覚書

 捕獲に関する覚書(メモ)を紹介します.最近のものほど前に,昔のものは後に配列する予定です.

 
 虫とどのようにつきあうか−採集・観察の対象として−
(大阪市立自然史博物館第23回特別展解説書「昆虫の化石―虫の4億年と人類―」:55-56.1996)

 「…そして,欧米で発展した分類学や進化論が日本に伝わり,近代的な教育制度のもとで採集指導が行われます.かつて昆虫採集が小学校で夏休みの宿題に出されたことがありました.その背景は,膨大な種類が生息する昆虫を知るためには,採集を行うことが最も近道であるとの認識だったと思われます.また,急速に膨張しつつあった新しい領土に生息する動植物を把握するための国家的意図もあったかもしれません.ほとんどの小学校で行われていた昆虫採集は,最近の情緒的な自然保護ブームの中で表面的な批判を受け,壊滅的な打撃を受けましたが,その変わりに多くの自然科学者を生みだしました.子どもの頃に昆虫採集に熱中したおかげで,自然科学を志したという著名人はたくさんいます...」
 

  新ファーブル運動
(自然観察の新しい方向−ネオファーブリズム−.昆虫と自然,29(11):2-6.1994)

 「家の中の昆虫,庭先の植物の種類の把握から始める.昆虫を見つけたら,名前を調べるために捕獲する.種類が判明してもそこで初めて捕獲されたものであれば,標本にして保存する.昆虫の種類は多く,外見がよく似た種類もいる.採集して標本をつくっておかなければ,名前を調べられないし,分布の記録としても不十分である.庭木の害虫がほとんどだから、「かわいそう」なんて遠慮は無用である。大阪市内の公園で九州以南にしかいないカメムシがとれて大発見なんてこともたまにはある。採集時の情報はできるだけ詳しくパソコンなどに入力してデータベース化しておく.自宅周辺の植物マップを作っておくと後で役立つと思われる.

 次の作業は,自分の住んでいる町に何種類の昆虫などの動物がいるか,を知るためのリストづくりである.また,種類がわかったら、その生きざまをのぞいてみる日曜ごとにできる方法として、マーキングを率先して行う。虫にマーカーペンで記号や番号をつけておく方法である。個体識別ができて愛着がわくし、時間と場所を記録しておけば、次に見かけたときに移動距離がわかる...」
 

 昆虫のマーキング−自宅のまわりで昆虫観察−
(朝日新聞「野遊び入門」.1993年9月)

  「四月は新しい生活の始まる季節だ。引越したばかりの新居から、通い始めた学校や職場まで、見るもの全てが新鮮である。新鮮さをさらに満喫するために、休日には自宅周辺を探検してみよう。この季節は身の周りの自然に目を向けてみるよいチャンスである。

 庭先でも、気軽にできるのが昆虫観察の利点だ。サクラが咲くと、虫達も本格的な活動を始める。昆虫の観察を趣味にしている人達には、植物の名前の物知りが多い。昆虫と植物は切っても切れない関係にあるからだ。公園のツツジや水田のレンゲの花が咲けば、蝶だけでなく、ニホンミツバチなどのハナバチ類が蜜と花粉を集めにやってくる。葉を食べる蛾の幼虫を発見するためにも、自宅周辺の植物マップを作っておくと便利だ。...

 自身とすみかを同じくする動植物の名前と生活を知ることが、都会人がすでに失いつつあるアイデンティティを取り戻すための唯一の方法だろう。都会生活の連続で、自宅がただの寝場所になっている人に、日本版ファーブルへの道をおすすめしたい。」


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