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本の紹介「カッコウの托卵」

「カッコウの托卵 進化論的だましのテクニック」ニック・デイヴィス著、地人書館、2016年4月、ISBN978-4-8052-0899-1、2800円+税


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【萩野哲 20161026】
●「カッコウの托卵」ニック・デイヴィス著、地人書館

 本書は、反母性愛の象徴とも思われていたカッコウの非常に興味深い習性である「托卵」について、これ以上にないと思われるほど詳細に記述されている。まず、歴史的にだれがこのような不思議な修正を解き明かしていったのか? アリストテレスは既に托卵を知っており、種痘で有名なジェンナーもその解明に卓越した貢献をしたことなどが語られている。托卵の真実については、本物のカッコウを知らず、都会の駅で偽物の鳴き声を聞かされている者としては、それほど深く考えたことはなかったが、どのようなタイミングでどのような順序で托卵するのか? 宿主はなぜ偽の卵を見破れないのか、なぜ容貌のことなる雛を育てるのか? などなど、実に様々な疑問があり、解決したものもそうでないものも、著者は詳しく解説してくれる。そして、このような習性を持つカッコウはいかにも繁栄しそうだが実は減少している最近の事情についても触れている。このようなカッコウの托卵を解明していった人間の努力もすごい!!

 お薦め度:★★★★  対象:とにかく面白いから、誰でも読んで損はない

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