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本の紹介「うみどりの島」

「うみどりの島」寺沢孝毅文・あべ弘士絵、偕成社、2019年4月、ISBN978-4-03-437080-3、1400+税


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【和田岳 20210221】【公開用】
●「うみどりの島」寺沢孝毅文・あべ弘士絵、偕成社

 さまざまな海鳥の繁殖地として知られる北海道の天売島を舞台に、春から秋の海鳥の繁殖コロニーの様子を紹介する絵本。おもに登場するのは、ウミガラス、ケイマフリ、ウトウのウミスズメ類3種。あとは味付けにウミネコとウミウがチラチラ顔を出す程度。他に渡りの途中に立ち寄る陸鳥(といいつつオオジシギらしき鳥も混じってるが)と、初冬に登場するオオワシ。
 春、ウミネコを筆頭に、島に鳥たちが戻ってきて、鳥山つくって、ペアつくって、営巣。餌を運んでヒナを育てて、巣立ったヒナを連れて島を離れる。3月から翌年の2月までの一年の様子が描かれる。繁殖地をえがいている割りには、エサを運ぶ以外の繁殖の様子はあまり出てこない。

 お薦め度:★★  対象:この絵柄が好きなら
【冨永則子 20210202】
●「うみどりの島」寺沢孝毅文・あべ弘士絵、偕成社

 北海道の日本海側に浮かぶ小さな島、海鳥たちが繁殖のためにやって来る天売島のお話。この島を繁殖地にする海鳥は八種類。ウミガラス、ケイマフリ、ウトウ、ウミスズメ、ウミウ、ヒメウ、オオセグロカモメ、ウミネコ。これらの海鳥が、この小さな島に百万羽も集まり、上手に巣作りする場所を違えて、産卵し、子育てする。島の周辺がいかに豊かな餌場であり、島の人々の暮らしを支える漁場であるかが分かる。文を書いた寺沢氏は新卒の教師として天売小学校に赴任し、その後、自然写真家として独立。絶滅危惧種のウミガラスの保護活動や、海や海鳥を巡る地球環境をテーマに多くの作品を手掛けているそうだ。あべ弘士氏が北海道の旭山動物園の飼育係であったことはよく知られているが、こんなに沢山の鳥が描かれ、海鳥が主役の絵本は珍しい気がする。

 お薦め度:★★★  対象:北の海で暮らす珍しい海鳥の暮らしに興味のある人に
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