水田の雑草 第1展示室の3

 水田の雑草はあまり歓迎される植物ではありません。イネの生育のじゃまにならないように抜き取られるかあるいは除草剤で枯らされてしまいます。さて、この招かれざる客ともいえる水田雑草すいでんざっそうは、よくみてみると、なかなかうまく水田という環境の中にとけ込んでいるのがわかります。

 いつも除草が行なわれる水田で生きていくにはいくつかのやり方があります。一つは除草されないようにイネそっくりの姿をしてしまう物まね型です。これには夏の水田雑草のイヌビエがあてはまります。もう一つはイネをつくらない秋から春にかけて生育する時間的な住み分けをするタイプです。主人(イネ)の不在の間にちゃっかりとはびこるやり方で、これには、タネツケバナ・スズメノテッポウ・コオニタビラコなどがあります。第一展示室では、早春の水田の雑草を展示してありますが、この季節にはイネが植えられないのでたくさんの水田雑草がはびこります。

 イネと時間的に住み分けるのタイプの雑草の特徴は、稲刈りの終わった秋に発芽をし、ある程度生長をして冬を越します。そして春に花を咲かせてたくさんの種子をつくります。ポイントは、田植の前までに種子をつくって一生を終えること、そしてつくられた種子は秋まで発芽せずにじっとしていることです。また、まき散らされた種子は春から秋にかけて水の中で生きのびることも必要です。