1次寄生と高次寄生
KOBであれIDBであれ,あるホストに卵を産みつけ,それを直接消費するのが1次捕食寄生者です.これに対して,ある捕食寄生者をさらに他の捕食寄生者がエサとして利用する場合を高次寄生(Hyperparasitism)といい,1次捕食寄生者に寄生するのが2次捕食寄生者,それに寄生するものを3次捕食寄生者という具合に呼びます.高次寄生者の多くのものは2次捕食寄生者ですが,より高次の捕食寄生もしばしば見られます.Haviland 1920)はアブラムシ(1次のホスト)に寄生するアブラコバチ(1次捕食寄生者),に寄生するコバチ(2次捕食寄生者),に寄生するコバチ(3次寄生者)にさらに寄生する4次捕食寄生のオオモンクロバチ科のハチを報告しています.

高次寄生性は捕食寄生性のハチではいくつもの系統で獲得されているごく普通の現象ですが,これにもいくつかのタイプが認められます.まずはもともとのホストと結びつきがある場合です.そのうちのあるものは1次寄生者としても2次寄生者としてもやっていけるもので,またあるものは1次寄生者としては捕食寄生をまっとうできないものです.これは単独ではホストの免疫系を回避することができないためと考えられています.
もう1つは比較的外界に露出している低次の捕食寄生者のマユなどを攻撃するもので,1次寄生者が寄生を完了した後にこれを攻撃するため,偽高次寄生者(Pseudohyperparasitoid)と呼ばれることもあります.

さきほどKOBはより進んだ巧妙な寄生方法だといいましたが,必ずしもKOBの方が有利だというわけではありません.同じホストをKOBIDBが攻撃した場合,待ちの戦法のKOBIDBとの競争に敗れてしまいますし,成長したKOBの幼虫や蛹もIDB高次捕食寄生者によってホストとして利用される可能性があるからです.