奇石コレクション(京大号)について
 蒹葭堂奇石コレクションは黒柿製の6段重ねの箱からなり,各段は升目に仕切られ,鉱物,岩石,化石,考古遺物などの“奇石”類が納められている.その重箱は,さらに黒塗りの外箱に収納されている.
 標本を調査された故益富寿之助博士は,標本に付された名紙片の筆跡からこの標本が蒹葭堂標本であることを断定されている.また,通常,石のコレクションは1コレクターが10組内外所有していたことから,この標本はかろうじて残された標本と判断され,京都大学地質鉱物学教室から発見された経緯から京大号と名付けられた.命名には,後日別の標本が発見されることにも期待を込められている.
 標本は全175種あり,そのうち名紙片が残されている55種と復元された63種の118種の古名(鉱物51種,岩石23種,化石33種,考古伝承物7種,現生生物4種)をあげた.産地は近畿地方以外にも,中国,東海,信州,北陸,関東から東北など各地方におよんでいる.
 江戸時代中期の本草学の発展,物産学がおこるにつれて,鉱物,岩石,化石の収集がさかんにおこなわれ,奇石研究に専念した近江の木内石亭が著した「雲根志」は,その集大成であった.蒹葭堂は,奇石研究においては石亭の兄弟弟子であり,その奇石標本は貴重である.
包紙
 
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奇石写真(画像をクリックすると拡大します)


1段目

2段目

3
段目

4段目
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