日本鳥学会2001年度大会の講演要旨
■■自由集会10月5日(17:00−19:00)■■
A会場(E11)

●M2 里山に住む猛禽類の生態と保全

百瀬浩1・中村浩志2
1. 国土交通省 国土技術政策総合研究所 緑化生態研究室
〒305-0804 茨城県つくば市旭1
2. 信州大学教育学部

 この自由集会は、平地から低山帯にかけての、広い意味では「里山」と呼ばれる地域を主な生息地とするサシバ、オオタカ、ハチクマなどの猛禽類の生態について、これまでの研究でわかったことを総括するとともに、今後の研究の方向性を論じようとするものである。里山は、人がすむ都市域の辺縁部に当たり、人の活動による影響を受けやすい地域である。その意味で、里山に生息する猛禽類の生態を把握することは、猛禽類の保全手法を検討する上で大切である。さらに、里山環境そのものが近年さまざまな理由により衰退しつつあるため、里山自体の保全も重要な課題となりつつある。その意味で、里山に住む猛禽類は、里山生態系保全のための大切な指標種でもある。
 国土交通省 国土技術政策総合研究所・緑化生態研究室では、信州大学教育学部を始めいくつかの機関や個人との共同研究により、平成10年(1998年)から里山の猛禽類の調査・研究を実施してきた。今回はこの研究プロジェクトの成果を中心に、里山の猛禽類研究に携わる何人かの研究者に話題提供をしていただく予定である。里山生態系の保全という大きなテーマも踏まえつつ、そこに暮らす猛禽類の生態解明と保全に向け、活発に議論を行いたいと考えている。