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本の紹介「よるのいけ」

「よるのいけ」松岡達英著、福音館書店かがくのとも2019年9月号、407円+税

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【冨永則子 20191220】【公開用】
●「よるのいけ」松岡達英著、福音館書店かがくのとも2019年9月号

 池の畔のキャンプ場、お父さんと二人でキャンプ。夜になって暗くなったら懐中電灯を持って探検だ。懐中電灯のライトの光の中に、いろんな生き物が浮かび上がる。夜になると動き出すもの、息を潜めるもの。昼の太陽の光の下で見る生き物も夜になると違う姿を見せてくれる。作者は10年前にも「よるになると」のタイトルで生き物の昼の姿と夜の姿の違いを絵本にしている。本著はユリ・シュルヴィッツの「よあけ」を思わせる。

 お薦め度:★★★  対象:夏にキャンプに行ってみたい人に
【西村寿雄 20191215】
●「よるのいけ」松岡達英著、福音館書店かがくのとも2019年9月号

 小さな子どもにとっては、なかなか夜の水辺を経験することはない。しかも、特に森の中となるとなんとなく夜は怖い世界だ。そのような世界を体験して絵本は作られている。トノサマガエルが臆病とは、大人も気が付かない。「ホッホー ホッホー」、キャンプじょうに、コノハズクのなきごえがこだまする。おじさんに連れられて、いよいよ夜の水辺の探検がはじまる。夜もふけて夜空もきれい。星がキラキラ輝く。池の上は、なんとなく霧が立ちのぼる。懐中電灯を照らすと、たくさん生き物がいる。

 お薦め度:★★★  対象:夜の生き物に関心のある子ども
【六車恭子 20191220】
●「よるのいけ」松岡達英著、福音館書店かがくのとも2019年9月号

 水墨画を思わせるこの絵本は著者の心のふるさとであり、長年慣れ親しんだ王国への招待状でもあろうか。
 よるのいけは闇の中から密やかに立ち上がり、満月に照らされ、スポットライトをあてられた生き物たちの饗宴の舞台なのだ。子ども時代から親しみ、子をなす親となり、その子へと趣味の遺伝は引き継がれる。見ること、感じること、驚くこと、よるの闇が試し、はぐくむ、これこそ人が核コアとして必要としていることかもしれません 。

 お薦め度:★★★★  対象:世界の密やかな営みに関心のあるかた
【和田岳 20191214】
●「よるのいけ」松岡達英著、福音館書店かがくのとも2019年9月号

 大人と子どもが、水網とバケツをもって、夜の池に出かけます。カエルや鳴く虫の声が聞こえます。懐中電灯で照らすと、水の中にはさまざまな水生昆虫や両生類や貝や魚の姿。水網ですくうといろんな生き物がいっぱい捕れる。ギンヤンマの羽化を見てお終い。
 夜の池は楽しいけど、大人と一緒に行ってねってことだろう。正面顔のツチガエルが可愛くないのが不満。コノハズクは、ホッホーとは鳴かない。

 お薦め度:★★★  対象:水網もって出かけてみたい人
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