虫食い植物標本庫を作ろう
 Entomological Herbarium
初宿 成彦
(自然史博物館・昆虫研究室) 
shiyake@mus-nh.city.osaka.jp


 植物標本庫にシバンムシを放って・・ということでは、もちろんありません。虫が食って穴をあけたり、葉潜り虫が絵を描いたり、虫こぶを作った植物標本を集めましょう、ということです。植物屋も昆虫屋も、普通はこんな標本は集めませんが、自然史の研究には重要だと思います。

 食痕
(エノキ/エノキハムシ)
 虫えい
(ブナ/ブナハマルタマフシ)
 揺籃
(アラカシ/ゴマダラオトシブミ)
 葉潜り
(キヅタ/キヅタオビキンホソバ)

 食べているところを目撃し、写真で記録してから、植物・昆虫の両方の標本を互いに離散しないように作れればベストですが、そうでなくとも、標本を集めているうちに、同じ植物に残された食べ方の特徴などから、パターンがいろいろ見えてくると思います。

 標本の集め方のスタンダードを相談したいと思います。

 この集積から、次のような研究に役立ちます。

1.昆虫分布の新記録:虫そのものはみつからないが、明白にその虫だとわかる食痕がついていることがあります。2007年に見つかった外来種、ユーカリハムシは夜行性で見つけにくいですが、ユーカリの葉に特徴的な食痕を残します。

2.葉化石による昆虫の存在の推定:虫の化石はなかなか出ないですが、葉の食べ痕の化石から、その食べた虫の存在の推定というのも可能になるかもしれません。Kuroko (1987) はモグリチビガ科の潜葉をミズメ(カバノキ科)の葉化石(中新世)から見出しています。現生の虫食い植物標本(できれば虫食い葉化石も)をたくさん集めていけば、もっといろいろなことがわかるはずです。

虫食い植物標本収集マニュアル ver.01。(学芸ゼミ2016年4月26日配布版)→要改訂(すいません)
虫食い植物の標本集積にご協力をお願いいたします。


<おすすめ関連図書>(発行順)
湯川淳一・桝田長 (1996).日本原色虫えい図鑑。全国農村教育協会。
沢田佳久・安田守 (2009).オトシブミハンドブック。文一総合出版。
広渡俊哉(編) (2010).絵かき虫の生物学。北隆館。
新開 孝 (2016).虫のしわざ観察ガイド?野山で見つかる食痕・産卵痕・巣。文一総合出版。