[NEW!] ヒラズゲンセイの市区町村別 発見記録年

ヒラズゲンセイのページ
(2017年6月19日更新)

「赤いクワガタムシ」のようなヒラズゲンセイが多数、近畿各地で発生しているようですので、以下の点、ご留意ください。
※ヒラズゲンセイ(成虫)の発生期は6月上旬から7月中旬と、比較的短いですから、そのうち、いなくなると思います。
 1.見つかる場所。市街地〜住宅地〜山村にある公園、校庭、民家の庭など。寄主のクマバチがサクラなどの枯枝に好んで巣を作ります。
 2.成虫は黄色い体液を脚や体の関節から出しますが、これはカンタリジンという毒液で、人体の柔らかいところにつくと、かぶれや水ぶくれを引き起こします。直接はさわらず、筆者の経験では、手で触る程度では大丈夫でしたが、軍手などを使用してください。。
肘にカンタリジンがつくと、数時間後にこのような水ぶくれになります。
※同様にカンタリジンを体内に含有するツマグロカミキリモドキによる実験
(被験者は筆者)

このあと水ぶくれがつぶれて、剥けたようになり、広いかさぶたになり、半年ぐらい跡が残りました。

ヒラズゲンセイも同じ毒液を持っており、皮膚炎が観察されたことがあります。
3.成虫は基本的には何も食べないと思われます。上記のように人体に害のある虫ですので、飼育はしないでください。特に子どもさんが見つけて「飼いたい」といっても、ダメと言いましょう。
4.下記の各エリアで見つけられた場合は、写メだけ撮って、発見場所等をお知らせくださると幸いです。

 ●分布情報募集
<大阪府>
・大和川以北はすべて
・大和川以南は基本的にすでに記録がたくさんありますので不要です。もし太子町、河南町、千早赤阪村、河内長野市など未記録の市町村で見つかったら教えてください。

<兵庫県>
下記は多く記録がありますので、それ以外の場所での情報があればお願いします。県内をどのように北上していくか関心があります。
淡路島
・阪神地域(
神戸市、尼崎市、西宮市、芦屋市、伊丹市、川西市、宝塚市、三田市、猪名川町)。
・明石市、三木市、小野市

<和歌山県>
和歌山市、有田市、湯浅町は古くから記録があるので、それ以外
南に進むかどうか関心がああります。

<京都府><奈良県><滋賀県
三重県>は全地域で情報募集。
・三重県は伊賀市と名張市に入りましたが、追加の記録あれば。あるいは和歌山県南紀経由で侵入するかもしれません。
 
連絡先:大阪市立自然史博物館=初宿(しやけ)成彦あて
・見つかった場所(できるだけくわしく)と発見者または連絡者
・日付(できればだいたいの時刻も)
・できれば写真をつけて、
 メール shiyake@mus-nh.city.osaka.jp

とくに初夏から秋にかけては不在のことが多いので、
電話は避けてください。
FAXの場合は 06-6697-6225(自然史博物館代表)

滋賀県でヒラズゲンセイ
2008 年までについては、以下に記事が出ています。

初宿成彦(2008)。ヒラズゲンセイの温暖化による北上と生活史。昆虫と自然 43(12): 9-12.

近畿のヒラズゲンセイ

 ヒラズゲンセイはツチハンミョウ科の甲虫で,真っ赤で鮮やかな色彩が特徴の大型甲虫です.近畿では和歌山県湯浅町で1976年に見つかったのが最 初で す.その後,淡路島(1977年),神戸市北区(1985年)と見つかるようになり,1999年には大阪府貝塚市で見つかりました.これは大阪府で初めて の記録となりました.その後、滋賀県まで分布を拡大しています(後述)。
 高知県では戦前から生息が知られていましたが,近畿でこのようにコンスタントに見られるようになったのは,おそらく本種の分布が北へ拡大しているためと 思われます.



ヒラズゲンセイの概要
Cissites cephalotes (OLIVIER)
 体長18-30mm.鮮紅色でオスは大あごが強大.メスは大あごと頭部が小さい.クマバチに寄生するが,生活史にはまだまだ謎 が多い.体液にはカンタリジンが含まれ,かぶれや水ぶくれの原因になる衛生害虫でもある.
 分布:本州(近畿南部),四国(高知,徳島),九州,南西諸島,台湾,フィリピン,ベトナム,タイ,ビルマ,マレーシア,イン ドネシア.



