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本の紹介「なんでこんな生物がいるの」

「なんでこんな生物がいるの ゲッチョ先生の森の学校」盛口満著、日経サイエンス社、1995年4月、ISBN4-532-52043-6、1553円+税


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【寺島久雄 20030804】
●「なんでこんな生物がいるの」盛口満著、日経サイエンス社

 ゲッチョ先生が、授業を通しての生徒とのやりとりの中で、食物連鎖の面から生物を見るニッチ(生態的地位)を中心にして、自然の生物を自分で見たり調べたりするヒントを提示してくれている。
 自然に親しみ、自然の大切さ、生物のおもしろさ、そして未知の自然を探す楽しさを書いている。
 少なく産み、またたくさん産むわけ。ある生物の出現が、ある生物の出現を促す。自然におけるニッチの連鎖を楽しく読める本です。
 
 お薦め度:★★★  対象:自然に親しみ生物のおもしろさを知りたい人に

【田中久美子 20030821】
●「なんでこんな生物がいるの」盛口満著、日経サイエンス社

 今までのゲッチョさんの本は、身のまわりの自然観察が中心だったが、今回はちょっと趣が違う。「動物の生態」というテーマのもと、生徒達といっしょに「なんでこんな生物がいるのか」授業を通して考えていこうというのである。様々な生物を取り上げて、食うもの食われるものという観点から、多産少産を考えたり、ニッチ…生物達はどうやって生活エリアを分け合い奪い合いしてるのか考えたりする。登場する生物も様々で、つノゼミ、ハダカデバネズミなどのけったいな奴らから始まって、身近なハチやサケ、マグロ、ウサギ、モグラ、タヌキにカッコウの托卵など、それぞれの生態を考える。観察も大事。しかし、本やいろんな情報を元に、もっと自然や生物のことを知りたいという思いが伝わってくる。
 
 お薦め度:★★★  対象:いろんな生物話が好きな人

【六車恭子 20030817】
●「なんでこんな生物がいるの」盛口満著、日経サイエンス社

 森の学校の案内人はゲッチョこと盛口満先生。読者は今どきの若者の中にまぎれ込 みある日のある季節の授業を参観出来る。授業は真実を伝えることよりも、その場の 臨場感に重きをおいて進行する。
 ゲッチョ先生の生き物好きは子どもの頃奇妙な南米産のミツコブツノゼミに図鑑で 出会ったことに始る。「なんでこんな生物がいるの?」はその時彼の中に芽生えた 「種」だった!彼はその謎解きを、「たくさん産むのは何のため」「少なく産むのは わけがある」「キーワードはニッチ」「ニッチと進化」そして「僕らのニッチ」ヘと 繋げていく。この書は「研究前訓練」とも思える「自分自身ヘのと問」をへて、各々 が「ニッチを探す」始まりの一歩になることを願って書かれたのだと思えてくる。
 
 お薦め度:★★★  対象:生き物好きだが進路を迷っている人に

【和田岳 20030821】
●「なんでこんな生物がいるの」盛口満著、日経サイエンス社

 授業での生徒とのやりとりを通して、「なんでこんな生物がいるの」かをやさしく解説してくれる。食う食われるという関係に関わっての説明が中心で、食べられる側の都合としての産卵数(産仔数)の問題、食べる側の視点でニッチ(生態的地位)が紹介される。生徒の発言がつっこみ役やボケ役として上手に利用されている。
 先生がなげかけた問いに、生徒が真面目にいろいろと反応していることに感心させられる。
 
 お薦め度:★★★  対象:生きものに興味のある人

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