 発生期.本州冷温帯で6月上旬,本州暖地や四国では5月上旬〜8月中旬.

1a-2 Anaspis (Silaria) mitchyi Chujo et Nakane, 1953 ミッチフナガタハナノミ

 体は黒褐色ないし黒色で,触角基部,口器,前肢は黄褐色,触角はやや細長く,第7〜 10節は幅の1.6倍.♂は第5腹板先端のみ湾入する.

 体長2.5〜3.0mm.
 主な産地.<本州>福島県湯ノ花,長野県島々谷,長野県上高地,和歌山県護摩壇山.<四国>徳島県美馬郡クボ,徳島県鳴門市木津,徳島県三好郡サンミョ ウ村.
 分布.本州(東北,中部,近畿),四国.
 発生期.本州北中部では7月上〜下旬,本州暖地と四国で5月下旬〜8月中旬.

1a-3 Anaspis (Silaria) hayashii Chujo et Nakane, 1953 ハヤシフナガタハナノミ

 mitchyiに酷似するが,体サイズが小さい.触角基部,口器,前肢に加え, 中 腿節,脛節端棘も黄褐色.触角がやや太短く,第7〜10節は幅の1.2倍.♂は前種と同じく,第5腹節末端のみ湾入する.
 体長.2.0〜2.4mm.
 主な産地.<本州>和歌山県高野山.<四国>徳島県美馬郡クボ.<屋久島>屋久島.
 分布.本州(近畿),四国,九州,屋久島.
 発生期.7月中〜下旬.

1a-4 Anaspis (Silaria) shibatai Nomura, 1961 ノムラフナガタハナノミ

 前2種に類似する.触角基部のほか,小あごひげ,脛節端棘が黄褐色.♂では第5腹板先端が強く湾入することで明瞭に区別できる.
 体長2.5mm.
 主な産地.<奄美大島>名瀬.<沖縄本島>伊豆見.
 分布.南西諸島(奄美大島,沖縄本島).
 発生期.3月下旬〜5月下旬. 


1b. Subgenus Anaspis Emery, 1876

 上翅側片は細長く,第4腹板に達する.♂の第3腹板に1対の付属器を備える.

1b-5 Anaspis (Anaspis) funagata Kono, 1928 コフナガタハナノミ

 体色は黄褐色ないし赤褐色で,触角第6節以および腹部は暗褐色ないし黒色.体長はや や小さい.触角は第4節よりやや短い.第5節以降はやや厚い鋸歯状で,幅より長い.
 体長2.5〜3.0mm.
 <本州>栃木県中禅寺,埼玉県秩父,山梨県韮崎市鳳凰小屋,長野県王滝村御嶽山,三重県美杉村平倉,三重県宮川村サンズコチ山.<四国>愛媛県小田深 山.
 分布.本州,四国,九州.
 発生期.本州・四国とも5月下旬〜8月中旬.

1b-6 Anaspis (Anaspis) infuscata Motschulsky オオアカフナガタハナノミ

 体色は黄褐色ないし赤褐色で,前種に類似するが,体長はやや大きい.上翅後方は暗 色.触角(基部を除く),腹部,ときに後胸板などが黒褐色.触角は第4節は3節とほぼ等長,第5節以降はやや厚い鋸歯状で,幅より長い.
 主な産地.<サハリン>栄浜,敷香.
 分布.北海道,朝鮮半島,カムチャツカ半島,サハリン,シベリア.

1b-7 Anapsis (Anaspis) marseuli Csiki, 1915 クロフナガタハナノミ


 体色は黒色で,触角基部3節と脛節端棘は黄褐色.体長は小さい.♂の第4腹板には溝がない.花上にふつう.
 体長2.8〜3.5mm.
 主な産地.<北海道>芽室町伏美仙峡,小樽市奥沢.<本州>青森県オボクタイ,群馬県ヤツカハギ,群馬県谷川,群馬県沼田,岐阜県美濃タチバナ,滋賀県 北比良,京都府舞鶴市高野台,兵庫県篠山市.<四国>香川県シラヤマ,香川県ダイセン山,徳島県ヨネヅ,同・ワシオ,愛媛県小田深山.<九州>鹿児島県佐 多岬.<対馬>カミサカ峠,タテラ.<台湾>南投県霧社?.
 分布.北海道,本州(東北,関東,中部),四国,九州,対馬,台湾?
 発生期.北海道・本州冷温帯では4月下旬〜7月下旬,本州・四国では4月下旬〜7月下旬.

1b-8 Anaspis (Anaspis) frontalis (Linnaeus, 1758) オオクロフナガタハナノミ

 体長はやや大きい.体色は黒色で,前頭,口器,触角基部4節,前肢,脛節端棘は黄褐 色.♂の第4腹板は2条の溝を持つ.
 体長3.5〜5.2mm.
 主な産地.<サハリン>敷香.<千島列島>色丹島.<北海道>阿寒湖畔,根室市落石駅前,浦幌町真留,芽室町,上士幌町十勝三股,足寄町九大演習林,置 戸町,小樽市奥沢.
 分布.北海道,本州(中部),千島列島,朝鮮半島,サハリン,シベリア,欧州.
 発生期.北海道では5月下旬〜8月中旬.
 生態.幼虫はエゾマツの枯木中に発見される(河野1936).

1b-9 Anaspis (Anaspis) ohshimana Nomura, 1963 アマミフナガタハナノミ
 奄美大島で4月中〜下旬に記録されている.


1c. Subgenus Nassipa Emery

1c-10 Anaspis (Nassipa) takeii Chujo, 1957 タケイフナガタハナノミ

 体色は黒.触角第5〜10節は数珠状.♂は第3に加え,第4節にも付属器を備える. 第5節は深く湾入する.♂の前付節は拡張する.
 体長2.5〜2.8mm.
 主な産地.<本州>青森県南津軽郡タケダテ村.<四国>小田深山.
 分布.北海道,本州(東北),四国.
 発生期.本州冷温帯では5月上旬.四国では4月下旬〜6月中旬.