ヒラズゲンセイの市区町村別 発見記録年
 
 市区町村別の初記録 
●1980年以前 1981〜1990年 1991〜2000年 
2001年〜2010年 2011〜15年 2016年 2017年
   


ヒラズゲンセイ北上のルート
  大阪府への侵入経路は2つあると思われます.ひとつは和歌山県から北上して泉州へ入ったルート,もうひとつは淡路島から神戸を経て北摂方面(こちらは現在のとこ ろ、大阪府内では未発見)へのルートです.大阪市では2003年に住吉区で見つかったあと、2007年に東住吉区、2009年には阿倍野区で、2012年には港区でも発見されてい ます。
 奈良県では2008年に奈良市・橿原市で見つかったほか、2009年6月には京都市伏見区内(宇治川堤防)からも発見情報をいただきました(初宿 2010)。これが最北東限の記録でしたが、
2012年6月に滋賀県栗東市で分布報告がありました(武田, 2012)。ルートとしては奈良市から木津川流域を下った可能性が高いように思われます。


 三重県については,紀淡海峡を渡ったものが紀伊半島を南回りで進んでいる可能性がありますが、このまま行けば、伊賀地域での発見のほうが先になるかもし れません。
2016年に伊賀で見つかりました。
 


近畿地方でのヒラズゲンセイの分布拡大状況。初宿(2008)に2009年(★)2012年(★)のデータを加筆。

ヒラズゲンセイのさがしかた=クマバチの巣をさがす

  ヒラズゲンセイはクマバチに寄生します.クマバチの巣のまわり(通常は真下)で見つかることがほとんどですので,ヒラズゲンセイの分布の有 無を知るためには,クマバチの巣の目星をつけておくことが重要になります.
 クマバチの巣は腕ぐらいの太さの枯れ木に,直径1.5センチぐらいの穴を下向きに空けます.樹種はサクラが多いように感じますが,マツなども目撃したこ とがあります.比較的柔らかめの材を好むようです.そのほか,木造の住宅、公園の休憩所、藤棚などにも巣をつくることがあり,害虫となってます.お寺や神 社な ど,古い木造建築の密集するところで探 すのがひとつのコツですが,ただ歩いて回るだけでは,巣を見つけるのは簡単ではありません.


クマバチの巣。真下に向いた真ん丸の穴をあける。公園のサクラなどで、その気に なって探してみると、意外に見つかる。腕ぐらいの太さの枯れ木を探すとよい。写真は木造建築の軒下で作られたもの。


 穴の中には部屋があり,その中で幼虫は母親バチの蓄えた花粉や蜜を食べて育ちます.採餌の時期は5月中・下旬から6月上旬までで(松江市での観察:杉浦・ク原1996),その期間,クマバチの母親はフジなどの花と巣の間を忙しく往復します.訪花しているクマバチを追いかけて,巣を見つけるのも一手かも しれません(ただし,飛翔は速く,よほど近くの巣でないと難しいと思われます).
 クマバチ成虫が出生巣から分散し,新しい巣を作成するのは4月下旬から5月中旬ですので(松江市での観察:杉浦・ク原1996),その期間までに設置し ておかなくてはなりません.
 近畿でのヒラズゲンセイの出現期は,6月中旬から7月中旬ごろに集中しています.この期間に目星をつけたクマバチの巣をまわります.オス同士の闘争に負けたヒラズゲンセイの死体が巣の真下に転がっていることがあるようです.

参考文献


初宿成彦 (2010).ヒラズゲンセイ、京都へ。Nature Study 56(1): 6.大阪市立自然史博物館友の会会誌。
杉浦直人・郷原匡史(1996).キムネクマバチの天敵,ヒラズゲンセイの生活史.インセクタリゥム 33(8): 18-22.
武田滋 (2012) 滋賀県大津市のヒラズゲンセイ.Came虫(169): 6.滋賀虫の会.

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