●はぎ取り標本とは

 地層のはぎ取り標本とは,読んで字のごとく地層をはぎ取ったものです.現世の地層や新しい時代にたまった(100万年以降くらい)まだ固くなっていない地層を,内部の構造などを残したまま採集します.採集の方法はいったって簡単です.



1.地層の表面を平らに整形する
 採集しようとする地層をきれいにする必要があります.当然ですね.

2.地層に樹脂を塗る.
 ようは接着剤を塗って,固めてとるわけです.博物館での採集には専用の樹脂を使いますが,簡便にするには,スプレー式の接着剤などを使うのが便利です.


長居の地下の地層に樹脂を塗っているところ.
塗っている人は地史研究室のT学芸員と第四紀研究室のIY学芸員です.


3.布を貼って再び樹脂を塗り,裏打ちをする.
 地層そのものを樹脂だけでは弱いので,布で裏打ちをして補強します.


布を貼って,樹脂を塗っている様子です.


4.樹脂が乾くのを待って,地層からはがす.


はがした地層.現場でできるのはここまでです.


5.不要な部分を切り取り,パネルに貼って保存する.
 持ち帰ったのち,形を整形してパネルに貼ります.布だけに貼った状態だと収縮したりします.収縮すれば,構造などを見るためのものなのに,その価値は減じてしまいます.



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