2. Genus Pentaria Mulsant
ホソフナガタハナノミ属

 眼の後方の側頭部はない.触角は先端近くの数節が多少とも数珠状となる.上翅側片は第3節付近まで明瞭.前・中肢第4付節は明瞭で2葉状.後脛節 は細長く,第1・2付節の和と等長かやや長く,中・後脛節のみ上縁に暗色〜褐色毛の縦列が不規則に並ぶ.

2-1. Pentaria elongata (Kono, 1929) ホソフナガタハナノミ

 触角は基部を除いて暗褐色ないし黒色で,第3〜5節は幅よりはるかに長く,第6節は 同長,以後の各節は明らかに短い.
 体長2.7〜3.3mm.
 主な産地.<北海道>札幌定山渓(基産地).<本州>酒田市.<四国>香川県三木町イケノベ.
 分布.北海道,本州,四国,九州.
 発生期.北海道では8月上旬,四国で5月中旬.

2-2 Pentaria ohkurai Nakane オオクラフナガタハナノミ

 触角は赤褐色で,第3,4節は幅と等長.以後の各節は明らかに短い.
 体長2.5〜3.0mm.
 主な産地.<本州>紀伊半島・北山峡・タド(基産地),和歌山県高野山,大台ヶ原.<四国>松山,愛媛県小田深山.
 分布.本州,四国,九州.
 発生期.6月中旬〜7月下旬.


3. Genus Ectasiocnemis
モンフナガタハナノミ属

 Pentaria属に類似するが,中付節第1節,後付節第1〜2(ないし3)節にも不規則な縦条を持つ.

3-1 Ectasiocnemis shirozui (Chujo, 1957b) オオフナガタハナノミ


 体は黄褐色.上翅は無紋.触角第3,4節は第2節の2倍.後付節第3節にも縦条をもつ.
 体長3.5〜4.2mm.
 主な産地.<九州>福岡県英彦山(基産地).
 分布.本州,九州.
 発生期.ホロタイプは7月中旬に採集されている.

3-2 Ectasiocnemis anchoralis Nomura, 1961 モンフナガタハナノミ

 体は黄赤褐色で,上翅に錨型の暗色紋を持つ.触角第3,4節は第2節の1.5倍.後付節第3節に縦条は持たない.
 体長4.0〜4.5mm.
 主な産地.<本州>群馬県キリズミ温泉,静岡県オオダル温泉.
 分布.本州(関東,中部)
 発生期.7月中〜下旬.


4. Genus Scraptia
ハナノミダマシ属

 体は黄褐色.眼の後方の側頭部は幅広く明瞭.触角は第4節以降の各節は細長く,幅の2倍以上.前・中肢第4節は明瞭で二葉状.後脛節は後付節の和 よりやや長く,第1後付節第2〜4節の和より長い.小あごひげ末端節は幅広く剪刀型.上翅側片は不明瞭.

4-1 Scraptia livens Marseul, 1876 キイロハナノミダマシ

 体長がやや大きい.触角第2節,第3節は短くほぼ等長.
 体長3.5〜4.0mm.
 <対馬>サスナ,ヒダカツ.<南西諸島>沖縄本島・ヨナ.
 発生期.対馬で5月中〜下旬.沖縄で5月上旬.

4-2 Scraptia forticornis Schilsky, 1899 ヒメハナノミダマシ

 キイロハナノミダマシに似るが,体長が小さい.触角第2 節は短く,第3節よりさらに短小.
 主な産地.<本州>京都府舞鶴市.
 分布.北海道,本州.
 発生期.6月.


5. Genus Canifa
スジアシハナノミダマシ属

 Scraptia属に類似するが,上翅側片が明瞭で細長い.中後脚脛節および第1・2付節に不規則な縦条を持つ.小あごひげは直角三角形で,その 内縁は短い.♂の尾節は深く湾入する.

5-1 Canifa cribricornis Champion スジアシハナノミダマ

 本属は日本から1種のみ知られる.
 体長4.0〜5.8mm.
 主な産地.<南西諸島>沖縄本島ヨナ,石垣島ヒラクボ,同・於茂登岳.<台湾>追分.
 分布.南西諸島(奄美大島?,沖縄本島,石垣島),台湾,中国.
 発生期.南西諸島で5月上旬〜7月上旬. 



Literatures

  • Champion, 18■
  • Csiki, 1915. Coleopterolum Catalogus. 63. Junk.
  • Chujo, M and T. Nakane 1953. Mordellidae of Shikoku, Japan. Mushi (Fukuoka) 25(5): 17-24.
  • Chujo, M. 1957a. Description of a new subgenus and five new species of the Japanese mordellid beetles with notices on some known species. Mushi (Fukuoka) 30(1): 1-10.
  • Chujo, M. 1957b. Description of a new genus and six new species of the Japanese mordellid beetles with notices on some known species. Mushi (Fukuoka) 30(1): 11-22.
  • Csiki, 1915.
  • Emery
  • Emery, 1876
  • Geoffr., 1762
  • Hatayama, T. 1985. Scraptiidae. In Kurosawa, Y. et al. (ed.), The Coleoptera of Japan in color III. (In Japanese.)
  • Kono, 1928
  • Kono, 1929
  • Latreille, 1807
  • Linnaeus, 1758. Systema naturae.
  • Marseul, 1876
  • Motschulsky
  • Mulsant
  • Mulsant, 1856
  • Nakane, 19■
  • Nomura, 1961
  • Nomura, 1963
  • Schilsky, 1899
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