友の会読書サークルBooks

本の紹介「世界屠畜紀行」

「世界屠畜紀行」内沢旬子著、解放出版社、2007年2月、ISBN4-7592-5133-2、2200円+税


【注意】本の紹介は、それぞれの紹介者が自らの判断によって行なっています。他の人からの意見を取り入れて、変更をする場合もありますが、あくまでも紹介文は紹介者個人の著作物であり、サークル全体や友の会、あるいは博物館の意見ではないことをお断りしておきます。
 もし紹介文についてご意見などありましたら、運営責任者の一人である和田(wadat@omnh.jp)までご連絡下さい。
[トップページ][本の紹介][会合の記録]

【和田岳 20071018】
●「世界屠畜紀行」内沢旬子著、解放出版社

 家畜は屠殺して肉にする。そんな日本を含め世界各地の屠殺の現場を、イラストと共に紹介してくれる。仕事として屠殺を行う屠殺場もあれば、持てなしや儀式のために個人宅で行われる屠殺もある。舞台は、韓国、バリ島、エジプト、東京、沖縄、インド、アメリカ合衆国と世界各地に及ぶ。
 著者自身が実際に行って見てきた内容が、生々しく報告される。各地の家畜の処理の仕方、人と家畜との関わり方は、とても興味深い。同時に著者は、屠殺に関わる人々のその社会での立場という一つのテーマを追いかけていく。屠殺に関わる人は、あるいは屠殺という行為は、差別的な目を向けられているのか?
 屠殺という一つの視点から、民族の歴史や文化の普段は気づくことのない深い部分が見えてくる。

 お薦め度:★★★★  対象:文化の多様性に興味のある人、人と動物の関わりに興味のある人、差別問題の歴史と現状に興味のある人、肉を食べたことのある人

[トップページ][本の紹介][会合の記録]