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     コルリクワガタは見つかるかな?  〜6月の金剛山にむけて〜
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 自然史博物館の学芸員ながら金剛山にはまだ1度しか行ったことがありません。しかも行ったのは秋の終わり。虫などなにもいないような時期です。だから本当の虫のシーズンは初めてですのでとても楽しみにしています。
 金剛山に行った目的はコルリクワガタでした。小型でほっそりしたのクワガタですが、最も特徴的なのは青くきらきらと光るからだ(鞘翅)です。日本にはルリクワガタのなかまは4種いますが、それぞれに分布や産卵場所に好みが違い、重なって分布する場合にも、細かい環境で棲み分けが見られるなど面白い虫でもあります。冬の探し方は地面に半分埋まったような朽ち木を探し、ひたすら産卵マーク(・)を探します。産卵マークがあれば中を調べてみる。手でボロボロ崩れるくらいの朽ち具合がベストで、うまくいけば小さな蛹室の中からきらっと体が青く輝くクワガタが見つかります。マークがはっきり残っているような木から見つかるのは幼虫ばかりですので、そっともとに戻してやります。そんなコルリクワガタも暖かくなると朽ち木から出て道の上を歩いていたり、ミズナラやブナの芽に集まったりします。6月の新緑の中で青いクワガタに出会えるでしょうか?ちなみに近いところでは滋賀の比良山で見つけたことがあります。泉南の三国山や和泉葛城山でも採集されたことがあるそうです。
 また新緑の時期ですからハムシやオトシブミ、ハバチなど植物に関係した虫もたくさん見つかるでしょう。昆虫研究室の初宿学芸員は最近大阪のハムシを調べているので採集して見せびらかすのも(もちろんデータをあげるのも)いいでしょう。ハバチはどんなものがいるのかほとんど分かっていませんし、その場で名前調べは不可能なので見つけたらみんな採集する予定です。蝶ではカラスやオナガなどのアゲハチョウが思い浮かびますが実際はどうなりますやら。
 虫を探すといっても上ばかり見ずに、地面を歩いている虫にも注目してみてください、地面をすばやく歩く黒い虫、オサムシも見つかるはずです。金剛山には8種のオサムシ(オオオサムシ、ヤマトオサムシ、オオクロナガオサムシ、イワワキオサムシ、コンゴウオサムシ、ヤコンオサムシ、マイマイカブリ、アキタクロナガオサムシ)がいて標高によって見つかる種がだいたい決まっています。山を下りる時に気を付けてみてください。コンゴウオサムシは金剛山から葛城山にかけてだけ分布しているオサムシで、とても形の変わったオサムシです。といっても外から見ただけでは分かりませんので、どう変わっているかは(♂を)見つけた時のお楽しみです。
 虫の多い6月ですから雨さえ降らなければ、上にあげた虫に限らずとてもたくさんの虫を見ることが出来ると思いますのでお楽しみに。好天を祈りましょう。【松本吏樹郎】