[update: 2017/OCT/12]マップ等は随時更新

クズ(葛)を見つけたら探そう!
これから広がる外来テントウムシ

[News]
・調査重点エリア(市区町村)と既出文献リストを掲載(こちら)ご協力お願いいたします。
・和歌山県と京都府に入りました。現在の分布状況はこちら

ムネアカオオクロテントウ
Synona consanguinea

 黒いハネとオレンジ色の胸(前胸)と頭部が目立つ、やや大型のテントウムシです。原産地は台湾、中国南部、東南アジアですが、日本国内に入ってきていることが2016年になって明らかになりました。

 きわめてふつうに見られる害虫、マルカメムシ(寄主植物はやはり、きわめてふつうに見られるクズ)を盛んに食べるとあって、ますます広がると同時に、生態系へのバランスへ影響する可能性があります。今のところ、関西では石川・千早川の河川敷に限られていますが、今後、広がるのは間違いないと考えています。

 発見情報ありましたら、大阪市立自然史博物館・学芸員・初宿(shiyake@mus-nh.city.osaka.jp)へお寄せください。今回の場合は、写真でも同定確認が可能と考えていますから、ぜひ撮影&添付もお願いします。下記のグーグルマップに追加する形で公表していきます。
 最終的なまとめ(紙媒体)では、オリジナルのご発見を「引用」したいので、できればそれまでの間にどこかに出してください。

項目 内容  公表/非公表 
発見場所  できるだけくわしく。緯度経度もあればよい。  公表 
日時 ●年●月●日 公表
お名前 ●山●彦 ネット上は非公表
(※報文では原則公表) 
写真または標本  得るようにしてください。  非公表(確認用) 
※既知市区町村の情報でもかまいません。分布拡大と増加が実感できると思うので。
ムネアカオオクロテントウ Synona consanguinea。大阪府河南町の千早川にて。2015年10月1日。
ムネアカオオクロテントウ Synona consanguinea。顕微鏡写真。腹面は
翅の縁を除いて、すべてオレンジ色。 
 幼虫。 蛹。 
蛹の模様の違い:ムネアカオオクロテントウ(左)/ナナホシテントウ(右)

特徴:大きさは6.2〜7.3mm丸みが強い。腹面(裏面)は脚を含めて、すべてオレンジ色。
生態:クズにつくマルカメムシを食べるが、他にもツノゼミ、キジラミ、アブラムシ、カイガラムシも食べるという。
分布:中国(陝西、甘粛、河南、湖北、四川、福建、広東、広西、海南、貴州、西蔵)、台湾、ベトナム、ミャンマー、タイ。
似ている種類:オレンジ色の頭部・前胸と黒色の翅は、日本在来のクロバネヒメテントウツマアカオオヒメテントウ(下図)など、ヒメテントウ類に色彩パターンが似ているものがありますが、いずれも細長く、体長2〜4ミリ程度で、サイズがまったく異なり、本外来種はたいへん大きいのと、全体的な丸みがたいへん強いですから、区別に迷うことはないと思います。捕獲か写真撮影をお願いします。


クズ:河原、崖など、どこにでもありふれた植物。
 
クロバネヒメテントウ(左)/ツマアカオオヒメテントウ(右)。
桜谷・初宿編「テントウムシの調べ方」(文教出版)より。
http://kandoukon.org/sub/ladybird.html

分布図  
2014年 2015年 2016年 2017年[NEW!] ◇さがしたけどいなかったところ

<予想される生態系への影響>
 クズは繁殖力旺盛な、たいへんありふれた植物で、河原や空き地などにたくさん生えています。クズにはマルカメムシのほか、オジロアシナガゾウムシ、クズノチビタマムシなど、たくさんの昆虫が葉や茎について勢いを弱らせているため、おそらくこの程度の蔓延(はびこ)りで済んでいるのではないかと思います。クズは北アメリカに外来種として入り、現地では摂食する昆虫があまりいないこともあって、猛烈な勢いで育っているそうで、民家がクズの蔓で覆い隠される被害にあっている写真を見たことがあります。
※この調査はJSPS科研費(JP17H02027「博物館をコアとした外来生物の市民調査、その生物多様性理解の促進効果の評価」)により実施しています。