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本の紹介「日本列島の自然史」

「日本列島の自然史」国立科学博物館編、東海大学出版会、2006年3月、ISBN国立科学博物館/編、2800円+税


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【西村寿雄 20060511】
●「日本列島の自然史」国立科学博物館編、東海大学出版会

 この本は、題名の通り、日本列島における地質、生物、人類史を概説した総合自然史である。国立科学博物館が長年続けてきた〈自然史科学的総合研究〉の成果を、一般の人々にも読み易いようにまとめたという本である。項目は「1.四季の織りなす豊かな風土」「2.日本列島の生い立ち」「3.北の大地からマングローブの島へ」など6項目よりなる。
 その中の「2.日本列島の生い立ち」を読んだ。
 基本的には、近年明らかにされてきた付加帯地質学の研究成果をもとに日本列島の成立過程が解説されている。放散虫化石検出によって大きく塗り替えられた地質学史、四万十帯調査によって確立された付加帯地質学、古地磁気研究から明らかになった日本列島の形成史など、興味ある問題が書かれている。後半は、各地で発掘された化石をもとに、古生物学的な実証研究史がまとめられている。日本列島の成立過程や環境変化と関連づけて記載されているところは興味深く読める。
 図版など見やすく工夫されているが、概論的な記述に終始している。他の分野ではどうだろうか。

 お薦め度:★★★  対象:日本の自然史に興味のある高校生以上

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