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本の紹介「生まれ変わる動物園」

「生まれ変わる動物園 その新しい役割と楽しみ方」田中正之著、化学同人、2013年3月、ISBN978-4-7598-1352-4、1700円+税


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【冨永則子 20140204】【公開用】
●「生まれ変わる動物園」田中正之著、化学同人

 動物園の目的として、「種の保全」「教育・環境教育」「調査・研究」「レクリエーション」があるが、日本では4つ目の「レクリエーション」としての場、幼い子を連れて行く『子どものための施設』という認識が一般的ではないだろうか? しかし、海外では、動物園自体が研究センターを持っていたり、大学と連携して、大学の研究者が常駐して飼育動物を対象とした研究を行っている例がいくつもあるらしい。本著の舞台となる京都市動物園は、日本で始めて、大学の研究者が常駐している動物園となった。その京都大学野生動物研究センター開設の当初を紹介し、今後の動物園の在り方を問うている。
 某市では、動物園をテーマパークにしようと「動物園改革担当部長」なるものを公募しているが、動物は生き物だ。お隣の遊園地のように、失敗したら壊して更地にできるものではない。応募する人にも採用する人にも一読して欲しい一冊だ。

 お薦め度:★★★★  対象:動物園好きに、動物園で働きたいと思っている人に

【萩野哲 20140213】
●「生まれ変わる動物園」田中正之著、化学同人

 「種の保全」、「教育・環境教育」、「調査・研究」、「レクリエーション」が、動物園がめざす4つの目的として掲げられている。その内、「調査・研究」については、フェールドワーカーによる野外での野生動物の知識が増しつつあるとはいえ、未だ十分であるとはいえない。それを補完するため、動物園を拠点として動物園と大学が共同して飼育下での行動研究を進めるプロジェクトが、京都大学野生動物研究センターと京都市動物園など4園で始まった。動物園は、できるだけ多種の動物を詰め込んで展示するだけの場所ではなく、また子供のための施設に限定されるものでもない。整備が整ってきた動物園の動物を通じて、動物たちが暮らす本来の環境、地球環境の危機的状況に思いを馳せるのは動物園を訪れる側の役割でもある。

 お薦め度:★★★  対象:動物園をより深く考えたい人

【和田岳 20140220】
●「生まれ変わる動物園」田中正之著、化学同人

 京都市動物園に常駐して研究している著者が、今までの研究成果を紹介すると同時に、これからの動物園のあり方を紹介した一冊。
 第1章と第2章では、マンドリル、シロテテナガザル、チンパンジーに、タッチ画面を見せて数字を学習させるプログラムの様子が紹介される。第3章では、ゴリラ、アジアゾウ、ブラジルバク、ヤブイヌの様子をビデオカメラを仕掛けて調べた例が紹介される。ここまでは、動物園の動物を調べることで、いろんな事が明らかになるんだなぁ、と楽しく読むだけ。第4章では、キリンの飼育員とゴリラの飼育員が研究に関わる様子が描かれる。キリンがどのように寝るかを調べ、ゴリラの吐き戻し/食べ戻し行動を起こさせないための工夫や、ゴリラの人工飼育の話。第5章「動物園はどんなところ?」こそが、この本の主題。現代の動物園には、レクリエーションだけではなく、種の保全、教育・環境教育、調査・研究”の4つの役割があることが紹介される。そしていまだに子どものレクリエーションの場としてしか見られないことを嘆く。
 今度、動物園に行く時は、新しい動物園の役割にも注意を払ってみたら、別の視点から動物園を楽しめるかも。とりあえず京都市動物園に行ってみたくなった。

 お薦め度:★★★★  対象:動物園が好きな人

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