けものと恐竜の化石(自然史博物館の展示案内 脊椎動物化石編)
詳しい説明

 エオステゴドンの一種.アネクテンスゾウとほぼ同じころの地層から発見される種類で,よく似たものにツダゾウ(Eostegodon tsudai)があります.化石の分布はこれまでのところ,関東地方北部から北陸地方を結ぶ線より北にかたよっています.
 以前これらは2種類ともステゴロフォドン属(Stegolophodon)に含められていました.ステゴロフォドンはゴンフォテリウム科とステゴドン属(Stegodon)との中間的な形の臼歯を持っており,ステゴドンの祖先またはステゴドンと共通祖先をもつグル−プとされステゴドン科に含められていました.ところがステゴロフォドンとされる化石は,南アジア,東南アジア,中国,ヨ−ロッパなどから発見されていますが,日本の上記2種が一番古い時代から見つかっていることになり,外国で見つかる標本との系統的関係が問題とされていたのです.
 最近の研究の結果,エオステゴドンはステゴロフォドンより古い時代に生息していたにもかかわらず,よりステゴドンに近い形の臼歯を持っていることが再確認されました.またこれまで見つかっている下顎骨から,すでにゴンフォテリウムより前後に短くなった頭部を持っていたことも明らかです.そして,下あごの牙はなくなっているか,あっても細く痕跡的なものになっています.
 シュ−ドラチデンスゾウなどエオステゴドンは,今のところステゴドンの祖先と考えるのに最もふさわしいものであり,ステゴドン属とともにステゴドン科に含められます.
 ゾウ 
和 名シュ−ドラチデンスゾウ 
学 名Eostegodon pseudolatidens